真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part49 撤退戦
[全4ページ]
-1ページ-

「だあっしゃおらああああ!」

 

翠の強力な一撃が春蘭に振り下ろされた

 

「ぐっ・・・・」

 

銀閃の一撃を肩口に受けた春蘭は一瞬たじろぐ、しかし

 

「があああああ!」

 

「うわわわっ!」

 

すぐに一撃を返してしまう

 

「ちくしょうこれじゃきりがねえぜ」

 

体力の限界が近づいていた

藁にも縋る思いで後方に控える恋とねねを振り返る

 

「ねね、恋はまだか」

 

「お願いだからもう少し粘るのです。恋殿・・・・・」

 

恋は四肢を投げ出し仰向けに倒れていた

倒しても倒しても回復してしまう春蘭との戦いに、さすがの恋も限界を超えている

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・おなかすいた」

 

「誰か、恋殿に食料を・・・・」

 

しかし周囲を見渡しても、味方はいなかった

晋の二陣は数で魏、蜀連合軍を圧倒、頼みの綱であった恋や翠が春蘭に足止めされてしまっている

 

「こんなはずでは・・・・」

 

ねねは晋がいかに大軍であろうと、恋の武で押し返せると考えていた

そして、恋の武を最大限に発揮できる狭い街道を選び恋を前面に出した

恋はねねの期待に答え晋軍を蹴散らした

だが

 

「なんなのです、おかしいのです」

 

春蘭の力は想像を遥かに超えていた

春蘭は普段以上に本能を前面に押し出した戦いをしてきた

本能の戦いなら恋にかなうものは無く

恋の攻撃は的確に春蘭を捉え圧倒したのだが、春蘭が受けた傷はすぐに回復してしまう

 

手詰まりとなったねねは風に救援を要請

援軍の要請を受けた風は一刻を争うと判断、機動力のある翠を援軍に派遣した

-2ページ-

 

「翠殿、味方はもういないのです。引きますぞ」

 

「引くったって・・・くっ」

 

翠から受けた傷が癒えた春蘭の攻撃が襲い掛かる

翠は必死に受け流そうとするが、呼吸の上がっている翠と力が衰えない春蘭では勢いが違う

 

「あっ」

 

翠の足がもつれ腰から倒れてしまった

倒れた翠を容赦ない春蘭の一撃が捉えた

 

翠は銀閃を横に構え一撃を食い止め

 

「・・・・・よくわかんねえけど・・・・こうか?」

 

真桜が銀閃に加えた新機能

翠が銀閃のボタンをぽちっと押す

すると、一本だった槍が多節槍へと変形した

 

銀閃の関節により突然下への重力を受けた春蘭は態勢を崩す

翠は春蘭の七星餓狼を多関節化した銀閃で絡め取るとかなたへ放り投げてしまった

飛んでいく七星餓狼を眺める春蘭を蹴り飛ばし、翠は恋とねねのところへ下がると

 

「焔耶のところまで下がるぞ」

 

「はいなのです。恋殿、いきますぞ」

 

「・・・・・・おなかすいた」

-3ページ-

 

味方のいないこの場所から一目散に撤退した

 

 

 

3人は翠を先頭に敵を払いのけながら第二防衛線に到着した

しかしそこにあるのは予想よりも厳しい現実だった

 

「ほとんど全滅かよ・・・・・」

 

防衛線として機能しているのは指揮所のほんの一部だけで、それ以外は晋の旗しか見えない

 

そんな中、一箇所だけ激戦が繰り広げられていた

激戦の中心にいたのは焔耶だった

 

「焔耶を助ける、恋、ねねついて来い!」

 

完全に囲まれてしまった焔耶を救うべく背後から敵を襲う2人(ねねは恋の後ろに引っ付いている)

なんとか焔耶のところまでたどり着いたが

 

「焔耶」

 

「無事だったかお前達、そっちの敵は頼んだぞ」

 

「はぁ?周りが見えないのかよ。ここは一旦引くぞ」

 

「引くだと?何をほざくか!」

 

焔耶が鈍砕骨を振るうと晋の兵が多数吹き飛んだ

 

「臆病風に吹かれたか翠、この程度の弱兵千、2千を蹴散らすなど造作も無い」

 

「馬鹿!こいつらだけじゃなくて、あっちにとんでもない化けもんがいるんだよ」

 

翠が七星餓狼を投げた方向を指差す

 

「馬鹿だと・・・・・貴様だけには言われたくないわ!」

 

「そんなこと言ってる場合じゃねえーーー!」

-4ページ-

 

なぜか喧嘩を始める二人

しかし襲い掛かる敵兵を倒しながらなのはさすがだった

 

「とにかく、このままじゃ全滅するだけだ、一旦下がって態勢を」

 

「断る!」

 

「焔耶!」

 

焔耶は頑として引くことを受け入れない

 

「あの屈辱をまた味わうくらいなら・・・・・ここで死なせてもらう」

 

「あ・・・・」

 

翠は焔耶の覚悟に何も言えなかった

 

焔耶の言う屈辱

それは2年前、魏との決戦でのことだ

桃香の前に悠然と現れた華琳

焔耶は桃香を守ろうと華琳に攻撃をしかけた

しかし、あろうことか武将でもない君主の華琳に焔耶は一撃で倒されてしまったのだ

 

その後、桃香は華琳との一騎打ちに敗北

蜀は降伏を受け入れた

 

「私はあれから血のにじむ鍛錬を積んで来たのだ。見ろ、翠、恋、ねね」

 

焔耶は相変わらず軽々と敵を蹴散らす

 

「今の私は恋にも勝って見せる!!!」

 

焔耶はとてつもなく強くなった

もしかしたら翠も勝てないかもしれない

それでも、どんなに強くなろうとも一人では限界がある

 

「だめだ、ここは引く」

 

「ならば貴様らだけ引け、私は絶対に引かん!」

 

「・・・・・焔耶はなんのために強くなったんだ。桃香様を悲しませないためじゃなかったのかよ」

 

桃香の名を聞くと、焔耶の動きがわずかに揺れた

 

「ここに残って討ち死にして、桃香様を悲しませたら強くなった意味がないじゃないか」

 

「むむむ」

 

「何がむむむだ!」

 

すると、いい加減にしろと言いたげなねねが

 

「いつまで食っちゃべってるですか、急がないと真桜も危ないのです」

 

ねねの差す方を向くと、とうとう指揮所に火が上がっているのが見える

 

「それを早く言え、行くぞ翠、恋」

 

火を見るとさっさと指揮所へ引き返す焔耶

 

今までのやりとりはなんだったのかと茫然自失の翠

 

「むむむ」

 

「何がむむむなのです!行きますぞ、さ、恋殿」

 

「・・・・・おなかすいた」

説明
一刀が華琳のところへたどり着いた頃、魏蜀連合軍は・・・・
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2352 2186 19
コメント
間が開いてしまいすいません。本当はもう少しで終わる予定でしたが、最後をどうするかがまとまらず時間が経ってしまいました。話が広がりすぎてもいけないですし、なんとか形を作れればと・・・・(見習いA)
タグ
恋姫†無双 真・恋姫無双 魏√ 

見習いAさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com