鋼の錬金術師×テイルズオブザワールド 第四十七話
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〜バンエルティア号〜

 

船に戻り、ホークアイ中尉を船へと入れた時、クレスは驚いた表情をした。

 

その表情の後、リザは静かに頭を下げた。

 

『初めまして。私、東方司令部でマスタング大佐の側近をしている、リザ・ホークアイと申します。階位は中尉です』

 

そう自己紹介を終えた瞬間、更に気まずそうな空気が船に流れた

 

『エドワード君……この人は……誰でしょうか?』

 

クレスがそう質問をすると、エドは振り返り、親指で指しながらそのまま自己紹介した

 

『誰も何も……さっき自己紹介した通りさ。俺達の世界の住民で、階位は中尉をやっている。』

 

そして、顔を苦々しくさせて新たに言葉を付け加える

 

『そしてあの忌々しい大佐の側近』

 

そう言った瞬間、クレスは少しだけ納得した顔になった。

 

『なるほど……つまり彼女も、錬金術師なんだね?』

 

『いえ、中尉は錬金術は使えないんです』

 

アルがそう言った瞬間、アーチェが首を傾げた。

 

『え?あんた達の世界って、とこしも誰もが錬金術をバッサバッサ使えるんじゃないの?』

 

その独特な表現方法に、クレスは呆れた表情になる

 

そしてその質問に、エドが冷たく答えた

 

『そんな事できるか。大体、錬金術の基礎さえ辿りつくのに大変だってのに、使える奴らは、世界的に見てもほんの一握り……』

 

エドがそう言った後、リタが耳を塞いで一方的にエドに言葉をぶつけた

 

『あーあー。戯言がうるさーい。うるさーい』

 

その態度に、エドはイラつきリタを怒りの目で睨みつけた。

 

だが、割り込んで喧嘩を止める様にティトレイが入ってきた。

 

『じゃぁこの人は何が出来るんだ?錬金術じゃなくても、何か技術を持ってないと、このギルドには入れられないぞ?』

 

そんな厳しい言葉を言った瞬間、エドは何も慌てる様に動かなかった。

 

『んー。じゃぁこうしよう。おい魔法使い女、箒の上にイチゴを置いてみろ』

 

エドがそう言った瞬間、アーチェは”魔法使い女”と言われた事に不満を持ちながら、箒の柄の上に苺を置いた

 

『置いたよ。で、これがなんだって言うの?』

 

その瞬間、リザはエドのその言葉を瞬時に理解していて、アーチェが苺を置いた瞬間、銃を腰から引き抜いた。

 

それからわずか1秒後に、苺は爆発するように散って行った。

 

その光景を見たアーチェは、その場で固まってしまった。

 

クレスも、固まってしまった。

 

リタも、固まってしまっていた。

 

ティトレイが、リザの腕に驚き、尊敬の眼差しで見ていた。

 

アーチェは、涙目になりながら震えだした。

 

クレスも、恐怖するように震えだした。

 

リタも、先ほど見せられた光景に恐怖して、小刻みに震えていた。

 

ティトレイは、完全にリザを自分の尊敬の棚に置いており、

 

『すげぇ!姉さんと呼ばせてくれ!!』

 

と言っていた。

 

『被害は苺と壁の一部だけ、壁の向こう側まで貫通しないように威力の弱い拳銃を特別に使っている。判断力、瞬発力、的中率は申し分ないはずだ』

 

エドがそう言った後、クレスは震えを止めて真剣に考え出した。

 

確かに、リザの身体能力に関しても、申し分は無い

 

『………まぁ、確かにエドワード君の言う通り、文句は無いかもしれないね。』

 

『じょっ冗談じゃ無いわよ!!私、今心臓止まりかけたのよ!!そんな奴入れるなんて……私は認めないわよ!!』

 

アーチェが、半泣きで反論を繰り出していく中、ティトレイが怒るように反発を入れた

 

『なんだと!!姉さんのどこが悪いってんだ!!どこからどう見ても、文句一つ無いだろうが!!』

 

『だから、私今殺されかけたんだって!!今の目見た!?完全に狩る鷹の目だったじゃない!!』

 

アーチェは、リザの獲物を狙う目を見て恐怖を感じていたらしい。

 

