きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! 最終話 SA・YO・NA・RA
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(約1000万年前・月周辺・宇宙基地の着艦ベース)

 

シューーーーン

 

約1000万年前、月周辺に存在する宇宙人の基地、レン達の戦闘艦はその着艦ベースにマーカーを出して着艦した。

 

リン:本当に誰もいないのね。着艦マーカーの受け渡し、全部COMPだったし

カイト:というか約1000万年前なのに、本当にCOMPも基地もあるんだね

メイコ警部:地球の歴史が浅いだけなのか、宇宙人の文明が進みすぎているのか・・・

ミク:正直、考えると頭が痛くなるから、やめるミク

ルカ:攻撃してこないからとりあえず着艦したけど、それにしても、どう考えても“不審な艦”扱いのはずなのに、攻撃も信号もないし、着艦許可までCOMPが出しているのよね

ローラ:特に基地内部での防衛システムが作動しているわけではないです

レン:ん〜。あ、ところでアン、この基地のスキャンは終わったかい?

 

アン:はい。ここは正確には無人ではないです。識別は出来ませんが、人間型の反応が中枢部と思われる部屋に3つあります。1つは近くを移動する反応が出てますが、残り2つは何故か生きてますが移動せず静止してます

レン:あとはローラの言葉通り、防衛システムは作動していないわけだね

アン:はい。特にないです。尚、この基地、3つのセクションに分かれてます。第1セクションが、私たちがいる“発着艦場所”、そして第3セクションがメインCOMPがあると思われる中枢部、そしてそれを繋いでいる移動ラインが第2セクションでsssssss・・・・

 

レン:? アン、どうした?

 

アン:はるばるAD6666年より、ようこそ、人間の遠い子孫達よ

レン:アン? 何を言っているんだ?

 

メインモニターに紫の髪の女性が写った。年は人間なら18と言ったところだ。

 

女性:私はこの基地のヒューマノイドタイプの責任者“プロト・プリマ”。とりあえずお出迎えの伝達手段を考えた結果、貴方達の艦のメインCOMPをハッキングして、モニタリングで伝える事にした

カイト:あ、いや、色々教えて貰いたい事が沢山あるんだが、とりあえずツっこんでいいか?

ミク:なんでウサ耳付けているミク?

メイコ警部:ついでに額にでかい宝石が付いている魔法少女みたいなヘッドセット付けているし・・・

リン:・・・・・初代の宇宙人って・・・・・

 

プロト・プリマ:ヘッドセットは私の役職柄の装備だが、私の母星では、貴方達の時代でいう所の“ウサ耳”は、通常の装備だ。“月のウサギ伝説”や“かぐや姫伝説”は、まんざら作り話ではないのだよ

 

レン:(かぐや姫ってウサ耳付けていたっけ?)えーーーー、ゲフンゲフン、もうその事はスルーして、話を元に戻したい、いいかい?

プロト・プリマ:こっちは最初からそのつもりだ

レン:まずはそちらからの連絡事項を聞きたい

プロト・プリマ:わかった。まず、私が管理しているココには、地球限定で、現在より先の未来を監視する装置が存在する。勿論、スキャンはCOMPが行っているわけだが、その装置経由で貴方達の行動を全て知った上で、ココに来るのをここで待っていた。タイムトンネルで我々の子孫に当たる艦隊を全滅してくれたようですね

ルカ:それを知っているのに、何故私たちを攻撃しなかった?

プロト・プリマ:私が母星から受けた指令は、地球への“人間”生体の移植と、その後の監視や分析のみ。元々我々が“ニンゲン”を地球に作ったのに、ワザワザ監視対象を絶滅させて星を侵略する愚行など予定にもない

ルカ:しかし現実に私の時代では生きている人間はごくわずかで、あなた達の子孫に、見事に侵略されたわ!

リン:こちらの辛さはあなた達にわかるとは思えないけど、“侵略意志がない”ってのは、ちょっと通らない話よ!

