少女の航跡 第3章「ルナシメント」 9節「求められし者」
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 ルージェラ達がようやく目を開いたとき、ロベルト、そしてブラダマンテの姿はそこから消えていた。

「あいつぅ…、一体、どこに行ったのよ…!」

 ルージェラにとっては、ロベルトは捕らえておくべき相手だったから気が気ではない。しかも、ブラダマンテまで一緒にいなくなっている。

 彼によって連れ去られてしまったに違いない。ルージェラはすかさずそのように判断した。

「…どうやら、そこの通路から、カテリーナを捜しに行ったようだぞ…」

 と、ルージェラの背後からひっそりと言ってくる声。

 今までずっと兜の中で黙っていたナジェーニカだったが、どうやらロベルトとブラダマンテが去っていく様子を見ていたらしく、そう告げるのだった。

「あんた…。あの男がどこかに行ってしまうのを、黙って見ていたっていうのね…」

「私には彼らを止めるなどという義務はない」

 ナジェーニカは兜の中からあっさりと言ってのけた。どうやらナジェーニカは今の炸裂した光によって目を眩まされなかったようだったが、確かにロベルト達を止める義務は彼女には無い。

 だが、ルージェラはナジェーニカが黙ってロベルト達を行かせてしまったのが許せなかった。

「カテリーナを連れ出すような事を言っていたわね…、あの男…!あの男が先にカテリーナを連れ出したら、一体何をされるか分かったもんじゃないわよ…!急がないと…! 行くわよ、皆!」

 ルージェラはまだ目がかすんでいる仲間達を伴い、ステンドグラスで覆われた一つの通路を進みだした。

 

 

 一方、光によって目を眩まされたハデスは、その視界をようやく取り戻していた。彼は、生身の人間では成し遂げられないほどの魔力を有し、ルージェラ達などは簡単に退ける事も出来たのだが、ロベルトの放った光を放出する炸裂弾は意外だった。

 幾ら魔力で壁を作れたとしても、目は人のものと変わらなかったし、突然の出来事だったから、彼と妻であるアフロディーテも視界を奪われていたのだ。

「小癪な真似をしおって、サトゥルヌスめ。いいだろう。そこまであの方に楯突こうと言うのならば、この私も本気になってやろうではないか…!

 忘れるなよサトゥルヌスめ。お前は今、私の館の中にいる。つまり、私の手中にいると言う事をな…!」

 呪詛の言葉を並べるかのようにハデスは言い、その場から自らの体を黒い煙のようなものに包ませ、姿をかき消した。彼の妻であるアフロディーテも、すぐに彼の後を追い、姿を消すのだった。

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 カテリーナは私が思っていたよりも簡単に見つける事が出来た。

 ロベルトの導きがあったためだろうか? 彼女のいた場所には一直線に、どこにも迷うことなく辿り着く事が出来た。

 そう言えば、以前にも似たような事があった。ロベルトの導きによって、『セルティオン』の王、エドガー王を探し出した時だ。彼は初めて訪れるはずの場所で何も迷うことなく、その場所に辿り着く事ができたのだ。

 まるで彼自身が何度もその場所に出入りし、建物の構造を深く把握していたかのように。

 今となっては納得できる。何しろロベルトは、カテリーナを連れ去ったハデスと知り合いだったのだし、彼自身もカテリーナを連れ去る事に協力したようなのだから。

「カテリーナ!」

 カテリーナはステンドグラスで覆われた部屋の、ガラス張りにされた部屋の中にいた。ガラス張りの部屋は、ステンドグラスの色で青色にも、緑色にも色を変え、奇妙な部屋となっている。