いや、他にいきなりの発砲で驚いたのかもしれないが。

 

『何も、アンタらを殺そうとして連れて来たわけじゃないだろう。それくらいは大目に見てやれよ』

 

エドが少しだけ偉そうにアーチェにそう言った。

 

アーチェのイラつきは、さらに増えつつあった。

 

『……大体、クレスなんかに言っても、隊員登録手続きなんて出来ないと思うけど?』

 

『ああ。その点なら大丈夫だよ。アンジュさんから全面的に任されているからね。』

 

クレスがそう言った後、アーチェは嫌な顔でクレスを睨みつけた。

 

それを無視するように、クレスは話を続けた

 

『それじゃぁ、リザさんもそれで良いね?』

 

『はい。ありがとうございます。』

 

礼儀正しくリザが礼をすると、クレスの顔は笑顔になった。

 

『それじゃぁようこそ。アドリビドムへ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜廊下〜

 

部屋割りを決める為に、ミントはリザを連れて廊下を歩いていった。

 

『ええと……リザさんはマスタングさんと同じ部屋を希望するのですよね?』

 

総質問すると、リザは淡々とあっさりと答えた

 

『ええ。是非その部屋割りでお願い致します』

 

その堅苦しい言葉に、ミントは少しだけ苦笑いした。

 

さすがに、気まずい空気が流れた為にミントはその事について言葉を出した。

 

『……もう少しだけ、柔らかく軽い雰囲気で返事を頂ければ、このギルドに馴染めると思いますよ。』

 

『そのような事は出来ません。常に私がしっかりしていなければ、上司は更に役に立たなくなってしまいます。ですので、そのような事は気にせずお願い致します。』

 

そう返事されたとき、さらに返答し辛くなった。

 

そのまま歩いていると、ロイドとコレットが二人並んで廊下を歩いているのが見えた。

 

それに気付いたロイドは、リザの方に目を向ける

 

『ん?ミント、この人誰だ?』

 

そう聞いた時、ミントはすかさず答えようとした。

 

『ええと、この人はエドワード君の……』

 

『私は、新しくこのギルドに入隊させて頂いた、リザ・ホークアイと申します。以後、お見知りおきを』

 

その固く、妙に迫力のある返事に、コレットは少しだけ怯えてしまった。

 

ロイドも、そのような返事をされて驚いているようだった。

 

『ほ……ほらリザさん。そのような返事では、皆怯えてしまいますよ。』

 

ミントにそう言われた時、リザは黙り込んだ。

 

そして、しばし考え出した。

 

『………そうね。ここは軍じゃないのだから……このような会話は変なのかも知れないわね。』

 

そう言った時、今度は少しだけ微笑みかけて改めて自己紹介をした。

 

『改めて自己紹介するわね。私の名前はリザ・ホークアイ。リザで良いわ。今後ともよろしくお願い致しますわね』

 

そう自己紹介されたとき、ロイドは少しだけ呆然としていた。

 

コレットに指で突かれたとき、初めて正気に戻り、リザの目を見た。

 

『おっ…俺、俺の名前はロイド・アーウィング。ロイドって言うんだ。そして隣が、コレット・ブルーネル。コレットっていうんだ。よろしくな。』

 

少しだけギコチない返事を返しながらも、ロイドは言い切った。

 

それを見たリザは、微笑みながら頭を少しだけ下げた

 

『これからもよろしくお願い致します。』

 

ミントは、話を戻すようにリザを部屋を紹介した

 

『そう。その方が良いですよ。それじゃぁ、マスタングさんの部屋は………』

 

ミントがそう言ってリザを連れて行くと、曲がり角へと曲がってついに見えなくなった。

 

『新しい人……なんだ。また賑やかになると良いなぁ…。』

 

コレットがそう言った後、ロイドも少しだけ笑顔になりながら答えた

 

『ああ、そうだな。それにしても……あんな綺麗な人がギルドに入ってくるなんてな。』

 

その言葉に、コレットは聞き逃さなかった

 

『エドワードの……って言ってたよな。という事は、エドの知り合いか何かなのか。ちょっと聞いてみようかな』

 

『ロイド……どうしてリザさんにそこまで執着してるの?』

 

コレットがそう言うと、ロイドは慌てるように何かを隠すように反論した

 

