鳳凰一双舞い上がるまで 幕間5
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鳳凰一双舞い上がるまで 幕間5

 

 

北郷一刀の今までの設定

 

 

一刀(一代目)一人称:俺 雛里への呼び方:鳳士元→雛里

 

 

・外形:薄い褐色が入った髪。大いに知られた一刀。肌が結構焼けてる。幼い時から祖父(直刀)に鍛えられた体。並の体型だけど中はみっしりと筋肉が詰まってる。

 

・服:聖フランチェスカーの制服

 

・やってること:学生、北郷流剣道師範代理、直刀死後は師範

 

・天の御使いという名について:利用できるなら使おうと思っている

 

・武器:日本刀「氷龍」

 

・特徴:暗い性格で人の良く絡まない。(人気がなかったわけではない)

 

    人の言動や周りの状況から情報を編み出す洞察力を持っている。

 

    恋愛に感心がなかったが、雛里を見てほぼ一目惚れしてる。

 

    人との信頼をとても大事なものとする(人と良く絡まないことは信用できないからでもある)

 

    一部の動物と話が通じる(狼、蛇など)

 

 

 

一刀(二代目)一人称:僕 雛里への呼び方:雛里ちゃん

 

 

・外形:白髪、肌も日を浴びなかった白い肌。そのせいでちょっと病弱そうにも見える

 

・服:白いシャツの上に狼の皮で作ったジャケット、ブルージーンズ、狼の皮で作った手袋

 

・やってること:大陸一周を企んでいる。

 

・天の御使いという名について:無関心

 

・武器:木刀(破壊)→日本刀『鳳雛』

 

・特徴:雛里ちゃんへの愛情が以前より外に出ている。

 

    雛里ちゃんからの愛情表現に弱い。(良く頭がショートする)

 

    極端な反戦主義、人の死に関して非常に感情的。→孫策に対して軽蔑感を持っている

 

    (前代に比べ)活動的な性格をしている

 

 

 

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拠点:真理&明命 題名:天性の諜報員

 

明命SIDE

 

今日はお忙しい中、一刀様に無理を言って対練に付き合って頂きました。

理由にしては一刀様が使っている武器が私の剣、『魂切』と似ていたため、参考にして頂くためでした。

諜報員としては優秀と良く言われてきた私ですが、蓮華さまと孫呉の遠大な夢のためには、精進在るのみです。

 

「では、行きます」

「いつでも来い」

 

剣を垂直から少し前に出した構え方をして、一刀様はそうおっしゃいました。

 

「………」

「………」

 

この沈黙は、相手の隙を探るためのもの。

といっても、一刀様、まったく体に隙があります。強い人だと、ただ立っているだけでも常に臨戦態勢であるものだと言いますが、剣を既に抜いて相手の前に立っている一刀様の姿には、本当に隙や何の動揺も見当たりませんでした。

なら、

 

「こっちから動いて隙を作りだすのみです!」

「…!」

 

剣がぶつかる音がすると同時に、一刀様の目は鋭くなりました。

 

「たぁぁーーっ!」

「ふっ!」

 

つづく私の連続攻撃を受け流しながら、一刀様はしっかりとこっちの次の動きを読んで次の動きをとっています。

やっぱり、思った通りです。一刀様は剣にはかなり長けている方です。

 

「そこ!」

「なっ!」

 

そして、一瞬だけ私が攻撃の速度を緩めた途端、一刀様の剣が待ってたかのように私の頭に落ちました。

止めようとする私の剣が届く前に、一刀様の剣は私の頭の上で止まっていました。

実戦だったと、私の頭蓋骨は真っ二つです。

 

「ま、参りました」

「動きが早いのは隠密行動では重要だけど、攻撃が見える場ではその攻撃が緩んだ途端隙が出てくるな」

「すみません。あまり、こういった対練はやったことがありません」

 

諜報員になるための訓練をしていた頃には他の訓練生たちと対練したことを除くと、正式に諜報員として働いてからは、こういった最初から姿をばらして戦ったりすることはしてません。

 

「別に無理をしてこんなことをしなくても、周泰は自分の長点を極めたらいいんじゃないのか?」

「それはそうかもしれませんが、でも、今回のこともありますし…諜報中にはともかく、今の蓮華さまを守るには、こうして相手と剣を交わる状態での鍛錬も必要だと思います」

「そう……周泰がそう思うのなら、出来るだけ付き合ってあげる。手加減はしないから、本気で来て良いよ」

「はい!では、早速次お願いします」

「ああ」

 