 ちょうど、民家一軒ほどの広さのステンドグラスとガラス張りにされた部屋が、まるで空間の中に浮かぶかのように存在していた。

 私はカテリーナの名前を呼び、ガラス窓を叩く。ガラスはとても頑丈に張られており、とても私の腕では破壊することができなさそうだった。

 カテリーナは私達の姿に気が付いたらしく、ガラス張りにされた部屋の中で立ち上がると、ゆっくりと私達の方に歩みを向けてきた。

 彼女は白いシルクのドレスを纏っているだけで、私が知っているカテリーナとは何もかも違った。

 さらに、短かく、肩ほどの長さしか無かったはずのカテリーナは、髪を長い事切っていなかったらしく、かなり長い髪になっていた。

 刃のような姿をした銀髪も長髪となり、私はぱっと見て、カテリーナがそこにいるのかどうか、すぐには分からなかったほどだった。

「カテリーナ…、今すぐここを出よう…。みんな、あなたを待っている」

 と、私は言ったのだが、カテリーナから次に聞いた一年ぶりの彼女の言葉は、私の予想を反するものだった。

「一体、ここで何をやっているんだ。ここはあんたのくる場所じゃあない」

 カテリーナははっきりとそう言うのだった。

 あまりに唐突で意外な言葉だったので、私は彼女に聞き返さなければならなかったほどだ。

「え、今、何って…?」

 私がそう聞いても、カテリーナは言葉を変えなかった。

「あんたは今すぐ帰らなければならない。私にはやる事があるんだ」

 カテリーナはそう言うだけだ。

「いや、何としてでもお前をここから連れ出す。いいな?」

 私が説得しようとしても無駄だと判断したのだろうか、ロベルトがそのように言い、彼は銃をカテリーナのいるガラスの檻に向かって発射した。

 私が叩いてもびくともしなかったガラスの檻にひびが入り、ロベルトがそのひびに向かってもう一発発射すると、ガラスの檻は粉々に砕け散った。

 そこに人が一人通れるほどの隙間が出来上がる。

「君は、ハデスや、“あの方”にそう言わされているだけにすぎない。君自身の意志でそう言っているのではないのだ」

 と、ロベルトは言って、銃の底でガラスの檻を更に叩き割ってカテリーナが出る事ができる道を広げた。

「私が国に戻ったって無駄さ。どうせ、今の私には何もできない…」

 私は耳を疑った。何と自信の無い言葉なのだろう。とてもカテリーナが発する言葉だとは思えない。

 一体、何がカテリーナを変えてしまったのか、私にはあまりに唐突過ぎて分からなかった。

 カテリーナには1年前の眼光も失われ、普通の女になってしまったかのようだ。まるでカテリーナであって、カテリーナではない別者になってしまったかのような、そんな感じさえ見受ける事が出来てしまう。

 私が戸惑っているうちにもロベルトは、ガラスの檻を全て破壊してしまい、そこから檻の中へと入って行く。

 カテリーナは私達にはついてきたくは無いようだったが、抵抗してまでもついて来ないつもりはないようだった。

 ロベルトが手を差し伸べればカテリーナはその手を取り、ガラスの檻からゆっくりと出てきた。だが、どことなく足取りがおぼつかない。まるで、長き眠りから目覚めたばかりであるかのようだった。