『べ……別に執着はしてねぇよ!ただ……綺麗だし、格好良いし、ちょっと気になるだけで………』

 

そう言った瞬間、コレットは泣きそうな顔になった

 

『ひ……酷いよ……ロイド……』

 

『どっどうして泣くんだよ!!』

 

そのコレットの様子に、ロイドはさらに慌てた顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜マスタングの部屋〜

 

マスタングの部屋には、マスタングの他にもう一人の女性が居た。

 

その事については、何も気にしなかったが、

 

リザが部屋に入ってきた瞬間、マスタングは呆然とした顔になっていた。

 

『? この女は誰かしら』

 

セルシウスが疑問の声でミントにそう問いかけると、ミントはすぐさまと答えた

 

『今日からこの部屋と相部屋になる、リザさんです。仲良くなさってくださいね。』

 

ミントがそう言った瞬間、セルシウスの目つきが鋭くなった。

 

睨みつけるように、ミントの方に目を向けていた。

 

リザは、着々と凛とした足取りでマスタングの元へと歩み寄った。

 

そして目の前に立った後、大佐の前で敬礼をした

 

『お久しぶりです。大佐。』

 

そう堅苦しい敬礼をした後、ロイは安堵した表情になり、腕組みながら深々と座り込んだ

 

『……君は相変わらず律儀な行動を常とするな。中尉』

 

口元が緩んで笑顔になった時、上官の命令かのように偉そうな態度だったが、

 

部下にとっては素晴らしい栄誉のある言葉が送られた。

 

『ご苦労だった。また君にはお世話になるだろう。これからもよろしく頼む』

 

そう言った瞬間、リザの様子も少しだけ柔らかくなった。

 

上官と部下の関係が再び結ばれ、喜ばしい瞬間なのだろう。

 

だが、セルシウスはそれを余り愉快に思わなかったようだった。

 

不愉快に感じたセルシウスは、その場で立ち上がり扉まで歩いた。

 

そして、扉まで辿りついたら後ろへ振り向く

 

『稽古の時間だ。甲板まで来い』

 

少しだけイラつきが混じったその声に、マスタングは少しだけ驚いた表情になる。

 

『………一応、私が師のはずなのだがね』

 

『うるさい。時間は待たぬぞ。早く来い』

 

セルシウスがイラついた声でまたそう言うと、マスタングは冗談のような笑みで返答した。

 

『久しい人に出会ったんだ。少しは感傷に浸っていたいのだがねぇ。』

 

『つべこべ言うな!!早く甲板に来い!!今すぐにだ!!!』

 

そう言って、セルシウスは扉を乱暴に開けて、乱暴に閉めた。

 

その光景を見たリザは、少しだけ呆然としていた。

 

『……大佐、あの子は一体何者なんですか?』

 

『私の可愛い弟子だ。人間ではなく、精霊なのだがね』

 

精霊という言葉を聴いて、一瞬だけリザは混乱したが、

 

すぐに混乱した糸は振りほどかれた。違う世界では精霊の存在を認めることにした。

 

『しかし、とても精霊のようには見えませんね。まるで人間の子供のようです。』

 

リザがそう言うと、ロイは愉快そうに笑った。

 

『精霊が人間の子供か。それは面白い』

 

そう言って、ロイは立ち上がって扉へと向かった。

 

一応、師としても自覚はあるようで、弟子についての事も考えているようだ。

 

扉の前に立つと、振り返らずにそのまま声を出した

 

『………すまなかったな。』

 

ロイがそう言った後、リザは理解が出来なかった。

 

『私の元へと付いてきたばかり……このような世界にたどり着いてしまった。迷惑を掛けた。すまない』

 

そう言い終えた後、リザは頭を横に振った。

 

『ええ。確かに迷惑な上官です。ですから、きちんと責任を取ってください』

 

そう言って、リザはベットへと腰掛けた

 

『世界の脱出方法、またはこの世界の救出。この二つが終わり次第、私は大佐を許します』

 

言い終えた後、再び大佐は笑顔になった。

 

『……本当に、私は良い部下を持ったよ』

 

そう言って、大佐は後ろへと振り向いた

 

