ある人への誕生日おめでとう短編(リリカルなのは×スイートプリキュア)
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 ある人への誕生日おめでとう短編(リリカルなのは×スイートプリキュア)

 

 

ここは音楽の街加音町、その街でおいしいと評判であるケーキ屋「Lucky Spoon」で、今日も二人の女の子が痴話喧嘩(笑)を繰り広げていた。

「えへへ、奏のケーキいただきぃ!」

「ちょっと響!? つまみ食いしないでよ!」

厨房で新作ケーキを製作中だった南野奏は遊びに来ていた親友、北条響に作っていたケーキをつまみ食いされ憤慨していた。

「いーじゃんいーじゃん、沢山あるんだしさー」

「味を比べようとして残していたのにー! 響のバカ!」

「バカって何よー!?」

 

 

「あーあ、また喧嘩してるミャ」

その様子を二人の相棒、メイジャーランドからやってきた妖精であるハミィはやれやれとため息をつきながら見守っていた。

「もう! どうして二人はいつもそうやって喧嘩するミャ!」

「だって奏が……」

「だって響が……」

「「何よ!?」」

「も〜……二人の心が一つにならないとプリキュアになれないのに〜」

 

「ドド♪」

その時、ハミィの仲間で宝石のような姿をした妖精ドリーが厨房に入ってきた。

「ドド♪」

「なになに? お店にお客さんが来てるみたいだミャ」

「大変! 早く行かなきゃ!」

「ま、待ってよー」

 

 

二人と一匹がカウンターに行くと、そこで金髪を白いリボンで結んでツインテールにしている女の子と、オレンジ色の子犬がショーケースの中のカップケーキを食い入るように見つめていた。

「いらっしゃい、欲しいものはなんですか?」

「え? あ、はい、えっと……」

「……?」

響はその少女が何か落ち込んでいる事に気付いた。

 

「ど、どれもおいしそうでどれを選べばいいのか……」

「ふふっ、ありがとう……貴女が食べたいって思ったものを買えばいいのよ」

「い、いえ、私が食べるんじゃなくて……友達にプレゼントするんです」

「「友達?」」

 

一方ハミィは少女の傍にいるオレンジ色の子犬をじーっと見つめていた。

(ミャミャ? この子不思議な感じがするミャ、どこかの国の妖精かミャ?)

「くぅ〜ん」

 

一方響と奏は、少女から事情を聞いていた。

「ふうん、フェイトちゃん友達と喧嘩しちゃったんだ」

「はい、それで仲直りしたくって、なのはが前に食べてみたいって言っていたここのカップケーキを買いに来たんです……」

「でもなんでわざわざこの加音町に? 海鳴市って確か翠屋っていう有名な喫茶店があるってお父さんが言ってた」

「あの……なのははそこの店主さんの娘なんです、だからそこで買うよりここで買ったほうが喜んでくれるかなって思って……」

「「ああ、なるほど」」

その少女……フェイトの説明を聞いて同時に納得する響と奏。

「ところでどうしてフェイトちゃんとそのなのはちゃんは喧嘩しちゃったの?」

「えっと……実はなのはが大事に取っておいたケーキを間違って食べちゃって……今考えれば本当に下らないことで喧嘩しちゃったな……」

「そそそそんな事ないんじゃないかな?」

「ふふふ二人とも子供だししょうがないと思うよ?」

ついさっき同じような理由で喧嘩していた響と奏はちょっと恥ずかしくなって大量に汗をかきながらフェイトから視線を反らした。

「よ、よーっし! 私が腕によりをかけておいしいケーキを作ってあげる! だからちょっと待っててね!」

そう言って奏は腕まくりをしながら厨房に入っていった。

「んー、じゃあケーキが出来るまで私達はおしゃべりでもしてよっか」

「はい、いいですよ」

 

 

数十分後、響はフェイトと一緒に色々な話をしていた。

「へえ……じゃあフェイトちゃんのそのリボン、そのなのはちゃんって子にもらったんだ?」

「はい、私がその……遠い所に引っ越すときに、なのはがくれたんです」

「素敵な話だね、そういえば私と奏はそういうことしたこと無かったかなー?」

 

一方彼女達の足元では……

「ミャミャ♪」

「くぅん……」

「ミャミャミャ♪」

「……じゅるり」

「ミャミャ!?」

「ワンワン! ワン!」

「ミャミャ〜!」

ハミィがオレンジ色の子犬……アルフに追いかけまわされていた。

「ああ、ダメだよアルフ、お肉はおうち帰ってからね」

「きゅうん……」

「あはは、食いしん坊なんだねアルフ」

(笑いごとじゃないミャ〜!)

