真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第3話
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この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。

 

そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。

 

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『天の御使いの覚悟』

 

 

 

 賊討伐の出発を明日に控えた晩のこと。

 

 張勲が俺の部屋を訪ねてきた。

 

「霧里さん♪明日のことでお話があるんですけど、入ってもいいですか?」

 

「入ってからいうなよ。それで何の用だ?」

 

「ちょっと気になることがありまして〜」

 人差し指をくるくると回しながら、言葉を紡いでいく。

「霧里さんがいた所は、戦争が無い平和な場所だったんですよね?」

 

「あぁ、大規模な戦争とかは無かったな。殺人事件とか強盗とかはあったけどな。」

 

「つまり霧里さん自身は人を殺したことが無いってことですよね〜」

 

「っ!?……その通りだ、俺の住んでいた所はそういう人間は犯罪者として扱われていた」

今まで目をそらしていた現実をこうも簡単に突き付ける、やはり張勲は侮れない。

 

「やっぱりそうでしたかぁ〜。まぁ、そんなことはどうでもいいんです。私の真名を預けたときに言いましたけど、霧里さんの覚悟がどういうものか明日の討伐で見せてもらいますから♪」

 

「なぁ、俺の覚悟ってのがお前にとって都合の悪いものだったらどうすんだ?」

 

「例えば?」

 

「美羽を殺す」

 

 その一言が部屋の空気を変える。

 

「………死にたいんですか?」

 瞬間、殺気が部屋を包む

 

「っ!?」

 

「ふぅ、もういいです。今日はゆっくり休んでくださいね」

 

 張勲が部屋を出て行くのを黙って見送ることしかできなかった。親に鍛えてもらっていたしそれなりの殺気にも耐えられるようになっていたから、と油断していたのかもしれない。常在之戦場の心構えの人間が放つ殺気に耐えられなかった。張勲でさえあれなのだ。八恵やそれ以上の一線級の武将が放つ殺気をぶつけられたら、と考えると背筋が寒くなった。

 

『覚悟が人を動かす』

 じいちゃんによく言われたっけ。

『人は覚悟無くして人を殺めることなどできはせん。心に決めたものがなければそれはただの人殺しであり、飢えた獣と変わらん。お前はどんな覚悟を持つのか楽しみじゃの』

 

(覚悟か…。俺は何のために人を殺すんだろうな?)

 寝台の側に立てかけてあるレイヴを見つめながら、じいちゃんの言葉を反芻する。

 

 色々考えてみるが答えは出ない。そもそも答えなんて無いのかもしれない。人が人を殺す理由なんて、それこそ人それぞれだ。なら俺は俺の理由を見つけなきゃいけない。その夜は全然眠れなかった。

 

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七乃視点

 

「おはようございま〜す。みなさん」

 

 袁の牙門旗の前で整列している兵士たちに向かい、私はこれからの予定について説明します。大規模な賊の拠点は3か所あり、孫家が北の約四百を、袁家が南の約二百と南東の約三百を討伐する予定です。

 

 私が向かったのは南にいる二百の方で南東は八恵ちゃんに任せてみました。八恵ちゃんも一人で指揮をとれるんだからもっと働いてもらいたいですよぉ。

 

 ちなみに霧里さんは前線に送っちゃいました。(てへっ☆)

 斥候の報告では賊の数は二百五十程度で、見張りが邑の正面に二人、物見櫓の上に二人の配置だそうなので一応作戦でも考えておきましょうか。

 

 

「それじゃあ皆さん、賊だからって油断せずに行きましょうねぇ〜。まずは先陣突撃で〜す」

 

 連れてきた二百の兵のうち百を伏兵として邑の裏手の森に配置、突撃部隊として八十人を正面から突撃、賊が出てきたところで突撃部隊を少しづつ後退させて、潜ませていた伏兵と連携して挟撃しちゃいましょう。

 

「さてまずは第一段階成功ですね」

 言ってる間に賊が出てきましたね。霧里さんも、初陣にしてはがんばってるようですし。というか賊の方も頭を使わないと死んじゃうって気づかないんですかねぇ。

 

