有・罪・判・決 番外 秋
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章彦 弁護士

榊  弁護士

朝子 章彦のクライアント

勝輝 朝子の恋人

場所 ニューヨーク

 

 章彦は近くまで来たので、榊と共に朝子の事務所を訪ねた。しばらく話していると、勝輝が事務所に入って来て、章彦を見て、逃げようとした。

 勝輝は、車椅子に乗っていたのだ。

 章彦に挨拶に来たとき、とても無理をしていたらしい。

「あんたに、かっこ悪いトコ、見られたくなかったんだよっ……」

 ギャーッ、と子供のように勝輝は両手をばたばたさせて喚いた。初めて動物園に来た幼稚園児のようにはしゃいでいる。

 次に会ったとき、勝輝が街中で朝子に車椅子を押されていた。章彦が挨拶をすると、勝輝が笑いながら、章彦の髪についていた枯れ葉を払い落とす。

「注目を浴びると思っていたら、ゴミが付いていたのか……誰かが早く教えてくれればいいのに……」

「榊さんがいないとこれだから、あんた。彼どうしたの?」

「カルフォルニアに行っている。あちらで弁護の相談に乗らされている」

 アメリカは州ごとに弁護士資格が必要なので、ニューヨークの弁護士資格を持っているからと行って、全国で活動はできない。資格を持っていない州では、あくまでも相談に乗るしかできないのだ。

「あら、今度カリフォルニアにも支店を出すのよ。あちらの弁護士資格も持って下さると嬉しいわっ」

 朝子がにこやかに告げる。

 朝子の会社と章彦の顧問関係は続き、いつのまにか家族ぐるみで付き合うようになっていた。

 

説明
商業誌番外。
元検事今弁護士の章彦と、出所して元恋人の朝子に擁護されている勝輝との、つかのまの平和。
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