 

「ところで……響さんも奏さんと友達同士なんですね」

「まあね、小さい時から一緒だったんだ、最近は喧嘩ばかりだけどね」

「小さい時からですか……私となのはも響さんと奏さんみたいに素敵な友達同士になれるでしょうか?」

「えー? 素敵かな……喧嘩ばっかりだよ私達?」

「そんなことないですよ、だって二人とも、一緒にいるとすごく幸せそうですから」

「そ、そっかな……」

 

するとそこに、1ホール分のイチゴケーキを持った奏が二人のもとにやってきた。

「おまたせ! 完成したよ!」

「わあ、おいしそう……」

「味は私が保証するよ! 毎日食べているからね!」

奏は箱の中にケーキを入れると、それをフェイトに手渡した。

「持ち運ぶときは気をつけてね」

「ありがとうございます響さん、奏さん……それじゃ!」

フェイトは響と奏に何度もお辞儀をしながらアルフと共に店を出て行った……。

「ふふ、嬉しそうだったねあの子」

「うん、あれだけ喜ばれると作った私まで嬉しくなっちゃう」

「ハミィは食べられそうになって散々だったミャ〜……」

 

 

 

数分後、フェイトは奏からもらったケーキを持って加音町の人通りのない路地裏を歩いていた。

(それじゃアルフ、そろそろ海鳴へ転移しよっか)

(わかったよフェイト……ん?)

ふと、アルフは一匹の黒ネコが塀の上からこちらを見ている事に気づく。

(どうしたのアルフ? あの猫ちゃんがどうかしたの?)

(フェイト……なんかアイツ怪しいよ! 魔力みたいなのを感じる……!)

 

 

一方黒猫はフェイトの白いリボンを見てほくそ笑んだ。

「ふっふっふ……見つけたわよ音符を!」

黒猫はフェイトのリボンの中に、白い音符のようなものがあるのを見抜いていた。

「いでよ! ネガトーン!!!」

黒く禍々しい波動を放つ黒猫、そしてその波動を浴びたリボンの中の音符は、フェイトから離れた。

「きゃあ!」

「フェイト!? お前何をした!?」

「んな!? 犬がしゃべった!?」

「あたしゃ狼だよ! ていうかアンタだってしゃべっているじゃないさ!」

アルフと黒猫が言い争っている間にリボンは黒いオーラをまとって変化していき、女の子のぬいぐるみのような姿をした巨大な怪人に変化した。

「ネガトーン!!!」

「わあ!? なのはのぬいぐるみのお化けだ!?」

(これってもしかして母さんが前に言っていたマイナーランドの……!?)

 

 

一方騒ぎを聞いて駆け付けた響と奏とハミィは、フェイトに襲いかかろうとする怪人を見て仰天する。

「あ! セイレーンだミャ!」

「あのネガトーン、まさかフェイトちゃんのリボンが!?」

「フェイトちゃんの大切な宝物を……」

「あんな怪物にしちゃうなんて……」

 

 

「「絶対に許さない!!」」

 

 

怒りに燃える響と奏は変身アイテムであるキュアモジューレを天高く掲げる、すると響のキュアモジューレにはドリーが、奏のキュアモジューレにはレリーが装着され、二人の体は光に包まれた。

「「レッツプレイ! プリキュア! モジュレーション!!」」

掛け声と共に二人の体にフリフリのドレスのような衣装が装着されていき、髪型も響は赤いリボンと桃色のツインテール、奏では白いリボンとレモンイエローのポニーテールに変化していた。

