告白するわよ |
“Dear明久くん。
話がある! 放課後、公園で貴殿を待つ!
決して逃げるべからず! 木下優子”
ペンを机に置き、自分が書いた手紙に目を通す。そして、その文面を口に出して読む。
「……うん。なかなか悪くない手紙ね」
ついに明久くんに告白をする決意をしたアタシは、明久くんを呼びだすための手紙を書いていた。
「これで明久くんが来てくれたら、後は告白するだけよね……」
ちゃんとアタシの気持ちを――明久くんが大好きだって気持ちを伝えるの。
他の誰かに取られてしまう前にアタシが明久くんを奪うの。
「明久くん! 覚悟してなさいよ!」
自分に言い聞かせるように声を出し、拳を握る。
アタシが明久くんの心を奪ってあげるんだから! 明久くんの恋人になるんだからね!
「よし。後は明久くんを待つだけね」
手紙は秀吉に渡してあるし、きっとこの場所に来てくれるはず。
あ、アタシの格好、変じゃないわよね?
鏡で自身の姿を確認しながら明久くん待つ。凄く緊張するけど、早くアタシの気持ちを伝えたいわ。
心臓がうるさく音を立てている中、明久くんを待っているんだけど……
「遅くないかしら?」
アタシが公園についてから、もう一時間以上経っている。それなのに、一向に現れる気配がない。
「今日は補習とかないはずなんだけど……」
変な事件を起こして補習とかにならないように秀吉に見張っておくように言っておいたし、
補習とかにはならないはずなんだけど……もしかして秀吉のやつ、失敗した?
一緒にバカなことをして、怒られているのか。それとも考えたくはないけど、手紙を渡す
ことに失敗しているとか?
「もしそうなら、秀吉には教育が必要になるわね」
二度と失敗をしないように、二度と乙女の気持ちを踏みにじらないように――きちんと教育を。
「――はぁ、はぁ……ゆ、優子さんお待たせ……」
秀吉への教育メニューを考えていると、明久くんが息を切らせながら待ち合わせ場所に来た。
「遅かったわね」
「ご、ごめん。みんなから逃げるのが大変で……」
「ああ、そうだったのね。てっきり来てくれないのかと思ってた」
このアタシの気持ちを明久くんに伝えることが出来ないのかと思ってた。
あまりに遅いから少しだけ泣きそうだったわよ。
「そ、それで、この手紙なんだけど……」
「実に素敵な手紙でしょ? アタシが一生懸命考えて書いた手紙なのよ」
アタシの好きな本を参考にし、明久くんの事を想いながら。
「す、素敵!? 僕には死刑の宣告のような手紙に見えたんだけど……」
「はぁ!? 一体、何を言ってるのよ。この手紙の何処が死刑の宣告なの!?」
誰がどう見ても好きな相手を呼びだすための手紙じゃない。それを死刑の宣告って――
「だ、だって――逃げるなとか、文面の硬さから見てもいかにもじゃない」
「そ、そんなことないわよ!」
だってこれは『伝説の木の下で貴様を待つ』でも使われた手紙の文面なのに、それが死刑
の宣告に見えるだなんてあり得ないわよ。
「じゃ、じゃあ優子さんは僕を撲殺するために呼び出したわけじゃないの?」
「何でアタシが明久くんを撲殺しないといけないのよ」
まぁ、場合によっては明久くんを撲殺しないといけないかもしれないけど。
今のところは撲殺する予定はないわ。秀吉は撲殺決定だけど。
「あのね、アタシは明久くんに伝えたいことがあるだけなのよ」
「伝えたいこと?」
「そう。アタシの純粋な気持ち」
アタシが明久くんを想う純粋な気持ちを伝えたいのよ。
「伝えてもいいかしら?」
「あ、うん」
「じゃあいくわよ」
一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。明久くんに伝える言葉はもう決まっている
落ち着いて言葉を紡ぐのよ。
アタシなら出来るはず。何も怯える必要はないのよ。
さぁ、明久くんに告白をするのよ。
「明久くん。あなたが好きです。アタシと付き合ってください」
やっと伝えることの出来た言葉。アタシが抱いてしまった気持ち。
ねぇ、明久くん。あなたはアタシのこの気持ちを受け止めてくれるかしら?
説明 | ||
本当に久しぶりの優子さんですが、この体たらく……やれやれだぜ。実際、今までの繋がりとか関係なくなってきているような……? そして、質の悪い引き方で、申し訳ないっす。 | ||
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ラブレターをBL本参考にして書くのはまずいだろ(VVV計画の被験者) | ||
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