恋姫無双 〜決別と誓い〜 第九話
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俺は訓練期間である半年、自分の能力を磨きあげるためただひたすら自分自身を苛めぬいた。

 

 

軍師時代に周瑜や陸遜からもらった兵法の本を読みあさり、またいかなる訓練でもどのように敵を倒せるかを常に頭に入れて行うように徹底していた。

 

 

いつもお世話になっている酒場のオヤジさんに心配されるほどだ。

 

 

そして訓練期間を終えた俺たちはどこに配属されるか待つだけとなっていた・・・・。

 

 

「なぁ北郷。お前は何処に配属されてぇの?」

 

 

「へ?」

 

 

「なんだよ。急に変な声出して」

 

 

「いや、話の矛が俺に向くとは思ってなくて・・・・」

 

 

「なんだよ、乗り悪いなぁおい!久々の酒だぜ?」

 

そう言って、同僚は酒を口に流し込む。

 

飲みっぷりはいいが、顔はほんのりと赤く呂律(ろれつ)が少し怪しい。

 

その様子をまた違う同僚が注意する。

「おい・・・、酔っぱらいはそのぐらいにしとけ!悪いな、北郷。こいつ酒弱いのにいっつも飲むんだよ」

おかげでいつも俺は尻拭いをさせられ,この調子さと彼は周瑜顔負けのため息をついてみせた。

 

彼らは幼馴染であり名前はお調子者の方が徐 盛(じょせい)で落ち着いたクールな性格の朱 然(しゅぜん)。

 

 

彼らは互いにここに武官として仕官したらしく俺と訓練の際、意気投合し仲が良くなったのであった。

 

そうして俺はこの二人とちょくちょく酒を飲みに行くのだが、今回は卒業検定を見事通過したお祝いのため、二人と酒を飲んでいたのだった。

 

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「いや、俺は気にしてないから」

 

「ほらぁ、北郷もこう言ってるんだしいいだろ?」

 

「まったく・・・・。しかし北郷。お前配属が何処になるのか興味ないのか?今訓練生の中ではこの話でもちきりだぜ?」

 

「そうなのか?」

 

俺がそう言うと朱然は半ば驚愕、半ば呆れといった感じの顔をして、

 

「お前・・・。たまにこうゆうのに疎いよな」

 

「悪い」

 

「いやいいって。でも俺が見るからにはお前は黄蓋様や周瑜様、甘寧様あたりが妥当だと思うんだけどなぁ」

 

「そうかな?」

 

「絶対そうだって。お前、成績が主席なんだぞ?」

 

「だよなぁ」

 

 

実は鍛錬の結果、俺は学科試験、実技試験を主席の成績でパスしたのだ。

 

この飲み会は俺の主席を取った祝も兼ねていたりもする。

 

そうして二人で話していると今まで黙ってい酒を飲んでいた徐盛が急に会話に割り込んできた。

 

「おれもさぁ、甘寧将軍のところに配属されてぇよなぁ」

 

 

「「なんで?」」

 

 

ふたりでそう尋ねると彼は待ってましたと言わんばかりに得意顔で雄弁に語りだした。

 

 

「だってよ、甘寧将軍のあの冷たい眼差しで罵倒されてみたいとお前ら思わね?

 

絶対ヤバイんだけど」

 

そう云って、グシシシと変な笑いをする徐盛に俺たち二人は、

「いや、つか無理だろ。お前成績ギリギリだったじゃん。」

 

「変態ここに極めり・・・だな」

 

と冷ややかなツッコミを入れられた徐盛は心底傷ついたのか涙目にして、

 

「うぅ。お前ら非道すぎ。男の憧れって奴が分からないなんてなぁ」

 

「分かりたくもないよ?!」

 

と思わず俺もツッコミを入れてしまう。

 

実際問題、甘寧のあの眼差しはハンパじゃない。

 

これは俺が経験した事実だった。

 

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「まぁ、このアホはほっといてさ、飲もうぜ北郷」

 

「おい、お前アホってなんだよ。アホって」

 

「えっ?!お前知らなかったの?」

 

「貴方酷すぎません?!」

 

二人のちょっとした漫才を聞きつつ俺は朱然に云われたことが頭に浮かんだ。

 

確かに全く配属のことを考えていなかったというと嘘になる。

 

俺は孫権を守るためにはそれなりに有能な部隊に配属されなければというのは前々から考えていた。

 

側近である周公謹や三代に仕える黄公覆、そして呉で一番の実力をもつ甘興覇。

 