「爪弾くは荒ぶる調べ! キュアメロディ!」

「爪弾くはたおやかな調べ! キュアリズム!」

「「届け、二人の組曲! スイートプリキュア!」」

二人は伝説の戦士、プリキュアに変身し、少女のぬいぐるみの姿をしたネガトーンにドロップキックをお見舞いした。

「「プリキュア! スイートハーモニーキィーック!!」」

「ナノオオオオオオオ!!!?」

二人の攻撃で吹き飛ばされるネガトーン、それを見たフェイトは突然の乱入者にぽかんとしていた。

「あ、あの……あなた達は?」

「詳しい話は後で! 早く逃げて!」

「あ、はい!」

そう言ってフェイトはケーキを抱えてアルフと共にその場から逃げだした。

「ちっ! またあんた達なの!? ネガトーン! やっておしまい!」

「ナノオオオ!!!」

少女の姿をしたネガトーンは持っていた杖のようなものの先端をメロディとリズムに向ける。すると先端にピンク色のエネルギーが収束されていった。

「げ!? なんかヤバい!?」

「に、逃げよう!」

メロディとリズムはそれぞれ別の方向に横っ跳びする。

「ナノオオオオオ!!」

次の瞬間、杖の先端からピンク色の巨大な光線が放たれ、空気を震わせながらメロディとリズムの横をすり抜け、そのまま空の雲を引き裂いた。

「な、なんつう威力……!?」

「あんなの受けたらひとたまりもないよ……」

「おほほほほ! こりゃ予想以上に強いネガトーンになったわね! さあドンドンやっておしまい!」

「ナノオオオ!!!」

ネガトーンはそのまま手当たり次第に光線を放ち続けた。

「やめてよ! 街が壊れちゃう!」

「早く止めないと!」

「ちょ、ちょっとこっち向かないで……ぎょえええええ!!!」

「あ、セイレーンが巻き込まれたミャ」

ネガトーンの攻撃から逃げ回るリズムとメロディ、その時……リズムががれきに足を引っ掛けて転んでしまう。

「きゃあ!」

「ナノオオオ!!」

ネガトーンはその隙を見逃さず、エネルギーが収束している杖の先端をリズムに向ける。

「リズムぅぅぅぅ!!!」

メロディはリズムを守る為、彼女を守る為に両手を広げてネガトーンの前に立ちはだかった。

「ナノオオオオオオオ!!!!」

そして杖の先端から桜色の光線が放たれ、メロディとリズムに襲いかかる。

「「っ!!」」

もう駄目だ! と思い目をギュッと瞑る二人、しかし……。

「あ、あれ?」

「なんともない……?」

直撃を受けた筈の自分達が無傷だというのに気付き、恐る恐る目を開く二人、するとそこには……。

「いよっし! 完璧に防げた!」

そこには16歳ぐらいで犬耳を頭から生やしたオレンジ色の髪をした少女が、全面に魔法陣を展開してメロディとリズムを守っていた。

「あ、貴女は!?」

「へへ、通りすがりの魔法使いさ、フェイト!」

少女はそう言って空を見上げる、すると彼女の視線の先には黒いマントにスクール水着のようにちょっと露出の高い衣装に身を包んだフェイトがいた。

「ふぇ、フェイトちゃん!?」

「うっそ!? なんで空飛んでるの!?」

 

 

一方バリアジャケットに身を包んだフェイトはなのはの姿をしたネガトーンに対し怒りを露わにしていた。

「なのはからもらった大切なリボンを、あんな怪物にしちゃうなんて……」

 

 

「私……堪忍袋の緒が、切れました!」

 

 

「「どこかで聞いたセリフだー!!?」」

フェイトの放った言葉と声が、以前出会った桜をモチーフにしたプリキュアとそっくりで突っ込みを入れざるを得ないメロディとリズム。

 

「いくよ! バルディッシュ! 打ちぬけ雷神!」

[ジェットザンバー]

フェイトは持っていた鎌のような武器……バルディッシュを振りぬき、そこから放たれた魔法刃が数十倍に伸びてネガトーンに直撃した。

「ナノオオオオオ!!!」

「今です!」

「あ、はい!」

フェイトに促され慌ててミリーを呼び出し、ネガトーンを浄化するためのアイテム……ミラクルベルティエを手元に召喚するメロディ。

「ミミィ♪」

「奏でましょう、奇跡のメロディ! ミラクルベルティエ! おいで! ミリー!」

奏ではミラクルベルティエにミリーを装着すると、それで光の輪を描いた。

「駆け巡れ、トーンのリング! プリキュア! ミュージックロンド!」

発射された光の輪はネガトーンの動きを封じる。

「三拍子! 1、2、3……フィナーレ!」

メロディが飛びあがった瞬間、光の輪は大爆発を起こす、そしてその光の中では……。

「ナノ! ナ……ノ……」

ネガトーンが鼻ちょうちんを出しながら眠りについた、そしてネガトーンは浄化されもとのリボンの姿に戻っていた。

「やったミャ! ニャップニャプー♪」

ハミィはすぐさま浄化されたリボンの中の音符をドリーの中に収容した。

「お、おにょれ〜」

「「「大丈夫ですか〜♪」」」

先ほどネガトーンの攻撃に巻き込まれボロボロになった黒猫……セイレーンは部下であるトリオ・ザ・マイナーに回収されてその場から逃げだした。

 

