真・恋姫無双「新たなる地と血」第26話
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この作品は恋姫無双の2次創作です。

 

作者の勝手な解釈もある為、若干キャラの性格等のズレが生じる場合が御座いますが

そこらへんはご容赦のほどを。

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〜洛陽〜

 

宮廷内の一室に愛紗は寝かされていた。愛紗は人の気配がするのを感じ目を覚ました。

 

じーーーーーー…

 

愛紗は自分への視線を感じその方向を見ると、寝台の端から子供がじっとこちらを見ていた。愛紗と目が合うとその子は声を掛ける間も無く部屋を出ていってしまった。

 

取り残された愛紗は呆然としてしまったが、その子供の顔を思い出すと「(似ている、あの方に…)」そんな事を思っていると部屋の扉が開き二人の少女と先ほどの子供が入ってきた。

 

「月!詠!」

 

「…私達の真名を呼ぶと言う事は関羽さん…いいえ、愛紗さんは思い出したのですね。ご主人様が仰られた通り…」

 

「あ…」

 

本来、知るはずの無い真名を呼んでしまった事に気が付いた愛紗は自身の記憶に混乱した。

 

「…そうだ、私は虎牢関で戦っていたんだ。そして相手があの方であることが分かった途端に気を失ったのだ。」

 

あの時自分を庇い、その為一刀が怪我を負った事を思い出す。

 

「月!ご主人様は、ご主人様はどうなったのだ!?」

 

「愛紗さん、落ち着いて下さい。卑弥呼さんから聞いている話では命に別状は無く、瞼を切った程度との事です。」

 

「そうか、良かった…」

 

月の話しを聞いて愛紗は胸を撫で下ろした。そして話が一段落した所で、詠が口を開いた。

 

「愛紗、本当に聞きたいのはこんな事じゃないでしょう?」

 

愛紗は詠の言葉にピクッと身体を震わす。詠の言う通り、真に聞きたいのは一刀の事。あの成長した姿、愛紗をも凌駕する武、董卓軍にいる経緯等。だが、愛紗は自分の知らぬ間に一刀の身に何があったのか、そして傍で話しを聞いている子供の事も、知りたいと、思うが聞くのが怖かった。

 

もし想像通りならこの子は…

 

月達も愛紗が口を開くのをじっと待った。一樹はこの微妙な空気を嫌ってか出て行ってしまった。それを見送った月は再び愛紗へ顔を向けた。

 

「ご主人様に何があったのか知っているようだな。その…聞かせてくれないか?」

 

一樹が出て行ったのを見て、愛紗は意を決して、ようやく口を開く。

 

「はい。愛紗さん、あの『最後の戦い』を覚えていますか?」

 

「ああ、あの左慈と干吉…だったか。あ奴らはご主人様の命を狙い、色々と動いていたからな。」

 

月や華琳を操り、何度も一刀を狙った者達。そして最後の決戦に向かい、対峙したを思い出しながら答えていく。だが愛紗はふと気が付いた。あの戦いの結末が曖昧な事に。

 

「(確か…最後は…)」

 

最後は周囲が暗い闇に包まれ、その中に飲み込まれてそこで意識が途絶えている。

 

「では、我々はなぜ此処に居るのだ?」

 

「あの世界は崩壊し、私達はこの世界に飛ばされたのです。ただご主人様は今より8年ほど前に、この地に飛ばされてるんです。」

 

月は一刀より聞かされた事を、そのまま愛紗に話す。

 

「なっ?8年も前にだと!?だったらなぜご主人様は我々に会いに来て下さらなかったのだ?」

 

「探したそうですよ。でも行き違いになったりして会えなかったそうです。」

 

会えなかったが、自分たちを探してくれた事に見捨てられた訳ではないとわかると安堵する。だがまだ色々と疑問が残る。

 

「ご主人様の武は何処で手に入れられたのだ?以前は、その、言ってはなんだが全く駄目だったはずだが…」

 

「それは此処に辿り着いたときに、出会った司馬懿という方にご教授されたとのことです。」

 

「司馬懿?その方は何処にいる。虎牢関でも水関でも見聞きしなかったが?」

 

「…その方は既に亡くなっています。賊からご主人様と一樹ちゃんを庇って…」

 

「そうか…、ん?一樹とは誰だ?」

 

「先ほどまで此処に居た子です。名前は北郷一樹。こう言えば分かりますよね?」

 

「ご主人様と司馬懿との御子?と言う事は、司馬懿とはまさか…、女ぁ!?」

 

「はい。ご主人様そっくりで可愛らしいですよね?」

 

それを聞いた愛紗呆然とした。愛紗の嫌な予感は当たってしまった。一刀に子供がいた事に…

 

「そんな…、そんな、嘘だ。ご主人様に子供が居るなんて…、私を差し置いて、そんな…」

 

