真・恋姫?無双 帰って来た者 二十話
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一刀が去った後魏の国内では魏の将が……いや、将だけでは無い。

魏の地に生きる民達全てが泣いた。

一刀が居なくなった時のやり取りは公表されたが魏の民達は一刀は戦に大きな戦いに巻き込まれており自分の愛する者を巻き込みたく無かったから出て行った。

そう城に直訴した者も出た。

無論魏の将達もそれは分かっている。

だが、魏の武将達は悔しいのだ。

自分達がもっと強ければ一刀と共に戦えた……

魏の軍師達も悔しいがっていた。

何故引きとめられなかったのかと……

それは魏の王である華琳も同じことであった。

 

「一刀……」

 

誰かがそう呟いた。

それは仕方のないこと。

魏の国において一刀は太陽の様な存在。

それが居なくなったのだ。

 

「一刀のことはどうするの?」

 

彼女は美咲が襲撃してきてからもしかしたらこんなことになるのではないかと思っていた。

根拠は全くなかっかた。ただの勘だった。それでも絶対にその勘は当たる根拠はあった。

そしてその勘が当たると思った根拠が出来たのは雪蓮が一刀に『呉の女を抱け』と言った時に

一刀が言った解答だ。あの回答で勘は絶対に当たると確信した。

だからこそ、一刀が居なくなった後の魏を何とか支える為に魏に残る決断をした。

雪蓮は確かに一刀を気に入ったが残った理由は魏の為だという理由が一番である。

雪蓮は恋に残った理由を聞いたが恋も雪蓮と同じような理由であった。

 

「「「………」」」

 

その問いに魏の将達は答えられない。

どうせ追って行っても一刀は自分達を拒絶する。

一刀の性格からそれは分かっていた。

 

「だんまり?」

 

いつもならばその質問で春蘭が怒鳴るのだが春蘭も一刀が居なくなったことにより

怒鳴る気力を無くしている。

 

「(こりゃぁ、余程の重傷ね……

まぁ、こうなることは分かってたけど)」

 

そう思ってどうしようか考えていると玉座の間が開いて一人の兵が入って来た。

 

「た、大変です!」

 

その言葉に秋蘭が何とか意識を取り戻し対応した。

 

「どうしたのだ?」

 

言葉こそキチンとしていたがその言葉に覇気は無かった。

だが、次の兵士の言葉により玉座の間は驚愕の表情で染まることになる。

 

「五胡がここに向かって攻め込んできています!

その数百万とのこと!」

 

「「「!?」」」

 

「国境付近の城は!?」

 

「既に落ちたそうです!」

 

「っ!」

 

今ここに居る兵数は三十万。

対する五胡の兵数は百万。

兵数の差は圧倒的。

それに加え一刀が居なくなって武将の士気は下がっている。

これ程不味い状況は無い。

武将の士気の低下は一般兵にも伝わる。

そしてその結果は言うまでも無く……敗北……

その二文字が頭に浮かんだ時既に華琳は叫んでいた。

 

「春蘭!秋蘭!今は一刀が居ないけれど一刀が帰って来た時の為にここは死守するわよ!

何故ならここは……!」

 

『天の御遣い』北郷一刀の帰るべき場所なのだから!

 

と……

その言葉でその場に居た将達は全員目が覚めた。

軍師は一刀のことをあれだけ悪く言っていた桂花が

 

「風!凛!今すぐ蜀と呉に連絡を取るわよ!

もし攻撃を仕掛けられているのが魏だけならば援軍を頼むわよ!」

 

「はいです〜」

 

「もし蜀と呉にも仕掛けられていたらどうしますか?」

 

「その時のことを考えるのが私達の役目よ!

急ぐわよ!」

 

武将では一刀と最も付き合いの長い春蘭と秋蘭が指揮を執った。

 

「今すぐ兵の装備と糧食の確認をしろ!

すぐにだ!一刻(二時間)も掛けるな!

出来る限り早くしろ!」

 

「姉者の言う通りだ!急がせろ!」

 

「はっ!」

 

今この場に居る者の思いは何だ?

そう聞かれたらまずこの場に居る者は即答してこう答えるだろう。

 

『一刀が帰る為の場所を死んでも守る!』

 

この場を見ていた雪蓮はこう思っていた。

 

「(北郷一刀……華琳が名前を使っただけでこれだけ魏の面子の士気が上がるなんてねぇ……

ますます呉に欲しくなちゃった♪)」

 

だが、雪蓮の思っているようなことは絶対に起こり得ない。

もし一刀を手に入れたいのであればそれこそ呉を魏に併合させるしか方法は無い。

いや、それでも一刀と言う存在を手に入れられるかは分からない。

何故なら北郷一刀は覇王曹孟徳さえも自由に操ることは不可能だったのだから……

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しばらく経って啓雅の天幕

 

「敵部隊、展開した様です」

 

「そうか……一刀が消えた後に攻撃するとか何か卑怯だけどなぁ……」

 

