真・恋姫†無双 真公孫伝 〜雲と蓮と御遣いと〜 1−21
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この作品は【 恋姫†無双 】【 真・恋姫†無双 】の二次創作です。

 

三国志の二次創作である物に、さらに作者が創作を加えたものであるため

 

人物設定の違いや時系列の違い。時代背景的な変更もありますので

 

その辺りは、なにとぞご容赦をお願いいたします。

 

上記をご理解の上、興味をお持ちの方はそのままお進み下さい。

 

 

 

 

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幽州での黄巾党討伐を初めとし、各地各州で黄巾党を諸侯が討伐。

風の噂に黄巾党の首領、張角が倒れたとの報が入った。

未だ残党は残るものの、大陸は一時的に平穏を取り戻した――かに見えた。

しかし、今を生きる者達を生き急がせるかのように大陸中を一つの報が駆け巡る。

 

 

――霊帝崩御――

 

 

この報せは、各地の諸侯に少なからず波紋を呼ぶ。

漢王朝衰退へのとどめであるかのような報。

俄かに宮中は荒れ、洛陽では次の帝を“劉弁殿下“か“劉協殿下”かと、身勝手な権力争いが勃発していた。そして宮中に、暗雲が立ち込める。

 

 

――劉弁殿下崩御――

 

 

そして、劉協殿下改め、献帝即位。

手抜きの台本のようにとんとん拍子に進んでいく大陸の情勢。

人々は、感じていた。

 

 

 

新たな乱の兆しを。

 

 

 

 

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「……ふっ!」

 

 

 

短い気合いを発し、それと共に腰に据え置いた手が刀を抜く。

 

 

一閃

 

 

目の前に立ててあった竹が中ほどより二つに分かれる。

その片方が地に落ちた時、既に刀は納刀されていた。

 

「ふぅ……」と一息呼吸を整え、その手が落ちた竹を拾う。

それと同時に後ろから唐突な拍手が。

 

 

一刀が後ろを振り向くと、少し離れた位置に星と白蓮、舞流が立っていた。

 

「今のが話に聞いたことのある居合――見事でござった」

 

「あぁ。つってもまだ未熟未熟。ほら」

 

 

そう言って持っていた竹を放る。

見事にそれを星がキャッチ。

繁々と竹を眺め始め、残りの二人もそれに加わったところに一刀も近づく。

 

 

「……?特におかしなところは無い気がするぞ?」

 

「いや、白蓮殿ここを」

 

 

頭に?マークを浮かべた白蓮に、星が竹の切り口を指し示す。

竹の表面の繊維が、微妙にささくれ立っていた。

一刀がその竹をヒョイと横合いから取る。

 

 

「んー……やっぱうまくいかないな」

 

「でも結構きれいに斬れてるぞ?」

 

「舞流から伝え聞いた話では、天の国の武士という者は達人の域になると、両断した大根を再びくっつけられるぐらいに綺麗に両断するのだとか。そういうことだろう?一刀殿」

 

 

白蓮は何が悪いのか、といった風に首を傾げたのに対し

星は一刀の言いたいことを理解したようで一刀に同意を求めた。

 

 

「そ、もう少し修行が必要かな」

 

「修行!!滝に打たれたり、山に篭ったり、熊と拳で死闘を繰り広げたり、甲羅を背負ったり、文字を書いた石を遠くに投げそれを取って来る修行でござるか!!」

 

「違う。つかなんで後半知ってん――ああいや、俺が話したんだった」

 

 

というか舞流に伝えた現代関係の話が歪まずに星に伝わっていることが驚きだ、と思いつつ、客観的に今の動作を見ていた中で一番の実力を持つ星に話を振る。

 

 

「星。今俺が抜いた刀、普通に見えたか?」

 

「ふむ。見えたかと問われれば見えた、としか答えようがないですが」

 

「そっか。……まだまだ、だな」

 

