魔法少女戦隊ダイヤ★マギッシュ第1話
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第壱話 夢の中へ行ってみたい、ような……

 

これは、みんなが忘れていそうな(事実忘れ去られている)田舎の女子寮「わすれ荘」の物語です。

この「わすれ荘」の寮生はたった五人しかいません。他に寮生をいれる部屋がないのでしょうか。いいえ、そうではありません。

この五人には、他の人には言えない大事な大事な秘密があるのです。

それは―――

 

魔法少女戦隊ダイヤ★マギッシュ 第壱話

「夢の中へ行ってみたい、ような……」

 

よく晴れて、空気も澄んでとても気持ちの良い朝のこと。

赤いポニーテールの少女は大声を張り上げました。

「遅刻する!遅刻するぅ!」

彼女、わすれ荘に住む倫命学園中等部2年G組、

越前アイは、もの凄いスピードで走っていました。

何故なら、他の寮生が誰も彼女のことを起こしてくれず、

さっさと学校へ行ってしまったからです。

「はぁ……はぁ……。シアンってば……はぁ……ひどい……」

同じ寮生で、クラスメイトの大野シアンを若干呪いつつ、

「まあ、風が吹いたから遅刻しました、って言えば、どうにかなるわね。

うん我ながら良い言い訳だ」

と、どう考えても言い訳になりそうにない言い訳を思いつき、

にんまりと笑うと、徐々に走るペースを緩め、

ついには徒歩になってしまいました。

そして学校まであと100mというところで、無情にも鐘が鳴ってしまいました。

 

「今日、私日直だって言っていなかったっけ?」

昼休み、購買で買ってきたお弁当を、中庭でほおばりつつ、

ショートヘアーの少女、大野シアンはアイに言いました。

「だって、ヒスイだって、ユカリだって、オーレリィだって、

みんな起こしてくれなかったんだもん!」

「アイってば……もう中2なんだから、いい加減一人で起きないといけないわよ。

他の皆さんだって、学業に忙しいんだし、仕方のないことだと思うわ」

「まあ、そうなんだけどね……でもさ……」

「あと、遅刻の言い訳、『風が吹いたから』っていう理由は、どうかと思う」

「それは、言わないで……あのとき、

てんぱっていたんだから……。自分では結構良い言い訳だと思っていたのよ」

シアンは、自分の親友の頭脳レベルをどう突っ込もうか考えていると、

金髪を二つ結びにした美少女が近づいてきました。

「ハーイ!今日も遅刻したアイちゃん、元気ぃ?」

その声を聞いた瞬間、シアンは顔を歪ませ、

「げ、オーレリィ……」

と、呟いてしまいました。

近づいてきた少女、わすれ荘の寮生で、

同じ中等部の3年生のオーレリィ・(略)・アワラ・バルビエは、

にっこり笑いながら、アイ達に話しかけてきました。

「上々……よ……。一応。あと『今日も』じゃない。今日が今年初めて」

と、苦々しい表情を浮かべるアイに対し、オーレリィは、

「『風が吹いたから、遅刻した』なんて、アイさんってば、

南国出身だったのね!今度一緒に連れてってよ!うふふ〜楽しみだわぁー」

と、とても幸せそうな笑顔で、言いました。

「オーレリィも、一応知っていたんだ……元ネタ」

とアイは呟き、シアンは、こいつもレベルは同じか、

と心の中で叫びつつ、頭を抱えてしまいました。

アイは、ふと思いついた疑問を、オーレリィに尋ねました。

「あ、オーレリィ。もう昼ご飯、食べたの?」

「いんや。今日はカレーライスが売り切れていたから、断食なの」

ご存じないと思いますが、オーレリィは金曜日の昼はカレーと決めていて、

食べられなかったら、昼御飯を抜くのです。そして彼女は、

どんなにおなかが減っても、夕飯まで我慢するという

よくわけのわからないポリシーをもっていました。

『オーレリィ親衛隊』なら誰でも知っていることらしいです。

「だから、無駄なエネルギーを使いたくないから、教室に戻っているね」

と言って、中庭から去ってしまいました。

その数十秒後、アイは大声で叫びました。

「なんでクラスどころか、学年も違うのに、

なんで遅刻とその言い訳を、奴がしっているんだー!?」

 

