鋼の錬金術師×テイルズオブザワールド 第五十一話
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〜バンエルティア号〜

 

『………そうか。やっぱり僕達は、ずっと…先祖代々から世界樹に騙されていたんだね…。』

 

寂しそうな口で、クレスは今までの事を考え改めるように俯いた。

 

そして、自分達が信じてきた事でやってきた事を思い出した。

 

正義と信じていた行動、そして象徴が、全て無意味なようにも思えてきたのだ。

 

『しっかし、分からないのはどうして光の精霊が、闇の精霊を洞窟に閉じ込めた…のかしらね』

 

アーチェが、考え事をする上に、騙されていたというイラつきを感じながら答えた。

 

『いや、ただ守る為だろうな。シャドウの話を聞いた以上、それ以外の答えは該当しない。』

 

『でも、今は世界樹の肩入れしてんでしょ?』

 

『何万年も経っているんだ。思考ぐらい、変わっていない方がおかしいだろうな』

 

エドが、皮肉るようにそう言った。

 

『現実って……本当に残酷なんだな。』

 

『俺が知っている中で、この世界の現実は……特にな。』

 

クレスとエドが俯くと、この空間に重い空気が更に圧し掛かるように増した。

 

エド達がこなしたクエストから知った真実は、この世界にはとても重要で、そしてとても絶望的だった。

 

最初から、世界樹の掌で終始踊っていただけの自分達を知り、今までの自分の馬鹿さ加減が一向に増していくようだ。

 

『あと、もう一つ報告がある』

 

エドがまた、真剣な表情でクレス達の方へと顔を向けた。

 

『イアハートは、暁の従者に拉致されている』

 

『………!!!』

 

世界樹の陰謀を知った時以上に、クレスの表情は驚きと怒りで歪んだ。

 

『それは本当か!?エドワード君!!』

 

『ああ。洞窟内に居た信者が口を裂かして話した。間違いは無え』

 

報告を受けたクレスは、唸りながら考える仕草をする。

 

表情は真剣だった。

 

『……そうか、ならば緊急重要捜索クエストを書類に追加するよ。』

 

その言葉を聴いて、エドは少し複雑な心境になった。

 

前に出会った、盗賊団の人たちにその依頼はもう頼んでいるのだ。

 

まだ見つかっていないにしても、途中で報告があったらその重要任務は水の泡になる。

 

だが、エドは迷わず答えた

 

『ああ。よろしく頼む。』

 

どの道、簡単に見つかりっこ無い為

 

更に増員したほうが効率的になるだろう。というのがエドの考えだった。

 

『それじゃぁ、このクエストは……今手が空いているリッド君とティトレイ君にやってもらおうかな。』

 

『おい。そんな適当で良いのかよ』

 

『大丈夫だ。僕はこのギルドの皆を信じているからね。』

 

クレスは自信満々に答えた。その自身が逆に不安になった。

 

不穏な表情でエドが睨みつけると、クレスは気付いていないかのように笑顔でエドに言葉を送った。

 

『それじゃぁエドワード君。病み上がりで依頼をこなして疲れただろう。今日はもう十分に休んでくれ。』

 

明るい声でそう伝えられたエドは、素直に喜ばずにクレスをじっと睨みつけた

 

『…………』

 

『ん?どうしたんだい?』

 

この馬鹿正直は、おそらくいつか酷い目に合うだろう。

 

そう考えながらエドは首を横に振った。

 

『いんや、なんでも無い』

 

そう言って、エドは自分の部屋へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜エステルとユーリの部屋〜

 

右目と右耳、そして顔半分の上半分の皮膚を奪われたエステルは、エドから貰ったアイマスクで傷を隠しながら、飼っているミアキスをあやしていた。

 

『ほーら。こしょこしょこしょ……』

 

ミアキスの首を三本の指で撫でると、ミアキスの喉が鳴った。

 

まるで猫のようだったが、誰もそんな事は気にしないだろう。

 

エステルは、あの一件以来全く以来を受けていなかった。いや受けさせて貰えなかった。

 

