異聞〜真・恋姫†無双:三二
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この作品はキャラ設定等が一刀くんを中心に、わりと崩壊しております。原作重視の方はご注意下さい。

時代背景等も大きな狂いがあったりしますので、

『外史だから』で許容できない方は全力でブラウザバックを連打しましょう。

 

オリキャラも出ますので、そういうのが苦手という方も、さくっとまわれ右。

 

一刀君とその家系が(ある意味で)チートじみてます。

物語の展開が冗長になる傾向も強いです。(人、それをプロット崩壊という)

 

この外史では一刻=二時間、の設定を採用しています。

それでもよろしい方は楽しんで頂けると幸いです。

 

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袁術のお膝元である、寿春に到着した俺達行商人一行は、『業』以上の街の退廃ぶりに絶句することになった。

 

活気と言えるものなど欠片もなく、表通りにすら道端に座り込む街人がいるような状態。

もちろん、その顔や瞳からは生気が感じられることもなく。

 

といっても、雪蓮たちや俺からすれば、残念ながら(かつて)見慣れた風景であり、他の皆が、ということ。

 

見聞を深める為に旅をしていた風や、前知識として知っていた華琳が、表に動揺が出ないぐらいで、

愛紗を始めとして義憤を露わにしていたり、呆気に取られたりといった様子で。

 

「はいはい〜。愛紗ちゃん、どうどう」

 

「風っ!? 私は馬などではっ!」

 

「怒りを覚えるのは判りますが〜。あまり騒いでしまうと、役人に目をつけられてしまいますよ〜」

 

「…くっ」

 

「…風は各地を旅で巡っていましたので、一度見たことがある光景なのですが、何度見ても正直心の内から沸き上がってくるものはあるのです」

 

のほほんとした表情や口調はそのままだけど、胸の内で風はしっかり怒りを覚えている。

ただ、優れた軍師である彼女は、感情を出さず、かといって無表情になるわけでもなく、いつも通りに話す術を身につけているだけ。

付き合いの長い俺や華琳にはそれを察することが出来るし、義憤に駆られていた愛紗ですら、その言葉からハッと顔色を変えた。

 

「…すまない」

 

「いえ〜。ただ、お兄さんのこれからの立ち振る舞いを考えると、愛紗ちゃんにもある程度身につけて頂かざるを得ないことですので〜。

溜めた怒りは後でお兄さんにぶつけて頂ければいいですから〜」

 

おい待ちなさい風さんや。俺を砂袋扱いなのはどうなんだ。って、無視ですかそうですか…。

 

「…私の気性から難しい所もあるが、努力しよう」

 

「まぁ〜交渉事とか〜公の場での護衛の任の時に『こんとろ〜る』出来れば十分かと〜」

 

「…確か、制御、という意味合いだったか?」

 

急に横文字というか、俺の世界の言葉で例えた風に、怪訝な顔で確認する愛紗。が、結果的に上手く気が逸れたのか、表面から怒りの色は失われていた。

 

「はい〜。なんとなく気に入っているので、時折使っているのです〜」

 

「うーん、さすが風ってところね〜。袁術への報告も代わりに風がやってくれれば楽なのに〜」

 

そんなやり取りを見ていた雪蓮が、通常運転で出来もしないことを嘯けば。

 

「却下。第一、今から北郷たちは、私が子敬の所に連れていくのだし、孫呉の長が報告をせずにどうにかなるものか」

 

…ため息混じりの冥琳も、いつも通りにその言を斬り捨てる。

 

「えー、御つk」

 

「…雪蓮さま、それ以上はなりません。ですよね?」

 

通常モード=委員長モードの愛理が微笑みながらも、鋭利な氷の刃を突き付けるがごとく、

それは一帯の気温が5度ぐらいは軽く下がるような声色で、雪蓮に釘を打ち込んだ。

 

最初がトロトロに蕩けた愛理を見ただけに、その落差に驚いたのだが、普段の理性が働いている時の彼女は、ものすごく真面目でかつ冷静で。

それこそ、細縁の眼鏡が本当に似合う、理知的で冷たい印象すら受ける、そんなお嬢様。

 

風とはまた違う意味で、感情が表に出にくいタイプと言える。

本人曰く、公衆環視の中である限り、だそうだ。何とか頬が緩みそうなのを耐えているというけど、そうは見えないぐらいに、怖い。

 