「ふう、終わった……」

「それにしても、貴女は一体……?」

リズムは自分達を守ってくれた犬耳の少女に話しかける、するとそこに私服姿に戻ったフェイトがやってきた。

「響さん、奏さーん」

「あ! フェイトちゃん! はいこれ……」

メロディは取り戻したフェイトのリボンを彼女に手渡した。

「ありがとうございます響さん、よかった……」

フェイトはそのリボンを愛おしそうに抱きしめ、自分の手元に戻ってきたことを喜んでいた。

「あのフェイトちゃん、さっきの姿は一体……」

「それとこの人はもしかして貴女の仲間?」

メロディとリズムは先ほどのフェイトの姿について質問する、するとフェイトは意地悪く笑って口元に自分の人差し指を添える。

「ふふっ、秘密があるのはお互い様……って事にしませんか?」

「え? それってどういう……?」

(め、メロディ! さっきフェイトちゃん私たちの事響と奏って呼んでいたよね!? っていうことは……!?)

「も、もしかして正体がばれてる!?」

自分達の正体がばれている事に気づき動揺するメロディとリズム。

「大丈夫です、私達はあなた達の事は言いふらしません、もちろんお二人も私とアルフの事は黙っていてください。」

「は、はい……」

 

そして取り戻したリボンを結び直したフェイトと少女……人間に変身したアルフはリズムとメロディに何度もお辞儀をしてその場を去っていった。

「ありがとうございますみなさん! 今度はみんなと一緒に遊びに来ます!」

「今度はアタシにもケーキ味見させてくれよ〜」

 

そしてフェイト達が去っていった後、響と奏は変身を解いて呆然としていた。

「一体何者だったんだろうねフェイトちゃん……」

「もしかしたらこの世界って、私達プリキュアみたいにみんなの笑顔の為に戦っている人がいるのかもね……」

「うん……じゃ、私達も帰ろうか」

そして響と奏は互いに手を繋ぎ、心の中に自分達以外の戦う戦士に出会えたという高揚感を抱きながらその場を去って行った……。

 

 

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おまけ

 

「Lucky Spoon」に帰ってきた二人はそこでショーケースの中に飾られているケーキを食い入るように見つめているピンク色のポニーテールの女性を発見した。

「えっと……お客さん? 何をお探しで?」

「うむ、最近テスタロッサの元気が無いので、彼女が前に食べてみたいと言っていたここのカップケーキを買いに来たのだが……とりあえずこの店に置いてあるの全部売ってくれ」

「「え゛!?」」

 

その直後、女性は突如乱入してきた関西弁の少女に車いすで轢かれ連れて行かれたのは言うまでもなかった……。

 

 

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おまけ2

 

〜海鳴市、ハラオウン家〜

「はいフェイトちゃん、あーん」

「あ、アリサ達が見てるよなのは……」

すっかり仲直りしたなのはとフェイトは買ってきたケーキをアリサ、すずかと一緒に分け合って食べていた。

「まったく……もう仲直りしていちゃいちゃし始めたのあの二人?」

「いいじゃない、その方が私達も嬉しいし、それじゃアリサちゃん、あーん」

「ちょ、ちょっとすずか!!?」

 

今日もフェイト達は仲良しこよし。

 

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ネガトーンのモデルはてるうぃさんが作ったキャラで、なのはをぬいぐるみ化したようなキャラ「なのぐる」をイメージしています。「ナノオオオ!」なんて鳴きませんけどね。

 

色々と見苦しいところもあるかも知れませんが良ければ感想等をいただければ嬉しいです。

 

 

 

 

説明
この作品はてるうぃさんという同人作家さんのサイト設立一周年&誕生日を祝うためにピクシブに投下したものを転載したものとなっております。

へたくそな文章ですがどうぞご覧になっていってください。
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スイートプリキュア♪ リリカルなのは ショートストーリー へたくそ 

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