自分で人体練成をした、自分で作り上げたルカの出来損ないを見て、精神がまだ回復できていなかったのだ。

 

だが、エステル以上にイリアの方が重症だった。

 

あの一件以来、全ての以来を断っているのだ。

 

ずっと、部屋に閉じこもるか射的室で的当てをしているかだ。

 

話しかけても誰一人に声をかけない。

 

無視をしているのか、聞こえていないのか。はたまた両方か。

 

ここ数日、誰もイリアの声を一度も聞いた事は無い。

 

エステルは、ただそれを知りながらずっと苦しんでいるのだろうか。

 

最近、いつもミアキスに構ってばかりいる。

 

ミアキスに心の傷を癒したいのだろうが、心の奥まで達しているその傷は、治るには時間が掛かるだろう。

 

それ以上に、決心をつける必要があるのだが。

 

ただ、エステルは何もする事は出来なかった。

 

ただ、偽りの笑顔で寂しい空気を放ちながら、ずっとミアキスを相手している。

 

『……………』

 

それをユーリが不安そうに見ていた。

 

そこで、ユーリはエステルにある提案を持ちかけてみた。

 

『……なぁエステ。やっぱりお前、フレンの所に戻った方が良いんじゃねえか?』

 

ユーリがそう言うと、偽りの笑顔さえも消え、ただ寂しそうな表情だけが残った。

 

そして、消えそうな声で言葉を返した

 

『私は……やっぱりまだ…ここを出るわけにはいきません。』

 

『無理に居る事無いんだぜ。何より、ここにはエステルと同じ考えの奴が沢山居るんだ。そいつらにまかせて、自分は城で休んだって、誰も文句は言わねぇさ。』

 

ユーリも返事を返すと、エステルはユーリの方を向き、微笑を返した。

 

『それじゃぁ……尚更休むわけにはいきませんね。』

 

ユーリは、呆れの溜息を吐いた。

 

分かっていた。エステルはこのような性格だ。

 

やろうと思った事は、絶対に止まらない正確なのだ。

 

弟子入りを希望されたエドも少し可愛そうだが、

 

エステルを破門させたエドは、尊敬に値するほど凄い奴だとも感じた。

 

『師匠に破門されてからは……これからの私は成長していかなくてはいけません。』

 

エステルは、ミアキスを撫でながら答えた。

 

『顔のこの傷は、その証です。ですから私は、もう引き返してはいけない所まで来てしまったのです。』

 

『……………』

 

『ですから、フレンにはこの事は内緒にしておいてください。いつかきっと……きっと話しますから。』

 

エステルがそう言った後、ユーリは頷きながら考える仕草をした。

 

それは冗談なのか、それとも本気なのか分からなかったエステルは、少しだけ焦った。

 

『……よし。分かった。フレンには黙っといてやる』

 

ユーリがそう返事をした時、エステルは安堵した息を吐いた。

 

『そもそも、あいつがそんな事聞いたら発狂して気絶しかねぇからな。』

 

冗談っぽくそう言うと、エステルも小さく笑い出した。

 

『確かに、フレンならしかねませんね。』

 

ユーリは、懐から一枚の紙を取り出すと、エステルはそれに反応して目を丸くさせた

 

『ユーリ……?それは……』

 

『ん?ああ、久々の依頼が来たんだが、丁度今連れが時間相手居ないってんでね。』

 

するとユーリは、紙をもう一度懐の中へと隠した。

 

『まぁ、エステルにも無理強いはさせねえけどな。アルは同行を承諾してくれたしな。』

 

アルという言葉を聞いて、エステルは更に表情を変えた。

 

アルというのは、師匠の弟だ。

 

彼と一緒に行動することは、師匠の今の意味を聞くことが出来るかもしれない。

 

エステルにとっては、この依頼はかなりの好都合だった。

 

『ユーリ……。』

 

エステルは、優しい笑顔でユーリに微笑みかけた。

 

『で?どうするよ。プリルと一緒にお留守番してるか?』

 

『いいえ。是非同行をお願いさせてください。』

 

そう言うと、もう一度屈み、ミアキスの頭を撫でた

 

