真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第4話 
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この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。

 

そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。

 

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『天の御使いと大掃除』

 

 

 

 大地が美羽のもとへ来て2カ月余り経過した頃

 

 

 美羽視点

 

 七乃が今日は大地を好きにしてもよいというから、妾の蜂蜜選びに連れて行ってやろうと思っておる。

 

 実は大地と一緒に出かけるのはこれが初めてなのじゃ。最近の大地は七乃や八恵たちと勉強しておることが多くて、妾のもとへ来ることは少なかったのじゃ。

 

 美羽もたまに勉強会に顔を出しており大地の天の知識を教えてもらうのが楽しみでもあったのだが、それはあくまで勉強であり遊びではなかった。今日は美羽の為に大地を一日貸し出すという七乃の言葉に大喜びしたことは記憶に新しい。

 

 美羽がそんなことを考えながら大地の部屋の前まで来ると、部屋の中から話し声が聞こえてきた。

 

「……だろ」

 

「ですが、美羽様は……でしょうか?」

 

「そこは上手くやるさ」

 

「では……します。それでは、そろそろいらっしゃると思いますので私はこれで」

 

 椅子を引く音がした為、美羽はとっさに柱の陰に身を隠してしまった。大地の部屋から出てきたのは美羽の側近の一人紀霊こと八恵だった。

 

 なぜ八恵がこんな朝早くから大地の部屋に?

 

 ちなみに美羽の朝は大体8時ごろから始まるため、他の者からすれば美羽は重役出勤なのだが…。

 

「うむむ…」

 

 ええい、難しい事は分からんの。たしか大地に教えてもらった言葉の中に『案ずるより産むが易し』というものがあったはずなのじゃ。

 

 そして美羽は大地の部屋へと向かうのだった。

 

 何の事で悩んでいたかも忘れてしまったようだが。

 

 視点アウト

 

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 大地視点

 

 今日はある計画を実行に移す日だ。実は俺の勉強会が始まって少したった頃から、美羽が良く勉強会に顔を出すようになり俺と一緒に授業を受けることも多くなっていた。まぁ、美羽の興味の大半は俺の国の知識などがメインだったが。

 

 計画の内容としては美羽を街に連れて行き現状を認識させ、文官共を追放し財産を没収するという単純なものだ。

そのための下準備として、俺が文官共の素行調査や賄賂の流れなどの細かいところを調べ、七乃がそれをまとめる。八恵はその間、軍部の掌握に努めた。その成果がまとまったこともあり、今日は計画の第一段階として美羽に街の現実を見てもらうつもりだ。

 

 実際美羽はあまり城の外に出してもらえず、街の現状を知る機会が無かったらしい。たまに出る外出は物々しい装備の兵が周りを固め、目的地まで御車に乗せて移動するという徹底ぶり。

 

 だが、今回は天の御使いの俺が護衛につくので気遣いは無用と文官どもに話しを通しておいた。袖の下もいくらか包むはめになったが、この計画が成功すればお釣りがくるだろう。

 

 美羽はわがままでバカで残念な子ではあるが、優しくて素直な面もある。民が苦しんでいるのを知れば、袁家の大掃除もしやすくなる。事実、俺たちがいくら証拠を集めたところで七乃たちは何処まで行っても親衛隊だし、俺は正体不明の人間ときている。文官どものほうが官位は上なのだから、いらつくことこの上ない。だからこそ、権力のトップである美羽に命令させ、俺たちが大義名分を得る必要がある。

 

「八恵、今日はよろしくな」

 今は八恵と最後の打ち合わせ中だ。

 

「万事抜かりはありませんよ。でも…」

 

「いや、そろそろ頃合いだろ」

 

「ですが、美羽様は受け入れられるでしょうか?」

 

「そこはうまくやるさ」

 八恵の心配は分からないでもない。美羽がこの現状に納得してしまったら、ということだろう。

 

「ではよろしくお願いします。それでは、そろそろいらっしゃると思いますので私はこれで」

 八恵が椅子をから立ち上がり、部屋を出て行く。

 

 八恵が出て行ってからちょっとして美羽が来た。

 

「よう、こんな早くからどうしたんだ?」

 

「大地よ!七乃に聞いたのじゃが、今日は何も用事はないのであろ?」

 

 計画通り七乃が美羽を誘導してくれたようだ。

「あぁ、勉強会も休みだしどうしようかと思ってたとこだ」

 