カイト:納得できる説明を希望する

 

プロト・プリマ:それはこちらの装置で私も確認している。正直な所、“私にも理由がわからないのですよ。COMPを調べても母星からの指令にはやはりそんなものはなかった。それと我々にもタイムトラベルの規則というものがあり、それは貴方達と同じ。こちらの装置は未来にすら行けるが、“未来に干渉して歴史を大きくねじ曲げては行けない”、ことになっているため、こちらも我々の子孫の愚行を正しに行く事ができないでいる

 

レン:一応訊いておきたいんだけど、あなたが消える事になると、あなたの子孫は消えるのか? 僕たちの最初の目的は、侵略してきたあなたの子孫を消滅させるために、あなたを消しに来たのだが

プロト・プリマ:2つの予測が立ち、1つの確定が考えられる。予測だが、子孫が消滅しないルートと消滅するルートの2つ。消滅しないルートは、その子孫が、私の寿命が来る前に私が新たに作った継承子孫でなく、母星からの援軍等だった場合だ。消滅するルートは、当然、その子孫が私が作った継承子孫の場合。私は“地球”だけを監視しているため、自分の未来はわからないのだ

ルカ:ところで“1つの確定”ってのが引っかかるんだけど

 

プロト・プリマ:1つの確定。それは“人間が消える”事だ

一同:え!?

 

プロト・プリマ:先ほども言ったとおり、私は、地球に「ニンゲン」を作る存在だ。これについてはモニター越しで話していても納得させられないから、貴方達がこちらに来てください。案内します。ちなみに言うが、攻撃しなかった事からわかるとおり、私は貴方達に敵意を持っていないので安心してもらいたい

 

プシュー

 

着艦ベースの扉が閉まり、内部に空気が充満し、重力制御装置により大気圧が作られた。そして船首の下あたりにある扉が開いた。

 

プロト・プリマ:その扉から連絡用の移動ラインを通り抜け、COMPのある中枢部に来て下さい。重力とエアは問題ないです

レン:ローラはここに残ってアンと連携して本艦を守っていてくれ。全員ヘッドセットを付けて移動するから、何かあったらそれで連絡します

ローラ:了解です

 

こうしてローラ以外の全員が艦を出て、扉をくぐり抜けて、移動ラインを通っていった。

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(基地・移動ライン)

 

リン:彼女を消しても、子孫の存在を消す事が出来るかわからないだけじゃなくて・・・

ミク:ミク達は確実に消えてしまうなんて・・・・ミクぅ〜

ルカ:最初にここを目標ポイントにしたときに得た情報は、あまりにも少なすぎたのね・・・

カイト:仕方ないですよ、約1000万年前の世界ですから

メイコ警部:次々色々な事実と現実を突きつけられてきたけど、今回のは一番衝撃的よね

レン:いずれにしても、この先の“中枢部”にある何かを見れば、納得するらしいし、もしかしたら“解決法”が見つかるかも知れないし。希望は持とう

 

そして、遂に、中枢部にたどり着いた。そこには、驚愕すら生ぬるい“モノ”があったのだった。

 

(基地・中枢部)

 

プロト・プリマ:長旅、お疲れさまでした。ここがあなた方の“最終目的地”です

 

しかし、レン達には声が聞こえてなかった。聞こうという意志すら遮断されてしまう“モノ”が目の前にあった。

 

プロト・プリマ:・・・・説明します。何で私を消してしまうと“人間が消える“のか、その理由はこれです

 

レン達の前にあった“モノ”、それは、人間の6倍くらいの大きさの、2つの生体培養カプセルだった。中には薄い青色の液が充満していた。しかし問題はそれではなかった。全員が口を閉じられなくなったモノ、それは、その中で人工維持されていた“二人”だった。

 

“鏡音レン”と“鏡音リン”

 

プロト・プリマ:見ればわかりますよね。この二人は、男の子が“L(エル)”、女の子が“R(アール)”というコードネームを持つ“一番最初の人間”です。貴方達の神話では“アダムとイヴ”というので有名ですが、真実は、私たちが「作った」これらの素体を地球に送り込み、人間という種を繁殖させた。そういう事です

