ルカ：“発進”、“浮上”、“着陸”、“右旋回”、“左旋回”、“回避”、“バック”、他の多彩な動きは、あなたの感じたココロの中身を「ココロ」のきのこオーブが読みとって、戦闘艦に直接フィードバックするようになっているの。だから、あなたは頭の中に入ってくる戦闘艦のイメージを、ココロで動かせばいいのよ。それを、手で触れているきのこオーブが直接か、接触しているシートが読みとって“きのこオーブ”に伝達するかで、戦闘艦を動かしてくれるの

レン：ココロって、僕は訓練されてないから、戦闘中の恐怖、雑念、妄想だってありますよ！？

ルカ：それは大丈夫。脳波の波形から、戦闘艦の操縦に関係しないものはオミットされるから。それに私たちコパイロットが副操縦しているから安心してね。・・・そうそう、あなたはもう１つ、武器も操作する事になるから

レン：え゛！

ルカ：オールレンジ攻撃が出来る、遠隔操作型エネルギービットタイプのムラサメブレードよ。これは貴方の意志を感じ取るだけで、自動操縦される事になるの。“攻撃しろ”、“戦闘艦を護衛しろ”、“突撃しろ”等のあなたの考えを「ココロ」のきのこオーブが読みとって、ムラサメブレードに情報を送り、自動的に行動してくれるわ

レン：ちょ・・・超能力者じゃあるまいし・・・・む・・・無茶苦茶だ・・・・

ルカ：大丈夫、人類でたった一人の“きのこオーブに選ばれた男の子”、あなたなら出来るわ

レン：ここまで来たら、“ダメです“、は通用しないから、やってみますよ。メイコ警部だってミク君だってやるんだから

リン：私たちもサポートするから大丈夫だって！

メイコ警部：ところで１つ大事なことを訊いていいかな？　その“時空戦闘艦”、今、どこにあるの？

ルカ：私たちの時代、６６６６年の地下基地にあるわ

メイコ警部：ちょ・・・まさか、私たち３人も、その６６６６年に行くの？

リン：言いたいことはわかります。タイムトラベルの禁忌“今の時代より先には行くな”を破る事ですよね

レン：というか技術的に“今より先にはタイムトラベル出来ない”から、そんなこと、そもそも出来ないんだけどね

メイコ警部：しかし、ルカさん達と同行することで、それが出来てしまう

メイコ警部：・・・・これはタイムトラベルの誰も破ることが出来ない規約の違反になるけど、もう、最後までつきあうわ

ルカ：ありがとう。私たちもあなた達がこっちに来ることで重大なパラドックスが起きないように、慎重にやっているの。これまでも同等品とすり替える事で、歴史が変わらないようにしてきましたし

リン：そこら辺は安心して

カイト：・・・・ちょっといいですか、皆さん。僕たちの時代の状態をちょっと調べたんですが、宇宙人のメインコンピューター“プリマ”が積んである“母艦”の艦隊が、僕たちの地下基地へ向かってます。上から総攻撃を喰らったら、地下に待機してある“アン”がヤバイです！

レン：もう時間がない、ということですね

ルカ：細かい持ち物はタイムトンネルで繋がっているレン君のカバンから取り出せるから安心してね。とにかく私たちについてきて下さい。基地できのこオーブを装着して、戦闘艦の起動準備をします！

メイコ警部は、自分の電子銃を手にとって眺めた。

メイコ警部：（相棒・・・、一度も撃つことがないと思っていたけど、ちょっとだけ貴方の力、借りると思う）

ミクはネギブレードを１本持っていくことにした

ミク：（ミク・・・また、あなたの力・・・借りるミク）

レンは例のカバンをテーブルの上に置いた。

レン：皆さん、もう時間がないです。僕たちの遠い子孫のため、そして、僕たちがこの時代までに作った“ツケ”の清算のため、行きます！！！！

全員：おお！！！

全員、カイトの懐中時計から広がったタイムトンネルに入り、レン達は初めて通ることになる“未来へのルート”に踏み入れた

（６６６６年・地下基地・司令室）

ヒューーーーン

レン：こ・・・・ここが、未来の地球・・・・

そこは金属で覆われた、とても人間味のあるとは言えない、機械的な大部屋だった。

ルカ：外の光景を生で見るとショック受けるから、これからすぐにドックに向かいます

メイコ警部：わかったわ。あの陥落した世界警察本部の映像ですら、かなりショックだったからね

一行はそのまま通路を通り抜け、ドックに到着した。

（６６６６年・地下基地・ドック）

一行の眼前には、巨大な戦闘艦が佇んでいた。

レン：こ・・・これが時空戦闘艦“スウィート・アン”・・・・

ルカ：６つのきのこオーブを装着する事で、起動するようになっているわ

全員、乗車用ハッチの前に来た。

ルカ：レン君、このセンサーに手をかざしてみてね

レンは四角いセンサーの前に手をかざしてみた。

センサー：「オーパーツ所持者」確認。これより閉鎖していた全区画を開放します

そういうと、戦闘艦の乗車ハッチが開き、戦闘艦の保安用ランプが点灯し、補助外部エンジンが作動して、まさに戦闘艦が“始動”したのを感じた。

ルカ：私たちが出た後、誰にも入られないように、レン君の情報をセンサーにインプットしておいたの

メイコ警部：さすが・・・・

全員が乗車ハッチから中に入り、操縦エリアに到着した。

ルカ：先頭部分、前に黄色い大きめの宝珠が設置されているメインコクピットがレン君のエリア。右側のレーダーパネルがある所がリンちゃんのエリア。左側のタイムトラベル計測モニターがある所がカイトのエリア。後方の右側、中型の銃が置かれている所がメイコ警部が操作するエリア。後方左側、センサー付き竹刀が置かれているのがミクさんのエリア。後方中央のCOMP対応の席が私