そうやってまた一刀様と私は互いを見て構えました。

 

私がまた仕掛けいこうと足を蹴った時、

 

にゃー

 

「お猫さまーー!」

「って、おい、周泰?」

 

そのまま蹴った足は、一刀様の後ろに通りすぎていたお猫さまに向かいました。

剣も落として駆けて行ったのですが、あまりにも久しぶりに見るお猫さまに私も興奮していたせいか、お猫さまは私が来るのを見て逃げてしまいました。

 

「はぅぅ…逃げられてしまいました。綺麗なお猫さまでしたのに」

 

褐色のしまが入ってる綺麗なお猫さまでした。

あんな毛をモフモフしたらきっと気持ちいいにちがいありません。

 

「しゅ、う、た、い?」

 

あ、あれ?

後ろから、殺気が感じられます。

怖いです。後ろを見るのがすごく怖いです。

でも、見なきゃ、現実に立ち向かわなきゃなりません。

 

「か、一刀様……?」

「正座!」

 

ごめんなさい!!

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

「はうぅ……結局あのまま一刻も説教されました。対練もちゃんと出来なくて、お猫さまも逃がしてしまうなんて、今日は散々です……」

 

でも、私が行けないのですね。

鍛錬中に他のことに気を寄せちゃうなんて…でも、

 

「お猫さまなら仕方がないのです!」

 

にゃー

 

ぐっと拳を握りながらそう一人で納得していたら、またどこからお猫さまの声が聞こえました。

 

「はっ!あなた様は、さっきのお猫さま?!」

 

さっきの褐色しましまお猫さまが何歩先にいらっしゃいます。

ここで会ったのも何かの縁!今度こそしっかりとモフモフします!

 

「そーっと」

 

今度お猫さまの機嫌を損なわないために、私は一歩、一歩、静かに近づいて踏みました。

だけど、後もう直ぐといったところで、私は信じられないものを見てしまったのです。

 

「!!」

 

なー

 

「お、お猫さまが、お猫さまが浮きました!」

 

地面に4つの足で歩いていたお猫さまが突然宙に浮かんだのです。これは一体どういうことでしょう。

 

「まさか、このお猫さまは天使さまなのですか?だからお猫さまなのに、空を飛べるのですか?」

 

 

「てわわ、そんなお猫さまが天の御使いだったら大変なことになっちゃいますよ」

「はうわ!」

 

こ、今度はしゃべりました。お猫さまが人の言葉を喋ってます。

 

「てわわ、周泰さん、私です。諸葛均です」

「……え?」

 

そして、その声を耳にした時、私の目には宙に浮いてるお猫さまではなく、諸葛均さんの腕に抱かれているお猫さまの姿がしっかりと映ったのでした。

 

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真理SIDE

 

私の姿を一気に気づいてくれた人に北郷さんと倉ちゃんが居ますが、大体の人は私のことを気づかないことがほとんどです。

でも、動物、その中でも主に猫は良く私のことを気づいてくれます。

それだけじゃなく、私を見かけた猫は、必ず私に近づいて来て足に体を絡ませたり、足を舐めたりするのです。

私も昔の時は話し相手がなかったので、そういったことが嫌いじゃありませんでした。それで、猫は今でも好きです。

 

「諸葛均さん、いえ、諸葛均さま!私にその技を教えて下さい」

 

だけど、さすがにこういった話をされると、どういった反応をすれば良いのかわかりません。

いえ、私も好きで人に気付かれずに、こんな動物とじゃれ合ってるわけじゃありません。

そりゃ猫は好きですけど、私も出来ればもっと人との触れ合いがしたいのです。なのにこの人ったら、ついさっきまで私が猫を抱き上げた様を、猫が宙に浮いてると見る辺り、どこまで私のことを無視しているのかちょっと不機嫌だというのに、いきなり何を言ってるのかちょっとわかりません。

 

「あの、一応聞きますけど、何故私にそんなことをお願いするんですか?」

 

まぁ、考えてみましょう。

もちろんこれは生まれつきなので誰かに教えてあげれるものではありません。でも、周泰さんは私のように人に気付かれないことが大事な任務を多く任されることは、以前の事件から察するにわかっているつもりです。

ですから…

 

「お猫さまを思う存分モフモフするためです」

「結構です」

 

はい、動機が不純です。この話はもうお終いです。

帰っていいですか?