 

レンとリンはようやく“質問”する余裕が少し出来た。まず彼らが切り出さないと話が進まないという事実を理解しただからだと思われる。

 

レン:な・・・・なんで・・・・男の子が僕で・・・・

リン:女の子が・・・・私なの・・・・

 

プロト・プリマ:お二人が“遠いスパンでの「先祖帰り」”を起こしたからです。そして、リンさんはレンさんの子孫。お二人は子孫と先祖の関係で“血が繋がっている”んですよ

 

レン:リンさんと僕が・・・・

リン:血が繋がっている・・・

 

プロト・プリマ:レンさんが生体に“オーパーツ”を所持しているのも頷けます。この二人は“オーパーツ”で作られてます。地球の歴史を見ていくと、様々な時代に様々な形状の人間が存在していますが、その大本はこの二人なんですよ。生物の大本ではないですが、人間という種だけは、他の生物から進化していったものではないのですよ。私を消すと、この二人を地球に降ろす事も、地球でこの二人を使った人間の繁殖も出来なくなり、間違いなく“人間”という種はいなくなる事になります。私を消したことで我々の子孫が消えたとしても、確実に貴方達が消えてしまうのなら、全く意味のないことだと、思いますよね?

 

ルカ:それでは・・・・わ・・・・私達は・・・・

カイト:な・・・・何のために苦労して・・・・

メイコ警部:こ・・・ここまで・・・・

ミク:来たミク・・・・ミクミク・・・・・

 

???:いや、意味はあるのだよ、我々の余興を演じる“役者(アクター&アクトレス)”達よ!

 

プロト・プリマ:! だ、誰だ! この基地には私たち以外、ヒューマノイド型はいないはず!

???:“ヒューマノイド型だけが声を出せる”、それはひどい思いこみだぞ。プロト・プリマ!

 

その声と同時に、2つのカプセルの奥に設置されていたCOMPのモニターが前にせり出し、本体そのものも6つに分割し、その中央に巨大な目玉1つが現れた!

 

???:ここの全員、そう、プロト・プリマ、お前も含めた全員とお初になるのか。私はここのメインCOMPの本来の姿“エヴィル(EVIL)”

 

プロト・プリマ:そ・・・そんなこと・・・私はこんなモノ・・・・教えられていないぞ・・・・

ルカ:メ・・メインCOMPの名前は、私たちの時代では“プリマ”だった・・・・

エヴィル:それは私がこれから作ることになる“別のヒューマノイドタイプ”を操り、プロト・プリマの細胞を使って作った生体型COMPの1つだ。そう、“1つ”。これから約1000万年以上かけて人間に作らせた“文明“を削り取っていき、AD6666年に完全侵略が完了する。プロト・プリマよ、これが“本当の母星の計画”なのだよ

プロト・プリマ:では、なんで“それを知らない”私はここに派遣されたのだ・・・・

エヴィル:“地球に最初の人間を設置する“、これは非常に大役だ。この計画を立案し賛同している存在は、全員、この大役を避けてきた。なにせ”最初を間違える“と、それこそ他の全員から集中攻撃を喰らうからな。それに賛同者は全員、COMPの私が言うのもなんだが”不出来“だ。その点、純で優秀なお前を”地球の監視“という名目で派遣し、この大役を”何の疑いもなく行って貰う“作戦は実に名案だったのだよ・・・・・・・・だが、ここに来て話は変わった

プロト・プリマ:え!?

エヴィル:貴様らのタイムトンネルでの戦闘や、地球の歴史が変わった影響を受けたのか、母星の歴史も変わってしまった。各地区で内紛が起こり、戦略ミサイルを互いに使った関係で、星が消滅した。今の生き残りはお前だけだ

プロト・プリマ:な・・・・

 

エヴィル:ちなみに、私が本来の姿になってお前達の前に現れたのは、この事実を伝えるためだけではない。もう“地球上への人類の植え付け”や“地球侵略”の意味が無くなった事、これから侵略のためにやってくるはずだった母星の住民がいなくなった事、それらから、私が決めた“最終判断”、それは“地球に人間を生み出さない”、事だ

 

レン:!!!!!