『忙しくなるぞ、付いて来い。世界を救うんだ、死ぬ覚悟を持つな。生き残る覚悟を持て。仲間を守る覚悟を持て。』

 

ドアノブに手をかけると、最後の一言を言って去って行った

 

『それが、このギルドに入った者に課せられる義務だそうだ。』

 

部屋に一人となったリザは、そのまま銃の手入れをした。

 

これからこの先、人を守る為に銃を使うのだ。

 

生半可な覚悟は要らない。そう心に決めながら銃に油を刺した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜エドとカノンノの部屋〜

 

『へぇ。その人エドの世界で、中尉に当たる人なんだ』

 

カノンノが、感心するような表情でエドを見つめる。

 

『それで、どのような人なの?』

 

『ああ。銃の腕前は確かだったなぁ……そして、大佐の側近をしていたのは……聞いたっけか?』

 

エドがそう言った後、カノンノは少しだけ笑顔になった。

 

こうして話しているのが、本当に楽しんでいるかのようだった。

 

『そのリザって言う人と、マスタングさんは恋人同士なのかな?』

 

『もしそうだったら面白えな。』

 

エドが冗談交じりでカノンノに返答した。

 

カノンノは更に笑顔になり、小さな笑い声を口から出す。

 

『ところで、こっちも聞きたい事……いや、思ってることが聞きたいんだが』

 

エドがそう言った時、カノンノの表情は止まった。

 

一瞬、あるロマンチックな言葉を思い浮かべたが、

 

その一瞬後にそれはあり得ない事を思い出した。

 

そのせいで、少しだけガクリと肩を落とした。

 

『ん?おいどうしたんだ?』

 

エドに気にされてからは、まさか表に表れているとは思わず、慌ててしまい、顔を赤くさせた。

 

『あ……ううん。なんでもないよ。……それで、何?』

 

カノンノがそう答えると、エドは話を戻すように、表情も戻して言葉を出した

 

『カノンノ、イアハート、そして……パスカ。三人のカノンノがこの一つの世界に現れた。』

 

それは、カノンノが想像していたのと同じ内容だった。

 

肩がガクリと来る想像だ。

 

『その事に関して、何か感じた事とか、思ったこととか無いか?どうしてここに来た。とかの理由とか』

 

エドがそうツラツラと喋って行く言葉を受け、カノンノは少しだけ考え始める。

 

『……ええとね。やっぱり……私と同じなのかな。とかは思っちゃうかな。』

 

そして、明らかに三人に共感する物があったが、

 

それはエドには言えない為、隠すことにした。

 

『それに……髪型も、顔も似ている所があるし、少しだけ奇妙な気持ちに……なっちゃうかな。』

 

胸の内をエドに告げると、エドはその場で考え出した。

 

しばらく考えているうちに、眉間のしわが寄り始め、

 

ついに頭を掻き毟りながらベットに横たわった

 

『あ〜〜〜!全然分かんねぇぇぇええええええ!』

 

イライラした様子のエドに、混乱を少しでも解消させる答えが見つからなかった事に申し訳なく思った。

 

少しだけ俯いた表情になったが、エドはそれに気づかず、再び考え出した。

 

『……パスカの世界で、世界がすでに崩壊寸前だった。イアハートは、ハロルドの発明品で連れてこられ、パスカの世界を光の精霊レムが見ていた。……と、なっても繋がらねぇよ……』

 

そう頭を抱え込んでいる時に、アルが扉を開けて部屋に戻ってきた

 

アルを見たエドは、ベットから起き上がりアルの方を見た。

 

別に慌てている様子ではないが、少しだけ不安がある表情だった

 

『どうした?アル』

 

エドが質問すると、アルは兄に質問するように言った

 

『兄さん……イアハートさん見なかった?』

 

アルの質問を聞かれ、エドは頭を抱え込む。

 

そう言えば、今この部屋にイアハートが居ない。

 

どこに行ったのだろうとか、考えても無かった。

 

『見てないんだ……。分かった。どこ行ったんだろう……』

 

アルが、少しだけ不安な表情になっている。

 

『どうしたんだよアル。イアハートに何か用なのか?』

 

エドがそう聞くと、アルは一枚の紙を取り出した

 

『アンジュさんに頼まれたんだ。この紙をイアハートに渡しといてって。』

 