 

一刀は深く溜息を吐き、腰の刀をそっと見下ろした。

 

 

 

 

 

(……まだまだ、常人スペックってことかね)

 

 

 

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「んで?三人ともどうしたんだよこんなとこで」

 

 

自分は非番なのを良いことに朝早くから居合の鍛錬をしていた一刀が

未だ物珍しげに斬れた竹を見る三人に、階段に腰掛け、問い掛ける。

 

 

「私と舞流は調練。白蓮殿はこれからいつも通り政務ですよ。それぞれ急いでいたら庭にとても真剣な一刀殿がいたので暇つぶしに」

 

「いや、急いでるって言ったよな今」

 

「そうそう。お前らは兵士待たせてんだから急げよ」

 

「白蓮殿も急いだ方が良いのでは?雛里を待たせているのだろう?」

 

「そうだった、私も油売ってる場合じゃないじゃん!またな、一刀!」

 

 

星の言葉にハッとした白蓮は急いで執務室の方に消えていった。

ご丁寧に一刀にだけ声を掛けて。

 

 

「まったく……白蓮殿にも困ったものですな。もう少し太守としての自覚を持っていただかないと」

 

「分かっているとは思うけど、星も大して変わんないからな。つかお前も武官筆頭の自覚持てよ」

 

人には急げと言っといて自分は急がない辺りある意味凄い、色んな意味で大物だ。

 

「なんと、趙雲殿も大して変わらないのでござるか!?」

 

 

なんでそこで驚いてんだよ、舞流。

というか急げと促さないあたりお前も同罪だってことに気付いてるか?

……気付いてないだろうな。

 

そう思いつつ――

 

 

「そういや雛里も最近やっとここに慣れてきたな」

 

 

――世間話を振っていた。

結果的として遅れる原因に一役買ってしまうというのに。

 

 

「最近は某が近づいても悲鳴を上げないな。廊下で会っても逃げられてばかりの毎日。……あれは辛かったでござる」

 

「ふむ、確かに最近はよく話すようになりましたな。で、一刀殿は相変わらず?」

 

「うん……いやまあ、原因は俺だけどさ」

 

 

とりあえずどこか遠くを見始めた舞流は置いといて、星の言葉に頷く。

どこか未だに余所余所しい雛里。

真名は預けてもらったし、日常的な政務関係にも支障は無い。

だが、それ以外で声を掛けようとすると、逃げられる。

正に脱兎の如くという表現が似合いすぎるほど似合っている逃げっぷり。

左慈とも于吉ともそれなりに談笑はしているというのに、自分だけ。

 

 

「今思い返せば名前聞いて、速攻部屋出てくってかなり心象悪いよな」

 

「……一刀殿はたまに面白いほど問題を履き違えますな」

 

 

見ればククッと星が笑いを押し殺していた。

 

 

「履き違えているって言われてもな」

 

 

なんのことだかさっぱりだ。

 

 

「おそらく雛里は一刀殿に対して遠慮しているのですよ。急に出ていってしまったのは自分がした何かが不興を買った――とでも思っているのでしょう」

 

「根拠は?」

 

「と、雛里が言っていました」

 

「答えじゃねえか!」

 

 

もう根拠どころじゃなかった。

本人がそう言っていたならそうなんだろう。

 

 

「雛里は執務室だったか」

 

「おや。行く気で?」

 

「もち。教えてくれてサンキュな」

 

 

そう言って一刀は脇目も振らず早足で歩いて行った。

 

 

「非番だというのに政務という死地に自ら身を置くとは……ふむ。仕方が無い、私も自分の仕事をするか。行くぞ、舞流」

 

「心得た――む?殿は何処(いずこ)に!?」

 

「……本当にお主は周りを見ないな」

 

 

 

 

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執務室。

にこやかに談笑しながら手を動かす二人がいた。

 

 