 とりあえず、どこも怪我をしている様子はない。それを確認できただけでも私としてはほっと一安心だった。

「あの…、久しぶり…だね…」

 私は恐る恐るカテリーナに話しかけた。彼女の姿があまりにも様変わりしていたため、私はカテリーナに話しかける事さえ抵抗を持ってしまった。

 だが彼女に対して恐れる必要はなかった。ただ一言ではあったが、カテリーナは私を安心させるような口調で答えてきた。

「ああ、久しぶりだ」

 と答えてくるカテリーナ。姿は変わっていようと、彼女の声であると言う事には間違いは無かった。

「さあ、さっさとここから脱出するぞ。カテリーナ。細かい事は後で考えろ。今は脱出する事だけ考えるんだ」

 ロベルトはカテリーナにそのように言った。カテリーナはロベルトの言葉に黙ってうなずくと、彼と共にその場から走りだした。私もそれに続く。

 ステンドグラスで覆われた通路を走り、私達は出口を目指した。

 カテリーナは白いドレスと言う姿だったが、何とか走る事ができそうだった。しかし、その走り方には今までの彼女とは違う点が見受けられる。

 今までのカテリーナの走り方と言ったら、それは力強い走り方だった。全身に甲冑を身にまとっていようと、力強く、全速を出せば私も付いていけそうにない走りだったはずだ。

 だが、今のカテリーナは違う。

 まるで普通の女が走るかのような走り方で、ロベルトについて行くのさえやっとな様子だった。

 そして、私は共に走るカテリーナが、その右腕に腕輪をはめている事に気が付いた。

 銀色の、とても無機質な腕輪が、カテリーナの右腕にしっかりとはまっているのだ。

「カテリーナ?それは…」

 私はカテリーナに尋ねる。だが、彼女はその腕輪をまるで邪魔物であるかのように押さえると、素早く答えた。

「何でもない。気にするな」

 と答えたカテリーナはロベルトに付いていくのもやっとだったのだろうか?早くもその息を切らせてしまっていた。

 違う。何もかも明らかに違う。今のカテリーナは普通じゃあなかった。彼女の何か決定的なものが失われてしまっているのだ。それは私にもはっきりと分かった。

 カテリーナは強がってこそいるが、肝心なものを失ってしまっている。だから、走るのもやっとだし、私達に何かを隠しているような素振りを見せているに違いない。

 それは嫌でもはっきりと分かる。

 私がその疑問に答えを見出すよりも前に、ロベルトと私達は、ステンドグラスの通路で出来上がった、何とも奇妙な館を抜け出していた。

 しかしそこには、無数の包帯男達が館を取り囲むようにしていた。私達が館を出ていくと、包帯男達はじりっと私達の方へと距離を近づけてくる。

「ハデスの奴がやらせたんだ。私達は必ず館から脱出するから、外を包囲しておけば問題ないと言う事だろう…」

 ロベルトは呟く。彼は銃を抜き放っていたが、彼の銃、私、そしてカテリーナだけで包帯男達を倒せるのだろうか?

「しまった。もう囲まれていた!」

 私達のすぐ後に、館の別の出口からルージェラ達が飛び出してきた。少しの間だが、離れ離れになってしまった彼女達も、どうやら無事だったようだ。

「どーすんのよ!こんな数!」

 フレアーも叫び声を上げた。館の周りを、文字通り包囲している包帯男達の数は、数百には上っているだろう。

「どうするんですか? ロベルトさん」

 私はロベルトに尋ねる。私達の中ではもっとも彼が冷静そうに見えたからだ。カテリーナも、今はどことなく頼りがなさそうに見える。

 ロベルトはこのような状況になってしまう事を想定したうえで、屋敷に突入したはずだ。脱出の手筈も考えているはず。

「カイロス…、例のものは持ってきたか…?」

 案の定、ロベルトには策があるようだった。彼はルージェラ達と共に館から抜け出してきたカイロスにそのように言って、彼が抱えているものを持って来させた。

 カイロスは重そうにあるものを引きずってきている。

「カテリーナさんよ。こいつが必要だろう?館の中の一室にあったぜ。だが、こんな重たいものを、あんたは操っていたとはな」

 と言いつつカイロスがカテリーナに渡したのは、大きな剣だった。それはカテリーナがいつも戦の時は肌身離さず持っていた剣だ。名前は確か“トール・フォルツィーラ”と名付けられていた剣だ。

 カテリーナはカイロスからその剣を受け取るが、少しうめくと彼女はその場でよろける。剣が重すぎたせいだろうか?

 だが、その剣は今までカテリーナが片手だけでも振り回してきた剣だ。私達にとっては大きすぎ、重すぎる剣であったとしても、カテリーナにとって重すぎるという事など無いはずだ。

 カテリーナがこの1年の間に、その剣の感覚を忘れてしまったとでも言うのだろうか?