『プリル……。ちょっとエステルは出かけてくるから、良い子にしてて。ね?』

 

母親が子供に声をかけるように、優しい口調でエステルは声をかけた。

 

その表情を見て、ユーリは少しだけ微笑んだ。

 

そして、少しだけ後ろめたくなった。

 

これから、フレンと出会わせた時どうやって説明をしようか。

 

ユーリは、それが少しだけ怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜射的所〜

 

イリアは、無言で銃に弾を詰めて射的の的に合わせて発砲していった。

 

ルカが死んでから、スパーダがこのギルドを去ってからイリアはずっと一人だった。

 

一人ぼっちだった。

 

その紛らわせる為に、銃を使うことだけが楽しみになっていた。

 

依頼はこなす気になれなかった。

 

このクソ依頼のせいで、ルカは死んだのだ。

 

また今度、誰かが死ぬかもしれない。

 

そうなった時、またエステルみたいな犠牲者が出るのだろうか。

 

それが、見てて嫌だった。

 

だったら、こっちから関係を絶ってやる。

 

そう思いながら、イリアは的に向けて発砲した

 

『くそっ』

 

的から多く外れて、弾は天井に当たった。

 

硬い音が響き、破片が落ちてくる。

 

それが更に、イリアを腹立たせた。

 

『くそっ!!!くそっ!!!!くそっ!!!!!!』

 

イリアは、片っ端から弾を乱射した。

 

的にもたまに当たったが、ほとんどが壁や天井や床に当たった。

 

火花が散り、そこに光が発せられる。

 

それは、最早練習とは言い難かった。

 

ただ、憂さ晴らしの為に撃っていた。

 

弾が無くなると、ただ空しくなって撃つのを止めた。

 

無造作に銃を机の上に置くと、イリアは俯いた。

 

椅子に座り、遠くに位置する的をじぃっと見つめていた。

 

的までの距離はどれくらいだろう。等とは微塵も考えていない。

 

ただ、何も考えていなかった。

 

そのまま的を、ボーッと見つめているだけだった。

 

『的当てはもうお終いかしら?』

 

一人になりたいこの空間に誰かが入ってきた。

 

その事に敏感になり、鋭い目つきで入ってきた者をイリアは睨みつけた。

 

入ってきたのは、新しく入ってきたホークアイだった。

 

『………何しに来たのよ』

 

『訓練よ。こう部屋で依頼を待っているだけじゃあ、腕がなまってしまうからね。』

 

そう言って、リザは銃を真剣に構えた。

 

そして、ほとんど感覚を空けずに発砲し、イリアは驚いた。

 

唐突な爆発音に、理不尽を感じたからだ。

 

『ちょっとアンタ!何すぐに発砲をして……』

 

ホークアイの元へと歩み寄った瞬間、また発砲音が鳴った。

 

『うぉあ!』

 

いちいち驚いているイリアに対し、ホークアイは全く動じていない。

 

その行為が、なんだか苛立たしくなり、イリアは文句を言った。

 

『デタラメに銃を使ってんじゃないわよ!!』

 

『デタラメじゃないわ。ちゃんと銃の向き、方向、距離を測りながら発砲をしているわ』

 

ホークアイの温かみの全く無い返事に、更にイリアは苛立ちながら、リザの的を見た。

 

『嘘付け!デタラメ意外にそこまで読めるはずが無………』

 

リザの撃った的を見て、イリアは言葉を失った。

 

的のほぼ中心に弾が埋め込み、

 

さらにその上に、弾に当てたかのようにもう一つの弾がめり込んでいるのだ。

 

同じ場所を、二回同じ撃ったというのか。

 

とんでもない集中力とコントロールだった。

 

『………ここは近すぎるわね』

 

更にそう言葉を付け加えたホークアイを見て、イリアは更に目を鋭くさせた。

 

恨めしそうに見る目は、当然ホークアイも気付いた。

 

『………何の用かしら?』

 

全ての自分が、こいつに取られたように思えて、気に食わない。

 

自分は全ての依頼を断っていったが、

 

ホークアイを見て、それが全て吹っ飛んだ。

 