「雛里は鳳雛で、劉備のとこに居る諸葛亮は伏龍だったっけ。凄い異名だよな」

 

「でも私なんて全然。朱里ちゃんの足元にも及ばないです」

 

 

はに噛んだ笑顔で否定する雛里を見ながら

多分“朱里”というのは諸葛亮の真名だと推測する白蓮。

それでも諸葛亮の話をする雛里の表情は嫉妬とは無縁のものだった。

本当にいい友達であるのだろうし、なにより雛里自身が諸葛亮を尊敬しているのだろう。

と、そこまで考えてふと思う。

 

友達――という単語について。

 

星や桃香は友達。

星に至ってはなんで私みたいな無能太守に着いてくれるのか聞いたことは無いが、個人的に親友と呼べる間柄だと思っている。

 

一刀は……なんだろう。

友達?仲間?どの単語もなんとなく違う気がする。

いや、仲間だし友達であることに変わりは無いんだけど――

 

 

 

コンコン

 

 

 

その音にそれまで考えていたことが一気に霧散する。

雛里が扉にむかって首を傾げた。

最近はもう慣れてきたけど“ノック”はあまり馴染みのない文化だ。

天の国では一般的らしいけど。

 

 

「一刀かー?」

 

「ん。雛里いる?」

 

 

扉が少し開いて顔を覗かせた一刀に雛里の身体が微妙に硬直した気がした。

一刀の瞳が雛里を捉える。

多分、緊張からだろう。

ここ数日なんとなくぎこちない二人の様子は見て取れたから左程驚かない。

お互い勘違いしているから仕方ないことではある。

 

 

「雛里、ちょっといいか?あー、忙しかったら無理にとは言わないけど」

 

「ら、らいじょうぶりぇすっ!!」

 

「「…………」」

 

 

本当に大丈夫かと問いたくなるほど噛んでいた。

しかも冒頭から。呂律の回ってなさげな言葉を吐いた雛里は半べそで口を押さえていた。

しばらくすると痛みが治まって来たらしく、口から手を離す。そして二回、三回と深呼吸した。

 

 

「御用ですかっ、御遣い様!」

 

「雛里、あのな」

 

「はいっ!」

 

「その御遣い様っての、止めない?」

 

「え?な、なんでですか?北郷様は御遣い様ですよね」

 

「いや……うん。そうなんだけどさ」

 

 

居心地悪そうに耳の後ろを掻きながら、一刀は微妙な表情をする。

一応、天の御遣いという立場ではあるものの、それらしいことはやって無い。

それ以外でやっていることと言えば、兵の調練と文官業務ぐらいの物だ。

だが本来、御遣いとは居るだけでいい存在なのだ。

だから畏まられる理由も無い。

 

 

「とりあえず、その北郷様ってのも固いから止めてくれないか?そう呼ばれたりすると体がむず痒くてさ。頼むよ」

 

「じゃ、じゃあ…北郷…さん?」

 

「ああ、うん。それいいな。さん付け最高!」

 

 

半分ヤケだった。

 

 

「おっと、本題忘れるところだった。えっと…初めて雛里と会った時、別に俺は気を悪くしたから部屋を出てった訳じゃないんだ」

 

「…え?で、でも…難しい顔してました」

 

「そんな顔してたのか?俺」

 

 

自分を指差しながら白蓮に問う。

白蓮は無言で頷いた。少なくとも誤解を生むには十分な表情だったということか。

 

 

「あー…その、なんだ。難しい顔してたかもしんないけど雛里が原因っていうわけじゃ無くて。むしろ俺自身に原因があるって言うか」

 

「本当…ですか?」

 

「本当だよ。俺はもっと雛里と仲良くなりたいんだ。だから、そのことは無かったことにしよう。で、ここから初める。改めてよろしく、雛里」

 

 

笑顔で手を差し出す。雛里もおずおずと手を出し、その手を握った。

その繋がった手を軽く振る。

 

