【腐向け】ご本にお邪魔しました!【spark6】
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 時は戦国。

 長く続いた戦乱の織豊時代は終りを告げ、日ノ本は平穏な日常を取り戻したかのように見えた。だが、その平和も束の間……時代の波は、大きなうねりを伴って各地へと押し寄せていた。

 西は石田、東は徳川に分たれ、互いに己が正義を掲げ、関ヶ原の地にて刃を交えようとしている。いろいろな思惑を胸に、その地へと向かっていく。

 ここ瀬戸海をたゆたう船も、緩やかに東を目指している。船の向かう先は、大坂。その先にある関ヶ原、であった。

 今は長曾我部のみならず、本来であればここに居る筈もない、中国の毛利も同行していた。少し前までは、瀬戸海を挟んで睨みあっていた国主同士であったが、ひょんなことから一緒の船に乗り合わせることとなった。

 そうなった経緯を語りだせば長くなる為、ここでは割愛させて頂き、皆様ご自身のご想像にお任せしたいと思う。

 夜のしじま。

 ざん……波の音だけが微かに聞こえる。岩礁に縄をかけ、船を停泊させている。

 夜番の者でさえ、こくりと船を漕ぎはじめるだろう深い夜。天上を彩る淡く輝くぷくりとふくれた夜の女王でさえ、西へと還ろうとしている頃合である。いくら航行に慣れており、荒れる海など恐るるに足らぬという長曾我部軍とて、月明かりのみを頼りに海上を辿ることなど愚策でしかないと理解している。そのうえ、こんな夜更けに海上を動く者もそうそうおらず、更に、長曾我部の船と知って手を出す者もいない。現在、海でいちばん安全な砦とも云えるだろう。

 そんな皆が寝静まった船内で、異様な雰囲気を醸し出している一角があった。船員の目にはあまり止まらない、奥まった場所である。そこでは、ふたりだけの熱い戦いの火蓋が、切って落とされようとしている。

 長曾我部の船は非常に大きく、見る者を圧倒する様相である。先頭には己の二つ名である鬼の面、併せて、大筒を二本搭載している。長曾我部軍にとっては自信作である。性能的には申し分ないのだが、特殊な美的感覚を持っているらしく……第三者からすれば痛船仕様の、と云っても過言ではない。

 そんな雄々しい姿をしている富嶽ではあったが、長曾我部本人の船室だけは様相を異にしていた。それ故に、よほどのことがない限り……他人が近づくのを厭っていた。

 木製の扉を開けると、もう一枚扉がある。間違えて開けられたとしても、この二重扉が守ってくれるという仕組みである。あまり物事を深く考えていないように思える彼ではあるが、こういったところには細かい。

 いざその重い扉を開けると、どことなく甘い花の薫りがする。

 成人男性の部屋にしては、過剰に可憐すぎる。……姫時代の名残だろうか。

 部屋の中心には少し大きめの寝台があり、天井からは、上等の絹を思わせる薄い紗がふわりと垂らされている。明らかに蚊帳としての使用用途には少し難いのではないだろうかと思われる。寝台に置いた掛布にも、ふわふわと多量に布があしらわれている。一見すれば、どこの乙女の部屋かと思われる空間である。

 その寝台の上には既に先客が居た。

説明
◆sparkで出るNan様【NAZ】のご本【Bed or Alive?】にお邪魔してきました!要するに…サンプルです(pixivにもupしています)。話のタイトルは「A Battle For Men's Souls」…タイトルの雰囲気でつかんでください(何) ◆私が書いたのは、オトメンアニキ×強気で男前毛利…仕様です。果てしなくなりちかっぽいちかなり?です。 ◆いろいろアレですれすれですが、年齢制限ものではないです。 ◆頒布は【東2・ネ61a / NAZ】にて。
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戦国BASARA 瀬戸内 腐向け 長曾我部元親 毛利元就 

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