「無駄なあがきだぞ。カテリーナ・フォルトゥーナよ!」

 私ははっとした。包帯男達の合間を縫って一人の男、一人の女が姿を見せる。ハデスと言う男と、アフロディーテなる女だった。

「お前がその剣を取り戻したとしても、我々はお前の力を封じさせてもらった。お前が、今その剣を手にしたとしても、ただの鉄の塊でしか無い。それをよく理解しておくんだな」

 ハデスが包帯男達をしたがえるような位置に立ち、私達に向かって言い放ってくる。一体、どのようなつもりなのだろう?

 カテリーナの力を封じたとはどういう事なのだろうか?

 今のカテリーナは明らかに私達の知っているカテリーナとは違う様相を見せていた。どことなく頼りない姿をしているし、彼女が剣を取り戻したとしてもそれが変わるとは思えなかった。

 ハデスの言うように、本当にカテリーナは、今まで持っていた超人的な力を封じられてしまっているとしたら、

 今までのカテリーナだったら、目の前にいる包帯男達など、剣の一薙ぎでいとも簡単に倒していってしまう事も出来ただろう。

 だが、今のカテリーナにはそれができないとでも言うのだろうか?

 確かに今の彼女は、甲冑も身にまとわず、一枚の白いドレスだけというとても無防備な姿だが、それでも、カテリーナの持つ超人的な力は発揮できるはずだ。

 ハデスは言葉を続けてくる。

「カテリーナ抜きでは、お前達もこの包帯男達の包囲を抜ける事は出来ないだろう?それとも、一か八かを賭けてみるかね?百対六だ。おっと、一匹の使い魔も忘れてはならないか?

 賭けは勧めんよ、サトゥルヌス。だが、ここでお前達が大人しくカテリーナを私達へと戻すのならば、ここから逃がしてやろう。カイロスとお前は元仲間なのだし、他の者達にも私は手を出すつもりも理由もない」

 ハデスは悠々とした口調を崩さずに言った。

 私達ではなく、ロベルト、ハデスに言わせれば、サトゥルヌスに選択を迫っている。私達の意志の手の届かない所で、カテリーナの受け渡しの決定がされようとしている。

 だが、そうやすやすとカテリーナを返すものか。私はロベルトがどう出ようと、カテリーナを差し出すつもりは無かった。

「ハデス!強がるな。私はカテリーナを取り戻したが、それは人質としてだとしたらどうする?」

 ロベルトは意外な事を言ってのけた。私も思わず唖然とした。

「何だと?」

「カテリーナは、私とカイロスにとっては人質だ。もし、お前が包帯男達をけしかけてくるのならば、私はカテリーナに対して容赦をしない」

 ロベルトは嘘でも言っているのだろう。私はそう思った。だが、そうではない。ロベルトの目はまったく嘘など付いておらず、冷静さに塗り固められていた。目も一点も揺らぐことが無いし、口調さえも震えている様子は無い。

