真・恋姫†無双 雛里√ 鳳凰一双舞い上がるまで 第三章 10話
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真・恋姫†無双 雛里√ 鳳凰一双舞い上がるまで 第三章 10話

人物紹介

一刀(二代目)一人称:僕 雛里への呼び方:雛里ちゃん

・外形:白髪に金色の瞳、肌も日を浴びなかった白い肌。そのせいでちょっと病弱そうにも見える

・服:白いシャツの上に狼の皮で作ったジャケット、ブルージーンズ、狼の皮で作った手袋

・やってること:大陸一周を企んでいる。

・天の御使いという名について:無関心

・武器:木刀→日本刀『鳳雛』

・特徴:雛里ちゃんへの愛情が以前より外に出ている。

    雛里ちゃんからの愛情表現に弱い。(良く頭がショートする)

    反戦主義(先代の死によった繋がり)、人の死に関して非常に感情的。→孫策に対して軽蔑感を持っている

    (先代に比べ)活動的な性格している

    己の存在に常に違和感を感じるも、雛里ちゃんへの愛を持って歩き続けている。しかし、その愛が揺るがされた時……

倉(真名:遙火) 一人称:あたし

・外形:黒髪(ショットカット)日を浴びなくて真っ白な肌。体が細くて旅行用キャリア鞄にも入れる

・服:白いシャツにプルージャケットに同じくプルージーンで作ったホットパンツ。飾りとかはしない。

・やってること:友だち作り、一刀たちと大陸一周

・今までで出来た友達:真理ちゃん、明命ちゃん

・武器:木の棒→『??』

・特徴:管理者の『左慈』と『孟節』の間の娘で、炎を操る力を持っている。

    幼い時になんだかの理由で森の中に捨てられ、裴元紹という前山賊群れのお頭に育てられた。

    雛里ちゃんに名前を付けられる前は名前がなく倉番をされていたので皆そう呼んでいた。後の『倉』という名前の元となる。

    光を浴びない場所を好む。

    裴元紹おじさまを殺した孫策を敵と思っている。

 

 

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冥琳SIDE

 

雪蓮の後を追って外に向かった時は既に暗天だった。

向かった先は間違いなく市場なはず。急がねば……

 

・・・

 

・・

 

 

「雪蓮」

「冥琳!」

 

市場のある場所に辿り着いたら雪蓮と北郷の姿が見えた。

そして、地面に男一人が目を閉じて倒れていた。

 

「…彼は?」

「この蜂蜜の屋台の店主だ。口止めされた……これは売上の記録みたいだけど…暗くて良く見えない」

 

北郷が屋台の中で話した。

死んだのか……それにしても、何故?

 

「雪蓮、一体お前と北郷は何に気づいてここに来たのだ」

「何、冥琳まさか知らないでここまで付いてきたの?」

 

雪蓮が驚いた顔をしていたら、私の後ろから人の気配がした。

 

「……一刀」

「倉、ランタン貸して」

「……これしか持ってない」

 

そう言いながら、倉は北郷に向かって何かを投げた。

 

「ライタっ……んまぁ、それでもいいや」

 

そして、カチッとする音がして、北郷のところから小さな火種が上がった。

 

「ちょっ、なにそれ面白い。私にも貸して」

「遊び道具じゃねぇ……店主、しっかり者だな……この量だと、多分城内に住んでる人たちの半分以上はこの蜂蜜を買ったと見てよさそうだな」

「ちょっ、そんなに早まってるの?何で高価品の蜂蜜がそんなに売れてるのよ」

「価格がありえないほど安い……まるで態と広めるために損をして売っているみたいだ……」

 

北郷は屋台の売上を記録した竹簡の数字をちゃらちゃらと音を鳴らして見ながら言った。

蓮華のところで蓮華の勉強を見てあげてるところで漢文の勉強をしたのがここで効くな。

 

「……なるほど、話は大体見えてくるわね」

 

二人だけで遠くいき過ぎていて、私も隣の倉もぼうっとその様子を見ていた。

 

