本・恋姫無双第三十七話
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---長沙・城内中庭---

 

一刀「さて、上手くいくかな?」

 

燦々と照りつける太陽の下で一人、何かの準備をしている一刀。するとそこに、

 

祭「面白いものを見せてくれると聞いて来たが…」

 

一刀「祭、いらっしゃい。冥琳もよく来てくれたね。」

 

雪蓮「ぶぅ〜。私もいるんだけど?」

 

冥琳「すまん。面白いものが見れる気がする…とか言ってね。」

 

一刀「相変わらず、鋭い勘をしてるね。まあ、いいや。」

 

そういって、火の点いていない((松明|たいまつ))を手に取り、古典的な手品師風に…

 

一刀「種も仕掛けもありません。ここに松明をかざすと、あら不思議…」

 

やや間があって…

 

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雪蓮「何も起きないわね…」

 

一刀「…あら不思議…」

 

諦めずにかざし続けています。松明にどんどん近づく雪蓮。

 

雪蓮「やっぱり、何も起きないじゃない…きゃっ!!」

 

やっと、着火しました。ちなみに、雪蓮は軽く尻もちをつきました。

 

一刀「火のない所から、火が出てきました…拍手♪」

 

祭「おぉ…凄いのぅ…」

 

と素直に拍手を送る祭。に対して…

 

冥琳「まあ、聞くまでもないだろうが、後ろにある物が『種』なのであろう?」

 

と言って、一刀の後ろにあった物を指さす。

 

一刀「まぁ、そうなんだけどね。少しは驚いてもいいのに…」

 

冥琳「こっちも種を明かすと、例の授業を何度か、外から聞いていたのだよ。…まあ半分、眉唾で聞いていたがね。」

 

雪蓮「へぇ…よくそんな余裕があったわね。」

 

冥琳「今まで誰かさんがやっていた仕事を、蓮華様がするようになったおかげなのよ?…雪蓮?(#)」

 

雪蓮「あぅ…藪蛇だった…」

 

祭「にしても、一刀よ、こんなものを儂らに見せて、どうするつもりなのじゃ?」

 

一刀「まぁ、選択肢は多いほうが良いでしょ?」

 

冥琳「!!…まぁ、そうだな。」

 

雪蓮「何よぉ。解ったんなら教えなさいよ。」

 

祭「どうゆうことじゃ?」

 

冥琳「祭殿、時期がきましたら、お教えいたします故、今はご勘弁を。雪蓮、そんなに知りたかったら、今から、((みっちり|・・・・))授業しましょうか?」

 

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雪蓮「サイナラー」

 

既に逃走した後で、雪蓮のいた場所に残っていたのは、紙に書かれた捨て台詞だけだった。

 

冥琳「ったく…紙の無駄遣いをするんじゃないわよ…それで一刀、応用の方法は…(コショコショ)…でいいのだろう?」

 

一刀「一を聞いて十を知る…さすがは冥琳…それと、加工はともかく、原材料の作り方は、例の『国友…』と書かれた古書を参考にしたものだし、試作に協力してくれた職人なら作り方知ってるから。」

 

冥琳「分かったわ。私は、ここで失礼するよ。まだ、少し仕事があるんでね。」

 

一刀「ん、お疲れ〜。祭も付き合ってくれてありがとね。」

 

祭「まぁ、一刀がそう言うなら、別に構わんが…儂がいた意味、あったのかのう?」

 

一刀「意味なら有るよ。((此処にいた事|・・・・・・))がね。それと、ここで見たことは内密にお願いします。」

 

祭「?、まぁ、良いわ。では、儂はもどるぞ。」

 

そう言って、祭がどこかへ向かった後…

 

一刀「使わないに越したことは無いが、切り札が使えないときの奥の手だからね…」

 

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---徐州・小沛付近---

 

一刀たちが、徐州で((実験|・・))をしていた頃、ここでは、((勅|・))を受けた袁紹が劉備を討つべく進軍し、いつ、攻城が開始されてもおかしくない状況である。…そうゆう状況のはずなんです。

 

顔良「城壁に旗は揚がらず、城門も開いています。」

 