『紙?』

 

その紙は、ある村の謝礼金だった。

 

宅配物の報酬金と書いてあった。ガルドが届くのが遅れるとい言葉を添えられていた。

 

『どうしよう………船のどこにも居ないし……。まだ外に居るのかな?』

 

『そうだったら、探す必要無えだろ。』

 

そう言って、エドはアルから紙を横取りする。

 

『あっ……』

 

『受付に居るクレスに渡しとく。それでこの件は解決って事にしようぜ』

 

そう言って、エドは扉まで進み、クレスに渡してくると手を振った

 

『もう、兄さんはいつも勝手だなぁ……』

 

アルがそう言うと、カノンノはまた微笑んだ。

 

『でも、エドらしい』

 

その笑顔は、心からエドを信頼し、安心した顔になっていた。

 

エドが戻ってくる前に、カノンノは部屋の電気を消して、ベットへと向かった。

 

『おやすみ、アル』

 

『うん。おやすみカノンノ』

 

そう言って、就寝の挨拶をしてそれぞれの定位置で横になった

 

エドが部屋に戻ってきたのは、それから2時間経った後だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

討伐に時間が掛かったイアハートは、疲れた溜息を吐いて家路についた

 

今回の依頼は、宅配物を3つ隣の街まで届ける事を課せられていたので、一人で十分だろうと考えていた。

 

だが、一人だと魔物を倒すのに大変だと言う事に気付いた。

 

特に1対10というのは、最早無謀だろうと考えるようになった。

 

『ふぅ〜。疲れた………』

 

トボトボと、フラフラになりながらカノンノは歩き続けていた。

 

もうすぐで、船に辿り付けると考えながら歩き続けていた。

 

『そういえば……パスカ……。パスカのカノンノは大丈夫かな……』

 

イアハートは、パスカの存在を知っていた。

 

その為に、今更になって彼女の事が気になり始めていた。

 

『………これから先、どうなるのかな……』

 

だが、今はそれどころではない。早く帰りたい。

 

帰って……まずはどうするのだろう。

 

『そうだ、エド……』

 

イアハートは、顔を上げた。

 

思い出したのだ。エドは、前にイアハートの世界に現れた、ディセンダーにそっくりだった。

 

金髪、金色の目、性格は……若干違うが、真っ直ぐな性格は、彼そっくりだった。

 

『エドと……今日は何を聞こうかな。』

 

だが、それも関係の無い事だ。

 

エドとディセンダーとも関係が無いだろうし。あのディセンダーとは別人だ。

 

別の世界から来た異世界人という珍しい存在だ。

 

心の中で、それとは違う感情があるような気がしてたまらないが、

 

首を横に振って否定した。

 

『さてと……もうすぐで船の地点に辿りつくかな。よし!明日も頑張ろう!!』

 

そう言って、イアハートは駆けるように足で地面を蹴った。

 

同時に、背中に何か刺さったのが分かった

 

『っ!』

 

刺されたと同時に、視界がぼやけていくのが分かる。

 

恐らく、麻酔銃か睡眠薬。もしくは両方塗ってあるかもしれない。

 

だが、イアハートはそこまでの事は考えなかった。

 

『か……か…ら………』

 

身体が動かない。

 

そのまま、地面に吸い込まれるように倒れこんだイアハートの近くに、複数の黒い男性が囲まれた。

 

視界がぼやけていた為、それが何なのかはっきり理解する事が出来なかった。

 

だが、今自分は恐ろしい目に会おうとしているのは分かった。

 

『エ………ド………………』

 

二文字呟いた瞬間、意識が吹っ飛んでしまった。

 

それを確認したイアハートを囲んだ黒い男達はカノンノを大きな袋に入れた。

 

男達の背中には、ある紋章が描かれていた。

 

”暁の従者”

 

カノンノを入れた大きな袋を担いだ男が立ち上がると、再び黒い男達は歩き出した。

 

向かった先は、船とは逆方向だった。

 

『ディセンダー様を捕まえた。繰り返す、ディセンダー様を捕まえた』

説明
ICOとワンダと巨像のHDリマスター版買いました。かなり面白いです。雰囲気と物語と音楽ではICOが好みで、ゲームではワンダと巨像が好みです。
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