「とりあえず、ここにある資料は全部持っていこう。何か分かるかも知れない」

「この男はどうするの?」

「……そのままにしておくと朝には人に見つかるだろう。僕には何も出来ない」

「もしもの場合はこっちから家族とか探しておくわ」

「……助かる」

「…一刀、雛里ちゃんが心配してる」

「あ、そうだったな………」

 

北郷は少し考え込んで、

 

「倉、このまま誰にも気付かれないで旅館まで戻ってくれ。僕が帰ってくるまで雛里ちゃんたちとその旅館で隠れていて、いいよね」

「……………うん」

 

倉は長く考えて頷いた。

そして、そのまま暗くなった街の中に消えて行った。

 

「……孫策、相手が誰だか知らないけど、お前と僕は既に顔を見られた可能性がある。どんな奴がこんなことをやっているかは知れないけど、かなり大手だ。このまま僕が旅館に帰ったら雛里ちゃんたちが危険になってしまう」

「…………仕方ないわね。そうするのなら急ぐわよ。今日のうちにこの城を脱出しないと行けないから」

「待て、雪蓮、まさか彼を私たちの城に連れて行く気なのか?」

 

私がそう言ったら、雪蓮は

 

「仕方ないでしょう?もう成ったことなのだから」

「まったく、お前という奴はどうしていつもそんな勝手に……!」

「あぁ、あぁ、小言は後で聞くから。今はさっさと動くわよ。一刀、馬は乗れるわよね?」

「あ……」

「何、乗れないの?だらしないわね」

「…ほっとけ」

 

その後、私たちは門番にバレずにこっそり寿春の城を出て我々の城に向かった。

そして、馬上で北郷を後ろに乗せたまま走る雪蓮から終始の話を聞いた。

 

 

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雛里SIDE

 

自分で行かずに倉ちゃんを行かせた理由ですが、外は既に暗くて、もしものことが起きた時、また以前のように自分を守れない私や真理ちゃんが一刀さんの足を引っ張るようにならないためにそうしました。

真理ちゃんの場合では、どっちでも構わなかったのかも知れませんけど……ほら、だからって真理ちゃんも行かせたら私だけ置いてきぼりですから。何気にこの前競争者宣言とかされてますし。

 

「てわわ、暗いです」

 

そうだね、今外とても暗いよね……。

早く帰って来てくれないかな……。

 

「…よいっしょっと」

「あ、遙火ちゃん」

 

一刀さんのところに向かわせた倉ちゃんが…何故か窓の方から一人で戻ってきました。

 

「倉ちゃん、一刀さんは……?」

「……一刀、アイツらと一緒に行っちゃった」

「……へ?」

 

一瞬、倉ちゃんが言っていることがわかりませんでした。

 

「……多分、あたしたち、巻き込みたくなかったから」

「てわわ、どういうことなの?遙火ちゃん、あそこで何があったの?」

「……蜂蜜売ってたおじさん、死んでた」

「てわわ!」

 

やっぱり、一刀さんたちが出て行ったのは、この蜂蜜と何か関係があるものです。

でも、どうして一刀さんは私たちに何も話さないで孫策さんと一緒に……

 

「倉ちゃん、ここに来るまで誰かに見られた?」

「……多分、ない」

「そう……一刀さんはなんて言ってたの?」

「……帰って来るまで、隠れていてって」

「隠れて居るか……」

 

一刀さんはきっと何かに気づいて蜂蜜の屋台に行って、そこで何かに巻き込まれたのです。そこでまた私たちを巻き込むことが嫌だったから、そのまま孫策さんと一緒に行った。

恐らく、一刀さんが怪しいと思っている所を解決しない限り、一刀さんは帰って来ないでしょう。

 

「……蜂蜜…」

「雛里お姉さん、これからどうしましょう」

「……真理ちゃん、倉ちゃん、一刀さんから他の話が来るまで私の言う通りにして。いいよね?」

「…ん」

「はい」

「それじゃあ、明日から……」

 

