詩画集2 |
7.「ハートのクイーン」
灰色のハートに乗って ゆるゆると揺れていた。
何処とも知れぬ場所を さまよい 漂い
全て わからなくなった。
好きでこんな色に生まれたわけじゃない。
だけど私は、この色しか知らないから
じゃあどんな色ならよかったのかと聞かれても
答えられやしないのだ。
ハートに乗って 何処まで行こうか?
行けるものなら何処までも。
ハートに乗って 何処まで行けるか?
ピリオド打つのは 私じゃない。
8.「真冬のスイカ割り」
白の少年は眠っている
雪色の少年は 愛の花の中に眠っている
メロディーは音も無く歌い
風さえも動くことを許されぬ悲しみの中で
少年の涙の音だけが ヒタリヒタリと響く
心は痛む
それは 愛しき故の痛み
流星に乗ってやって来る死の使いよ
雪のように降り積もる死の真実も 光のように掴めない生の証拠も
まるで真冬のスイカ割り
滑稽過ぎて笑えもしない
私も 少年と共に連れて行ってはもらえぬか?
君の割れるような足首に縋りつく
涙色に染まる公園に 桃色の髪をした天使が舞い降り
私は受け入れられぬ痛みに耐えかね 叫び声をあげ
美しいとさえ感じるメロディーを壊すために 心さえも壊してしまえると知る
9.「Happy Girl」
ほら、私は幸せじゃない?
こんなに幸せじゃない?
だから私は、後悔なんてしない
正義なんて幻想をあたしに押し付けないで
あたしはそんなもの信じちゃいない
勇気はそんなに美しい?
命はそんなに素晴らしい?
常識とかいうダサイ我侭で惑わさないで
あたしはそんなもの認めちゃいない
幸せな人は笑顔かもしれないけど
笑顔の人が必ずしも幸せであるとは限らないじゃない?
10.「天使」
どこまで行けば 逃げ切れるだろう?
有限の宇宙を飛び出して 無限の宇宙へ
僕は 世界の果てを探してる
君のトナリを離れられない 僕が探す世界の果て
どこまで飛べば 辿り着けるのだろう?
11.「命」
錆び付いた線路の上に鮮やかな蝶がはたはたと生きていました
はたはたと生きる蝶の上をガタガタとイビツな電車が通りました
錆び付いた線路の上で鮮やかな蝶ははたはたと死んで逝きました
私の目の前で消えた一つの命に向けて
私の心臓は当然のようにトクンと大きく脈打ちました
いったい誰が罪人ですか?
宇宙の中の小さな点みたいな地球の上で
今日も数にすることさえ出来ないくらい沢山の命が消えています
時間の中の小さな点にも満たないような私は
沢山の命を殺して生きています
いったい何が正義ですか?
私が今消え果てた一つの命を悲しむことが 人として正しいことですか?
生きたくても生きられない誰かがいて 死にたくても死に切れない私がいる
世界はけして平等にはなり切れなくて
私は私には勿体無いくらい綺麗な命を引きずって 今日も多分生きている
死にたいとウワゴトのように呟きながら 往生際悪く生き延びている
ああ でもねえ 生きているのに
ああ でもねえ 生きていたのに
ああ でも私 生きているのに
ああ でも皆 生きていたのに
12.「夢の痕」
地面に這いつくばって その朱い命を舐めました。
甘酸っぱい 生臭い あなたの命の味でした。
あなたは死んだ。
その死はリアルで 夢のように美しい夢。
ねえ 切ない。
涙みたいに ほら ツタラツタラ 止まらない。
流れるような白と黒と そして朱。
あなたは死んだ。
朱い死のメロディーは 終りの歌は どこまでも続く。
そういえば そう 私も死んだ。
説明 | ||
詩にイラストを添えてみたもの。第二段。 | ||
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