「な、ならば妾と街へ行ってはくれぬかの?」

 少し緊張しているのか、声が上擦っているな。

 

「街に?」

 

「だめ…かの?」

 不安そうに上目遣いで俺を見上げてくる美羽。そんな顔されてダメなんて言えるかよ。

 

「いや、いいぞ。で、何しに行くんだ?」

 

「妾の蜂蜜を買いに行くのじゃ!」

 嬉しそうに言う美羽。蜂蜜が欲しいのか、俺と出掛けたいのか、なんてこの際どうでもいい。美羽を計画とは関係なく楽しませたいと考えている自分がいた。

 

「よし、俺もちょっと見たいものがあるし付き合うか。そうと決まったら、朝飯食って出掛ける準備しなきゃな」

 俺は美羽を連れて城の食堂へ向かった。

 

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 俺は久しぶりに神父服を着ている。八恵たちに庶人の服をもらっており普段はそっちを着ているのだが、今日は護衛という面もあるため神父服を着ることにしたのだ。

 

 この神父服はどうも俺の気を増幅させたり、体が軽くする効果があるようだ。この服を着て八恵と仕合ったことがあるんだが、あっちにいた頃より体がスムーズに動いたり破れた部分が翌日には直っていたりした。しかも気が増幅することで俺の唯一の特技、治癒能力の効果が上がるなどいいことづくめだ。

 

 この服は、御使いの特権なのかもな。

 

「よぉ、霧里の((兄|あん))ちゃん。可愛い子連れてるじゃねぇか!((兄|あん))ちゃんの彼女か?」

 さっきから美羽と街を歩いてるだけで同じような冷やかしを受ける。なんなんだ、街ぐるみの陰謀か?

 

「はは、彼女って言うよりは妹って感じだな」

 俺も街にはちょくちょく来てるから、飯店のおっちゃんとかに顔を覚えてもらっている。

 

「大地ー、早く行かねば蜂蜜が無くなってしまうのじゃ!」

 俺の数歩先を歩いてた美羽が両腕を上に振り上げながら俺に抗議してくる。そこまで急がなくても蜂蜜は売り切れにはならねぇよ(この街で蜂蜜買う奴なんてお前ぐらいだもん)。

 

「分かったから、前見て歩けよ。転ぶぞ」

 

「妾がこんな何もない所で転ぶっ!?」

 マジでこけたよ、あの子。

 

「ハァ。おーい、大丈夫か?」

 

「うぅ、大地ぃ。痛いのじゃ〜」

 泣きそうになってるし…。

 

「立てるか?どこか捻ったりしてねぇか?」

 

「うぅ、大丈夫なのじゃ〜」

 涙目で言われてもねぇ…。しょうがねぇ、甘やかすわけじゃねぇが。

 

「ほら、つかまれよ」

 俺は美羽の前に背中を向けてしゃがむ。

 

「じゃ、じゃが…」

 

「遠慮なんかすんなよ。ほら」

 そのまま美羽をおぶって蜂蜜屋までいき、目当ての蜂蜜を買った美羽は機嫌が良かった。

 

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 さてここからが本番だ。美羽を街の大通りから裏通りの広場まで連れてきた。そこには子供たちが遊んでいた。

 

「あー、((霧兄|きりにい))だー」

「また遊んでくれるの?」

「今日は何して遊ぶ?」

 俺に気づいた子供たちが俺のそばに走ってきた。

 

 俺はたまに街に出て、こうやって子供と遊んでいるのだ。俺の気晴らしにもなるし、子供の生の声も聞けるしな。

 子供は街の雰囲気を肌で感じ、思ったことをそのまま伝えてくれるから美羽も理解できるんじゃないかと考えたんだ。

 俺が小難しい話をしたところで、美羽が理解できなきゃ意味がない。それなら同世代の率直な意見の方がいいと思う。

 まぁ、まずは美羽がこいつらと打ち解けないことにはどうしようもないが。

 

「なぁみんな、今日はこの子とも一緒に遊んでやってくれないか?」

 

「だ、だいち!突然何を!?」

 俺のいきなりの提案に目を見開く美羽。

 

「いいじゃないか、同世代の奴らと遊んだこと無いんだろ美羽?」

 

「じゃが、妾は…」

 

「今日はさ、思いっきり遊べよ。そしてまた明日からちゃんとやればいいと思うぞ?」

 今日は体面なんか気にしない年相応の美羽を見たいんだからさ。

 