放課後。アイもシアンも部活動をしていないので、

そのまま寮に帰ることになるのですが、早くに帰ったって、

暇をもてあますだけなので、本屋に寄り道することにしました。

「『莫迦の旅〜the fool is world〜』の新刊が出てたのよね!買っちゃお」

好きな作家さんの新作を手にとって、パラパラめくっているアイを横目に、シアンは、

「いくら、寮母さんからお小遣いもらったばっかだからって、無駄遣いは良くないわ」

と戒めるのですが、アイはこう反論しました。

「でも田舎だから、遊ぶところがないじゃないの。ファミレスも喫茶店もないし」

「確かに……。買い食いって言ったって、クレープの移動販売は、

高いわりには、あまりおいしくないし……。たこ焼き屋さんの一つぐらいあったっていいのに」

「そうそう。分かっているんじゃん、シアン。んじゃ、レジ行ってくるわ」

そうアイは言い、レジに向かう瞬間、地響きと共に、人々の叫び声が聞こえてきました。

アイとシアンはあわてて外に出ると、戦う魔法少女に必ずといって良いほど出てくる、

所謂敵キャラ「ガーミン」が街を人を襲っていました。

今回のガーミンは、アンプが化けた物のようでした。

大きな重低音を出すので、結構うるさいです。

「アイ、変身するわよ!」

「え、まだ本買っていない……」

「つべこべ言わない!行くわよ!」

「あぁん、もう!分かった、分かった!」

アイは諦めた様子で、そう言うと大きく深呼吸して、シアンと目を合わせました。

そして、二人はダイヤの形をしたアクセサリーを掲げ、声を合わせて思い切り叫びました。

 

「ダイヤ★マギッシュ・スピリチュアル・パワー!」

 

その刹那、ぱあっと輝いたと思ったら、制服姿のアイとシアンの姿は見えなくなりました。その代わり二人の魔法少女、ダイヤ・クリムゾンと、ダイヤ・シアノスが現れました。

クリムゾンは赤いリボンと腰のベルトが特徴的で、スカートをはいています。

そのリボンの中央には赤いダイヤ状のブローチが付いていました。

シアノスは青いストールが首に巻いてあって、服はワンピース。肩に青いダイヤ状のブローチが付いています。

賢明な読者様にはお解りでしょうが、彼女たちはアイとシアンが変身した姿です。

しかし街の人々は、ガーミン襲来のどさくさで、

二人の少女が変身したことにだれも気づいていません。

「シアノス、殺るわよ」

「オーケー!」

二人はそう言うと、二手に分かれました。

シアノスは、店の前に置いてあったフラグを、

重しのコンクリートごと軽々と持ち上げると、ガーミンに向かって思い切り振り下ろしました。

そして、

「おーにさん、こちら、手の鳴る方へ!」

と言って、手をたたきながら、ガーミンの注意をシアノスに向けさせました。

シアノスの思惑通り、ガーミンは彼女の方に振り向き、襲おうとして突進してきました。

「ダイヤ・クリムゾン・バーニング・アタック!」

声が聞こえたので、ガーミンがそちらの方に振り向くと、クリムゾンが横から飛びながら、魔法のステッキ「ケーニヒ・デ・マギッシュ」で、炎を出してきました。

「フハハ、燃えろ、燃え尽くせぇー!」

どう考えても、魔法少女に似合わない台詞を吐きながら、クリムゾンはガーミンを燃やします。

そして、ガーミンは消滅し、元のアンプに戻っていきました。プスプスと焦げ臭いにおいがします。多分もう使えそうにないです。

そのアンプの横には、光り輝く宝石が落ちていました。

「よし、夢のしずく、ゲット♪」

と、シアノスは言うとそれを拾い上げました。

「この夢のしずくがすべて集まると、妖精のマロウちゃんの力が元に戻るのね……」

クリムゾンは、ボソッと呟きました。丁寧なご説明、ありがとうございます。

「ちょっとぉ、ガーミンが現れたってぇ〜」

バタバタと走ってきたオーレリィは、クリムゾンとシアノスに話しかけました。

「えぇ、たった今倒したわ。オーレリィ、今更遅いよ」

と、クリムゾンはぼやきましたが、

「今日は、オーレリィは夕飯係だったから、仕方ないわ」

と、シアノスはオーレリィにフォローをしました。しかし、

「無事に倒せたし、これにて一件落着。カッカッカッ」

と、オーレリィは、どこかのちりめん屋の隠居のお爺さんのような台詞を言ったので、

クリムゾンは、ぷるぷると震えながら叫びました。

「お前は、何もやっていないじゃないかー!」

その声は、町中にこだましました。

説明
第壱話 夢の中へ行ってみたい、ような……

タイトルオチ。いわゆるパロディモノ
とりあえず第1話だけ試しにあげてみようと思います。
つまらないって言わないで……つまらないものだけれど。
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魔法少女 パロディ 

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