リン:!!!!!

 

エヴィル:COMPである私も生体から作られた。だから“感情”があり、“思考”がある。そうして作ったのが、これから行われる“余興”だ

ルカ:よ・・・余興!?

エヴィル:正直、貴様らがこれまでやってきたこと、特にタイムトンネルでの戦闘、あれは宇宙の歴史を変更か破壊するに十分なものだった。私はお前らに強い“憎しみ”を抱いた。しかし、ただ単に“私の武器で抹殺する”のでは、憎しみも消えず、つまらない。だから、私が抱いた憎しみと同等の“哀しみ”を与えることにした

レン:な・・・・なにをする気だ!

エヴィル:人の子よ、お前らがよく使う“無限の可能性、不可能はない”、それは所詮“絵空事”なのだよ。『どんなに頑張っても手出しすら出来ず、どんなに願っても掴むことが出来ない未来』、それをこれからお前達の“目の前”で見せてやる!!

 

エヴィルがそういうと、前に並んでいた培養カプセルの液体の色が真っ赤に変わっていった。そして、中の素体二人が苦しみだした。

 

レン:き・・・・・貴様!!!!!!!

エヴィル:目の前で人類の素が“消えて無くなる”のを、しっかりと目に焼き付けておけ!! はぁーーーはっはっはっ!!!!!

プロト・プリマ:な・・・・・・・・・・・・・・・・

リン:きゃーーーーーーーー!!!!!!!

メイコ警部:うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

ルカ:や・・・やめなさいっ!!!!!!

カイト:う・・・うわ・・・・・・

ミク:ミ・・・ミク!!!!!!!!!

レン:貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

 

しかしエヴィルはやめなかった。二人はだんだん球状に変化していき、そしてだんだん液に溶け込み、そして・・・・無くなった。残ったのは、真っ赤の液、それだけだった

 

レン:き・・・・・きさ・・・・・きさま・・・・

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レンだけが全てを見ることが出来た。他6人は途中から目を伏せ、後ろを向いていた。

 

エヴィル:実に楽しかったぞ! 最高の余興だ! そしてこれからがクライマックスだ! その恐怖におののいた顔のまま、我が武器で消えてなくなれ!

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・

 

エヴィル:な・・・なんだ? この地響きのような音は?

 

そこには、黄色の髪を逆立て、仁王のような顔でエヴィルをにらみつけ、全身をオーラで包んだ、鏡音レンらしき人物が立っていた。

 

レン:プロト・プリマさん、この基地にある“未来に行ける装置”は、俺達の戦闘艦に積めるか?

プロト・プリマ:はい。貴方達のモノと違って独立可動で小型軽量なので。私がはずして積みこみます

レン:ミク君、ネギブレード、貸して貰えるか?

ミク:は、はい、どうぞ・・・(こんなレンさん見たこと無い・・・・)

 

ミクはレンにネギブレードを手渡した。

 

レン:メイコ警部、電子銃、貸してくれるか?

 

メイコ警部:は、は、はい、どうぞ・・・(“俺”って言っているし、どうなってるの???)

 

レン:プロト・プリマさんを含めた“みんな”、先にアンに戻っていてくれ。俺はこの最低野郎を粉みじんにしてから戻る

ルカ:で、でも、エヴィルが“自爆”を行ったら・・・・

レン:プロト・プリマさん、大丈夫だよね?

プロト・プリマ:はい。ついさっき独立コンソールで、この基地とエヴィルの制御を切り離しました。エヴィル本体以外への制御はもう出来ません・・・・。素体の破壊の前に出来ていれば良かったのですが・・・

レン:いや、今を考えよう。そういう事だから、全員アンで待機していてくれ

 

リン:わ・・・わかった・・・

カイト:必ず戻ってこいよ

ミク:ミクぅ・・・ネギブレードの返却、待っているミクぅ

メイコ警部:私の相棒、その電子銃、返すだけが条件だからね!