リン：そして中央の丸いパネルのさらに中央がローラさんの席で、その周りにある４つのくぼみに、集めた物品をはめるの。するとそれぞれの隣にある空のきのこオーブにエネルギーが充填していくのよ。レン君が最後にシートに座る事以外は特に順番はないわ

レン：ルカさん、お願いします

ルカ：ええ、行くわ。まずは、賢者の石ね

鉱石の形に窪んだエリアに、ルカは賢者の石を設置した。すると、隣の空のきのこオーブに青いエネルギーが充填していった。そして満タンになると、なにやら声が聞こえてきた。

アン：「思考」のきのこオーブ、エネルギー充填完了。メインコンピューターのスウィート・アンです。お待ちしておりました。これよりシステムと装置のチェックを行います

アン：システム検査・・・・・・・・・・・・・問題なし

アン：クルーの登録・・・・・・・・・・・・・問題なし

アン：レーダー装置の検査・・・・・・・・・・問題なし

アン：タイムトラベル装置の検査・・・・・・・問題なし

アン：機動兵器、武装類の検査・・・・・・・・問題なし

アン：エンジンへのエネルギーバイパス検査・・問題なし

アン：動力システム検査・・・・・・・・・・・問題なし

アン：姿勢制御検査・・・・・・・・・・・・・問題なし

アン：オールグリーンです。これより起動します

すると、操縦エリアの全ランプとモニターが起動し、明るくなった。

アン：では次に、竜の卵を設置して下さい

ルカは、先ほどの隣のくぼみに竜の卵を設置した。すると隣の空のきのこオーブに無色透明のエネルギーが充填した。

アン：「守護」のきのこオーブ、エネルギー充填完了。これより主動力を補助からメインに切り替えます

フィーーーーーーーーーーン！

アン：メインエンジン始動

アン：サブエンジン始動

アン：各アクチュエーター始動

アン：各武装始動

アン：タイムトラベル装置、システム始動

アン：検査・・・・・・・・・・・・・・・・・問題なし

アン：オールグリーンです

ミク：ミクッ！　なんか戦闘艦が生きているみたいになったミク！

ルカ：まさにその言葉通りよ。命が吹き込まれたの

アン：では次に、ローラを着席させてください。エネルギー循環経路を確保します

ローラ：はい

ローラはゆっくりと、シートに着席した。シートが接触センサーになっているのか、その後ろに設置された、空のきのこオーブに赤いエネルギーが充填した。

アン：「生命」のきのこオーブ、エネルギー充填完了。これよりエネルギー循環経路を確立します

ウィーーーーーーーーーーーン！

アン：使用エネルギーの循環率、１０％・・・・５０％・・・・８０％・・・・１００％

アン：循環経路安定化率、２０％・・・・５０％・・・・９０％・・・・１００％

アン：各機関への循環率、１０％・・・３０％・・・５０％・・・８０％・・・１００％

アン：オールグリーンです

ルカ：これでこの戦闘艦は半永久の航行能力を持つことになったわ

アン：では次に、スタールビーの指輪を設置して下さい

ルカは、指輪型のくぼみに、スタールビーの指輪を設置した。同じく隣の空のきのこオーブに濃赤色のエネルギーが充填した。

アン：「動力」のきのこオーブ、エネルギー充填完了。これよりスタールビーキャノンの準備を行います

ガッシャン、ガッシャン、キーーーーーーン！

アン：連続砲撃装置・・・・・・・・・・・問題なし

アン：砲撃装置回転台・・・・・・・・・・問題なし

アン：砲撃エネルギー安定化装置・・・・・問題なし

アン：クーラント安定化検査・・・・・・・問題なし

アン：砲撃コントローラーとの同調率・・・問題なし

アン：オールグリーンです

アン：スタールビーキャノンへのエネルギー伝達経路及び動作確認、終了致しました。次は、妖刀村雨を設置して下さい

ルカは、日本刀型のくぼみに、妖刀村雨を設置した。同じく隣の空のきのこオーブに緑色のエネルギーが充填した。

アン：「技巧」のきのこオーブ、エネルギー充填完了。これより、機動兵器“ハチュネ”、機動兵器携行武器“ムラサメブレード”、本艦武装“エネルギービット型ムラサメブレード”にエネルギーを送ります

アン：ハチュネ、始動

戦闘艦のハンガーに格納されていた機動兵器“ハチュネ”のツインアイが緑に光った。

ビコーーーーン！

アン：ムラサメブレード、始動

次にハチュネが右手に携行していたソードの柄から先にネギ型の緑の刃が現れた。

ブーーーーーン！

アン：エネルギービット型ムラサメブレード、１０機、始動

最後に、戦艦腹部に格納されていた１０機の小型ムラサメブレードのメインエンジンが動きだし、センサー部分が黄色く光った。

ビーーーン！

アン：機動兵器及び武器、正常稼動です。最後に、メインコクピットに鏡音レンを着席させてください

ルカ：さあ、最後は貴方の出番よ。あのコクピットに座ってね

レン：パイロットスーツとかはいいんですか？

ルカ：体をそのままスキャンするから大丈夫よ

レン：じゃあ、行きます！

レンは前面に空のきのこオーブがある、コクピットにゆっくりと座った。

ヒューーーーーーン！

レン：うわ！　空の器に黄色いエネルギーが溜まっていく！

アン：・・・「ココロ」のきのこオーブ、エネルギー充填完了。各装置と鏡音レンとの連動完了。これにて本艦の起動準備完了です。他の全員は、持ち場に着いて下さい

ローラとレン以外のメンツは、前に言われた所に移動した。