 ロベルトは、彼らに言わせれば、力を封じられているカテリーナを人質にするつもりなのだ。

「サトゥルヌスよ!気でも違ったか!もしカテリーナに何かあったりしてみろ。あの方は、地の果てまでお前たちを追うぞ!」

 ハデスが悠々とした口調を崩した。彼は明らかに動揺し、戸惑いを隠せない様子だ。

「そのような脅しなど、もうお前から何度も聞かされてきた。今更何だ?目的の為ならば、私はどのような犠牲でも払おう」

 ロベルトの口調の方が自信に満ち、優位に立っているように聞こえる。だが、彼らのやり取りはルージェラに横やりを入れられた。

「ちょっと、あんた達!勝手な事を言っているんじゃあないわよ!カテリーナを人質にして、この場を脱するですって!許さないわ!そんな事!」

 ルージェラが斧を振り回し、ロベルトに迫る。だが、そんな彼女へとロベルトは銃口を向け、言い放った。

「君は下がっていろ!この場を脱するにはこの方法しかない!」

「何ですって!」

 ルージェラは納得がいかない様子だったが、ロベルトの言っている事は正しい方法なのかもしれない。それしかない方法なのかもしれない。

「おのれ…、サトゥルヌスめ…。“あの方”を裏切るのか…!そして、仲間であるこの私も脅そうというのか…!」

 ハデスはその悠々とした口調を完全に崩し、今では憤怒の表情と口調を見せている。その様子は今までの彼の姿とはあまりにかけ離れたものだった。

「“あの方”に背を向けた時から、私はそのつもりだった。カイロスもだ。カテリーナを目的の為に利用するあの方のやり方には、私はついていけなくなった。私はカテリーナを取り戻し、“あの方”に贖う。そしてそれに従うハデス。君にも贖わせてもらおう」

 と、ロベルトは堂々と言った。彼は銃口をハデスの方へと向け、じっと見つめる。

 ロベルトとハデスとの間に、どのような精神的衝突があったのだろうか。しばらく二人は見つめ合う。

 やがてハデスは言った。

「いいだろう。私もカテリーナを傷つけるわけにはいかない!だから今は手出しをしないでおいてやる。だが忘れるなよ。あくまで、今は手を出さないと言うだけだ。

 カテリーナよ。我々はお前を必要としている。決してそれを忘れないでおけ。いつか、お前を取り戻しに、今度は“あの方”がお前を取り戻しに行くだろう。それを覚えておけ」

 ハデスはそのように言うと、自分の手を高々と掲げ、指を鳴らした。

 するとそれが何かの合図になったのだろうか、一斉に包帯男達がその場から消え去ってしまうのだった。消え去ってしまう包帯男達は本当にそれが百もいたのかと思えたほど、唐突に消え去ってしまった。

 あっという間だ。館の周囲からあっという間に包帯男達が消え失せ、突然、周囲は静寂にさえ包まれた。

「行って、良いって事なの?」

 きょとんとしたようにルージェラが言った。

「ああ、そういう事だ」

 真っ先にハデス達のいる方に足を踏み出したのはロベルトだった。彼はゆっくりと、しかし確実にその歩みをハデスの方へ向け、彼とすれ違う。

 その際に二人は言葉を交わす。

「残念だな。お前は最も“あの方”が信頼している同志のひとりだったと言うのに。最終的には裏切るとは…」

 ハデスがそのようにロベルトに言う。一方ロベルトは、

「お前ももっと賢ければ、“あの方”がしようとしている事が、どれだけ愚かかを理解できるだろう」

 と言い残す。二人はすれ違い、私達もハデスとアフロディーテとすれ違うと、館を後にする事が出来た。

 カテリーナは自分の剣を取り戻し、その重さによろめいてさえいたが、私が彼女を手伝ってあげることで、幾分かそれも和らいだようだった。

「心配いらない…、私は…」

 カテリーナが呟く。

 だが、私はカテリーナの体を支えてやった。今となっては彼女の力は大分失われており、その姿はいつも以上に頼りなさげだ。

 館から遠ざかろうとする私達と、館に戻って行こうとするハデスとアフロディーテがすれ違おうとする。

 その時ハデスは、まるで私達に捨て台詞であるかのように言葉を残した。

「覚悟しておけよお前達。終末のときは近い。お前達が思っている以上にな!」

 とだけ言い放ち、ハデスは館へと戻っていく。

「今度あたし達に手出しをしてみなさい!ただじゃすまないわよ!」

 負けじとルージェラも言葉を返す。ハデスに対抗するかのような言葉だったが、私はハデスが残した言葉の方が異様に心に残っていた。

 終末とは一体、何なのだろう?そして、彼らはカテリーナを利用して、一体何をしようとしていたのだろう?

 

説明
月夜の館にて、1年ぶりにカテリーナと再会する事ができたブラダマンテ達。しかしそこにいたのは、変わり果てたカテリーナでした。
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