 

「ああ、待ってください!」

「何ですか?」

「じゃあ、せめてそのお猫さまを一度でいいからモフモフさせてください」

 

………

 

「はい」

「あっ」

 

私はその猫を周泰さんに渡して他の所に向かいました。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

「…真理ちゃん」

「何ですか、北郷さん?」

「どうして私の部屋の布団に入ってるの?」

「気にしないでください」「いや、してもらうよ」

 

ほんと大事なところでは活躍できない頼れない能力です。

あ、でもそもそも北郷さんが私のことを気づいてくれなかったら私が北郷さんのことを好きなることもなかったわけですからそうも言えませんね。

 

「いいじゃないですか。私、割りと暇な時はずっと北郷さんの部屋に居たりするんですよ?」

 

と言っても、北郷さんも十割で十割私のことを気づいてくれるわけでもなくて、塾に居る時は昼鍛錬から戻ってきて服を着替える北郷さんの姿をこっそり見たり……

いえ、今のは忘れてください。

 

「今なんかすごく不穏な感じがしたけど」

「気のせいでは?」

「そうで有って欲しいね。ところで真理ちゃん、そろそろそこから出てくれ」

「もうちょっと居させてください。別段添い寝するというわけではありません。北郷さんの寝台に、私の匂いを付けるだけです」

「真理ちゃん、今この物語を見ている人の中でお前を応援している人の三割は今の会話で引いてるぞ」

 

応援してくれるのが何です!作者に「真理ちゃんをメインヒロインにするべき」というコメントもしてくれない限り、そういうのあってないようなものです!

 

「どうしたんだ、今日の真理ちゃん、ちょっとご機嫌斜めだぞ?」

「なんでもないです……いえ、何でもなくはないですけど……」

「……僕に言えないことなのか?」

「………」

 

てわわ…そんな顔しないでください。

そんな「お前と僕の間に秘密なんてあるのか?」と言いたそうなしょんぼりした顔で見られると、言わざるを得なくなります。

 

「今またなんか、後で雛里ちゃんに誤解されるような話が通り過ぎたような気がするぞ?」

「あ、あの、北郷さん、実は……」

 

結局話しちゃいますけどね。

 

・・・

 

・・

 

 

「そっか、確かに周泰の猫好きは異常だな」

「無礼です。私なんて、猫以下なんですか?いくら今まで人に散々無視される人生生きてきましたけど、こんな扱いされるなんてあんまりです」

「まぁ、そう怒るな。確かに周泰の今回の行動にはやや無礼なところもあったけど、これは真理ちゃんにとっていいチャンスかもしれないよ」

「チャンス……機会ですか?」

 

何の機会ですか?

 

「僕はね。真理ちゃんがただ私や倉、そして雛里ちゃんとだけ知り合いながら旅をするだけじゃダメだと思うんだ。真理ちゃんが旅をしながら、もっと多くの人たちと解り合っていくのがこの旅の目標の一つでもあるのだからね」

「……そうなのですか?」

「うん」

 

そうか。北郷さんは、私のこともちゃんと考えていたんだ。

私が今の、ただ何人だけに気づかれるだけで喜ぶ段階で安住せず、もっと沢山の人たちと触れ合えるようにすること。旅をして行きながら、人たちともっと触れ合っていけば、きっと何時かは、私も普通に他の人たちと話し合えるようになる日が来るかも知れない。

 

「…分かりました。私、頑張ってみます」

「応援してるからね」

「はい」

 

ありがとうございます、北郷さん。

 

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明命SIDE

 

「明命!!」

「はひっ!」

 

不肖周泰、蓮華さまの前で絶賛正座中です。

昼に諸葛均さんから渡された猫を沢山モフモフして気分良く、蓮華さまに寝る前にご挨拶をしに来たらこの状況です。

 

「一刀から聞いたわ。あなた諸葛均に無礼な物言いをしたようじゃない」

「はい!?い、いえ、そのようなことは…………」

 

・目の前の人をないような扱いした。

・不機嫌そうに帰る人を止めといて、謝罪の言葉もなく猫だけを求めた。

 

「………(汗)」

「一刀すごく怒ってたわよ?一体なにをしたの?」

 

一刀様がすごく怒っていた!?