プロト・プリマ:すぐに装置を切り離します!

 

ルカ:必ず・・・戻ってきてね

レン:大丈夫、俺は大丈夫だから

 

こうしてレン以外のメンツは全員、アンに戻るルートを辿っていった。プロト・プリマは別区画の“タイムトラベル装置”のある部屋に急いで走っていった。

 

そしてこの部屋に残ったのは、エヴィルとレンだけだった。

 

エヴィル:ほほぉ、私とタイマン勝負するというわけか。なら最高のサービスをしてやらねばな!

 

エヴィルは目玉の下に隠していた赤い触手を2本、高速で伸ばしてきた! しかし・・・

 

スパン!!!!!

 

ネギブレードが見えない速さで触手を切断した!

 

エヴィル:うぉぉぉ!!! 私の腕が!

 

レン:なまじっか“感情”があるから、機械のくせに“痛い”とわかるようだな。ならこれはどうだ?

 

ズキューーーーン!!!!!

 

最大出力で放たれた電子銃の“電子塊”がエヴィルの目玉の中心に直撃した!

 

エヴィル:うぉぉぉおおおお!!!!!

 

レン:あの二人の素体が受けた“苦しみ”は、こんなもんじゃないぜ! くたばれ!!!!!

 

バキーーン! ガキーーーーン! グサ! グサ!

 

レンはネギブレードが壊れんばかりの威力で、エヴィルの目玉、触手、本体の機械部分を滅多斬りにした!。

 

エヴィル:ぐぉぉぉ・・・・・・・

 

レン:ここにいたいんだろ? だったらずっといさせてやるぜ!

 

レンは落ちていた鉄パイプを拾い、目玉に向かって思いっきり振りかぶり、そして突き刺した。

 

エヴィル:ぐおおおおおおお!!!!!!

 

エヴィルは固定された状態になった。

 

レン:そこで遊んでろよ、最低の外道野郎!

 

レンはネギブレードと電子銃を持って中枢部を後にし、アンに走って戻っていった。

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(基地・着艦ベース・戦闘艦コクピット)

 

プロト・プリマ:装置、取り込み完了しました

ルカ:待たせたわね、ローラ、アン!

ローラ:色々と、この世界のスキャンをしておきました

アン:スキャンデータは使うときに引っぱり出します。エンジンはアイドリング状態にしておきました

リン:レン・・・・大丈夫かな・・・・

カイト:やっぱり先祖子孫の関係、気になる?

リン:う・・うん。今までのレンとの立ち位置、変わるな、やっぱり

メイコ警部:あんなレン君、見たこと無かったわ

ミク:な・・なんか・・・アニメで見た“スーパーなヤサイの人”みたいだったミク。なんか性格が正反対っていうか・・・

 

アン:レンさんが戻ってきました

リン:!!!

ルカ:レン君!・・・あ、元に戻っているのね

レン:はい。どうやら体内のオーパーツと共鳴して発動したみたいなんです。でも持続できないみたいで。あ、ネギブレードと電子銃、返しますね

 

レンは各自に借りていたモノを返した。

 

メイコ警部:レン君、これからどうする? 素体が無くなった割には、私たち、すぐ消えなかったから、たぶん私たちがこれから何か“行う”事になっていて、それですぐに消滅が発動しないんだと思うんだけど

 

レン:とりあえず2点確認を取ります。まずプロト・プリマさん、この基地、破壊してもいいですね? ヤツは動けないようにしたから、基地を破壊すれば木っ端みじんです

プロト・プリマ:はい、お願いします。あの装置の他に、私が行うはずだった“地球に人間を植え付ける”のに必要なモノを一応全部積みましたから

レン:有り難う。それと皆さん、これからこの時代の地球に向かいます。とにかくプロト・プリマさんが行うはずだった行動をまずトレースしていきます。いいですか?

 

ルカ:それが最前の策ね。OK!