一刀さん、一刀さんが以前の事件もあって私を巻き込まないようとする気持ちは分かります。

でも、私もいつまでも守られてばかりの娘じゃないです。私も、私に出来ることをします。

 

 

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一刀SIDE

 

夜馬で走り続けて、僕たちは孫策の城に到着した。

 

「策殿、待ちくたびれておったぞ」

「冥琳さまー、お帰りなさいです」

 

深夜なのにも関わらず、ずっと待っていたかのおうに身支度が済んでる状態の二人の将らしき女性が現れた。

一人は銀髪で、いかにもその風彩から老将だと―いや、褒めてるつもりだぞ?―いう感じが溢れてくる女性で、もう一人は薄い緑色の髪に小さな眼鏡をかけた女性だった。

 

「祭、ごめんね。ちょっと予定が来るちゃって」

「で、酒は?」

「……あ、ごめん、すっかり忘れてた」

「なーっ!策殿は一体何のために寿春に行ってきたの言うのじゃ!」

「ごめん!」

 

あ、後、銀髪の人はいかにも上戸のように見えた。

 

「少なくとも二人の酒代を経費で落とすためではありません」

 

周瑜が厳しく言った。

 

「二人とも城の酒蔵を空にするだけでは気が済まないのですか?」

 

が、銀髪の女性はお酒がないという話だけで既に肩をがっくりと落として周瑜の話がなんて耳に入っていなかった。

 

「まぁ、まぁ、そう凹まないの。代わりに面白いもの捕まえてきたから」

 

おい、まさかその『捕まえてきた』というのは僕のことではないだろうな。

 

「む?何じゃ、そこの馬の上でへばってる男は?」

「色々会ったのです。穏、客用の部屋は今使えるか?」

「はいー、問題ないと思いますけど」

「それじゃ、北郷をそちらに案内してくれ。詳しい話は明日話そう」

「…いや、待て……」

 

僕は馬の上で倒れるように降りてきた。気持ち悪い。なんとも言えない嘔吐感で、せっかく雛里ちゃんたちが作ってくれた夕食が吐き出しそうだ。

なんで馬はあんなに揺れるんだ?自分で(御者台)の上で馬を操ってる時には知らなかったのにこうしてみたら死ねる。

 

「今日は私たちももう休むわよ。疲れたし。眠いし。あなたも明日呼ぶからちゃんと寝ておきなさい」

「……ぅぅ」

「ちょっと、大丈夫?」

 

孫策のそんな声が聞こえて座り込んでいた僕はパッと立ち上がって孫策の耳に口を近づけた。

 

「わっ!」

「今お前の目先に二人、建物の後ろに一人、林の中に一人」

「「!!」」

 

見られてる。

しかもただ見られてるだけじゃなくて、

明らかに『監視』されてる。

 

「何だ、これは。どんだけ多いんだ?」

「……計画変更ね。冥琳、一刀は今日私と一緒の部屋で寝かせるね」

「っ!!……ちっ、仕方ない」

 

は?待て、なんでそんなことに…

 

「あなたは黙って付いてきなさい」

 

僕が何か言おうとしたが、そのまま孫策に耳に囁くように言い返されて、僕は孫策がそうする理由に気づいた。

あの監視する斥候たちが恐らく袁術の下手。孫策としては、僕を連れてきたのが不穏な動きでないように見せる必要がある。

じゃあ、僕を連れて自分の部屋に行くことがどうやって疑惑を解けるのかっていうと。

……王族の長が真夜中男を連れて自分の部屋に入る、

 

そういうことだ

 

すごく気の進まない話だ。

が、どの道僕も目立ちたくはなかったので、黙って孫策がやるように任せて付いていくことにした。

 

 

・・・

 

・・

 

 

「言っておくけど、」

「私に手出したらぶっ殺すから」

「こっちのセリフだよ」

 

当然のことく、同じ布団の中に入らなければいけないわけだ。

もちろん両方手を出すことはないだろうと僕は信じてる。

 

「…あなた、どうやってそこに阿片入ってるって分かったの?したことあるの?」

「祖父さんに鍛錬されてる時密林で傷を負って動けなくなった時があった。その時祖父さんがあれを持っていてあれを当てにして痛い体を連れて密林から出ることが出来た」

「似たようなものね…私も幼い時に母さまに吸われてたから。あの嫌な匂い、忘れもしないわ」

「現実から取り外される感覚がすごく不気味な感じだからな」

「そう、そう。それよ。あのお茶飲んだ瞬間そのまま吹いたんだから」

「………」

「………」

 

なんでこいつこんな馴れ馴れしく話し合ってるんだ、僕は?