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。ほ、北郷しゃんっ!!」

 

 

噛んだ。でも、その繋いだ手は離さなかった。

 

 

 

 

 

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コンコン

 

 

その妙な空気を払うかのようなタイミングで扉がノックされる。

一刀以外の人間で生真面目にこの習慣を続けている人物がもう一人いた。

 

 

「すみません公孫賛様。失礼しても大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ。いいぞ左慈」

 

 

左慈である。

白蓮から了解を得た左慈は静かに扉を開けた。

その細身の体が必要最低限開いた扉の影から現れる。

 

 

「この間の――」

 

 

と、その眼が白蓮、一刀、雛里、繋がれた手、の順に移動する。

数秒後、何も言わずに手をポンと叩き、無言で部屋を出ていった。

 

 

「ちょっと待てぇ!何に納得したんだ今!」

 

「あわわわわわわ!!!」

 

「まだ仕事残ってるんだけどなぁ……グスン」

 

 

大混乱だった。

一人だけ天井を見上げて、何かが零れないように努力する人がいたが。

 

 

 

 

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「いや、よかったですよ。僕も雛里ちゃんと一刀さんが距離を取っているのを知ってたのでどうしようかと思っていたんですけど、いらない心配だったみたいですね。流石は一刀さんです」

 

「俺はお前が何にどういう納得の仕方をしたのかが知りてぇよ……」

 

 

雛里は異性と手を繋いでいたという行為を思い出してか顔を伏せて赤面していて、白蓮は対照的になぜか天井に視線を漂わせている。

左慈というイレギュラーただ一人が放り込まれただけでこうも変わるのか、というぐらいの室内の変わりようだった。そんな中、左慈だけは終始笑顔である。

分かっているかもしれないが改めて言っておこう。本人に、自覚は、無い。

 

 

「いえ、気にしないでください。本当になんでもないですから。ああそれより、公孫賛様。この間の件、考えていただけましたか?」

 

「ああ、あれか。うん、案には眼を通したけど、でもなぁ……」

 

 

白蓮がうーん、と腕を組んで唸る。

何の話をしているのか、一刀にはまったく見当がつかない。

そんな怪訝な表情をする一刀に気付いた左慈が口を開いた。

 

 

「この間、文書にしても提出したのですが、僕を武官兼(けん)文官で使ってくれないかと思いまして」

 

「……はぁ!?」

 

「一刀、声でかい」

 

「い、いや。驚くだろ普通!なんでまた――というか左慈は剣とか扱えんのか?」

 

 

あまりに突飛な話だったのでつい声が大きくなってしまう。

そして当然の疑問を左慈に振る。

 

 

「いえ、剣はあまり。でも近接戦闘術なら多少心得があるみたいです」

 

「近接戦闘術――って拳法か何かか?」

 

「よく分からないんですけど、体が覚えているらしくて。前から武官候補として申請はしていたんですけど、どうにも文官業の方は僕が抜けると大幅に効率が落ちるみたいで。でも雛里ちゃんが仕官しに来てくれたおかげで仕事にある程度余裕ができてきたんです。だから本格的に武官関係のお話を、と」

 

「はい。それは私も聞き及んでいます」

 

 

雛里が立ち直り、話に加わる。その表情は普段の雛里とは違う。

言うなれば“鳳士元”としての顔だ。

 

 

「確かに私達の勢力は文官の方(かた)は充実してきています。燕璃さんや于吉さんがとても有能なので。人材育成、人材登用にも本格的に行っていますし。ですが、どうしても武官の方(ほう)は星さんと舞流さんに頼っている部分が大きいです。自身を過大評価するつもりはないですけど、左慈さんが武官の方に仕事を割いてもその穴を埋める自身はあります」

 

「左慈の実力は前にその話が持ち上がった時に私が見てるんだけど、一応武官としてはやって行けそうだと思う。……というか、少なくとも格闘戦に限っては私、負ける」

 