「そうでなくとも、一刀さまに頬擦りしたい衝動を必死に堪えているのですから、

あまりに困らせることを言われると、秘蔵酒の類が吹き飛ぶとでも思って下さいね?」

 

や、八つ当たりだーっ! え? あれ? なんで雪蓮、俺の方を見て不満そうな顔を…。

 

「一刀が悪い! ここまでのめり込ませて、今までの自分を保つのも苦痛にしてしまった一刀が悪いっ!」

 

「なんでそうな…」

 

「…それについては同意致します。一刀さまのせいです。正直、ここまで自分を崩されると本当に心の底から腹が立つものですが、

それでもいいと納得させられてしまった為に、日常生活にすら支障が出ているのですし」

 

「んな無茶苦茶な…」

 

「ふふふ、お兄さんが罪作りということなのですよ〜」

 

「違いないわね。一刀が頑張れば丸く収まるわけだし」

 

剣呑な雰囲気はどこへやら、予定調和のように『俺が悪い』という結論で話がまとまる現実。

…どうしてこうなった。

 

「なんというか、とことんしまらない小僧じゃのう…」

 

「らしさ、というものですよ、元皓どの。さて、子敬をあまり待たせてもな。行くとしよう。…雪蓮、お前は袁術の所だ。

明命。護衛を頼むぞ、一応な」

 

「はっ、わかりましたっ」

 

「…ちぇっ」

 

雰囲気に流されました〜と言わんばかりに、一緒に来ようとする雪蓮にもう一度釘を刺す冥琳の姿も、予定調和…なんだよな?

 

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魯子敬さんは現在、寿春の郊外に屋敷を構えているということだった。

で、さくっと移動しようとしていたんだけど…。

 

俺や華琳も制服を着ないで、平服を着用しているものの、馬車を引いている、案内役の冥琳を含めると十名の大所帯の移動。

それになんというか、ある種の美女・美少女集団の移動だから、嫌でも注目を浴びるのは仕方がなく。

…慣れって怖いね。見慣れると、眼福ではあるけど、居心地の悪さも消えるもんなんだよ…。

 

だから、初めて目にする人達からの視点が完全に抜けていた。失策と言えるだろう。

 

…結論から言いますと、城に怪しい集団がいるみたいな報告が行ったんだろう。城から兵士さんたちがすっ飛んでくるという羽目になりました。

ただ、城に言っていた雪蓮がうまく言ってくれたようで、しょっぴかれるってことは無かったんだけど。

 

いざとなれば、適当に付け届けすればいいや、袁家の配下だし…と考えていましたよ?

ただね、想定外のことが起こってさ…。うん…、何故かさ…。

 

「七乃よ、早く蜂蜜水をおくれ」

 

「はい、お嬢さま♪」

 

ジーサス…。笑いを必死に堪えている雪蓮を睨む余裕すら無い…っ!

そうだ、目の前には袁術と、側近の大将軍・張勲の姿があるんだよ…。

 

「しかし、この馬車はなんというか乗り心地が良いの♪ ここまで揺れないのは初めてじゃ。

お、そうか! わらわに献上する為に用意されたものなのじゃな! そうであったか、わははーっ!」

 

「おおーっ! さすがお嬢様! 何も聞いていないのに、その根拠の無い確信が素敵過ぎますよーっ! すてきーっ!」

 

…華琳と冥琳のこめかみの血管がくっきりと浮き立っているしな!

ああ、胃が痛いっ!

 

「公路さま。子敬どのの邸宅には、公路さまと張将軍以下、我々護衛も同行する旨、しかと使いを走らせましたぞ」

 

「うむっ! 紀霊ご苦労! まぁ、魯粛もわらわの訪問となれば、大喜びするであろうがの!」

 

「ああっ、お嬢様! 明らかに急な訪問で迷惑に決まってるのに、歓迎されると勘違いしてるその能天気さ! さすがです!」

 

「そうであろ、そうであろ! わはは、もっと褒めるのじゃーっ!」

 

華琳と冥琳のフォローは後でやるとして。というか、やらんと絶対に俺がひどい目に遭う予感しかしない。

さて、完全に馬鹿にされている事に気づかない袁術の頭の残念具合も気になるところだけど…それより、紀霊だって?