この状況自体、後々雛里ちゃんにどう説明したら良いのかわからないのに。

 

「僕は寝るぞ」

「あっそう」

 

その夜はそれでお終いだった。

 

 

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雪蓮SIDE

 

「う……ん…冥琳?」

 

朝起きて、私は隣に人が寝てるのを見て、一瞬昨夜冥琳と一緒に寝たかって勘違いした。

でも、直ぐ様そうじゃないことを見てびっくりして布団から飛び降りた。

 

「なっ!」

 

横に置いた孫呉の宝剣、南海覇王を手にとってその者に向けて構えたら、ふと昨夜のことを思い出した。

 

「……そうだったわね」

 

そういえば、昨日間者に怪しまれないように一刀と一緒に寝てたわね。

まったくびっくりしたわ。

 

「一刀、ちょっと起きなさい」

「…………」

 

まったく起きる気配がない。

仮にも一度は殺しかけていた相手と一緒の布団にあるというのに、警戒しなさすぎなんじゃないの?

 

「ちょっと、そろそろ起きなさいよ。もう朝よ?」

「……うぅん……雛里ちゃん……あと五分…」

 

自分から離れてきておいてこの寝言はなんだか……ってか五分って何の単位?

 

「……はぁ……」

「何よ、まったく…」

 

もう良い。気が逸れたわ。一人で私の部屋に居て他の護衛に怪しまれてひどい目に合っても知らないんだから……。

 

その時、

 

「蓮華……」

「!!」

「…蓮華……やめ…」

「……どういうこと?」

 

何故一刀が蓮華を真名で呼んでいるの?

………

 

「……!」

 

寝ぼけていた一刀は、私の殺気に気づいたのかパッと目を開けて私から離れた。

 

「…何の真似だ、孫策」

「別に、あなたが寝ぼけているのを起こそうとしたまでよ。いつまでも人の部屋で気持ち良さそうに寝ていても困るし」

 

一刀が何故蓮華のことを知っているのか聞きたかったけど、今はその話は少し後にしようと思った。

もう少ししたら冥琳たちが来る時間だったし、聞く機会は後ほどでもあるでしょう。

 

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祭SIDE

 

 

亡くなった堅殿はなかなか好色な方でのぉ、英雄といえば口では良いものの、部下としては色々と困りどころも多かったのじゃ。

戦時に兵の中に美少年があったら閨に誘うという事件が稀によくあることじゃった。

それも夫が亡くなった後の話じゃが……まぁ、あの方が生きて居られた時でもそんなことがなかったと確信するには……これ以上は古くから仕えた者として考えてはならぬと思うことにしょう。

 

それで、だ。昨夜儂は策殿が男を連れて来て、更に自分の部屋で一緒に寝かせるという話を聞いても、あまり驚かなかったのじゃ。ただ、あ、この方もまたあの方の娘か、とだけ思った。

 

なのじゃが……

 

「姓は北郷、名は一刀です。暫くの間、よろしくおねがいします」

 

……これはどういうことじゃ?

 

「冥琳、これはどういうことだ?」

「私に聞かないでください。完全に雪蓮の独断です」

 

む、そういうところは母に似ておるの。

 

「少し厄介なことになっちゃってね。互いに助けてもらうことになったわ」

「厄介ことですかぁ?」

 

穏もいつもの暢気な声をあげて言っておった。

が、あれは相手の隙を突こうという穏の作戦じゃ。暢気な声に誘われて気を緩まれた途端、相手から重要な情報を引き出すのは穏を得意分野じゃからの。

 

「実はこの子…一刀は私が一度間違って殺しちゃった男よ」

「雪蓮!」

「……どういうことじゃ?」

 

間違って殺した?