リン:・・・・・・OK・・・・・・

カイト:いいよ。それが良いと思うし

 

メイコ警部:OKOK! とにかく帰る前に、この時代の地球を見ておきたいし

ミク:OKミク

ローラ:では、メイコ警部さん、最小出力の主砲でシャッターを破壊して下さい。その後、発進します

メイコ警部:おっしゃ! うりゃ!

 

バスン!

 

小さい濃赤色のエネルギー弾がシャッターを破壊した。空気が宇宙に流れていく。

 

レン:発進します

 

戦闘艦はゆっくりと後部を頭にしながら宇宙に出ていき、そして基地と中距離の位置で静止した。

 

レン:最大出力のキャノン砲で、基地を破壊します。メイコ警部、オーラスお願いします

メイコ警部:りょうかーーーい!!!!! すぅ〜〜、じ・ご・く・へ・落ちろ!!!!!!!

 

カチッ

 

キャノン砲は基地中央部に命中し、大爆発を起こして粉みじんに吹き飛んだ。

 

レン:基地の完全破壊を確認。これより大気圏に突入し、地球に降下します

 

こうして戦闘艦は、約1000万年前の地球の安全な場所に降下したのだった。

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(約1000万年前・地球・大陸の某所(戦闘艦コクピット内))

 

ローラ:外の状態ですが、真夏の天気だと思えばいいです。大気組成、気温、湿度、全て人間が生活出来るレベルです

レン:外に出よう

 

一行はハッチを開けて、外に出た。そこは“海”、“植物”、“大地”しか存在しない世界だった。

 

ルカ:どうやらココには本当に人間はいないようね

カイト:時代的に他の動物はいるのは間違いないですが、ここにはいないようですね

ローラ:危険であることや、やたらに殺生するわけにはいかないので、そういうポイントを待機中にスキャンしたデータから見つけました

ミク:ミクぅ〜、でも人間の素体二人がいないんじゃ、どうしようもないと思うミク

 

レン:・・・・・・いや、1つだけ方法があるよ。わかるよね、リンさん?

リン:・・・はい、覚悟は出来てます

ルカ:? なによ、二人して・・・・

 

レン:あの素体二人は、誰に似ていて、プロト・プリマさんはなんて言ってました?

メイコ警部:えっと、男の子のLがレン君そっくりで、女の子のRがリンさんそっくり

ルカ:それと、レン君やリンさんは“遠い先祖帰り”をしていた。あとリンさんとレン君は子孫と先祖の関係で血が繋がっている・・・・!!!!!

 

レン:そう、僕とリンさんが、素体の代わりにここに残ります

リン:私たちが一番最初の人間になるの

 

ルカ:な・・・・何を言っているの・・・・

レン:ここにいるメンバーで一番素体に近いのは僕たち。そして僕たちしか現状でどうにか出来る人間はいない

リン:もう覚悟出来てます

ルカ:だ・・・だめだめだめ!!!!!! レン君もリンさんも、そんなことダメなの!!!!!! 他の方法を考えるの!

 

プロト・プリマ:苦言ですが、それしか方法がありません。私は今の状態で1から素体を作り出す事が出来ません。そして、レンさんリンさんがそれを行っても多大な歴史変更が行われる可能性も否定できません。ましてや“それも行わなず”帰ってしまった段階で、この地球由来の生物以外、全て消え失せます。人間も文明もそして一部の生物も

 

ルカはボロボロ泣きながら、レンとリンを制止していた。

 

ルカ:だめだめだめ!!!! レン君とリンさんがいない生活なんて考えられないの!!!・・・・・・・・ぐふぅ

 

レンはルカの腹に重いパンチを浴びせ、ルカを気絶させた。ルカはその場に倒れてしまった。

 

レン:ルカさん、ごめんなさい・・・。それと皆さんにも実は大きな迷惑を掛けてしまう事があるんです。僕がいなくなる事で使えなくなる“時空戦闘艦スウィート・アン”をここに置いていって貰うしかなくなるんです。あと、僕たちはここで様々な事を行っていかなくてはならないので、プロト・プリマさんとローラさんもここに残って貰う事になります

プロト・プリマ:当然の事ですから問題なしです

ローラ:疑問の余地はないです。残ってお手伝いさせていただきます

ミク:グスッ・・・・ならミク達はどうやって元の時代に戻ればいいミク?

