恋姫外史アナザー・とりあえず一刀第二十五話 |
「ん〜・・・今日はどうしよっかな〜〜」
廊下を歩きながらそんな事を言う小蓮。
・・・まあ、結局やる事は、
「うん!一刀と遊びに行こう!」
だいたいこれである。
ちなみに一刀と遊びに出かける回数が最も多いのは小蓮だったりする。
小蓮が積極的に誘う事も要因の一つだが、一刀から誘う事も珍しくないからだ。
ちなみに二番目は華雄、三番目は恋。
白蓮は・・・七番目くらいか?
まあそんな訳で、一刀を探して城内をうろつく小蓮。
ほどなくして一刀はみつかったのだが・・・
「・・・・・・」
一刀は珍しく不機嫌そうな顔をしていた。
「か〜ずと!」
それでもいつもの調子で声をかける小蓮。
「・・・ああ、シャオか」
「どうかしたの?」
「ん〜、ちょっとな」
頭をかきながらそう言う一刀。
「ねえ、暇なら一緒に出かけようよ」
「・・・悪い。今日はそういう気分じゃねえんだ。また誘ってくれ」
「う、うん・・・」
そして一刀は自分の部屋のほうへ歩いていった。
「何かあったのかなあ?」
疑問に思った小蓮。
いつも断るなら仕事など、ちゃんと理由を言ってくれるのだが今日に限ってそうではなかった。
それが気になったのである。
結局、気になった小蓮は城内で聞き込みをした。
そして、
「・・・多分、あれだな」
執務室で仕事をしていた白蓮がそう言った。
「何?心当たりあるの?」
小蓮が身を乗り出して聞いてきた。
「あ、ああ・・・」
その迫力に押され、白蓮は話し始めた・・・
本日、一刀に面会の予定があった。
相手は地方の領主である。
統治の不備、賄賂の受け取りなど、正直あまり良い噂を聞かない男であった。
「何でそんなのと会わないといけないんだよ」
「仕方ないだろ?あっちはちゃんとした手順を踏んで、予定もこっちで決めたんだから」
白蓮がたしなめるように言う。
「っていうか、何でそんな噂があるのを領主にしてんだ?」
「ん〜・・・代々領主をやってるんだよ。あそこの家は」
「家でとかそんなもん辞めちまえ」
「そんなにすぐには出来ないって・・・」
そんな訳で、しぶしぶ謁見の間にて
領主を見下ろす一刀。
壮年の良く太った男である。
その横には、少しきつい目をした一人の女性がいた。
年齢は二十前後と言った所か?
「北郷様、お会いできて光栄です」
「そうかい、それで今日はなんの用で俺に?」
少々投げやりに言う一刀。
「はい、実は・・・」
「ああ」
「私の横にいるのは、私の実の娘なのですが・・・」
「はいはい」
「この子を一刀様のお側に置いていただきたいのです」
・・・・・・・・
「はぁ?」
一刀は「いきなり何を言い出すんだこのオヤジは?」とでもいわんばかりにそう言った。
白蓮も目が点になっている。
「どうでしょう?親の私が言うのも何ですが、器量は良い娘だと思いますが・・・」
へこへこしながらそう言う男。
「・・・何?娘さんがそう望んでるのかい?」
「勿論です!なあ?」
男が娘へ声をかける。
「はい、勿論ですわ」
即答する娘。
「ん〜・・・でもなあ。正直もう俺に女はいるし・・・」
白蓮の他、華雄や小蓮などを頭に浮かべる一刀。
だいたい、二人の顔からして、自分たちの地位向上のためと言う考えが見え見えである。
「まあそう言わずに」
しつこく食い下がってくる男。
「だいたい何で俺なんだ?自分たちの地位の安泰の為だとか言ったら怒るぞ?」
感じたままストレートに言う一刀。
まさかそんなに率直に言われるとは思わなかったのか、男は慌てた。
「ま、まさか!ワタクシ共はそのような真似はいたしません!」
「本当か?」
「はい!呉のような政略結婚など・・・」
・・・・・・・・
「今、何と申された?」
急に口調が変わった一刀。
白蓮があちゃ〜、と顔に手をやる。
「は?ですから、そのような真似は・・・」
「その後です」
「ええと、呉のような・・・」
「それは小蓮の事を言っておられるのか?」
一刀がそのままの口調で訊ねた。
「は、はい。国の上同士の結婚など政略結婚以外の何者でもないでしょう?例え表では良い関係のようでも、裏では何を考えているか分かったものでは・・・」
どうやらこの男は、小蓮を選んだのは一刀自身だと言う事を知らなかったらしい。
「聞きましたか?白蓮。この方は小蓮を政略結婚で私の所に来たと言っておられますよ?」
笑顔で白蓮に言う一刀。
その笑顔に空恐ろしい者を感じた白蓮。
「一つ、教えておいてあげましょう」
「は?」
一刀の言葉に、発言を止める男。
「貴方がどう聞いているか知りませんが、小蓮を婚約者として選んだのはこの私自身です」
「・・・!!」
その発言に顔が真っ青になる男。
横の娘も目を剥いた。
パチン!