 

「話が噛み合わぬぞ、策殿。『殺した』のなら何故ここにおるのじゃ?」

「うーん、そこに関しては私も知らない」

「…は?」

「何かあの時確か殺したのに、前にまた会った。一刀、あなた何者なの?人間なの?」

「それはどんな質問の聞き方だ?」

「だって他に言うようがないじゃない」

 

男はすごく不機嫌な顔をしながらため息をついて言った。

 

「……一度死んで蘇った。それ以上は説明できない」

「人間にそんなことが出来るわけがおるか」

「人に信じてもらうか否かの問題ではありません。僕にとってはそれが事実。その場に居なかった人たちにまで一々認めてもらうつもりではありませんので」

「なっ……」

 

なんという無茶ぶりじゃ……

 

「策殿。こんな妖しきものを何故危険を背負った上にここに連れてくる必要があったのじゃ」

「彼が武人として優秀だからです」

 

答えたのは策殿でもなく、冥琳の方じゃった。

 

「彼が前私と雪蓮が戦った北郷一刀ということを前提にしての話ですが、あの時は戦場で血を見ていた雪蓮でも齒が立ちませんでしたからね」

「なっ、策殿。それはほんとか?」

「…ええ、悔しいけど」

 

信じられん。

あんな童が、あの戦場で化けた策殿よりも強い強いと?

 

「何なら祭が試してみる?」

「試すじゃと?」

「そう。一刀はもう二度と私とは剣を向けたくないと言ってたから、試すなら祭ぐらいしかないわ。もし一刀が勝ったら問題が解決するまでここで客将として置くのに文句を言わないということでどう?」

「……」

 

ふとその童の方を見る。

なりの雰囲気はおるが、うちの部隊の親衛隊隊員ぐらいの実力ぐらいで、とても策殿に勝てる相手とは思えん。

 

どっちにしろ、儂は武人だ。相手が怪しいものかどうかは、戦場で戦ってその動きを見れば分かる。

 

「良いじゃろ。公瑾はそれは良いのか?」

「ええ、正直、もう諦めてますからね」

 

公瑾はもう疲れたって顔をしておるし、穏は静かに周りの空気を読みながら北郷という童の顔で表情を探っておるが、さっきからまるで人形のように筋肉一つも動かさん。

まったく妙な者よ……

 

 

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雪蓮SIDE

 

一刀、ただ二度剣を交わっただけだったけど、私と彼の実力の差は明らかだったわ。

私の攻撃を、一刀は疲れることもなく受け流し、二回目会った時なんてまるでやっと真剣を握り始めたでたらめな弟子に怒鳴る師父のような顔で私を叱っていた。

 

まるで子供の時母さまと戦っていた時のように気持ち悪くて、それでも負けを認めたくなくて剣を振るい続けた頃のことを繰り返しているような気分だった。

 

なのに、

 

「何アレ」

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

一刀がへばっていた。

祭の続く弓攻撃に距離を縮められず、息を立てながら祭の弓を流すのが精一杯だった。

あんなの、私が知っていた一刀じゃないわ。

 

「雪蓮、彼はやっぱり北郷とは違う者じゃないのか?」

 

隣にいた冥琳がそう言った時、私は齒を噛み締めた。

 

「そんなはずはないわ。言ったでしょ?私は今の姿の一刀とも戦ったことがあるのよ。あの時はこんな実力じゃなかったわ」

「しかし、あの実力じゃ、うちの軍でもそれなり腕が立つ兵士のほどでしかないぞ。それでも、黄蓋殿の弓をあんな距離で避けるというのは大したものだが、それでもお前に勝てるほどのものではないだろ」

 

 

「どうした?いつまでも避けてばかりいるつもりか!意気込みのない奴め!」

「はぁ………はぁ……孫策!」

「何?言っておくけど、今更言い直すのは無しだからね」

 