 

台詞が後半部分に近付くにつれ、白蓮の頭が下がっていく。

眼に見えてテンションが下がっているのが分かった。

 

 

「へぇ……格闘戦か。どこで習ったとか?」

 

「あ、……すいません。まだ全然記憶が」

 

「ああいや、俺の方こそ悪い。そっか……記憶、無いんだよな。普通に過ごしてるもんだから記憶が無いってのを忘れそうになっちまう」

 

「いえ、僕としてはそっちの方が嬉しいです。記憶は無くても、今は毎日楽しいですから」

 

 

左慈がはに噛んだ笑顔で応える。

一瞬、女の子が見入ってしまうような、そんな笑顔。

運良くなのかそうでないのか、雛里は軍師モードで、白蓮は顔を伏せていた。

もちろん一刀にソッチの気は無いので問題は無い。

だがおそらく、自分にもそれと同種のスキルがあることに一刀は気付いていないだろう。

話を元に戻すように、雛里が居住まいを正して、会話を続行する。

 

 

「私達の勢力には“白馬義従“という攻撃力、突進力に関しては右に出る者がいないほどの戦力を有してはいます。ですがその反面、素早く細かく動ける部隊が機能していないんです。歩兵部隊、弓兵部隊、は今後も少しずつ強化という形で良いと思います。それで、これは提案なんですけど――」

 

「忍者」

 

「へ?」

 

 

雛里の流れるような言葉を遮って一刀がポツリと呟いた。

本当にただ思ったこと、考えたことが口をついて出ただけなのだろう。

しかし、雛里は首を傾げていた。白蓮も、左慈も同様に。

その様相に一瞬戸惑いながら再び口を開く。

 

 

「いや、忍者って言う情報戦に特化した組織が俺の居た世界に昔あってさ。そんな部隊があるのも有りかなー、なんて思っただけなんだけど……違ったか?」

 

「い、いえ。その…私が言おうとしていたことと同じだったのでびっくりしただけです」

 

「同じ……ってことは雛里が言おうとしてたのって一刀が言った?」

 

「はい。御遣いさ――あわわ、すいません。え…と、北郷さんが言った通り“情報戦専用”の部隊です。少数精鋭で情報を収集し、敵と遭遇しても一撃離脱を主にした部隊。できるだけその存在を悟られない部隊。今のところ特に争っている勢力は無いので、すぐにとは言いませんが。その部隊を編成することになったら、左慈さんにその統括をお願いしたいんです」

 

「僕が?」

 

「はい。今回武官を兼務するに当たって、新しい部隊の指揮を採ってもらいたいんです。戦場を飛び回るのはもちろんなんですけど、他国にも少なからず情報要員を割いて置かないと、いざという時になにも出来ませんから」

 

「確かに理に叶ってはいるよな」

 

「はい。なので――」

 

 

雛里がそこまで言うと、左慈と一刀の視線がふと扉の方をむく。

釣られて雛里がそちらを向くと同時に

 

 

「失礼。公孫殿、いらっしゃいますか」

 

 

扉の外から燕璃の声が響いた。

一刀が立ち上がり、扉を開ける。

 

 

「すいま――おや?北郷さん、居たんですか。左慈殿に鳳統殿もお揃いで」

 

「どうも」

 

「あわわ……殿なんてそんな」

 

 

左慈は軽く頭を下げ、雛里は自分よりも先輩の燕璃に殿という呼称を付けられたことに慌てながら、対応する。

そんな二人に燕璃も軽く頭を下げ、室内に入った。

 

 

「どうした燕璃、なんかあったのか?」

 

「この際、なにか用事が無いと来てはいけないのか、というお約束は封印しましょう。少しばかり至急の要件――袁紹殿からです」

 

 