そうなると、完全に自分はこのギルドには要らないような気がして

 

『ムッキー!!!負けないわよ!!!この筋肉女!!!』

 

そう言って、イリアは持ち場所に戻って銃に弾を詰めた。

 

そして的に向かって何度も発砲した。

 

それはもう、デタラメに。

 

『ふんの!ふんの!!当たれ!真ん中当たれぇええ!!』

 

呆れた溜息を吐きながら、ホークアイは出て行った。

 

扉を開けた瞬間、耳に障る声がホークアイの耳に入った。

 

『やぉお!これはこれは中尉ちゃぁん!』

 

赤い髪の…。ゼロスという名前だったかしら。とリザは思った。

 

『いやぁ〜。今から俺様も部屋に戻ろうと思ってたんだけど、まさかこんな所で出会ったのも、まさに運命……ねぇ中尉ちゃぁん!そう感じなぁい?』

 

性格や口調から違うが、どこか大佐と同じような空気を感じる。

 

いや、根から大佐の臭いがプンプンしてくる。同じタイプの人間だろう。

 

『いいえ。感じません。』

 

正直に、素直に偽り無く返事をすると、ゼロスはわざとらしい悲しい顔をした。

 

『おいおい、素直じゃないねぇ〜。でも、そんなキッツイ所、俺様好きよ?』

 

『それはどうも。』

 

あしらうように返事をしたつもりだが、ゼロスは嬉しそうに笑い出した。

 

『いやぁ〜!駄目駄目。やっと素直な言葉が出てきたんだから。もうちょっと嬉しそうにしないと〜。』

 

心の底から鬱陶しいと感じたのは、恐らくこれで二度目なのだろう。

 

ホークアイは、完全に無視することにした。

 

『それにしても……中尉ちゃんって良い女だよなぁ……。自分でもそう思わない?』

 

『……………』

 

『おいお〜い!照れちゃって〜!やっぱ可愛い所あるんだな〜中尉ちゃんは〜!』

 

逆効果だったようだ。

 

本格的にさらに鬱陶しくなってきた。

 

『それにさぁ……中尉ちゃんて胸でかいよなぁ?デカメロンよりも行ってるんじゃねえの?』

 

セクハラと感じた中尉は、腰に入れてある銃を引き抜く準備をした。

 

『良かったらさぁ……今から部屋に来ない?なああんてな!でひゃひゃひゃひゃ!!』

 

瞬間、射的場の扉が大きな音を立てて開いた。

 

その瞬間、ゼロスはビクリとなり、扉の方を見た。

 

すると、イリアが銃を構えて狂気の目をしていた。

 

そして、忠告をするようにゼロスに銃を構えて叫んだ

 

『うるさぁい!!!!』

 

『はい!!!』

 

イリアが叫んだ瞬間、ゼロスは良い返事をしてダッシュで部屋に向かって行った。

 

その様子を見たイリアは、溜息をついて銃を片付けた。

 

そのまま射的場に向かおうとしたとき、ホークアイは言葉をかけた

 

『なかなか、銃の使い方が成ってるわね』

 

ホークアイにそう言われたイリアはその場で立ち止まった。

 

そしてくるりと振り向き、銃を見せながら笑顔で答えた

 

『超えられたくなかったら、訓練を怠らないことね』

 

イリアにそう言われたホークアイは、微笑を返して返事を返した

 

『そうね。このままだと少し危ないかもしれないわね。』

 

そう言って、イリアについて来るように射的場へと戻った。

 

この短時間で、二人の間に友情が芽生えつつあった。

 

『そういえばアンタ、あんな腕どこで磨いたのよ。それとも化け物?』

 

イリアがそう質問をされたホークアイは、ただ微笑んだだけで返事を返さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜エドワードとカノンノの部屋〜

 

『ええ!?イアハートが……暁の従者に……』

 

ショックを隠しきれないカノンノは、その場で崩れた。

 

だが、エドは何も見なかったかのように話を続けた。

 

『ああ。あいつらはイアハートの事をディセンダーだとも言っていた。……多分違うだろうが、それでも一体何をされているのか分からない。』

 