 

「も、申し訳ありません!」

「明日にでも諸葛均を探して謝っておきなさい。いいわね!」

「は、はい!」

 

・・・

 

・・

 

 

昨日そう蓮華さまに怒られて、今日は朝から諸葛均さんの部屋を訪ねました。

 

「諸葛均さん、いらっしゃいますか?」

「………」

 

返事がありません。

いや、待ってください。確か諸葛均さんは見てない間は声さえも消せるとか言った気がします。

でも、先ず部屋を開けてみないとどうか分かりません。

 

でも、無闇に部屋を開けてみるわけにもいかな……

 

「人の部屋で何をしているんですか?」

「はひっ!?」

 

横を見ると、寝巻きの姿の諸葛均さんの姿がありました。

 

「しょ、諸葛均さん」

「はい、今周泰さんの前にある部屋を使ってもらっている人ですが、何か?」

「い、いえ、あの……」

 

まずいです。すごく不機嫌そうです。

 

「あ、あの、昨日は…」

「あ、ちょっと待ってください。身支度しますので、ちょっと待ってゆっくり話しましょう」

「は、はい」

 

諸葛均さんはそう言って、部屋に入ってしまわれました。

 

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真理SIDE

 

翌日の朝、何故か周泰さんが部屋の前まで来てました。

恐らく昨日の謝罪に来ているみたいですけど、多分北郷さんが気を使ってくれたのでしょう。

私一人だと、周泰さんに気づかれるだけでも一苦労です。ある程度私のことを自覚してくれなければ、直ぐ側に居ても気付かれませんから。

 

いつものちょっと大きめな服に着替えて入ってくださいと言いました。

門が開いて周泰さんが中に入って来ました。

 

「座ってください。朝早なものでお茶なんて用意できませんけど」

「は、はい……」

 

周泰さんは固まった動きで腰を下ろしました。

 

「あの、諸葛均さん、昨日の出来事は本当に申し訳ありません!」

「……いいです。別に気にしていませんから」

 

良く考えてみると、別に今回のことって、怒る理由もありませんでした。

他の人だと、私が抱えている猫ごと姿を見失ってしまったと思うはずです。

しろ周泰さんが後々にでも気づいてくれたほどマシです。……まぁ、それも猫に対しての周泰さんの愛が作った状況だと思いますけど。

というわけで、

 

「私は別に怒ってません。周泰さんがそんなことする前でも、私は十分人に無視されながら生きてきました」

「え?」

「周泰さん、私にどうすれば他の者に気付かれないまま動けるのか教えてって言ってましたよね。実はこれ、生まれつきなんです」

「……!」

「想像できますか?常に誰にも気付かれないまま生きていく人生なんて。自分の親やお姉さまたちにさえ稀に存在を気づかれて、一生のほぼを一人ぼっちで生きていかなければならない能力なんです」

 

能力というよりは、呪いです。

 

「ごめんなさい、私、そんなことも知らずに、諸葛均さんの傷をえぐるようなことを言ってしまいました」

「いいえ、構いません。そんなことされるの、あなたで初めてじゃないですから」

 

ほんと、こんな無礼に晒されるのって、周泰さんで初めてじゃないはずです。

でも、私は一度もそういった扱いをされて相手に怒ったことがありません。いつも自分のせいにしていました。

でも、今回は周泰さんに怒っていました。何が違いなのか、私考えて見ました。

で、考えてみたら、

 

「周泰さん、私、周泰さんと友だちになりたいです」

 

きっと、せっかくのこの出会いを、今までの普通の人たちとの出来事のように流してしまうことがもったいないからだと思います。

 

「へっ?」

「こうしてあなたに怒って、そのままギクシャクになって終わりたくありません。猫ならまた私がいつでも譲ってあげます。だから、私の友だちになってもらえますか?」

 

 

 

「ダメです」

 

え?

 

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明命SIDE

 

諜報員というのは、すごくぼっちな仕事で、私は今までロクな友だちもなく過ごしてきました。

それでも別段問題はないです。私の身はつねに蓮華さまと孫呉のためにあるものですから。

でも、やっぱ友だちという言葉には憧れるものはありました。

 

でも、

 

「こうしてあなたに怒って、そのままギクシャクになって終わりたくありません。猫ならまた私がいつでも譲ってあげます。だから、私の友だちになってもらえますか?」

 

………

 

「ダメです」

 

違います。

そんなのは、友だちじゃないです。

私も今まで友だちというものがなかったので、どうすれば友だちになれるのかはわかりませんが、友だちというのは、先ず何の益があってなるものではないと思います。

ただ一緒に居るだけで楽しい、一緒にいるだけうれしいのが友だちだと思います。

 