これらの部隊に入れるように俺はひたすら訓練に明け暮れたのだから・・・。

 

 

「配属か・・・・」

 

思わず考えていたことが口から漏れるに二人気づいたのか漫才を休止して、

 

「ん?どうした北郷」

 

「お?お前もやっと男の憧れってやつに気がついたのか?」

 

声を掛けてくる二人はそれぞれ台詞が異なってはいるが、急に黙ってしまったこと俺を心配しているようだった。

 

「いや、ちょっとな・・・・・」

 

「お前が前に言ってた死んだ思い人のことか?」

 

「・・・どうして分かった?」

 

二人とも息を合わせたかのように同時にため息をつき、

 

「お前がそのテの話になると顔によく出るんだよ」

 

「うん。確かに顔に出るな。それ以外の話題なら顔に出さないのにな」

 

「そんなに?」

 

「「ああ」」

 

二人声を合わせて肯定する。なるほど幼馴染は伊達じゃないというわけか。

 

俺は内心苦笑しつつ、この友人たちに隠すことを諦め本心を話すことにした。

 

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「そうだよ。彼女がこのことを知ったらどういう顔をするのかなってさ」

 

この二人には雪蓮の名前は伏せているが恋人としての関係を話していた。(この前飲みに行ったとき自白させられた)

 

当然二人は彼女がなんで死んだかは誤魔化してはいるが死んでしまったというのも知っている。

 

 

「う〜ん。女からしてみれば嫌なんじゃないか?」

 

「だよなぁ。俺も朱然に一票だ。いつ死ぬか分からないんだぜ?いくら彼女があの世に行ってても来て欲しくない。長く生きていて欲しいって思うのが普通だよなぁ」

つっても女の性格次第だけどなと付け加える。

 

彼らの云う通りだ。こんなこと考える自分がどうかしている。しかしこうやって酒を飲むとどうしても、

 

(今自分がやっていることは間違いなのでは?)

 

という思いが頭によぎるのだった。

 

これは俺が決めたことだからそれでいいかもしれないが・・・・。雪蓮は俺を軍人として働かせることに難色を示していたことに起因していた。

 

《一刀は武官には向いていないわ。優しすぎるから・・・・。そうゆうことは私たちがすることよ。あなたにはあなたにしか出来ないことがあるはず。それを見つけて孫呉のために全力を尽くせばそれでいいわ》

 

と云っていたが・・・・。

 

「・・・・悪い。愚問だった。今のはナシ。忘れてくれ」

 

 

「大丈夫か?北郷お前結構酔ってるんじゃないのか?」

 

 

「そ〜そ。若いからって飛ばしすぎだぞ北郷」

 

 

「いや、大丈夫だ。心配かけて悪いな。

 

・・・ただいつも酒が入るとさ、抑えきれなくなるんだよ。

 

彼女がさ、お酒好きだったから・・・。ついつい思い出にふけってしまうっていうかさ・・・・。でも思い出した所でどうなるわけでもないから・・・・って本当悪い自分でも何言ってっかさっぱりなんだけど」

 

 

「いや、お前の気持ちはよくわかる。お前はよくやってるよ。俺がお前なら今でも悲しみに暮れていると思うからな。・・・・正直、彼女のことを考えるのは仕方がないことだ。なんせ忘れたくても忘れられない大切なものが頭のなかに詰まってるからな。

 

だからさ、そういう時は無理に自分を押さえつけようとせずに思い出してもいいんじゃねぇか?

 

そうじゃなきゃ彼女が可哀想だろ?自分の存在は彼氏の足枷にしかなっていなかったのかってさ。

きっとあの世で悲しんでると思うぜ。

 

しかし、だからといって何時までも悲劇の役者を気取っているわけにはいかない。

 

そうだろ北郷?」

 

 

「ああ」

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「つまりだ。俺の言いたいことは、大切な思い出までも封印することはないって云ってんだ。

 

お前の云う通り後ろを振り返ってもナンにもまらねぇ。人間てぇのはただひたすら前を向いて生きる生き物だからな。

 

でもな、今のお前を支えているのはその大切な思い出なんだよ。それさえも押さえ込むのというのは彼女の生き様そのものを否定しちまうことになる。

 

俺の言ってる意味分かるか?」

 

 

《貴方に私の生き様そして死に様を見て欲しいの・・・》

 

雪蓮が死ぬ間際に云った言葉が頭によぎる。

 

(そうか・・・。そうゆう意味だったのか雪蓮。ごめんな。今まで気付かなくて)

 

「・・・・・ああ」

 

 