『でも……じゃぁどうすれば……?場所は分かんないんでしょ……?』

 

カノンノが優柔不断になっていると、エドは言葉をかけた

 

『……俺達の他にも、暁の従者を追っている奴は居る』

 

エドは、そのままカノンノの隣に座り込んだ。

 

『だから…大丈夫だ。絶対に助け出せる。』

 

近くにあったエドの顔を直視したとき、カノンノの頬が少し赤くなった。

 

その時のエドが凄く頼もしくて、そして凄く真っ直ぐな目をしていたからだ。

 

そして、その時のエドがとても大きく見えた。

 

『おい、どうしたカノンノ?』

 

『えっ!?あ……いや……』

 

また赤くなると、エドは疑問の表情をする。

 

カノンノは頭を俯かせ、エドの顔を見ないようにしている。

 

今、かなり恥ずかしい。

 

カノンノはそう思っていた。

 

この空気を断ち切るように、一人の少女が部屋に入ってきた。

 

『エド!!』

 

コレットが、大きく深呼吸をするように息切れたまま、エドに吉報を持ってきていた。

 

『どうしたコレット!?』

 

すると、コレットが少しだけ微笑んで少しだけはしゃぐように声を出した

 

『やったよ!!依頼書の中で……暁の従者の居場所が分かったって!!』

 

『!!』

 

その言葉を聴いた瞬間、エドはコレットの持っている依頼書を横取りするように強く取った。

 

その態度に、コレットは少し戸惑ったが、何も言わなかった。

 

エドは、その依頼書を目に通してニヤついた

 

『やっっ………と見つけたか。あいつら!!』

 

全てを知っているエドは、かなり嬉しそうに依頼書を見つめていた。

 

何も知らないコレットとカノンノは、ポカンと訳の分からぬ状況に混乱した

 

『よし!今すぐ行くぞ!!アル!!アルはどこだ!!!!』

 

エドがそう叫ぶと、コレットは慌てるように返事をした。

 

『あ……アルフォンス君なら居ないよ?』

 

『何!?』

 

『今……ユーリさんと一緒にレイサー森林に行ってるよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンエルティア号付近〜

 

アルフォンスとユーリ、そしてエミルとエステルの四人は、船から出て依頼のあるレイサー森林へと向かおうとしていた。

 

エステルは、久々の依頼にウキウキしているようだった。

 

だが、エステル以外の人たちは、これから起こるであろう事が分かっている。

 

特にエミルは、今から出会う人に因縁があるため、あまり行きたくはなかった。

 

『皆さん!早く行きましょう!依頼は待ってくれませんよ!』

 

エステルがそう言っていると、ユーリは軽く返事だけをした。

 

エステルだけがご機嫌のこの依頼の中で、ユーリがある事を耳打ちした。

 

まずはエミルには、

 

『いざという時には、お前の能力が必要になる。』

 

ユーリにそういわれた時、エミルは少し不安を隠せなかった。

 

そしてアルフォンスの時

 

『この依頼には、お前の空洞の身体が必要だ。』

 

そう言われた時、一体何をされるかが心配だった。

 

これから起こるであろう出来事は、エステルの為にもなる。

 

そう思いながら、三人はずっと歩き続けた。

 

『エステル……』

 

ユーリは、再び切ない表情になる。

 

ただ、申し訳ない。

 

気持ちは分かってはいるが、しょうがない事なのだろう。

 

もう、こんなエステルは見ていられないのだ。

 

『ああ、そうだアルフォンスさん!』

 

エステルが、振り向いてアルの方を見た。

 

『師匠……元師匠は、相変わらずですか?』

 

そう質問されたとき、アルは黙り込んだ。

 

しばらく感覚を空けて、アルは答えた。

 

『うん。いつもと全然変わらないよ。』

 

そう答えると、エステルは笑顔が増した。

 

『そうですか。それは良かったです!』

 

そう言って、再び歩き出した。

説明
最近、投稿間隔がやばくなってきています。でもまぁ、頑張ります。はい。
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