レン:プロト・プリマさんにあの基地からはずして持ってきて貰った“未来にも行けるタイムトラベル装置”で、一方通行になるけど、貴方達の本体だけ、あの探偵社がある位置にタイムワープさせます。僕が代役になる関係で、おそらく“探偵社はない”世界になっていると思うけど、そこら辺はルカさんやカイトさんの技術で巧く乗り切って下さい。凄く無責任で恐縮ですが

メイコ警部:・・・・・貴方達の事を考えれば、なんてことない事よ

 

レン:では、艦に積んである装置まで行きましょう。正直、いつ僕たちが消えてしまってもおかしくない状態ですから。気絶しているルカさんはメイコ警部が背負っていって下さい

 

一行は、艦の倉庫に移動し、プロト・プリマが積んだ“タイムトラベル装置”の前に来た。

 

*****

 

(戦闘艦内・倉庫・プロト・プリマのタイムトラベル装置)

 

プロト・プリマ:これが装置です。こちらで起動してターゲットポイントを設定すれば、この椅子に座っているミクさん達を未来に送ることが出来ます。操作は私が行います

 

プロト・プリマはマシンを起動した。

 

ウィーーーーン!

 

レン:ミク君、懐中時計に記録されている探偵社のターゲットポイントをプロト・プリマに見せて下さい

ミク:はい、これです

プロト・プリマ:了解です

 

プロト・プリマは装置にターゲットポイントをセットした。そして、メイコ警部、気絶しているルカ、ミク、カイトを椅子に座らせた。

 

プロト・プリマ:レンさんも前に言ってますが、ターゲットポイントは“違っている未来”である可能性が高いです。なので、かなり無茶なタイムトラベルとなります・・・・無責任かもしれませんが、色々な面で頑張って下さい

 

メイコ警部は、目に涙を溜めながらも、気丈に振る舞っていた。

 

メイコ警部:ぐすっ。とにかく頑張るわ。貴方達もね。それと、“さよなら“、は言わないわよ。絶対また会うんだから!

レン:はい。僕も“さよなら”は言わないことにします

リン:私もさよならは言わない、だってきっとまた会えるからね!

ローラ:また会いましょう!

 

ミクは涙で目が赤くなりながらも言葉を出す事にした。

 

ミク:ミクぅ・・・レンさん・・・一時の別れだから、また会ったときは、ご飯おごって下さいよね。大盛り天丼10人前!

レン:わかったよ。約束する

リン:ミクさん、今度会えたときは、剣術勝負の決着、付けましょうね!

ミク:わかったミク、約束するミク!

ローラ:その時は私が審判を勤めさせていただきますね

 

カイトはマフラーで眼を拭いながらも、挨拶をすることにした。

 

カイト:ぐす・・・・レン君、又会う日をずっと待っているよ! そして、リンさん、貴方もその時は絶対に一緒に来るんですよ。僕たちとルカさんは、“最高のトリオ”なんだからね! 当然、ローラさんも、そして新しい仲間の“プロト・プリマさん”も一緒に来てよね。美味しい“アイス”紹介したいから

レン:有り難う

リン:ぐすん・・・カイトさん・・・また会おうね

ローラ:有り難うです

プロト・プリマ:約束します。そしてその“アイス”という食べ物、楽しみにしてます

 

レン:そして気絶しているルカさん、強引だったよね、ごめんなさい。でもこうしないとあなたは最後まで反対すると思ったから。でも大丈夫、きっとまた会えるよ。それまでちょっとの間だけ、我慢していて下さい

 

気絶しているはずのルカの目から、何故か一筋の涙がこぼれた。

 

レン:(!)

 

プロト・プリマ:それでは転送シークエンスに入ります。私も含めたここに残る人たちは、ちょっと離れていて下さい

 

ブイイイイイイイーーーーン!!!!!