だから、

 

「あ、……そうですか。ごめんなさい、変なこと言っちゃって」

「いえ、違います!」お猫さまなんて関係ありません!」

 

拒否されたと勘違いしてしまった諸葛均さんを見て私は慌てながら言い直しました。

 

「お猫さまなんて関係ありません!そんな条件付きで友だちになりたいわけじゃありません」

「え?…じゃあ」

「はい、私なんかで良ければ是非とも友だちになってください」

「…………」

 

そしたら、諸葛均さんの顔が直ぐに明るくなりました。

 

「あ、……ありがとうございます。これからよろしくおねがいします」

「はい、よろしくお願いします」

 

謝るためと気重く来たのが、思わぬところで、初めての友だちを作ってしまいました。

 

「ところで、お友達って具体的にどうすればいいのでしょうか」

「てわわ、そういえば、私も良くわかりません……取り敢えず、雛里お姉さんの場合を考えると、仲の良い友だちって真名を交換し合うみたいです」

「はうあ!そうなんですか?でも、私たちは今友だちになろうって言ったばかりなのにそんなことして大丈夫なのでしょうか」

「てわわ…そうですね……」

 

あ、でもせっかく友だちになろうって言ったのに、このまま真名も預けないまま、この後おさらばしてしまうのは、少しもったいないです。

 

「じゃあ、これから一刀様たちと一緒にまた旅立つまでに、その諸葛均さんが知ってる二人さんのように仲良くなることにして、今から真名を交換しましょう」

「そ、そうですね。それはいい考えです。えっと、私の真名は真理です」

「私の真名は明命です。これからよろしくおねがいします、真理さん」

「はい、……あ、でも、友だちなのにさんづけっておかしいですね」

「そうなのですか?今まではずっとさん付けか様づけしかしてませんので……それじゃ…真理ちゃん……って言ったらいいのでしょうか」

「はい、じゃあ、私もこれから明命ちゃんって言います」

 

明命ちゃん……明命ちゃん…いい響きです。

 

「はい、よろしくお願いします、真理ちゃん」

「はい、明命ちゃん」

 

こうして、この日から、私はお友達になりました。

私の初めてのお友達です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………真理ちゃん」

「うん?……てわわ!」

「倉さん!」

 

倉ちゃん、すごく無礼だと知った上で言わせてもらうけど、『どこから湧いてきたの!?』

 

「……あたし、友達じゃない」

 

はっ!

忘れてました!

てわわー!すごくしょんぼりしてるーー!

 

「友達!倉ちゃんも友達だよ!ね、明命ちゃん!」

「そ、そうです。倉さんもお友達です!」

 

その後倉ちゃんの機嫌を取るために二人ですごく苦労しましたけど、結局、今は三人一緒に友だちで楽しくやっています。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

 

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拠点:倉&左慈 題目:どこにでもある普通の母娘関係(嘘)

 

倉SIDE

 

あたしの部屋には、大きな鞄が一つある。

いつもなら必要なものはなんでも出してくれる不思議な鞄。

だけど、今はさっちゃんの冬眠場として使われている。

 

さっちゃんというのは、あたしがおじさまたちが死んだ森で見つけた蛇のこと。

でも、実はさっちゃんは蛇じゃなかった。

 

「………さっちゃん?」

 

今日は特に理由もなく、鞄を開けてみたら、そこで寝ているはずのさっちゃんがなかった。

代わりに、白い紙に『こっち来て』と書いてあった。

 

「………?」

 

どういう意味なのかとその紙を手に取ろうとしたら、突然紙が鞄の底に落ちて行った。

どういう意味なのか分からないかと思うけど、あたしも正直良くわからなかった。

突然鞄が底を知らない深い沼になったかのように、紙は鞄を奥に奥に入っていった。

手を伸ばしてみると、腕を全部入れても、鞄を底まで手が届かない。

 

「………」

 

『こっち来て』

 

「……」

 

あたしは、以前鞄の中で寝ていたように鞄の中に身を投じた。

 

 

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「……うん……」

 

どこまで落ちてきたか分からない、途中で気を失ってたみたい。

 

「?」

 

地面がふかふか……あ、お布団の上だ。

周りは暗くて何も見えない。

 

「……さっちゃん?」

 

あたしがさっちゃんを呼ぶと突然周りが明るくなった。

周り何もない真っ白な空間。

明るくなって見ると、あたしが居た布団はとても広くて、その横に人型のさっちゃんが眠っていた。

 

「………」

「…さっちゃん」

 

あたしがさっちゃんを揺らして起こすと、さっちゃんは少し寝転んで目を開けた。

 

「うぅーん…?………あら、倉…来たの」

「…うん、紙、見た」

「あれ一ヶ月前に置いてあったのにね…倉ちゃんったらちっとも鞄開けてくれないなんてお母さん寂しい」

「………」

 

さっちゃんは何故か自分のことをお母さんって言う。

意味は分かってる。さっちゃんは、あたしがさっちゃんの娘だって言ってる。つまり、さっちゃんがあたしのお母さんって。

………あたしも蛇になるの?