一刀が消えたと言う情報は解放軍にも伝わっていた。

それを襲撃して一刀の帰る場所を消して連れて帰る。

于吉はそう言う作戦を提案した。

啓雅は一刀を連れて帰る為ならばとその作戦を採用した。

だが、いくら目的の為ならば何でもする解放軍でも心が苦しくない訳ではない。

解放軍の居た世界でも一刀の名前を利用することは確かに啓雅の策ではあったが啓雅も心が苦しかった。

目的の為ならばいくら心を痛めるその姿に解放軍のメンバーは心打たれたのだ。

 

「嫌ですか?今の魏を攻めるのが」

 

そう聞いたのは『解放軍工作隊隊長 斎藤 沙紀』

解放軍の中で啓雅の心を一番に理解している。

言うならば彼女は啓雅の相談役だ。

 

「お前に嘘は付けないなぁ……」

 

啓雅は頭を掻きながらこう続けた。

 

「ああ、戦力が圧倒的に違う上に士気はこっちの方が上だ。

あっちに勝てる要素なんてねぇ。

それなのに攻めなくちゃならねぇ……

何か嫌なんだよなぁ……

正々堂々とやりたいっていうか……

何と言うか……」

 

それを聞いた先は啓雅を抱きしめた。

啓雅はいきなりのことで顔を赤くする。

 

「お、おい!?何やってんだよ!?」

 

「啓雅、あなたを傷つけるのはその優しさです。

いくら傷つこうとも誰にも心配させないようにその傷を絶対に隠す……

私の前ではそんなことはしないでください。

傷を見せてください。私は出来る限りその傷を癒します」

 

それを聞いた啓雅は沙紀を抱き返した。

そして、少し経って二人は離れた。

啓雅は立って天幕から出てこう号令した。

 

「今回の戦闘を成功させれば一刀を連れて帰りやすくなる!

だが、俺達の前には幾つもの障害があるだろう!

恐れるなとは言わない!恐れるのは当たり前だ!

だが、忘れるな!俺達は俺達の元にあった天を取り戻しに行くんだ!

全軍、突撃!」

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』

 

その号令の元、解放軍の兵士達は突撃を開始した。

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華琳達の本陣

 

「華琳様、敵が突撃を開始しました!」

 

「そう……」

 

華琳は一刀が魏から出ていく時のことを思い出していた。

華琳は確かに見たのだ。

去って行く時に一刀の顔に流れる物があったのを。

一刀があんなことを言って平気である様な男ではない。

何故なら一刀はあまりにも優し過ぎるのだから……

 

「桂花、一つ聞かせて頂戴」

 

「どうぞ」

 

その質問はいつもの桂花ならば絶対に肯定しない質問であった。

だが、もしかしたら……そう思って華琳は聞いたのだ。

 

「あなた、一刀のことは好き?」

 

と、

彼女の男嫌いは彼女を知っている者ならば誰でも知っている。

本来ならばそんな質問などする必要が無いのだ。

だが、先程の号令の際に軍師の中で一番に反応したのは桂花。

だから、華琳は聞いたのだ。

その問いに桂花は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、黙って頷いた。

 

「そう……」

 

桂花が一刀のことを好きであると気が付いたのは一刀が消えてからであった。

一刀が消えた後一人になったとき桂花は泣いたのだ。

桂花は最初は何で自分が泣いているのか分からなかったが泣いている間に一刀と過ごした記憶が蘇っていた。

何度罵っても一刀は笑顔だった。怒ることは絶対に無かった。

そんな一刀に桂花はいつからか惚れていた。

一刀が帰って来た時桂花は本当に嬉しかった。

自分の思いを打ち明けることは出来なくてもまたあの笑顔を見ることができる……

桂花はそう思った。

 

「ならば、一刀が帰って来るための場所を絶対に守らなくてはね」

 

「はい」

 

桂花がそう返事をしたのを聞いて華琳はこう号令した。

 

「曹魏の精兵達よ!今この魏の地に五胡の蛮族達が攻めてこんできた!

敵と我等の数の差は圧倒的だ!更に皆天の御遣いである北郷一刀が消えたことにより

動揺しているだろう!だが!北郷一刀はここにまた戻って来る!

その時彼が見るのは我等が五胡の蛮族を撃退し堂々と立っている姿である!

北郷一刀に負けている姿など見せるな!そして忘れるな!

天は常に我等のすぐ傍にある!

全軍、突撃!」

 

『うおぉぉぉぉぉぉっ!』

 

二つの軍はまだ知らない。

すぐ傍に彼等が望んでいる天がすぐ傍にやってきていることに……

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後書き

 

いや〜こんな風に書くとどうなるのかな?

って思って今回はこんな風に書きました。

さて次回はようやく一刀の出番です。

もしかしたら及川の活躍もあるかもしれません。

では、また次回です。

説明
こんにちわ〜
今回は全くストーリーが進んでいません。
それでも読んでくださると嬉しいです。
では、始まり〜
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コメント
桂花もついにデレたか(VVV計画の被験者)
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