真・恋姫?無双 帰って来た者 二十七話
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「ここは……」

 

確か最初の外史で左慈達と戦った間だ。

 

「と言うことは……」

 

俺はそう呟いて周りを見る。

……居た。

于吉の仙術で創ったのであろう玉座に一人の少年が座っていた。

 

「左慈……」

 

最初に外史で敵となった管理人。

その顔は悲しそうな顔をしていた。

 

「北郷……来たか」

 

「ああ、お前達を殺しにな」

 

俺がそう言うと左慈は安堵したような表情をする。

 

「ありがとうな……やっと終端を迎えられる」

 

「生きようと思わないのか?」

 

「思わないな」

 

即答だった。

生きるつもりなんて欠片も無いらしい。

 

「俺達は外史を否定することしかできないんだ。

だからこそ、お前に殺してほしい……

今まで俺達が傷つけてきたお前に……」

 

左慈はそう言ってゆっくり玉座から立ち上がり段下に下がって来る。

その顔は本当に悲しそうだった。

 

「あ〜もう……何でお前は……」

 

俺はそう言いながら髪の毛を掻き上げる。

 

「何だ?」

 

「何で外史の肯定派の管理人じゃないんだよ……

そうすれば絶対に今頃……俺達は……華琳達と……一緒に……茶を飲んでて……楽しく……っ」

 

俺は涙を流してしまう。

こいつ等が感じて来た苦痛は俺が今感じている哀しみよりも大きいだろう。

でも……左慈の顔からは左慈が感じて来た苦痛が流れてくるんだ。

 

「本当に優しいな……ありがとう。

俺達なんかの為に涙を流してくれて……」

 

そう言いながら左慈は微笑んだ。

 

「左慈……」

 

「そろそろ始めよう。

俺達との決着を着けるんだ」

 

俺はその言葉を聞いて顔を服の袖で拭う。

 

「ああ、そうだな」

 

俺は北谷菜切を抜いて構える。

気で創った刀もきちんと重みがあったから本物でも別に平気だ。

 

「行くぞ!左慈!」

 

「ああ!来い!北郷!」

 

俺と左慈の一騎打ちが始まった。

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「はぁっ!」

 

俺はまず、于吉からもらった刀の能力を試すことにした。

気を込めて剣閃を飛ばす。

それを察したんだろう左慈は体中に気を張り巡らせて体を硬化させ防いだ。

 

「すごいな……」

 

普通真っ二つに斬れると思うんだけど……

 

「気を使う者ならばこれは簡単に防げる。

気を使っての攻撃だからな。気を使えば無力化できる。

それと、大体速さは秒速150メートルくらいだろう」

 

「拳銃よりも遅いのか?」

 

確か拳銃の速さは毎秒350メートル

因みにライフルの速さは毎秒1000メートルだ。

……確かだが。

 

「ああ、だが充分だろう。

それに貫通は出来ないと于吉が言っていたしな。

柱の後ろに隠れれば充分だ」

 

「そうなのか?」

 

これ、相当切れ味が良いと思うんだが……

 

「于吉が唸ってたよ。

どうしたら貫通出来るようになるかって……なっ!」

 

左慈はそう言いながら俺との距離を詰めてくる。

どうも俺が剣閃を飛ばすのを警戒して体中に気を張り巡らせているようだ。

気を使っても左慈にダメージは与えられない。

だが、敢えて……

 

「獅子王!」

 

「無駄だ!」

 

左慈は一度止まる。

確かにダメージは無い様だ。

だが、目くらましにはなるようだな。

 

「どこを見てるんだ?」

 

「なっ!?」

 

俺は刀を薙ぎ払う。

だが左慈は紙一重でそれをギリギリかわした。

 

「さっきから卑怯だぞ!」

 

「だって、お前も全然全力を出して無いじゃないか。

俺もお前の試験に合わせてるんだぞ」

 

こいつはさっきから俺を試す為にわざと全力を出していなかった。

 

「気付いたか。

本当に逞しくなったな。

まぁ、気付かなければ全力の俺と戦うことは出来ないからな」

 

「合格したんならさっさと実力を出してくれ」

 

「分かった行くぞ!」

 

そう言って左慈は先程とは比べ物にならない速さで距離を詰めてくる。

俺はそれに慌てず俺からも距離を詰めていく。

そして左慈は拳を俺は刀を振う。

 

「はぁっ!」

 

「ふっ!」

 

左慈は俺の刀が当たる前に少し背を低くして刀をかわした。

俺の横腹には左慈の拳が当たる。

 

「ぐっ!」

 

相当重い……!

だが……!