「さぁ、銅鑼を鳴らしてくださ〜い。挟撃して殲滅しますよ〜」

 なんていうか呆気ないですねぇ、まぁ楽に終わらせられるならそれに越したことはありませんけど。早く帰ってお嬢様に褒めていただきたいですし。

 

 賊の殲滅はそれからほどなくして終わりました。

 

「それじゃあ死体の後片付けをしたら帰りますよ〜」

 指示を出していると霧里さんがこちらに走ってきました。どうしたんでしょうか?

 

「張勲、ちょっと待って」

 

「どうしました?」

 

「この時代って土葬が基本なんだよな?」

 

「そうですよ」

 何を当たり前のことを、と思っているととんでもない発言が飛び出しました。

 

「あのさ、ちょっと言いづらいんだけど死体を焼くべきだと思う」

 

「それはなぜでしょう?」

 この時代は儒教の影響が強く、火葬は遺体に対する冒涜であると捉えられています。よほどの理由が無い限り同意できませんね。

 

「死体を残しておくと虫が湧く、その虫が死体の肉を食べる、その虫が街や邑に行って病をまき散らす恐れがあるんだ」

 

「そんなことがありえるんですか!?」

 流行り病が起きるのは、死んでいった者の怨霊や怨念が原因だと考えられていました。まさか、虫が病を運んでくるなんて誰が考えるでしょう。

 

「絶対とは言えないが、可能性は限りなく高い」

 険しい顔で私に告げる霧里さん。嘘を言ってるようには見えませんね。わかりました、すぐに指示を出しましょう。

 

「誰かいますか!」

 

「はっ」

 

「話は聞いてましたね?すぐに穴を掘って賊の死体を焼きますよ」

 

 そして兵士全員で死体の処理を終えた私たちはお嬢様のもとへ帰ります。さて霧里さんはどんな覚悟を見せてくれるんでしょうか。前線にいた兵士さんの報告ではそれほど動揺は感じられなかったってことですけど、あの人は本心を隠すのが上手いですからね。やせ我慢してるんでしょう。

 

視点アウト

 

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大地視点

 

 討伐を終えて城に帰って来てから俺はすぐに部屋へと駆け込んだ。

 

 怖かったんだ。

 

 目を閉じれば、戦場で人を殺す地獄絵図が再現される。

 手には、人を斬った時の感触と噴き出した血の生温かさが残っている。

 聞こえてくるのは、死ぬ間際の断末魔の叫び。

 

 逃げられない、逃げちゃいけない。

 

 これは俺が望んだことだ。覚悟を見せると言ったんだ。そのことから逃げ出しちゃいけないんだ。

 

「霧里さん、ちょっといいですか?」

 思考の海に沈んでいく俺を、明るい声で引っ張り上げる。

 

「あぁ、入ってくれ」

 

「だいぶ追い詰められてますね♪」

 ポーカーフェイスも張勲には無意味だったか。

 

「まったくだ。自分でもここまで取り乱すことになるとは思わなかったよ」

 

「まぁ、私には関係ありませんけど」

 

「そうだな、用件は覚悟についてだろ」

 

「はい。聞かせてもらえますか、あなたの覚悟を」

 

「上手く伝えられないかもしれないけどね。まず、俺はこの世界の人間じゃない。急に家族と離れ離れになって気が付いたらこの大陸にいたんだ。そこで俺は居心地のいい場所を見つけた。そこには生真面目な人や腹黒い人、良くも悪くも純粋な少女が俺を向かえ入れてくれたんだ。俺はこの人たちを守りたいと、支えて行きたいと思った。これから訪れるであろう乱世がみんなを巻き込んでいくだろう。俺が本当に天の御使いなんだとしたら俺はこの世界の家族を守りたい。」

 一拍置いて俺は宣言する。

 

「俺はお前たちを守ることを誓おう」

 部屋を静寂が包む。一瞬が永遠に感じられた。

 