そう言って燕璃は持っていた書状を白蓮に渡す。既に開封されており、おそらく中の内容を燕璃は知っているであろうことを窺がわせた。

白蓮がその書状を開く。その眼が、一瞬細められた。

 

 

「……悪い、左慈、雛里。その話、少し先になりそうだ」

 

 

白蓮はいつになく真面目な表情で、真面目な声で、手紙に眼を走らせたまま言った。

怪訝に思った左慈が、読み終わって白蓮から差し出された手紙を受け取る。

そして

 

 

「反董卓連合軍……」

 

 

その言葉は、呟くぐらいの音量で有ったにも拘らず、嫌に大きく室内に響いた。

だが、反面――

 

 

「……予想通り、かよ」

 

 

一刀の呟きは誰の耳に入ることも無く、空気に溶けて消えていった。

 

 

 

 

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【あとがき】

 

 

 

 

真・恋姫†無双 真公孫伝 〜雲と蓮と御遣いと〜 1−21

【 乱世の兆し 不条理な世界 】

更新させていただきました。

 

 

 

 

日々研鑽を積もうと思いながら詰めてない じゅんwithジュン です。

もう少し引っ張っても良かったかな、と思いつつ反董卓連合編開始です。

一応、反董卓連合は完全に序盤扱いです。

まだ序盤も序盤です。

 

奇跡的に一週間サイクルで更新できているこの作品。

若干リアルの雲行きが怪しくなりつつありますが、なんとかやっていくつもりです。

よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

※個人的にあまり他者様の作品は読まないようにしています。

理由は書きたい物のインスピレーションが浮かんでしまうからです。

つまり、この作品を書いている正にその時、頭の中には色々なルートの原案が浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返しているわけです。

 

 

説明
真・恋姫†無双 真公孫伝 〜雲と蓮と御遣いと〜 1−21
更新させていただきます。

一つ変なカミングアウト、というかお願いをここで叫びます。



誰か職人さんがいたら“コンプリケイション”っていう楽曲で恋姫のMADを作ってくれぇぇぇぇぇ!!!!!

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コメント
一刀が主役で活躍するなら基本どの√もおいしく頂けますが、蜀√以外で桃香ヒロインというのもありではないだろうか。ってか忍者部隊を左慈が受け持つなら一刀はどうするんだろう?(黒乃真白)
いっそ華佗ルートでゴッドヴェイドーと一刀の現代の医療知識の融合で多くの人を救っていく話とか・・・よく考えたら恋姫出ないですね。(mokiti1976-2010)
左慈は、忍者の頭領というより、情報参謀(将校)というところでしょうか。適任だと思います。真漢ルートは、漢王朝ルートですよね。一瞬、漢女ルートのことかと。(yoshiyuki)
やっぱ漢王朝ルートこそが外史の被害を最もすくなくさせる正規ルートだと思うのですよ。(PON)
はてさてどうなることやら各諸侯のキャラクターが一堂に会すイベント。ここで今後キャラクターたちが性格的な意味でどうなって行くのかが決まるんですよね。一番嫌なのが桃香改悪ルートですが。(matsu)
サジーが忍者か・・・絵師さん、お願いします。(patishin)
情報戦用部隊を作るのが遅かったな。もっと早く作っていたら、董卓について情報を集められただろうに。(量産型第一次強化式骸骨)
単身痩躯に頬に十字傷ww個人の希望を言えば焔耶√かな?(アロンアルファ)
漢√に関しては私も頭の中に面白そうなネタが一つ浮かんでいるのですが、やっぱりうまく形になりませんね。二次創作とはかくも難しいものなのか・・・・・・(アルヤ)
漢女√の寄れば誘蛾のごとくやってくる英雄物語とか(筋肉の絡みはありません、ただの歯車の一部でアッーはありません)あったらいいなぁ(黄昏☆ハリマエ)
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恋姫†無双 真・恋姫†無双 MAD 雛里 反董卓連合 白蓮 一刀 

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