私は少し苛立った声で一刀の声に答えた。

 

「とりあえず謝っておく。手加減できなさそうだから、ちょっと骨一本ぐらい折れるかもしれない」

 

 

「……は?」

 

その時、

 

「はぁあああああ!!!」

「なっ!」

 

突然気合を入れた一刀は、そのまま直前に祭の方に突っ込んだ。

一瞬一刀の勢いに慌てた祭だけど、直ぐに弓で対応した。

一気に五本まで射た矢(本物)を何発も一刀に降り注がれたけど、一刀は構えを崩さずそれを避け続けながら祭に近づいた。

 

「!やられはせぬぞ!」

 

弓が打てる距離じゃなくなると、祭は弓で一刀の剣に対応しようとした。

でも、一度勢いを保てたまま駆け抜いた一刀の剣が本気で祭の喉を貫くかのように突きだした。

 

「くっ!」

 

急いで下がった祭は弓の糸の方を剣のように振るって一刀を下がらせようとした。

祭の弓の糸はとても固くて、下手すると肉ごと斬られる。

 

だけど、一刀は下がる代わりに、

 

「はぁーっ!」

 

祭の弓の射程内、いや、その皿に奥に突っ込んだ。

 

「なっ!」

 

弓を持っていた腕を掴まれた祭はもう片方の手に剣を握っている一刀の顔を間近にして慌てていた。

 

「祖父さん、ごめんなさい……やっぱ自分には『手加減』なんて無理です」

「何…うっ!」

 

次の瞬間、一刀の剣の柄が祭の鳩尾に落ちて、祭は一刀の肩に体を任せて気を失った。

 

「あ……」

 

隣の冥琳と穏が驚いた顔でそれを見ていたけど、正直な話、私はそんな一刀の姿を見てとても喜んでいた。

やっぱりあなたがあの時みた一刀なのね。

そう思うと、母の代より仕えた旧臣が破られたことよりも、自分の越えるべき相手だと思っていた男と再会できたという確信で、体が喜びに満ちて震えていた。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

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「妾の元で働きたいじゃと?」

「はい」

「うーん、七乃、どうするかの?」

「そうですね。荊州の水鏡先生だと言うと、その辺りでは結構有名な方ですし、そこの生徒とすれば、登用して損はないでしょうね。いいんじゃないですか?そこの武官要望も娘も、((彩|さや))さんが((亜季|あき))ちゃんの歯止め役の出来る武将が欲しいとか愚痴ってましたから丁度いいんじゃないですか?」

「うむ、なら採用することにしよう。二人とも妾のために頑張って働いてもらおうぞ」

「はい」

「……うん」

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

説明
真・恋姫無双の雛里√です。
雛里ちゃんが嫌いな方及び韓国人のダサい文章を見ることが我慢ならないという方は戻るを押してください。
それでも我慢して読んで頂けるなら嬉しいです。
コメントは外史の作り手たちの心の安らぎ場です。

次回は皆さんお待ちかねの
一刀&孫呉ズの拠点です。

え、待ちかねではない?
……はい、どうせ自分なんて期待はずれなことばかりしますよ……
だけど書く!だが、穏!てめえは駄目だ!書きにくい!
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コメント
山県阿波守景勝さん>>無双キャラにするつもりはありませんでした。(TAPEt)
アルヤさん>>からませた自分でもこれからどうなるかまだはっきりと言えない始末ですですからねー((TAPEt)
転生はりまえ$さん>>次回に出ます。大した理由じゃないです。極普通な理由です(TAPEt)
【カオナシ】関平さん>>また金髪のグゥレイトゥさんのキャラ使わせて頂きました。というか彩なんですけど、さやって読むのもありなんですかね(TAPEt)
やはり強いですね。そして雛里ちゃん達は袁術の元へ……どうなることやら……(山県阿波守景勝)
ほんとどうなることやら・・・・・・(アルヤ)
へばった理由が知りたい(黄昏☆ハリマエ)
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