青い世界と船乗り
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私は旅人、風と共に大海原を旅する者。

風の吹くまま気の向くまま、風だけを頼りに青い世界を駆ける。

何処かへ行きたい訳でもなく、何かを求める訳でもない。ただ、ただ旅をする。

旅を続ける、それだけでいい。他に必要な物はない。それだけで生きていける。

さて、自分は何時からこの旅を始めたのだろうか。

幾度朝日を拝んだだろうか。幾度星に祈っただろうか。

日付を確かめなくなったのは何時からだろう。

何時の間に、昼も夜もどうでもよくなったのだろう。

―――――………そうだ、空が雲で覆われちゃったからだ。昼でも光が降り注がない程の分厚く黒い雲が。

何でこんな雲がずっと張っているのだろう。いい加減に晴れてくれよ。

いい加減、陽の光が恋しい。飽きるほど浴びていたあの光…。

あの温もりをもう一度、体が焼けるほど浴びたい。

 

…けど、それももう叶わぬ願い。自分はとっくに肉体を失っている。空を覆う雲も、それは雲じゃないって分かった。

死してもなおこの海原を駆ける御霊。未練も、後悔もない筈だった。満足していたのに。

全て、「つもり」だったのか?自分を偽って、言い聞かせていたのか。

だったらさ、今度は思いっきり、これ以上はないってくらい正直になってやろうぜ?

もう開き直ろうよ、こうなったなら誰にも邪魔されない。誰の邪魔にもならない。

思いっきり、この大海原を駆け抜けてやろう。果てしなく続く、無限の大海原を。

誰にも追いつけないトップスピードで、自慢のお手製の船に乗って。

ゴールのない永遠の旅路は、今切り開かれる。行き先は全て風任せ。

 

風の吹くまま気の向くまま、風だけを頼りに青い世界を駆ける。

それだけで満足さ。

 

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思い付きの一説。
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