 

「何で呼んだの?」

「特に理由はないけど……倉ちゃんの顔を見たいからって言ったらダメかしら」

「…じゃあ、さっちゃんが起きたらいいじゃない」

「それは無理よ。今私の力では、この中でしか人の姿を維持できないから」

 

ゆっくりと体を起こすさっちゃんの体には糸一つも巻いてなかった。

 

「服…」

「うん?……ああ、ごめん、お母さん寝る時は裸な派だから」

 

さっちゃんが二回拍手をすると、周りが突然忙しく動き始めた。

そしてあっという間に周りが服ばかりになる。

 

「もう、誰がこんなに沢山って言ったの。あの時ので良いわよ」

 

さっちゃんがそう文句を言うと、また周りが激しく動いて、前に着ていた紫色のチーパオが現れた。

 

「……ふぅ、うん、これで良いわね。鳳統ちゃんが選んでくれたのだけど、なかなか気に入ってるわ」

 

そう自分の姿を服を一緒に来た等身大の鏡み映していたさっちゃんはこっちを向いて、

 

「とりゃーっ!」

「!」

 

まだ布団の中にある私に跳びかかってきた。

 

「っ!」

「ふふーん」

 

そうあたしを抱いて体を寄せてくるさっちゃんの顔は笑っていたけど、別段悪い気があるようには見えなかったから、蹴り飛ばすとかはしなかった。

 

「…なにするの?」

「娘とのスキンシップ」

「…すきんしぷ?」

「大事な人同士に、こうして体を絡ませたりするのよ」

「……一刀と雛里ちゃんがキスするのみたいに?」

「そうね。…倉ちゃんも私もキスしたい?」

「ううん」

「即答なんだ。トホホ…まぁ、初めては後で好きな男の人ができたらあげなさいな」

 

嘘泣きをしながらさっちゃんはあたしから離れた。

 

「……さっちゃん」

「なぁに?」

「…さっちゃんがあたしのお母さんなの?」

「そうよ。まぁ、産んだ母はわけじゃないけどね」

「……?」

 

どっちなの?

 

「まぁ、でもあたしも一助したことには違いないから。うん、倉ちゃんのお母さんだよ」

「……じゃあ、

 

 

どうして、あたしのこと捨てたの?」

 

 

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左慈SIDE

 

キタ。

この質問キタ。

 

「何であたしのこと捨てて、今になってお母さんって現れたの?」

「…白々しいと、思ってる?」

「ううん、ただ聞きたいだけ。どうしてあたしのこと捨てたのか」

「…倉ちゃん」

 

実はね、私も分からないの。

どうして私があなたを捨てなければいけなかったのか。

だって私の時間では、まだあなたは結以のお腹の中にいたんだもの。

あなたを捨てるなんて、そんなこと思っていたらあなたを産もうとも思ってなかったわ。

 

「もしかして、あたしが変な子だからだったの?」

「変な子?」

「…あたし、炎を操ったりするから」

「ふふっ、ねぇ、倉ちゃん。あなたのその力のあなたの他のお母さんからの継ぎものよ」

 

結以、孟節は火の女神の化身、祝融を崇拝した一族の娘だった。

結以自身はそういった力が使えないけど、管理者としてのわたしの遺伝子が入ったため、その力が倉ちゃんの代に覚醒したのでしょうね。

 

「あなたがどんな子だとしても、あなたは私たちの大事な娘だった」

「…じゃあ、何で?」

「…倉ちゃん、お母さんたちはね、こことは違う世界の存在よ。先ずそれを理解して欲しいわ」

「…違う世界」

「そう、あなたはこの世界に居る他の人たちと違う。あなたは自ら『管理者』と称する種族の生まれよ。あなたが他の人たちとは違う力を使えるのはそのせいよ」

「『管理者』?」

「うん、管理者というのは、ここを比べていろんな世界を管理、観察しながら、間違った方向へ行かないように監視する存在。なのに倉ちゃん。お母さんはその世界ですごく異端な人で、周りに敵が多かった。それで、ある時、あなたをそう言った敵から守れなく成った時、まだ子供だったあなたをこの世界に避難させたの」

