真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part50 許都にて
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〜許都〜

 

「華琳・・・・・」

 

「さあ、楽しませて頂戴」

 

華琳が絶を俺に向けた

けれど、そこに殺気はなくて

 

「・・・・・・もう演技はいいよ、華琳」

 

「演技ですって?」

 

そう、俺は気づいてた

華琳は操られていない

 

「桂花も風も稟も、皆が華琳は何かに操られていると思ってる。けど・・・・・間違いなく君は本物の華琳だ」

 

「どうしてそう思うのかしら?」

 

一つ大きな息を吐いた

もし違っていたら・・・・・

 

「華琳が俺に抱きついたとき言った言葉」

 

華琳に捕まった後、華琳に首輪をつけられ監禁されていた

そんな時、ふとした拍子に華琳が胸に飛び込んできたんだ

 

「あの時、助けて と言った」

 

「ええ」

 

「もし、抱きつくことで意識が戻るなら、華琳は助けを求めたりしない」

 

「ふむ」

 

「華琳が本当に操られていたなら 殺して と言うはずだよ」

 

華琳が絶を降ろした

 

「助けを求め意図して、操られていないと伝えたんじゃないかな?」

 

「ふふ・・・・・あっはっは、さすが、冥琳を師事し私を倒した男、ずいぶんと頼もしくなったみたいじゃない、一刀」

 

華琳の表情があの頃に戻った

 

「華琳!!・・・・・って俺が冥琳と華琳を倒した??」

 

「・・・・・それに、桃香ともずいぶんよろしくやってたらしいわねぇ・・・・」

 

ああ、なつかしい殺気、絶望感

 

「ちょっと待った!何の話かさっぱり・・・・・」

 

「まぁいいわ、そう、あなたの言うとおり私は私、皆を騙してしまったわ」

 

「・・・・華琳」

 

涙が溢れそうになった

けど、今は感傷に浸っている場合じゃない

 

「どうして演技をしていたのか聞きたいけど時間が無い、急いで聞いて欲しいことがあるんだ」

 

「戦の件かしら?」

 

「それもだけど、もう一つ、誰も気づいていないことがあるんだ」

 

「私も含め気づいていないこと?」

 

「華琳なら薄々感づいてると思う、俺らの中に、本当に操られてる者がいる」

 

「・・・そう、やはりそうなのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだよね、秋蘭、明命」             

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部屋の外で武器を構える親衛隊、その中から一人が歩み出て来た

 

「・・・・・・私が正気ではないと、よく気づいたものだな北郷」

 

兜を脱ぎ捨てると、そこには体調を崩し寝込んでいるはずの秋蘭がいた

 

「明命はどこにいる」

 

「ふふ、言うと思うか?」

 

秋蘭から冷たい風が吹き出ている気がする

 

「いつから気づいていたのだ北郷」

 

「最初に違和感を感じたのは春蘭の処刑の時だよ」

 

「ああ、あの時か」

 

「本当の秋蘭なら例え華琳から邪魔者扱いされても任務を遂行していたはずだ。それなのに君はまったく動こうとしなかった」

 

秋蘭は、主が道を誤れば自らが主を討ち、そして自分も死ぬと言っている

そんな秋蘭がそんなことで任務を放棄し姉を見捨てるなんて考えられない

 

「それに、凪の件も不自然だ」

 

秋蘭は凪ら3人から不意打ちを受け負傷したと言っていた

 

「泥濘に誘い込まれ真桜の煙幕を打ち込まれ反撃できなかった。確かに並みの兵ならそれで終わりさ、けど君は秋蘭だ

どんなに厳しい状況だったとしても、凪が秋蘭の背後を取るのは難しいはず。まして、倒れた秋蘭を追撃して負傷させるなんて・・・・」

 

コブシをぐっと握る

 

「凪は・・・・そんなこと絶対にしない!!」

 

秋蘭の口元がつりあがる

 

「真桜と沙和が言っていたよ。凪がおかしくなったのはあの後だって。君は、煙幕の中で凪を押さえ、凪に暗示をかけたんだ」

 

凪は病的に苦しんでいたらしい

かわいそうに、そんなになるまで追い込まれて・・・・・

 

「確信したのは最近だよ。春蘭が立ちふさがった時、君は春蘭を矢で打った」

 

まるで姉の異変を楽しむように

 

「あれは春蘭の状態を知らしめるためじゃない、まるで・・・・・暗示の効果を確かめるため・・・・・」

 

秋蘭が右手を前にだすと

 

「合図だ明命」

 

パチンと指を鳴らした

次の瞬間、王宮の周囲が炎に包まれた

 

「秋蘭・・・・・」

 

「曹操だけでは心もとなかったのでな、助け舟を出してやっただけのことだよ」

 

華琳が再び絶を構える

 

「どういう意味かしら」

 

「そのままだ、貴様は優れた覇王だが、非情になりきれん。自らを偽るため猿芝居をしたところで、貴様は曹操でしかない」

 

「ちょっとまってくれ、君らの目的は一体・・・・」

 

「・・・・一刀、これを」

 

手渡されたのは鍵だった

 

「これは」

 

「私の部屋の鍵、あの部屋には結界が張ってあるわ。けど、それがあれば大丈夫よ」

 

「部屋、華琳の部屋には何があるんだよ」

 

「・・・・言ったはずよ。大局、そして・・・・私の罪がある。行きなさい一刀、早く!」

 

「・・・・・すぐ戻ってくるからな華琳!!」

 

事前に調べていた華琳の部屋に向かいダッシュした                  

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王宮の火の回りが速いらしく兵の皆は大慌てだ

おかげで警護の兵に邪魔されることもほとんどなかった

 

「はぁ、はぁ、ここか・・・・・なんだこの感覚は・・・・」

 

目の前に現れた大きな扉

これが華琳の部屋の入り口だ

 

空気が重い

まるで扉の向こうに引き込まれてしまうような、重く、暗い何か

周囲は火が回っていると言うのにそこだけが寒い

 

ごくりと喉がなった

扉の前に立ってから冷たい汗が止まらない

 

「い、いくぞ」

 

俺は鍵穴に鍵を差込、がちゃり、と音を立てた

 

「開いた・・・」

 

本能が言ってる 開けるな 引き返せ

開けたくない気持ちで一杯だった

 

「ここで引き返せるかよ」

 

華琳も、季衣も、皆戦っているんだ

俺だけ逃げれるかよ

 

意を決し、扉を一気に開け、部屋に踏み込んだ

 

そこにあったのは

 

「!? 天和、地和、人和!!」

 

部屋の中央に3つのベッドが並ばされていた

その上には張三姉妹が青い光に包まれ寝かされている

 

「3人とも、しっかりしろ、おい、天和!地和!人和!!!」

 

「そこの、若いの・・・・・・落ち着きなさい」

 

入り口の横に立つ老人?

眼深に布を被った誰か、だった。

 

「あなたは・・・・・許子将さん!?」

 

深く被った布から口元が見えた

許子将の口元は思っていたよりも皺がないようだ

説明
華琳と一刀、二人の運命
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真・恋姫無双 恋姫†無双 北郷一刀 華琳 

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