 

プロト・プリマ:ターゲットポイント、確認完了。出力100%安定を確認。時空エンジン作動。これよりカウントダウンに入ります

 

グォーーーーーーン!

 

プロト・プリマ:10・・・9・・・8・・・7・・・6

 

マシン全体が輝きだした。

 

プロト・プリマ:5

 

レンとリン、そしてローラの目から涙がこぼれだした。

 

プロト・プリマ:4

 

レン:また会える・・・きっと会える・・・

 

プロト・プリマ:3

 

リン:時代は違っても、同じ地球にいるんだもん、会えるよ、絶対

 

プロト・プリマ:2

 

ローラ:皆さん、また会いましょう

 

プロト・プリマ:1

 

レン、リン、ローラ:また会おうね!

 

プロト・プリマ:0。転送!!!!!

 

バシューーーーーーーーーーン!!!!!

 

ルカ、ミク、メイコ警部、カイトの4人は椅子から突然消えた

 

プロト・プリマ:成功です。行った先の歴史にちゃんと入り込める事を祈るばかりです

 

レン達は少しの時間、感慨に耽っていたが、気を取り直して、“やらなければいけない事”、に移ることにした

 

レン:プロト・プリマさん、早速“作業”に入ることにしましょう。みんなも向こうで頑張るんだ、僕たちも全力を尽くしましょう!

 

プロト・プリマ:了解です

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(4126年・イギリス、ベーカー街221区画−ポイントB)

 

シューーーーーーン。スタ。

 

ルカ達4人は、メイコ警部とミクの時代、“イギリス・4126年”のベーカー街221区画−ポイントBに到着した。

 

メイコ警部:ふぅ・・・無事到着したわね

ミク:ミクぅ〜、でも“鏡音時空探偵社”の形跡も看板も、なにもないミク・・・・

カイト:いや、ない方が逆に良いと思う。もしあったら、ここの歴史でいる“レンさんとメイコ警部とミクさん”に会うことになって、パラドックスが生まれるからね・・・・・あの〜ところで、ルカさん、もう大丈夫ですか?

 

ルカは眼を真っ赤にして、体育座りをしていた。が、起きあがって、ミク達の所に来た。

 

ルカ:うん、もう大丈夫だと思う・・ううん、“大丈夫”! レン君達があっちで頑張ったから、これだけ精度良く歴史を再現できたんだと思う。私たちもこっちの世界に侵入して、“生活”していかないといけないからね

カイト:まずは家と仕事か。とりあえず前の歴史に会うようなモノを作ることにしましょう。まずハッキングして僕たちのIDを作り、この“空き地”に、“巡音探偵社”を作りましょう

ミク:そうだね。あの時空関係の事件は起こってないはずだから、この懐中時計で仕事は無理ミク

ルカ:そうね。“普通の探偵“の仕事にするしかないのよね。それとさすがにメイコ警部を前の歴史の立場にすることは出来ないから、メイコ警部はうちの探偵社の社員ということになるけど、いいですか?

メイコ警部:もとよりそれしかないもの。大丈夫、探偵の仕事も心得ているから

 

ルカ:では、新しく作って行きましょう! またレン君達に会ったとき、胸を張れる世界を!

ミク:ミク〜、でもまず最初に、ご飯食べましょうよ、お腹ペコペコミクぅ〜

 

一同:ははは!

 

快晴の天気と同じように、彼らのココロも爽やかだった。

(To Be Continued) ← ?

 

CAST

 

探偵レン:鏡音レン

助手のミク:初音ミク

メイコ警部:MEIKO

 

リン:鏡音リン

カイト:KAITO

ルカ:巡音ルカ

 

ローラ:LOLA

時空戦闘艦“スウィート・アン”のシステム:SWEET・ANN

 

プロト・プリマ:Prima

 

エヴィル(EVIL):合成音

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第4作目の”きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社!“シリーズの最終話です。
☆探偵モノです!
○時空を越えて捜査する探偵レンの物語です!
○最終話とはなっているものの…
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