袁紹「オーホッホッホッ。私に恐れをなして逃げたのでしょう。」

 

文醜「姫ぇ、とっとと攻めようぜぇ。」

 

顔良「文ちゃ〜ん!!少しは、怪しいと思おうよぉ!!」

 

いつものやり取りが行われているとき、城壁の上より、声が聞こえる。

 

陳珪「袁紹殿とお見受け致します!!我が名は陳漢瑜と申します!!」

 

袁紹「私が袁紹です。如何な用向きです?」

 

挨拶なのか、口上なのか分からず、とりあえず前に出て、返答する袁紹。

 

陳珪「ここの((元|・))主である劉備と、その軍が居られなくなり、我らとしましては、袁紹殿の庇護を受けたいと思います。故に、敵意無しを表すため、旗を下げ、門を開けお待ちしておりました。皆様、粛々とお進みくださいませ。」

 

袁紹「分かりましたわ。猪々子さん、斗詩さん、華麗で雄々しく進軍なさい。」

 

文醜「はっ」と元気よく返事をし、兵に指示を出していく。

 

顔良「はいっ」

 

と同じく返事をする顔良。ただ、一抹の不安を抱えていた。

 

顔良(何だろ、此処には一度も来たことが無いけれど、この城、何かが足りないような…)

 

などと考えながら、全軍の三割ほどが門をくぐった辺りで、気付く。

 

顔良(あっ、堀が無いんだ…えぇ!堀が無い!?)

 

気付いたその時、城壁の上、城内より、((鬨|とき))の声が上がり、緊急用の閉門装置が、落ちてきた。(門の所に鉄格子が落ちてきたと想像してください)

 

同時に、隠されていた、『劉』『関』の旗が掲げられた。そして…

 

関羽「総員、掛かれ!!」

 

関羽が現れた。隠されていた空堀から。

 

城内に取り残された三割は指揮系統の混乱で、統率を失い、無力化。

 

残りの七割も、関羽が伏兵で現れて、大混乱。

 

袁紹「総員、退却ですわよ!!急ぎなさい!!」

 

残った兵を引き連れ、退却中の袁紹にさらに悪い知らせが届く。

 

伝令「申し上げます。補給部隊が張飛に急襲され壊滅。荷も奪われました。」

 

袁紹「キイィ!!やってくれましたわね、劉備!!覚えてらっしゃい!!」

 

退却の途中も、糧食は必要なわけで、やむなく、現地調達しながら、南皮に帰還した。

 

袁紹らは、調達のつもりでも、下々から見れば、略奪とさほど変わらないため、袁紹の名声は地に落ち、袁家の落日が近づいていた。

 

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---徐州・小沛城内---

 

対袁紹戦で、勝利を収めた劉備勢。戦の直後なので、みんなして、やや高揚気味である。

 

関羽「桃香様、何とか勝てましたな。」

 

劉備「そうだね、愛紗ちゃん…」

 

張飛「この手なら、曹操のお姉ちゃんにも勝てるのだ!!」

 

諸葛亮「鈴々ちゃん、流石にそれは無理だよ。」

 

張飛「なぜなのだ?」

 

劉備「この手を一回使っちゃたからだよ。鈴々ちゃん。そして、曹操さんの密偵はたぶんこの戦を見ていて、報告が行っているはずだからね。」

 

?統「奇策は奇策。策が外れると、こちらに危険が及びます。基本、奇策とはそういうものですし、同じような策は、二度以上使わないほうが無難なんです。」

 

関羽「うーん…」

 

張飛「でもでも、朱里や雛里なら、奇策を使ったことを、策に組み込めるはずなのだ?」

 

諸葛亮「確かに出来ますよ。でもそれは…」

 

劉備「ある程度、戦力が高い状態でないと、できないことだよね。」

 

諸葛亮「はわわっ」

 

?統「あわわっ」

 

張飛「珍しく、桃香お姉ちゃんが((賢|かし))こなのだ!?」

 

劉備「鈴々ちゃん、それひどい!!」

 

陳珪「そうですよ。私にしごかれて、賢くなったんですよ。鈴々ちゃんも、やれば出来る子なのですから、手取り足取り教えますよ?」

 