 

私はまだ来てない未来に対して嘘をついていた。

でも、多分そういう理屈で間違ってないと思う。

今でこそ結以とお腹の赤ちゃんが無事なのかは知らないけど、そういう理由でもなければ、私たち婦々が私たちの子を捨てるはずがない。

 

大事な娘を自分たちの手から離させて、一人で孤児で生きていく人生が、親たちを生きる人生よりも安全だと思えるほどの危険って、いったいどんなことが私たちに起こるのか。今から未来が怖くなってくる。

でももっと怖いのは、私がこの未来を知っている今でも、その未来を変えることができないってこと。

いつか私は、倉ちゃんを、あの盗賊たちがいる村に捨てなければならない。

そして、倉ちゃんの幼い時を一緒に居てくれたその盗賊たちが皆殺しされる事件を、私じゃ止めることができないこと。

 

「ごめんなさい、倉ちゃん」

「…さっちゃん?」

「ごめんなさい……ごべんなざい……」

 

涙が出てくる。

知ってた。

私が子を持つことが、その子にとってどれだけ危険で険しいだろうかわかっていた。

でも、それでも我慢できなかった。

私は結以のことを愛していたし、その証が欲しかった。

子供を守るという、親としての当然の仕事ができないかもしれないということを良く分かっていたにも関わらず私は結以と一緒に倉を作ってしまった。

二人に申し訳なくて仕方がない。

いつも私がすることは、周りの人たちを悲しくするばかりだって。

自分と最も近しい関係な人たちさえも傷つけなければ先に進めない自分のことが恨ましい。

 

「さっちゃん、泣きやむ」

「ごめんなさい……ごめんなさい」

「………」

 

誰が母で、誰が娘なのかも分からないように、暫く私はそう倉ちゃんのまだ成長中の胸抱きついて、泣き続けた。

 

 

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「…また、来るから」

「ええ、いつでもいらっしゃい」

 

時間が結構過ぎて、そろそろ倉ちゃんを返さなければいけない時間が来た。

結局、倉ちゃんは私のことをお母さんとは呼んでくれない。

私のことを恨んでいるから?そうかもしれないし、単に慣れてないからかも知れない。

でも、少なくとも私は倉ちゃんを守りたい。

今まで母として出来なかった分、これからこの娘の未来を守ってあげたい。

 

「さっちゃん」

「うん、何?」

 

帰るエレベータの前で、ふと倉ちゃんはこっちを振り向いた。

 

「あたし、真名欲しい」

「……へ?真名?」

「うん、他の友だちに真名譲ってもらったのに、あたしは上げる真名がない」

「………」

「真理ちゃんに聞いてみたら、真名はお母さんからもらうのだって……だから…」

「…う、うん。お母さん、倉ちゃんが次来るまでに考えておくわね」

「……うん」

 

………真名…か。

 

「いってらっしゃい、倉ちゃん」

「行ってきます、さっちゃん」

 

エレベータのドアが閉じて、エレベータは上へと消えていった。

 

「……図書館」

 

拍手を二回すると、周りが無数の本が詰まった本棚たちが現れた。

 

「検索:真名の付け方」

 

私の声に応えて、本棚たちが消えて行って、一つの本棚が残った。

ざっと見て何十冊。

 

「さて、はじめましょうか」

 

私はその中で一番上にある本を手に取った。

 

 

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あとがき

 

えー、大変長らくおまたせ致しました。

どうでもいいですけど、今日は韓国ではハングル創製565周年です。

世宗大王に感謝の気持ちを込めて、今日も自分は日本語で外史を書き続けます(笑)

 

また2つになっちゃいました。

真理と明命の話一つと、倉と左慈の話一つ。

真理と明命の話は…最初とはかなりちがう方向に進んでフラグへし折りました。

友だちが少ない(アニメの題名じゃない)真理ちゃんと明命が友だちになるという話でした。

明命は原作でも仕事に関しては真面目なですけど、どっちかと言うとガンスリンガーガールに出る女の子っぽい感じがすると思うのは自分だけですか?一刀は亞莎を会わなかったらきっとこの外史だと孫策にひどく仕事に回されることになったに違いない……だってほら、無垢な女の子が暗殺者やってるんですよ?使ってる奴まじ死ねって感じするのですよ。

