天使の日 |
「三成…」
遠くでは宴の声が聞こえる
祝いの宴だ
「ワシはお前に聞きたいことがある…」
家康は三成を呼び止める
「何だ…」
三成は振り返る
「お前は 天使って見たことあるか…?」
「!」
三成は一瞬固まる
そして 刀に手をかけた
「貴様…」
家康は流石に少し慌てる
「いやいやいや… 早まるな」
「ふざけているのは 貴様の方だろう 今すぐ斬首してやる…」
廊下をざあっと風が吹き抜ける
遠くには三日月が見える
月明かりであたりはぼんやりと照らされる
「ワシは…見た事があるのだ 天使を…」
三成は一瞬止まった
「なん…だ…と…」
家康はにっこりと笑った
「で… どのような容姿だったのだ」
二人は縁側に腰掛けて 酒を飲んでいた
とは言っても 三成は下戸である 酒はあまり飲めない
しかし 家康は 「ワシに付き合ったら教えてやろう」と言って 酒を飲むように勧めてきたのだ
家康が知っていて 自分が知らないのも何だか癪である
しょうがなく 酒宴に付き合うことにした
「ああ 天使のことか?」
家康はぼんやりと月を眺めている
三成は自分が酔ってきていることに気付いていた
なんだか身体が熱い
でも知りたい
「ワシが見た天使は片方にしか翼がなかった」
「何!?」
三成は声を上げた
「左側にしか翼が無くて… なぜか血だらけだった…」
「悪魔… ではないのか?」
三成は問いかける しかし さっきまでの威圧感は無い
顔が赤い 酔っ払っているのだ
「いいや 天使だ 笑っていたのだ」
「笑う?」
「ああ 笑っていた」
家康も思わず微笑む
「三成?」
三成は柱にもたれ掛かっていた
どうやら酔いつぶれて眠ってしまったようだ
凶王と呼ばれる残虐な男も 酒には勝てないらしい
「相変わらず 下戸だなあ お前は」
家康は微笑む
そしてつぶやいた
「ワシの天使は お前だ 三成」
「お前は悪魔なんかじゃない 自分の気持ちに素直なだけなんだよな」
眠っている三成に話しかける
そして夜空を思いっきり仰ぐ
「ワシは信じているぞ お前と絆のある世界を一緒に作るんだ…」
「ワシもお前も目指すものは同じだ…」
夜空の向こうに 天使を見た気がした
両方の翼で 思いっきり空を翔る 笑顔の天使に…
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