張飛「えっ遠慮するのだ〜」

 

諸葛亮「話が逸れちゃったかので戻しますけど…現時点で、いわゆる中原に関わる勢力は、私たちと、袁紹さん、曹操さんの三つ。ただ、私たちは基本、曹操さんに攻撃できません。首都に刃を向ける、即ち朝敵扱いになりますから。」

 

?統「袁紹さんが、暴走しなければ、この特殊な三すくみの状況で私たちは力を蓄えるつもりですた。もちろん、袁紹さんは、加減できる相手ではありませんし、かなり速く侵攻されたため、ああいった策を用いて撃退するしかありませんでした。」

 

劉備「あれ?でも、私たち、白蓮ちゃんが攻められたとき、出兵したよね?」

 

諸葛亮「それは、袁紹さんを倒して、その配下にいた、田豊さんや沮授さんなど、埋もれているけれど優秀な官僚や、張?さんに代表する、埋もれているけれど優秀な武将を吸収しつつ、公孫賛さんたちと合流し、『曹操さんと単独で拮抗できる勢力の構築』を目指したからです。」

 

?統「勿論、無茶は承知でしたし、公孫賛さんが、あのままやられれば、袁紹さんは、全力でこちらに来ます。そうなった場合、今回の策を使っても、相手の総兵力の一割も減らせなかったでしょう。もちろん状況が違いますから、別の対策は取れたでしょうけれど。」

 

諸葛亮「その場合だと、たぶん共倒れで、曹操さんに、漁夫の利をかすめ取らていたでしょう。」

 

?統「今回、袁紹さんに勝って、袁紹さんの力を大きく削った今、曹操さんの打つ手はこうでしょう。『公孫賛さんに袁紹討伐の勅を出す→袁紹さんを挟撃→勢力を吸収→公孫賛さんを無視して私たちを攻撃』」

 

諸葛亮「付け加えますと、雛里ちゃんが言った『曹操さんの行動』を妨害しますと、朝敵と見倣され、袁紹さんに『勅:朝敵を討て』との命令がいき、曹操さんと袁紹さんに挟撃されます。」

 

?統「逆に『曹操さんの行動』を手伝ったところで、こちらに矛を向けない可能性は皆無です。時をみて攻められ終わりです。」

 

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関羽「では、我らは滅ぶしかないのか?」

 

絶望したのか、床に手をつき、『orz』となっている関羽。

 

劉備「で、状況を理解した上で、聞いて欲しい話があるんだけど、いいかなぁ?」

 

関羽「えらく、明るく話されますね、桃香様?」

 

劉備「だって、まだ私には『希望』があるもん♪」

 

関羽「その希望を私にもお聞かせ下さいますか?」

 

劉備「うん、いいよ♪…でもその前に…陳珪さん、『お掃除』お願いします。」

 

陳珪「では、少しばかり、失礼いたします。」

 

そう言って退出する陳珪。それを呆然と見つめる関羽。

 

関羽「えっと…陳珪殿は『そういう方』だったのですか?」

 

劉備「どうなんだろう。詳しい話は知らないけど、徐州に関しては、あの人…というか、陳一族はかなりの名士みたいで、徐州に限ってだけど、人脈がすごいみたい。」

 

?統「その人脈を生かした諜報は逸品ものなのですが、本人や一族はここを離れるつもりが、毛頭無いので、連れていけないのが、とても残念です。」

 

諸葛亮「でも、その穴を掻い潜って、あの木管を送ってきた隠密は、かなりのやり手かと思います。」

 

---長沙・街中---

 

明命「っくしゅん!!…あぁ、お猫様ぁ〜」

 

猫に逃げられました…

 

---徐州・小沛城内---

 

陳珪「お待たせしました。」

 

劉備「それじゃ、愛紗ちゃんの知りたがっていた、『希望』について、教えてあげるね。朱里ちゃん、お願い。」

 

諸葛亮「はい。それでは、ご説明申し上げます。」

 

その内容に、最初は怒った関羽だったが、他に手がない為、渋々従うのだった。

 