「そ、そうか?大地がそこまで言うのなら、断れんのぅ。よし、皆の者!妾についてくるのじゃー」

 

「「「「「おぉー」」」」」

 

 それから一刻半、美羽たちは遊び回っていた。鬼ごっこやかくれんぼ、だるまさんが転んだなど俺が教えてやったものなども含め楽しそうに駆け回る美羽を見ていた。ここに七乃がいたら悶絶していたかもな…。

 

さすがに疲れたのか、皆俺の周りで寝転んでいる。さて本題に入るか。

 

「なぁ、最近のこの街はどんな感じだ?」

 

「そういえば、父ちゃんがまた税が上がったって文句言ってた」

「うん。お母さんもお金が無くて、どうしようかっていってたよ」

「うちの母ちゃんは最近元気ないんだ、よく咳とかもしてるし」

 なんというか、子供は意外とよく見ているんだなと感心させられてしまう。大人が思うよりも子供はそういうことに敏感なのかもしれない。

 

「そうか、皆大変なんだな。」

 

「ねぇ、兄ちゃんはお城の人なんだよね?どうにかならないの?」

 

「そうだな、多分太守様ならなんとかできるだろうな」

 その言葉に今まで静かに聞き入っていた美羽の体がビクッと震えたのが見えた。

 

「じゃあ、その太守様に何とかするように言ってよ!」

 男の子の悲痛な叫びが胸に響く。

 

「分かった、今日帰ったら太守様と話してみるよ。だから今日はもうお家に帰るんだ。お母さんが心配するといけないからね」

 

「約束だよ((霧兄|きりにい))、絶対だからね」

「またねーお兄ちゃん」

「お姉ちゃんもまたねー」

 皆手を振りながらそれぞれの家へと帰って行った。美羽も手を振り返してはいるが、その表情は浮かないものだ。

 

「さてと、美羽帰ろうか」

 用事は済んだと言外に伝える。

 

「妾のせいか?」

 俺の背中に小さな、しかしハッキリとした言葉を投げかけられる。

 

「何がだ?」

 

「妾のせいで皆は苦しんでおるのか!?」

 

「……そうだ」

 淡々と事実をたたきつける。

 

「っ!?」

 まさかそんなにはっきり言われるとは思ってなかったようだな。

 

「美羽が今まで政を人任せにしていたせいでみんなが苦しんでいる。だけどお前は今日、現実を知った」

 

「妾はどうすればよいのじゃ?」

 

「お前はどうしたい?」

 

「妾は……。妾は皆の為に何かをしたいのじゃ」

 

「お前一人で何ができる?」

 

「妾は偉いのじゃ!命令すれば臣下はいうことを聞くのじゃ!」

 

「無理だな」

 

「妾の臣下が命令を聞かぬというのか!?」

 

「聞いていたらこんなことにはなってないだろ」

 

「じゃあどうすればよいのじゃ!?もうできる事などないではないか!」

 悲痛な叫び。今の美羽には、世界中の人間が敵に見えるだろう。自分の声は届かず、周りの人間が自分を嘲笑しているように見えるだろう。だからこそ教えてやらなきゃいけないんだ、信じられる人が側にいることを。

 

「そうか、残念だ。お前の言葉に耳を傾けてくれる奴は、お前のそばにはいないのか」

 

「え?」

 

「お前の為に頑張ってくれる奴はいないのか」

 

「………のう、大地は聞いてくれるのか?妾の為に何かをしてくれるのか?七乃や八恵も手伝ってくれると言うのか?」

 美羽は期待と不安が入り混じったような目で俺を覗き込んでくる。

 

「ふう、やっとか。」

 正解が出るまでが長すぎだろ。さすがに子供をいじめるなんて変態的な趣味は持ち合わせてないぞ、俺は。

 

「なぁ、美羽。俺はお前に真名を預けたときなんて言ったか覚えてるか?」

 俺は美羽を抱きしめながらゆっくりと言い聞かせるように言葉を紡ぐ。

 

「………妾と、家族になりたいと言ってたのじゃ」

 

「そうだ。俺は美羽、七乃、八恵と家族になりたいと言った。家族ってのはさ、支え合うものだと思ってたんだが違うのか?」

 俺は少しおどけた口調で美羽に笑いかける。

 

「……………」

 