 

「…華琳」

 

「ええ、以前はいなかったわ。一刀の世界の伝承では、そこそこ名が知れているようだけど」

 

発した声質の重たさに、華琳は瞬時に意識を切り替え、俺の問いかけに応えてくれた。

二人で改めて見れば…鍛え抜かれた軍人、といった風情の男性がきびきびと指示を出しているのが判る。

兵士さんたちの声からも、なんというか信頼が表れているような。

 

「…むしろ、異質ね。この地においては。なんというか、勿体無いわ」

 

密やかな声で印象を語り合う俺たちに、冥琳が補足説明を入れてくれた。

 

「張勲だけでも厄介だったのに、今回はあの男が加わっている。紀霊、字を孟忠。着実に己の任を果たす、忠義の将だ。

袁術の軍の中であっても、あの者の配下だけは、錬度も群を抜いている。雪蓮も一目置いている男だよ」

 

「…欲しいわね」

 

「行商人の自衛団を任せるには勿体ないだろ…宝の持ち腐れになるよ」

 

「癖みたいなものよ。ここで言わないと、きっとそれは紛い物の『私』ね」

 

「いや、存在意義をそんなところで賭けないで下さい…」

 

「ふふっ、華琳どのらしいじゃないか。まぁ、彼を引きこむ為にも、北郷には頑張って誑し込んでもらうしかないな」

 

「ほんとは取り巻きの家臣たちから抱き込むって予定だったじゃないか…いきなり本丸からかぁ…とほほ」

 

と二人の険が取れた頃に、その紀霊さんが近づいてきてくれた。

 

「失礼。そちらの男性が北郷どのかな」

 

「あ、はい。お…私が北郷です」

 

「ん、あぁ、俺相手にそんな畏まる必要は無い。こちらの主も早速迷惑をかけているわけだしな。俺は紀霊、字を孟忠。

袁公路さまの配下の武官だ。一応、軍の取りまとめ役のような仕事もやっている」

 

と言ってニカっと笑う、紀孟忠さん。見た目からは少し意外な、その豪快な笑い方に、ある種の懐かしさを覚える。

華琳も同じことを感じたのか、刹那、固まってしまったようだ。

 

「おや、美男美女に見つめられるのも悪くないな。どうかしたかな、俺の顔に何かついているかい?」

 

「い、いえ…知っている人の笑顔に、重なってしまって」

 

「ほぅ。なるほど、俺のような良い顔をしている男性が他にいると…と、どうしたんだ、公謹どの。君まで呆けてどうする」

 

「…そこまで砕けた話し方をするとは、全く知らなかったからな」

 

「そりゃあ、公の場でしか会うことが無かったからな。仕方あるまいさ。が、地はこんなもんだよ」

 

「あまりの落差に愕然としたぞ…」

 

「ん? 伯符どのから聞いてなかったのかい? 彼女は飲み友達なんだが」

 

「…すまん、初耳だ。孟忠どの、しばし失礼する…しぇ〜れ〜ん〜っ!」

 

鬼の形相とした冥琳が、雪蓮との距離を一瞬で詰め、愛用の鞭で身動きを封じたのを見て、孟忠さんは愉快そうに笑う。

 

「くくくっ、伯符どのもあえて伏せていたな…。公謹どのが目の色を変えるのも無理はない、くははははっ!」

 

「…黙っていればいい男の類なのに、中身は三枚目?」

 

「おっと、それはひどいな、安蘭樹殿?」

 

「なっ…」

 

「驚くのはまだ早いな。あちらの綺麗な黒髪の武人が、関雲長。平たい帽子を被っているのが、諸葛孔明。

不思議な彫像を頭に乗せているのが、程仲徳。馬をひいているのが、名医・華佗に、自称洛陽の踊り子、貂蝉。

まぁ、何故、筋肉隆々のパンツ一丁の風貌がチラついて見えるのは幻覚と思いたいが…、

あとは、鋭い眼光をした壮年の男性と、キリっとした顔立ちの黒髪の麗人は…確か、本初さまの所にいたはずじゃ?」

 

そこまで一気に言い切って、ニヤァと笑う孟忠さん。

華琳が一瞬で鎌を突きつけるものの、全く慌てる様子も見られない。

 

「…知り過ぎているわね」

 

「おいおい、公路さまに見られたら面倒になるぜ?…ま、無理もないが」

 

「孟忠さん…あんたは、何者なんだ」

 