「何言ってるのよ?散々、あいつが女の子に手を出してきてたのに、今までできなかったのが逆に不思議なくらいだったのよ。寧ろ喜ばなくちゃ。(…あいつに子供を作る能力が無いのじゃないのかと心配してたけど。)」

 

「だからと言って、知らぬ間にご主人様に子供が居るのに納得しろと言うのか!?」

 

詠の最後の方は小さく愛紗には聞き取れなかったが、確かに一刀に子供ができたのは喜ばしい事なんだろうが、愛紗は素直に喜べなった。納得できない愛紗は、詠に食って掛かった

 

「あんた、先を越されたんで拗ねてるんでしょう?納得?出来る出来ないじゃないの。しなきゃいけないのよ。あんた、一樹の存在を無いものにしたいの?もしそうならボクはあんたを軽蔑するわ。」

 

「なっ?!そ、そそそそ、そんな事は無いぞ!」

 

詠の指摘に、愛紗は動揺する。

 

「詠ちゃん、言い過ぎだよ。愛紗さん。最初は私達も戸惑いました。でも、下手をすればご主人様はずっと一人で過ごさなければならなかったのです。その一人ぼっちの寂しさを、紛らわしてくれたのは間違いなく司馬懿さんと一樹ちゃんなのですから。感謝こそすれ恨んだり嫉んだりするのは違うと思いす。」

 

何時までも一樹の存在を認めようとしない、愛紗に詠は強く当たる。それを月は嗜めつつ、愛紗を諭すように語り掛ける。それが聞こえているか聞こえていないのか分からないが、途中から愛紗は何も言えず俯いてしまった。一辺に色んな事を話した為、整理することが必要だと思った月と詠は部屋から出て行った。

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月と詠が部屋から出て行き、一人になった愛紗は不意に外に向かって声を掛けた。

 

「何時までそうしているつもりだ?今は私一人だ、出てまいれ。」

 

「…あら、気配は消してたんですけどねぇ」

 

窓を開け顔を出したのは侍女の格好をした落ち着いた感のある女性。

 

「良く言う。月達には分からないようにはしていたであろうが、私には丸分かりでしたぞ。というか、私には分かるようにしていたくせに。で、私に何用ですか?」

 

「いえいえ、ここに反董卓軍の兵士が運び込まれたって聞きましたから、どんな方かと思い見に来てみたのです。そしたら面白い話をしていたので、少々聞き入ってしまいました。よいしょ、っと。」

 

そう言いながら女性は窓から部屋に入ってきた。その身のこなしに愛紗は感心し、只者では無い事を感じた。

 

「面白い?」

 

「ええ、此処に居る客将の北郷さん、でしたっけ?その方と私の娘が、恋仲になっていた等、です。」

 

「娘?失礼だがあなたは一体…?」

 

「あらあら、人に名前を尋ねるときは自分から、じゃないかしら?とは言え私はあなたの名前を知っていますから、自己紹介の必要はありませんが。私の姓は馬,名は騰、字は寿成。以後お見知りおきを。」

 

「貴女が翠の母君である馬騰殿!?なぜ此処に!?」

 

「あらあら、翠ちゃんの事を知っているという事は、やっぱりあのお話は本当の事のようですね。少々、いえかなり突拍子も無い話でしたが。でも、ここでは会っても真名を預かってはいないんですから、迂闊に口にするのは感心しませんよ?全ての人が理解している訳では無いんですから。」

 

馬騰にやんわりと注意される。今回の反董卓軍には病気と言って参加せず、娘である翠とその従姉妹の蒲公英を、寄越した人物が侍女の格好をして此処に居る事に驚く。ポカーンとしている愛紗に悪戯が決まった子の様にくすくすと笑う。

 

「此処に居る理由は、まあ調査ですね。簡単に言ってしまえば。」

 

馬騰が話した事はこうだ。元々月達とも顔見知りであった為、今回の檄文に書いてある事に疑問を抱いた馬騰は、病気と偽り代わりに翠と蒲公英を行かせる事にし、自身は洛陽の調査をしていた。勿論、翠には内緒で。彼女曰く隠し事や嘘が苦手な翠に話してしまえば、直ぐに皆に仮病がばれてしまいかねないからである。

 

「で、どうでした?何か分かりましたか?」

 

「ええ。思った通り、宮廷内の後継者争いが外にまで飛び火し、十常侍の者達の陰謀により各諸侯を巻き込み、それぞれ功を得る為に動かされた。そんな所ですね。」

 

「良く今まで見つかりませんでしたな。」

 

「…一人変なのが居たんですけど、害意が無いのが分かったのか。放って置かれてます。今日また増えたようですけど…」

 