「なぁ、美羽。人一人がやれることなんてたかが知れてるんだ。でもさ、一人でダメなら二人、それでもダメなら三人っていう風に考えれば?そういうときの為に俺たちがいるんだよ、“三人寄れば文殊の知恵”って言う言葉もあるしさ。俺たちは美羽の家族なんだから」

 

「だ、だいちぃ〜」

 感極まったのか泣き出してしまった。

 

「まったく、子供だな…」

 

「今日は思いっきり遊んでもいいのじゃろ。なら思いっきり甘えてやるのじゃ。そして明日からはいつもの可愛くて傾国の美幼女の妾なのじゃ」

 美羽の精一杯の強がりに少し唖然としてしまった。美羽って意外と強かなのかもな…。

 

「ふふっ、分かったよ。ではなんなりとお申し付けください、お嬢様」

 わざとらしく美羽にお辞儀をして見せる。

 

「うむ、良い心掛けなのじゃ。ならば妾を城まで連れて行ってたも」

 美羽も結構乗り気で、手を腰に当てて威張って見せる。

 

「分かりました。では背中にどうぞ、お嬢様」

 俺は背中に美羽を乗せ、蜂蜜を持って城へと帰って行った。その間美羽は終始上機嫌だった。

 

 城についてから、七乃の視線が俺を射殺さんばかりだったのは勘違いだと思いたい。

 

 

 

 視点アウト

 

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 城に戻った大地は七乃と八恵を呼び出し、今日の成果を報告。美羽がこの街を想っている事を告げると八恵は泣き出してしまい、そんな八恵を七乃がからかい、大地は二人を笑いながら見ていた。

 

「ふぅ、八恵ちゃんをからかうのも面白いんですけどそろそろ本題に移りましょうか」

 さっきまで散々八恵をからかっていた本人が何を言うのか。

 

「ななのぉ〜、あなたって人はぁ〜」

 泣くのか怒るのかどっちかにしろ、八恵よ。

 

「八恵、もういいから。七乃、準備はできてるんだよな」

 お前も意外とひどいよな

 

「勿論ですよ♪私を誰だと思ってるんですか〜」

 

「七乃だろうが。で、八恵の方は?」

 

「ぐしゅ、は、はい。軍部の方は押さえました」

 

「それじゃあとはお嬢様をけしかければ、いつでも腐った生ゴミを根絶やしにできますね。うふふ」

 黒い、黒いぞ七乃。

 

「まぁな。あんな存在するだけで環境汚染を推進する物体はとっとと焼き払うに限る」

 帰ってきて〜、大地くーん。

 

「あはははっ、あのセクハラおやじどもを追放できるかと思うと夜も眠れないぜぇ〜」

 八恵さん、メタ発言とキャラ崩壊はちょっと………。

 

「いい感じに八恵が壊れてきたところで今日は解散だな」

 

「そですねー。それじゃ私はお嬢様成分を補給してから寝るとしましょう♪」

 七乃がそそくさと部屋を出て行った。

 

「じゃあ私も戻ります」

 さっきまで壊れていたとは思えないほどキリっとした表情で去っていく八恵。

 

「なんつうか、ホント飽きないわ。さて、これから忙しくなりそうだな」

 寝台に寝転がりながらこれからの事を考えている大地。

 

 

 

 袁家の大革命まであと10日………

 

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あとがき

 

第4話でした。パチパチ

 

美羽も少しずつ成長している……といいなぁ。

 

子供たちの素直な意見は美羽の心に届いたんです。だって美羽は優しい子だから。

萌将伝で、七乃に休みを与える美羽の心遣いちょっとうるっときたノリスです。

 

アンケート結果ですが、呉とその他が同数なので呉に落とそうかなと考えている今日この頃(決定ではありませんが)。

 

 

次回はこの大掃除計画の下準備編を入れたいと思います。

 

作品への意見や感想などその他諸々お待ちしてます。

 

でわでわしつれいします。

 

説明
今回は美羽様成長?ターンです。
成長といっても、きっかけみたいなものなので急に覚醒とかではないですが。

色々と模索しながらなので読みづらいかもしれません。
アドバイスや意見などいただければ幸いです。

それでは駄文ですが、どうぞ。
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コメント
骸骨さん>黒くなった理由は、次回にて判明するかも(逆叉)
美羽は白くなったのに、残りの三人は黒くなってるwww(量産型第一次強化式骸骨)
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恋姫†無双 真恋姫無双 美羽 七乃 袁術 張勲 

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