一刀が指を鳴らすと、側に控えていた兵二人が親子の元へ行き、その腕を掴んだ。
「用件は終わりです。二人には丁重にお帰りいただいてください」
「「ハッ!」」
兵士は二人を無理やり立たせる。
「ほ、北郷様!どうかお許しを!!」
必死に懇願する男、しかし一刀の次の言葉は
「心配しなくても、命を取ったりはしませんよ。ただ、地位と財産は全て没収。一生そこらの農民として生きていただきますがね・・・」
「!!ほ、北郷様〜〜〜〜・・・・・・」
叫びも空しく、二人は兵士達に連れて行かれた。
「・・・白蓮」
「な、何だ!?」
急に呼ばれてビクッ!とする白蓮。
「・・・あの記憶から消してしまいたいオッサンの後釜、決めるようにしといてくれ」
「あ、ああ・・・」
いつもの口調に戻った一刀に、少し安堵する白蓮。
「俺は、少し休む・・・」
そう言って、一刀は謁見の間を出て行った・・・
「とまあ、そんな事があったんだよ」
「・・・・・・」
小蓮は黙って聞いていた。
「・・・ちょっと妬けたかな」
「え?」
「だって、自分の女の事でキレる一刀は何度も見てきたけど、あんなキレ方したのは初めてだったんだぞ?本当に大事に思われてるんだなって思ってさ・・・」
白蓮は苦笑いしてそう言った。
「そうかな?」
「多分な」
それを聞いて小蓮は立ち上がり、
「話聞かせてくれてありがと!」
そう言ってピューッ!と部屋を出て行った。
残された白蓮は
「・・・私ももう少し目に見える形で構って欲しいなあ・・・」
などと呟くのだった・・・
「一刀〜〜!!」
バン!と一刀の部屋の扉を開ける小蓮。
「何だあ?」
そして寝台に横になっている一刀を見つけると
「えい!」
そのまま一刀へダイブした。
「げふう!」
勢いがつきすぎ、うめく一刀。
「ど、どうした?シャオ?」
「今日の謁見の事聞いたんだけど」
「・・・ああ、あれか」
とっとと忘れたいと言わんばかりに不機嫌な顔をする一刀。
「凄い怒り方だったんだって?」
「・・・まあな」
「それって、相手がシャオだったから?」
「当たり前だろ?俺が選んだ女をあんな言い方されて、キレなかったら男じゃねえ」
はっきりと言い切った一刀。
「・・・んふふ〜〜」
小蓮はそのまま甘えるように一刀に抱きついた。
「嬉しそうだな?すっかりシャオもカンカンに怒るもんだと思ってたけどな」
意外そうに言う一刀。
「うん。話聞いたときはイライラしたけど、十分な罰は受けたみたいだし、一刀の愛の深さが分かったから・・・」
そう言って更に密着してくる小蓮。
「ねえ、一刀〜〜」
「ん?」
「シャオもそろそろ、一刀の女にしてくれない?」
甘えた声でそう言う小蓮。
そう、小蓮はいまだ一刀に抱かれていなかったのだ。
「ん〜・・・今じゃないと駄目か?」
「どういう事?」
「いや、シャオはまだ準備が整っていないんじゃないかと・・・主に体の」
「・・・それって、シャオがちっこいから興奮しないって意味?」
ムスッとする小蓮。
「そうじゃなくて、かなり無理させる事になるんじゃないかと・・・」
「心配してくれるのは嬉しいけど、女が覚悟決めて言ってるんだから」
「・・・男なら応えろって事か?」
「うん」
こくりと頷く小蓮。
「・・・分かった。なるべく優しくするが、無理するなよ?」
「嫌。無理してでもちゃんと抱かれたい」
「そうかい。途中でやめてと言っても止めないからな」
「うん!」
体勢をひっくり返し、小蓮にのしかかっていく一刀。
こうして
その日二人は
初めて結ばれたのだった・・・
どうも、アキナスです。
犠牲者四人目はシャオです。
何か優遇しすぎかな?とか思ってるんですけど、何故かそう書きたくなってしまうんですよね・・・
圧倒的存在感(私の中で)・・・シャオ!恐ろしい娘!!
そんな訳で次回に・・・
「リーダー波ーーっ!!」
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キレてな〜い? | ||
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コメント | ||
確かにシャオの存在感は異常ww(ボンちゃん) 前髪がうぜぇ・・・(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ) いいね、こういうのm(ry(patishin) ↓世紀末リーダー伝たけしなら完結しましたよ。スーパージャンプからで全巻出てます。(きの) たけし。スーパージャンプで一時期やっていたが、どうなんたんやろ? 最終決戦が気になる。(IFZ) たしか作者がリアルで小蓮みたいな子と援助交際をげふんげふん。白蓮に向かって他所の勢力が影薄いとか言ってもキレてくれるってw(shirou) たけしばあちゃんは最高でした!?(劉邦柾棟) |
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