詩画集1 |
1.「 ROMANTICIST 」
あたしを曲げなきゃ生きられないなら
あたしはロマンチシストだから
白馬の王子様を迎えに行く なんて 野暮なことホントはしたくないんだけど
泣いてたって妖精は助けちゃくれないし 仕方ないから
ネズミを引き連れ カボチャを手土産に 裸足で駆けるんだ
そのかわり 12時の鐘には縛られないの
だって 解ける魔法は無いんだから
ガラスの靴なんて必要無いの
だって そんなもの無くたって あたしはあたしなんだから
あたしはロマンチシストだから
おはようのチュウも無く目覚める なんて 淋しくて嫌なんだけど
待ってたって王子様は助けちゃくれないし 仕方ないから
立ち上がって 茨を髪飾りにして 傷付きながら走るんだ
そのかわり 100年も眠る必要は無いの
その分私が走るんだから
魔女の予言なんて信じちゃいないの
良い魔女の祝福が無くたって あたしはあたしなんだから
あたしはロマンチシストだから
暗い森に置き去りにされる なんて 恐くて泣いちゃうんだけど
捜したって小人はどこにも見当たらないし 仕方ないから
一人でだって歌って 毒リンゴなんか突っ返して 泣きながら生きるんだ
そのかわり 8人分も家事なんてしないの
自分のことは自分でするのよ
魔法の鏡なんて必要無いの
世界一の美人じゃなくたって あたしはあたしなんだから
あたしはロマンチシストだから
愛の為なら命を捨てる なんて 簡単なことなんだけど
見渡したって命をかけるに値するほどの男なんていないし 仕方ないから
嵐の中を泳いでも 声と引き換えでも 私の為に生きるんだ
そのかわり 誰にも振りまわされないの
他人の言葉は関係無いのよ
王子様の愛なんて必要無いの
誰からも必要とされなくたって あたしはあたしなんだから
2.「魔女」
黒猫のマリオネットが
マカロニの上でニワトリを追う
黒いチューブが絡み付き
それらの首は紅く 宙を舞う
残されたのは闇夜の悪夢と
手頚の傷痕
そして ネズミが1匹
3.「かぐや姫」
月光も届かない暗闇に
一人ぼっちの君 泣いている君
閉じ込めたのは 悲しませたかったからじゃない
ただ 愛していたのです
もう 何も言えないよ
もう 何も言わないで
無意味な言葉を吐くためのメガホンじゃない
その唇は 涙を掬う優しい受け皿
4.「タンガチットポロリ」
タンガチットポロリ
タンガチットポロリは 3本角の青鬼
タンガチットポロリは 寂しい青鬼
ヒトリボッチ ヒトリボッチ
トヌマランテロミチ
トヌマランテロミチは 4本牙の赤鬼
トヌマランテロミチは 寂しい赤鬼
ヒトリボッチ ヒトリボッチ
青い草原の上
赤い太陽の下
何も無い
たったそれだけ たったそれだけ
タンガチットポロリは トヌマランテロミチが嫌い
トヌマランテロミチは タンガチットポロリが嫌い
だから
二人はヒトリボッチ ヒトリボッチ
タンガチットポロリは 赤い太陽を見上げて
タンガチットポロリは 太陽だけを見つめて
そうしたらヒトリボッチでも寒くはないから
トヌマランテロミチに背を向けて
ヒトリボッチ ヒトリボッチ
トヌマランテロミチは 青い草原に蹲って
トヌマランテロミチは 草原の中で小さくなって
そうしたらヒトリボッチでも寒くは無いから
タンガチットポロリから目を逸らして
ヒトリボッチ ヒトリボッチ
本当は
タンガチットポロリは トヌマランテロミチを愛してた
トヌマランテロミチは タンガチットポロリを愛してた
だけど
二人はヒトリボッチ ヒトリボッチ
5.「人魚」
君は見たのだろう?
海の底の暗さを知ったのだろう?
何も見えないんだ
何も聞こえないんだ
ただ、
明けたばかりのピアスホールが
ジンジンと軋む音だけが
私が生きている証
6.「椿姫」
カピラピラ カピラピラ
俺の爺様の墓参りの帰り道
その人はカピラピラと後光を受けながら 紅い紅いドレスを纏い
ナイスミドルな緑の森に ひっそりと佇んでおられました
いわゆる偶然にその人を見つけた俺は
その人のあまりの美しさに 息を止めて見とれたのでした
その人の足元には老い衰えた負け犬どもが 紅いドレスを汚していました
太陽が歌いました
カピラピラ カピラピラ
その人もいずれ彼女らのごとく 老い衰えてドレスを汚すのでしょう
そして太陽はまた別の誰かを そのかぐわしい歌でカピラピラと照らすのでしょう
輪廻の名の下に巡り巡るめくるめく後光の保有者
誰もが幸せのままに生きることを夢に見 不幸の中で死んで逝くのか
太陽がカピラピラと次の幸福を照らし出すとき その人は何処でどんな涙を拭うのでしょう?
カピラピラ カピラピラ
太陽が歌いました
説明 | ||
詩にイラストを添えてみたもの。 | ||
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