恐らく貂蝉と卑弥呼の事であろう。貂蝉も暫くそれと無く暫く見張っていたのだが、彼女の言う通り害意が無いのが分かると、警戒を解き自由にやらせているようである。

 

「これからどうされるおつもりですか?」

 

「もうそろそろお暇さしてもらいます。十分調べましたし。あの子達や他の者達に見つかると色々拙いでしょうから。」

 

そう言って部屋を去ろうとする馬騰であったが、何か思い出したように立ち止まる。

 

「あ、そうそう。さっきの子供の話しだけど、子供を否定するという事は北郷さんも否定する事になるわよ。」

 

「どういう事です?」

 

愛紗は意味が分からず、聞き返す。

 

「簡単ですよ、子供の父親は誰ですか?北郷さんですよね、自分の子供を否定されたらあなたはどう思いますか?それで思い付かなければ親・兄弟などで想像して見て下さい。」

 

「あ…」

 

愛紗にはまだ子供が居ない為、その対象を桃香や鈴々に置き換えてみれば、そこに湧き出た感情は怒り・悲しみなどの負の感情。そしてそれらは否定した者達に向けられる訳で、そこから導き出される答えは、自分が加害者の側に居る事に気が付き、愛紗は愕然とした。自分が一刀に対してそれを行っている事に。

 

「(私はご主人様に対してそんな事を…)」

 

俯き愕然としている様に馬騰は、

 

「気が付いた様ですね、確かに好いた相手に、いつの間にか子供がいれば心中穏やかでないのは、女である私も気持ちは分かります。でも、真に相手の幸せを考えるなら、祝福する事だと思います。相手を妬み己のみに幸せを求める、それは自己満足です。それだけ一人の男性に愛情を捧げられるのなら、なぜそれをもっと多くの人与えられないのでしょうか?そうすれば今回の様な事も起きなかった。そう思いませんか?」

 

最早馬騰の言葉が愛紗の耳には入っていない様で、馬騰は静かに部屋を出た。

 

その数日後、馬騰は洛陽から姿を消した。

 

余談ではあるが、いつの間にか侍女の人数が変わっている事が分かり、宮廷内は一時幽霊の類が出たのではないかと騒然となった。

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あとがき

 

一刀にいつの間にか子供がいることに、納得できない愛紗を書いてみたんですが、無茶苦茶感情的にしかならない。

 

前回の蓮華と同じ様になってしまった感が…感情のコントロールが下手と言うか素直なんでしょう。そう言う事にして置いて下さいww

 

そして今回初登場馬騰さん。タイプ的には母親的な慈愛に溢れている方です。月の慈愛とアダルトな容姿を持った人と思って貰えばよろしいかと。今後出るかは不明(ウソ 出ますよ。

 

さて、反董卓連合編もあと僅かですが、今しばらくお付き合い下さい。

 

あと、遅れましたがお気に入りが100人を超しました。誠に有難う御座います。この場を借りて厚く御礼申し上げます。これからもお付き合いよろしくお願いいたします。

 

ではまた次回ぃ〜

説明
洛陽へと連れてこられた愛紗。そこで彼女は月達に再会し衝撃的な話を聞かされる。

そして意外な人物が愛紗に接触してくる。
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コメント
まったくです・・・・(黄昏☆ハリマエ)
IFZ さん 記憶の復活前から雪蓮達に一樹の存在を聞かされていたので愛紗ほどではないかと…(アロンアルファ)
gotou さん ですよねぇ〜ww(アロンアルファ)
根黒宅 さん はい、その通りです。解説有難う御座います。(アロンアルファ)
summon さん 前話の最後の人は馬騰さんじゃないです。ネタ晴らしになりかねますが腹黒の人です。馬騰さんは洛陽に居た為、連合の様子は知りません。(アロンアルファ)
アルヤ さん 根黒宅さんの言う通り一刀の子供の方が重要(アロンアルファ)
転生はりまえ$さん ご都合主義ですね(^ ^;)(アロンアルファ)
感情的じゃないほうが珍しい関さん(gotou)
根黒宅さん、ものすごく納得です(アルヤ)
アルヤさん 一刀と知らない女の間に産まれた子供>>>>越えられない壁>>>>馬騰の性転換 (根黒宅)
感情的になるのも仕方ないですよね。というか、結局前話の最後の声は馬騰さんだったのかな?(summon)
さて、蓮華の反応は如何にww(IFZ)
無印だと馬騰さんは男だった点に突っ込まない愛紗・・・・・・(アルヤ)
前の世界だとあんだけ当たり散らしたのにできなかったのが一番不思議だよな(作者〔神〕の都合)・・・・このまま連合は崩壊はせずとも別の流れができるよな(此の侭一樹は皇帝と婚約的な流れ!?)次回を待ってますよ〜(黄昏☆ハリマエ)
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