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約一ヶ月後

 

---洛陽・執務室---

 

曹操「桂花、袁紹と劉備の戦の結果はまだかしら?」

 

荀ケ「はっ。多分、袁紹が負けたのだと思われます。」

 

曹操「ん?妙な言い回しね。説明しなさい。」

 

荀ケ「はい。まず、袁紹が出陣したことは確認が取れました。それと、徐州から戻ってくる際に略奪をしていたことから、『糧食を失ったことに因る退却』が想像されます。ただ、どういう戦いだったかは、わかりません。」

 

曹操「つまり、徐州からの報告が途絶えている、という訳ね。」

 

荀ケ「はい。そういう訳でして、劉備がどの程度、損害を被ったのかは不明です。」

 

曹操「ふぅん…劉備の配下に『そういうのが得意な者』って居たかしら?」

 

荀ケ「現地で見つけたのでしょう。徐州は交通の要衝のためか、宜しくない輩も多く、治安があまり良くない土地でした。」

 

曹操「劉備が来るまでは…ね。」

 

荀ケ「はい。その治安回復の過程で、『そういった人間』を配下に出来たのだと思われます。」

 

曹操「ふぅ…関羽に張飛、それにあの二人の軍師だけでも、厄介なのに、そんなのがいたら、勝てても損害が馬鹿にならないわね…桂花、皆を集めて頂戴。袁紹討伐の軍議を始めるわよ。」

 

荀ケ「御意。」

 

動き始めるようです。?統の読み通りに…

 

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---とあるどこか---

 

趙雲「…ハッ…ハッ…ハッ…フゥ〜、暇だな…」

 

于吉「それでも、鍛錬は欠かさないのですな。」

 

趙雲「こればかりは、((性|さが))としか言いようがないな。」

 

于吉「頑張ってください。切り札なのは、間違いないのですから。」

 

趙雲「言われずとも…ハッ…ハッ…ハッ…」

 

出番はまだ先のようです。

 

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---益州・巴郡---

 

厳顔「…グビッ…グビッ…グビッ…プハァ〜、暇だな…」

 

魏延「桔梗さま、そういう冗談は、仕事を終わらせてから言ってください。」

 

厳顔の机の上には書簡が山積みに置かれていた。

 

厳顔「これか?これは………グビッ…グビッ…グビッ…プハァ〜。」

 

魏延「現実逃避しないでください!!」

 

厳顔「…だったら、焔耶。お前、やってみろ。いい経験になるだろう?判らない事があったら、言え。わかる範囲で答えてやる。」

 

魏延「そう申されるのでしたら…場所をお借りします。」

 

だが、魏延が初めて質問するまで約半刻で、厳顔はすっかり『出来上がって』しまった…

 

魏延(はぁ、いい上司に恵まれたい…)

 

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あとがき

 

どうもnakatakです。

 

先日、PCを買い換えました。先代が「カチッカチッカチッピーカチッ」と明らかに異常音を起動中、鳴らしまくっていましたので。

 

ただ最初、家に来たとき、なかなかの駄々っ子でした。

 

シャットダウンを実行した後、勝手に起動してしまう。『あれ?間違って再起動したかな?』と思い、指差し確認しながら、シャットダウンしても、やっぱり勝手に起動。

 

どうにかならんかと、メーカーに相談しながら、試行錯誤すること三日…最後には、本体のマザーに内蔵のボタン電池を、一回外して、付け直して…ようやく、『勝手に起動』しなくなりました。やれやれです。

 

データの移し変えも無事にすみました。あと、願わくば、更新スピードを上げられれば言うこと無しなんですが…上手くいかないですね。

 

最後に、本編では、曹操が動き出します。どのような展開に…いや、どのような滅ぼし方になるんでしょう?お楽しみに。

 

それでは、また。

説明
2ヶ月ばかりのご無沙汰です。
駄文ではありますが、温かい目で見てください。

それでは、どうぞ。
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コメント
…この最後の投稿から、既に一年二ヶ月余りか…。気に入ってる作品だったが、残念ながらこの外史も最早ここまでか…。(クラスター・ジャドウ)
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