ならいいけどよと徐盛は云って空になった俺の杯に酒を入れながら、

 

「なら話は早い。じゃあ酒でも飲みながら思い出話といこうぜ北郷」

 

と云ってまた飲み始める友人に俺たち二人は呆気に取られ、

 

「お前ってさ、たまに凄いことを平気で云うのな」

 

と幼馴染でもある朱然が云う。

 

「へっ?そう?」

 

「ああ。北郷もそう思うだろ?」

 

「ああ。お前に惚れそうになった」

 

「マジ?!俺そっちのケはねぇよ〜」

 

そう云って青ざめる徐盛に二人は笑い、

 

「悪い悪い。冗談だって。でも・・・・、ありがとな。少し楽になった」

 

「お、おう。お前こそ辛いと思うけどよ・・・・。けど絶対曲げんなよ!お前の生き様をさ」

 

頬を少し赤くして(照れているのだろう)そう言ってくれる友人に言葉には出さないものの感謝している。

 

この二人にはどれだけ救われたことだろうか?

 

感謝してもしきれないくらいだ。

 

「ああ。わかってる」

 

「よし!じゃあさ、徐盛が云ったように思い出を回帰しながら飲もうぜ。なぁ北郷。お前その彼女とはどういった出会い方をしたんだ?

 

俺たちに話してくれよ」

 

「おっ!いいこと云ってくれるじゃねぇか朱然。さあ北郷吐いちまえよ」

 

 

「わかった。話すよ。そうだな・・・・。彼女と始めて会ったのは・・・・・・」

 

 

そういってこのかけがえのない友人に本当のことを話すを決意したのだった。

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どうも。コックです。

 

今回もご朗読ありがとうございます。

 

さて、今回なぜかオリキャラが出てしまいました。

 

すみません。出さない予定だったのに・・・・・。

 

ではここでキャラ紹介とさせていただきます。

 

名前:徐盛 字は文嚮・・・お調子もので基本アホキャラ。

             

しかしやるときはやるタイプ。(クラ〇ドの春原みたいなキャラだと思っておいて下さい)

             

面倒見が良く以外にも相談役を担っている

             

朱然とは幼馴染で仲が良い。子供の頃、過去に親を賊に虐殺された過去がある。

             

三国志では呉に仕え、山越(移民族の名前。現在のベトナムの地域)を征伐し、以後兵を監督と選抜をする職務に就くことに。

             

また三国志演義では周瑜の側近として活躍。赤壁の戦いでは周瑜と共に曹操の追撃し、魏に大打撃を与えた英傑である。     

 

 

名前:朱然 字は義封・・・アホな徐盛を抑える苦労人。落ち着いた性格で成績も北郷に劣るが優秀。

             

しかし勉学の面では訓練生で一、二を争うほど優秀であり本人は武官希望だが、周瑜がこの成績を見て朱然に一目置いている。

             

三国志では山越を平定後、呂蒙の側近として働くことに。

             

孫権とは学友で勉学で机を並べて共に励んだとされており孫権は朱然を厚遇した。

 

 

といったところです。

 

 

まだ真名は決まっていません。決めるかどうかも未定です。

 

真名に関して意見がある人は待っていますのでどんどん書き込んでいってください。

 

ちなみにこの三人。一応ですが幹部候補生です。

 

彼らが訓練に通っているのは現代のエリート養成所だと思っておいて下さい。(ガン〇ムの赤服みたいなかんじ・・・)

 

では北郷は何処に配属されるのでしょうか?そして二人はいったいどうなるのか?

 

お楽しみに!!

 

では再見!!

説明
今回は北郷視点です。

誤字脱字等指摘よろしくお願いします。

誤字を修正しました。

ご指摘有難うございます。
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コメント
すみません。少し忙しいため時間が掛かっています。もう少しで出来上がりますので、暫くのお待ちを(-_-;)(コック)
はやくつづきでないかなぁ(まあくん34)
コメント有難うございます。その考えは中々面白そうですね!!考えてみます!(コック)
始めまして。徐盛と朱然の字が同じに見えるのは気のせいですか?北郷隊を作って二人のオリキャラを副官に大活躍というのはどうでしょう?いずれにせよ続きが楽しみです。頑張ってください。(陸奥守)
コメントありがとうございます。この二人は物語でも絡ませていきたいので応援お願いします。(コック)
オリキャラ良い人達だなぁ。……でも恋姫とはくっつかず居て欲しいです。(readman )
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真・恋姫無双 北郷一刀 恋姫 冥琳 蓮華 

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