 

「おらぁっ!」

 

俺は剣筋を途中で曲げて左慈に向ける。

 

「なっ!」

 

左慈は驚いて少し後ろに下がるが右肩に傷が付いた。

その傷は決して浅い傷じゃない。

と言っても俺も肋骨が一本逝ったけどな。

 

「流石北郷だな。

常人ならあまりの痛さで気絶する痛さだ」

 

「そっちこそ。

そっちこそ、その傷の痛みは尋常じゃないだろ?

なのに良くもまぁ、笑っていられる」

 

「お互い人じゃないレベルまで上がったからな!」

 

左慈は俺に対し体術の猛攻を放ってくる。

俺はそれを刀で防いで行く。

普通ならば左慈の体に傷が付くいて行く筈なのだがどうも何故か付かない。

 

「気になるか?

俺の体に傷が付かないことを」

 

「ああ、どんな手品を使ってるんだ?」

 

喋りながら戦ってる俺達は本当に人間から離れてると思う。

 

「気は種類があるって聞いたこと無いか?」

 

「ああ、師匠から気は三つの種類があるって聞いたことがある」

 

確か攻撃に使うのに特化した気と守りに特化した気、最後に滅多に無く二つ気にすら勝てる万能な気。

人によって気は種類が変わる。

例えば凪は攻撃に特化した気。

俺は凪と同じくに攻撃に特化した気だ。

 

「成程な。

お前も守りに特化した気なんだな?」

 

「そうだ。

さっきは張り巡らせた気の濃度が少し薄くて傷を負ってしまったがこれからは絶対に傷は負わないぜ?

さて、お喋りはここまでだ。

はぁぁぁっ!」

 

左慈は気を纏わせて拳を振う。

守りに特化している気はその堅い守りから攻撃に転じることができる。

だから俺は守りの気功術を師匠から教わったけど一つしか覚えられなかった。

 

「獅子王!」

 

「甘い!」

 

またもや気で防がれる。

俺はそれを見て刀を振り下ろす。

 

「おらぁっ!」

 

左慈はそれを最小の動きでかわし俺に反撃してくる。

俺はそれを何とかわしバックステップして距離を取る。

俺はそれから一気に近づき猛攻撃をくらわせる。

 

「っ!くっ!」

 

流石の左慈でも俺の猛攻には手を焼いている。

左慈は何とか俺の猛攻から抜けだそうとバックステップして距離を取る。

このままじゃきりが無いな……

一か八か『秘奥儀』をするか?

そんなことを思っていると師匠の言葉を思い出す。

 

『良いか?この技は裏技よりも負担がかかる。何が起こるか分からないからな。

だからあんまりっていうか使うな』

 

師匠。

俺は自分の都合よりもこいつとの決着を着けたいんです。

すいません……

 

「左慈、全力で自分を守れ。

今から俺は秘奥儀をするからな」

 

俺はそう言いながら気を溜めていく。

左慈も気を溜めていく。

これで左慈が耐えられれば左慈の勝ち。

耐えられなければ俺の勝ちだ。

 

「行くぞ、左慈!」

 

「ああ、来い!」

 

「秘奥儀!『斬光砕空』!」

 

『斬光砕空』

 

この技は名前の通り光すらも斬り裂き空さえも砕く技。

師匠が言うには俺が習った流派の始祖は空に飛んでいた邪龍をこの技で討ち落とし自分の邑の住民を救ったらしい。

流派の名前は受け継がれていく間に忘れられたが今でもこの流派の『弱き人を救う』と言う真髄は忘れられていない。

 

「ぐおぉぉぉぉっ!」

 

左慈は何とかこの技を防ごうとしている。

だが……

 

「ぐはぁぁぁっ!」

 

左慈は完全にこの技を防げずに受けてしまった。

そして秘奥儀の衝撃が完全に止むと左慈は先程まで居た所に倒れていた。

 

「すごい生命力だな」

 

「この技は気だろ?

気でも俺達は死なないさ……殺してくれ

その刀で俺を殺してくれ……」

 

左慈はそう言って目を瞑る。

俺は刀を振り上げる。

 

「左慈、俺は絶対にお前を殺したことを忘れない……

お前を殺した記憶を背負って生きていく……

さようならだ……左慈」

 

「ああ、じゃあな。

北郷……」

 

俺は刀を振り下ろした……

説明
こんにちわ〜
今回は左慈との一騎打ちです。
二人の一騎打ちの行方はいかに!?
では、始まり〜
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コメント
本編後 左慈「ああ、これであのホモメガネに犯されなくて済むぜ!?」(劉邦柾棟)
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