「七乃です」

 不意に張勲が告げる。

 

「いいのか?」

 

「えぇ、十分ですよ。まぁ、最初の下りはよく分からなかったですけど〜」

 

「ありがとう。七乃」

 

「いいえ。これからよろしくお願いしますね、だ・い・ちさん♪」

 七乃は機嫌が良かったのか、鼻歌交じりで大地の部屋を出て行った。

 

(ほんと七乃には敵わないなぁ)

 

「今日は疲れたし休むとするか」

 大地はこれから始まる袁家の生活に期待しながら眠りについた

 

視点アウト

 

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 そのころ、大地へのスパルタ教育を綿密に思い描く七乃は楽しそうに廊下を歩いていた。

 

「七乃、何かいいことでもあったの?」

 

「八恵ちゃんじゃないですか、どうしたんですかこんな夜更けに?」

 

「質問しているのは私なんですけどね。えっと、私は大地殿の様子が気になったもので。それで何があったんですか?」

 

「私は大地さんと蜜月を過ごしてきたんですよ♪」

 

「なっ!?なんてうらやまっ!?…じゃなくて破廉恥な!?知り会ってそれほど間もない男女が夜に殿方の部屋でなどと!もっと段階を踏んでからです!じゃないと許しませんっ!……それに私の方が…と思うのだが」

 顔を真っ赤にしながらも、最後のつぶやきは聞こえてなかっただろうか、と心配する点がずれている八恵。

 

「八恵ちゃ〜ん、落ち着きましょうか。はい、深呼吸してください。吸って、吸って、止める!」

 

「すぅー、すぅー、ふっ!」

 

「あははー」

 からかうのが面白くなってきた七乃だったが、これ以上はまずいかなとと自重する。

 

「ぷはっ!何させるんですか!」

 

「いやぁ、八恵ちゃんはおもしろいですねぇ〜。あはははは」

 

「まったくもう、それで実際のところはどうなんですか?」

 

「そうですねぇ〜、一応合格って感じですかね」

 

「へぇ、あなたが認めるということはそれ相応の覚悟だったんですね」

 

「まだまだ甘ちゃんですけど、第一歩としては十分です」

 

「そう、それは良かった」

 

「それはそうと八恵ちゃん、抜け駆けは許しませんからね〜」

 

「なっ、何のことですか!?」

 ホッとしたのもつかの間、どうやら先ほどの八恵のつぶやきをしっかりと聞いていた七乃。

 

「私も気にいっちゃったってことで〜す。うふふふ」

 呆然とする八重を尻目に七乃は美羽の部屋へ向かった。

 

 

 

「これから楽しくなりそうですよ、お嬢様♪」

「蜂蜜水を持ってくるのにゃ〜」

 美羽らしい寝言に七乃は頬を緩めながら、美羽の頭を優しく撫でていた。

 

 

 

 余談だが、八恵は七乃と別れた後大地の部屋に入って寝顔観察していたらしい。

 その翌日の紀霊将軍の肌が、ツヤツヤだったというのは紀霊付きの侍女談である。

 

 

 

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あとがき

 

美羽がちょっとしか出てこない。

 

メインのはずなんだけどな。

 

 

今回は美羽の使いどころがなかったのと、シリアスな感じにしたかったということで美羽には我慢してもらいましょう。

 

 

えっとアンケートなんですが、もうすこし皆さんの意見が聞きたいので延期します。

 

 

一刀は内政特化で武力は蒲公英に少し劣る程度です

 

1魏

 

2呉

 

3蜀

 

4その他(董卓、馬騰などの一勢力)

 

 

ご協力よろしくお願いします。

 

でわでわしつれいします

 

説明
第三話です。
美羽が空気です。
戦闘が難しくて、ちょっと簡易的になっちゃいました。

あと、アンケートの票が少ないのでもう少し期間を延ばそうかなと考えてます。
ご協力お待ちしてます。
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恋姫†無双 真恋姫無双 美羽 七乃 袁術 張勲 

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