後ろの自分 今の自分 |
歩きなれた町並みを進む。
聞き取れるものは活気。それは全く変わらない。
すれ違うのは見知らぬ人達。
見て取れるのは感情。全く同じ色はない。
感じ取れるのは自分の心。
取り残された子供みたいに、けれど顔に出さずに強がって。
幸せそうな人を見て、羨望を抱き。
つらそうな人を見て、同情を抱き。
楽しそうな人を見て、自分を哀れみ。
つまらなそうな人を見て、哀れに思う。
いつの間にか気づかぬうちに。
気づいていたのに知らぬふりして。
世界の中で自分だけが取り残されたみたいに。
それを誰かが助けてくれると淡い期待だけを持って。
ぼんやりと俯瞰して苦笑。
自分は悲しみのヒロインかと。
そんな自分は柄じゃない。
何故なら、
自分の足でどこへでも行ける。
自分の口で意思を伝えられる。
自分の想いで何かを叶えられる。
自分の力で、何かを変えていくことが出来るから。
無機質な箱庭から一歩外に出れば。
自分は何度でも変われるのだから。
下を向くだけじゃ前なんて見えない。
でも前を向くのはちょっと怖い。
ならせめて空を見上げて歩いてみよう。
少し違って見えたなら。
例えそれが僅かでも。
それは自分が成長したのだという証なのだから。