真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 合間20 |
「ふむふむ、なるほど……」
私は今、道沿いにある店の屋外に設置された席に座り、お茶を楽しみながらある本を読んでいます。
本の名前は『阿蘇阿蘇』、魏を中心に広まっている、主に女性を対象にした情報が載っている本です。
この本は出版元の魏はもちろん、呉に蜀にと、流行に敏感な女性に大変人気が出ています。
今私が呼んでいるものも、城の侍女がおもしろいと貸してくれたものです。
読んでみるとなかなか興味深く、最新の服の着こなし方や、肌の手入れなどが書かれています。
「米のとぎ汁で顔を洗うと良い…本当ですかね……ん?」
私はある記事の所で手を止めました。
その記事の見出しは『意中の彼と結婚する方法』と言ったものでした。
意中の彼……そう口の中でつぶやき、ひとつため息を吐きます。
私には好きな人がいます。その方は、この国の王である孫権様です。
私が一刀様と出会ったのは、もうずいぶんまえの様な気がします。
当時、水鏡塾を卒業した私は、仕える君主を見つけるべく旅に出ました。
いろんな国を周りましたが、いまいちしっくり来る方を見つけることが出来ず、一度塾に戻ろうかと考えていた時でした。
ここで駄目だったら戻ろうと思い訪れたのが、当時孫堅様が治めていた呉でした。
江東の虎と恐れられた孫堅様、ですがそのお顔はとてもお優しくお綺麗な方でした。
しかしその体にまとった雰囲気と言いますか気と言いますか、その存在は王と呼ばれるにふさわしいものを感じたのも事実。
この方ならと思い、私は孫堅様に士官することを決めました。
その後、城を案内され、最後に私の子供たちよと孫堅様に紹介されたのが孫策様と孫権様、そして尚香様でした。
一礼した後、顔を上げると、笑顔の孫権様と目が合いました。
その時私は雷に打たれたような、そんな感覚に陥りました。
一目惚れでした。
今まで女の子しか入ることのできない水鏡塾でずっと過ごしていたので、男の子にあまり免疫が無かった私ですが、一刀様と目があった瞬間、体が熱くなるのを感じました。
孫堅様は「歳も近いし、子供達とも仲良くしてね」といった様な事を仰っていたような気がしますが、その時の私は呆けていて、ほとんど外の音が耳に入って来ませんでした。
今ではもうありませんが、士官したばかりの頃は孫権様と顔を会わすたびにボーっとしてしまい、良く失敗もしました。
そんな懐かしい事を思い出しながら、自分の部屋に戻った私は、本棚から本を取り出し読書をして過ごすことにしました。
しばらくすると扉の外から呼ぶ声が聞こえました。
「茶々、少しいいかい?」
「一刀様?なんでしょうか」
私は急ぎ読んでいた本を棚に押し込むと、少し乱れた息を軽く整えた後、扉を開け一刀様を迎えました。
「どうかされましたか?」
「ああ、少しこの案件で聞きたいことが…」
手に持っていた竹簡を指さしながら、案件について質問をしてきました。
「…これがこうなって、それによりこれをこうするのです」
「ああ、なるほど。分かったよ、ありがとうね。ごめんね、今日は休みなのに」
「いえいえ、他に問題はございませんか?」
一刀様は大丈夫だよと返し、部屋を出ようとしました。
その時です、床に転がっていた竹簡を一刀様が踏んでしまい、大きく姿勢を崩してしまいました。
「うおっ!?」
「一刀様!っきゃっ!」
こちらに勢い良く倒れこんできた一刀様は、私に覆いかぶさる形となりました。
「っ!?ごめん!すぐにどくから」
その時、さっき読んでいた阿蘇阿蘇の記事を思い出しました。
意中の彼を振り向かせるには、
「…最終手段は強攻策も辞さない……」
「え?」
覚悟を決めた私は、離れようとする一刀様の背中に手をまわし、力いっぱい抱きつきます。
「ちょ、ちょっと!?どうしたの?」
しかし、いざ行動に移しましたが、一体この後どうすれば良いのか……
「そのー…そんなにひっつかれるとどくことができないんだけど……」
「…嫌ですか?私のような面白みの無い女にひっつかれても……」
私の様な者が一国の王である一刀様となんて恐れ多い、そう思い腕の力を緩めた。
「そんなこと無いよ。茶々はとても魅力的だよ」
はっと顔を上げると、そこには初めてあった時と同じ笑顔をした一刀様の顔があった。
「本当、ですか」
「ああ、本当だよ。だからそんな風に自分を悪く言うのはやめてくれ」
いつの間にかこぼれ落ちた涙を、一刀様は優しく拭ってくださった。
「……では、私を抱いて下さい!」
「え゛!?」
「私のことを魅力的だとおっしゃいました。それならば!」
「いやいやいや!ちょっとまって!いきなり何故?」
「いきなりではありません。初めてあった時からずっと好きだったのです」
恥ずかしさのあまり、抱きつく腕に力を再び込め、一刀様の胸に顔を押し当てる形で告白しました。
「そう、なのか…」
「はい……」
お互いに気まずい沈黙が続きます、しかしいつまでもこのままではいけません。
「…それで、どうなのですか?」
「あ、うん…その、本当に俺で良いの」
「一刀様が良いんです。一刀様でなければいけないのです」
一刀様が複数の方と関係を持っているのは知っています。
けれども王の身分としてそれは当たり前、英雄色を好む、ではありませんが一刀様は不思議とひとを惹きつける雰囲気を持っているのです。
「一刀様が気が多いのは知っています。でも、それで後ろめたさを感じる必要はありません。皆を愛すれば良いのです。貴方ならそれが出来ます。……その中に、どうか私も加えて下さい」
目をつぶり、一刀様に顔を近づけます。
少し待つと、唇に柔らかい感触が伝わります。
「これからもよろしくね、茶々」
こうして私の一世一代の告白は成功したのです。
このあとどうなったかって?それは私と一刀様、2人の秘密です。
ということで、今回は諸葛謹こと茶々の拠点でした。
ここで年齢の話ですが、作者的には
冥琳=雪蓮>茶々≧一刀
と考えています。
実際は
諸葛謹>孫策=周瑜>孫権
なのですが、茶々はクラスの委員長のイメージなので雪蓮達より年下にしました。
説明 | ||
まだまだ無双状態は続くぜ! 今回はあまり活躍がない茶々の拠点です。 ではどうぞ! |
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コメント | ||
てか・・・・・この孫権なら赤壁で華琳口説いて決着!!ってあるかもw(shirou) 種馬のターンは続く。死する時まで。(IFZ) 一人1話ペースだと結構かかるね(yosi) >アルヤ様 とりあえず呉の面子は全員…(lovegtr) いつまで種馬のターンだよwww(アルヤ) |
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真・恋姫†無双 孫権 一刀 諸葛謹 茶々 | ||
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