 

というわけで、最初は亞莎をどっかr引っ張り出して来ようとも思ったのですが、真理ちゃんを友だちにしました。真理ちゃんも友だちすごく必要ですからね。

倉ちゃんh付いてです。最初の案だと倉は愛紗のように長い黒髪のつもりだったのに、頭の中で明命とかぶってショートにしたという悲しい話があります。

 

 

この外史の左慈はかなり悪ふざけてます。

それは真面目さと厳しさを隠す盾でもあって、実はすごく弱い自分を隠すためでもあります。

左慈というキャラは実際に行く場所場所ごとごとく問題を起こし続けてきたので、正直本人もいい加減疲れてます。だから復活しても、結以を探す考えもせずにこうしているんです。心配しないわけじゃないですけど、自分がとなりに居たほうが危なくなるだろうなと思って探さず自分は倉とだけ会っているわけです。理由としては、ひとまず鳳雛の様子を見たいというノ一つと、まだ解明できてませんが氷龍がこれからどうなるかに関しても調べなければならないので……

ああ見たら分かりますけど、あの鞄(今更ながら)何でもありです。

星の本棚ッテ感じ?(ちょっと違う)

 

というわけで、次回は一刀&雛里&蓮華ですが、

ところで皆さん、これ雛里√なのはわかるけど、ちょっと初盤からはっちゃけ過ぎていると思ってましたよね。わかります。

………こう見えても虚々実々とか書いてけどねー(笑)

ここからどことん底まで落とそうと思います(笑)

 

あ、次回多分明日まで出来ますが、皆さん倉の真名とか考えてくださったら参考にします。

もう決まってるんですけど、かなりださいので皆さんのセンスに頼ろうと思います。

ぐんと来るのがなかったらださくいきます。

 

では

 

ノシノシ

 

 

 

 

説明
真・恋姫無双の雛里√です。
雛里ちゃんが嫌いな方及び韓国人のダサい文章を見ることが我慢ならないという方は戻るを押してください。
それでも我慢して読んで頂けるなら嬉しいです。
コメントは外史の作り手たちの心の安らぎ場です。

また尺の都合上2つしか上げれませんでした。
ってか痴情喧嘩なんですけど、無駄にシリアスになっちゃいましたよ。もう幕間というレベルじゃなくなったので一話に外しちゃおうと思います。
まさかここでフラグへし折るとは思わなんだ……

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コメント
真理ちゃんがサブヒロインと思いきや、メインヒロインを凌ぐ人気が出ると聞いて・・・。真名は炎を喚起させるのが似合うでしょうなぁ・・・。(通り(ry の七篠権兵衛)
真名かあ、焔火(えんか)で。(ZERO&ファルサ)
ふむ・・・・・・遙火(ハルカ)とか灯(アカリ)とか・・・・・・シリウスさんの案も悪くはない・・・・・・・・・・・・(アルヤ)
真名・・・ 陽炎(かげろう)なんてどうだろう?(シリウス)
真理ちゃんもメインヒロインにするべき!(シリウス)
真名は……何も思いつかない……(山県阿波守景勝)
今回は少し重い感じがする話でしたね。随分昔の感想ですが、平和でほのぼのの話ならばいいのに的なのを書きましたが、どこの世界での周囲の状況が許してくれないんですよね。悲しいことです。(山県阿波守景勝)
ネーミングセンスなんてものは持ち合わせておりませんが考えて見ます(アルヤ)
ほかの人なら見失うのを猫が浮いたように見えるとは・・・・・・明命、恐ろしい娘!(アルヤ)
アルヤさん>>修正しました。アルヤさんも良かったら真名考えてもらっていいでしょうか(TAPEt)
ヒトヤ さん>>ネタ抜きでお願いします(笑)(TAPEt)
6p 私は明命って言います。これからよろしく尾根がします。真理さん→これからよろしくお願いします。 ですね(アルヤ)
真理ちゃんもメインヒロインにすべき(アルヤ)
草薙「炎使う奴なんざ結構居るよな?」 庵「くだらん」 アッシュ「アハハ♪これだから田舎者は滑稽だよねW](ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
真理ちゃんをメインヒロインにするべき(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
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真・恋姫†無双 恋姫 一刀 真理  明命 左慈 韓国人 

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