「…種明かしといこうか。俺の字、考えてみなよ。元々、おたくらの世界の伝承じゃ、無いんだろ?」

説明
前回のあらすじ:今回は桃香さんに中長期視点を持つのも大事と、一刀が言いたかった回ということで。

人物名鑑:http://www.tinami.com/view/260237

愛理さんの最初からのズブズブ具合が、いろいろ気になる方も『一部に』いらっしゃると思いますが、
普段の真面目な委員長風の仮面を取ってしまえばあんな感じだと邪推するのです。
ただ、公の場ですら溶けたままになってしまう危険性もあり、そこは鋼の自制心が必要になってくるんですよね。

どこかの外史の仲達さんはホンマに優秀やでぇ…残念な意味で。

愛理さんには公式の場での冷静な応対を期待しているのですが…が、頑張れ?
元皓さんにお願いしてもいいんだけど、角が立ちそうじゃないですか…。
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コメント
>ITSUKIさん あ、貴重な人のコメントだと思ったら、がーん! いいですよいいですよ舐めるように視線で愛でるから!(キリッ(通り(ry の七篠権兵衛)
そろそろいい頃合だと思うのでこっそり一言。うちの娘はやらん(ナニ  てことで(色々な意味で)愛でてやってくださいませ。ついでに一刀MO・GE・RO・!!(小笠原 樹)
>行当張さん あれって、長子ぐらいの意味合いみたいっすね〜。次子が仲穎さんとか仲達さんの『仲』なわけで。(通り(ry の七篠権兵衛)
>jonmanjirouhyouryukiさん 厨二病全壊キャラ・・・ありね!(通り(ry の七篠権兵衛)
>M.N.F. さん だって俺のよm(ザシュ…いえ、もうほんとにストライク設定なもので(じゅるり(通り(ry の七篠権兵衛)
>mokiti1976-2010さん どうなるんでしょう・・・(おぃ(通り(ry の七篠権兵衛)
>ノワールさん 愛理さんは文科系委員長なので、体育会系委員長の愛紗の対比みたいなもんです。紀霊さんは・・・優秀だといいなぁ(通り(ry の七篠権兵衛)
>マスターさん 殆ど正解が出ているのですが、主に袁家のせいで一話先延ばしになりました、ごめんなさい!(通り(ry の七篠権兵衛)
>アロンアルファさん、DOWANNGOさん 実際にいるわけではないですからねぇ。次々回ちゃんと話させますので。(通り(ry の七篠権兵衛)
>berufegoalさん あんまり意味は無いです・・・というかコメント欄でほぼ答えが出ていますよね(苦笑(通り(ry の七篠権兵衛)
>shirouさん ネタに組み込むしか無くなったわけで・・・。読者さんのコメントが外史を変えるっ!(キャッチコピー)・・・管理者側の介入なのは間違いないのかなー(通り(ry の七篠権兵衛)
>all 絶賛難産中なのでお許しくだされ! なんか変に期待値上げちゃダメですよ? だってこの作者だし・・・中学生ネタを組み込むしか頭に無いんだからもう(ry(通り(ry の七篠権兵衛)
お爺さんの名で孟ねぇ・・・・・あれ?曹操の字って・・確か・・・・・。(行当張)
あの鉄面皮仲達さんですね。 何故知ってるしw(M.N.F.)
紀霊さんの正体や如何に?というところですね。しかし美羽と七乃までくっついてきちゃったけどこれからどうするおつもりで?(mokiti1976-2010)
愛理……成程、麗羽と馬が合わない訳だ。紀霊は七乃とは正反対なタイプでしたか〜…しかも、華琳が欲しがるレベルの優秀さ。さて、その正体や如何に?(ノワール)
孟が意味することは分かりませんが、『忠』の字は一刀の爺さんの名前にもありましたね。一刀と華琳が懐かしさを覚えると言うことは何か関係でもあるのでしょうか?と、勝手に妄想しておきます。次回の種明かしに期待です。(マスター)
あの人がここまで一刀に馴れ馴れしい訳無いし……(DOWANNGO)
あの人がこんな所にいるはず無いし…(アロンアルファ)
ダメだ・・・・・・もうちゅう・・・もう中・・・もう中学生しか、まぁ会話内容から察すると管理者側からの派遣なのでしょうねぇより一刀が動きやすくなる為の。(shirou)
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