真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第1話
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この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。

 

そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。

※一刀アンチ作品ではありません。

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第1話

 

 静寂が支配する夜の荒野、そこに一筋の流星が落ちてきた。

 

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(……ここはいったい何処だ?)

 まずは現状把握に努める。

 

 俺の名前は((霧里大地|きりさとだいち))。年齢は19歳。普通の大学生だ。

 

 ふむ、記憶はしっかりしてるし意識も問題ない。

 

 ここからは今日の行動を整理してみよう。

 

 確か俺は大学のレポートを書くため、郷土資料館を訪れていたんだ。で、資料館が閉館時間になったから荷物を片づけて帰ろうとしたら、特別展示フロアに展示されていた銅鏡が突然輝きだしその光りに包まれた。光が収まったと思ったら変な空間にいて変な奴と要領がつかめない会話をした後、急に辺りが暗くなって気が付いたらこんな場所でした、と。

 

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回想

 

 光に包まれた大地が目を開けると、目の前には真っ白な空間が広がっていた。

 

「ここどこ?」

 返事は期待していなかったが、確認のため声を出すと意外な返事が返ってきた。

 

「ロコモコ」

 なんということでしょう!韻を踏んでやがります。さすがに、こんなふざけた答えが返ってくるとは思わなかった俺。

 

「君、誰?」

 まずこいつの情報が欲しい俺は、答えてくれるかは別として一応聞いてみることにした。

 

「僕、神」

 斬新だな、オイ。まさかそう来るとは。この自称神は意外と俗人っぽいのか?ヤバい、ちょっと面白くなってきたな。何気にこういう空気は嫌いじゃないぞ。

 

「まっくろくろすけ」

「出ておいでー」

 うむ、予想通りだ。すばらしいな、ここの住人は。

 

「ふぅ、漫才も程々にして、ようこそ狭間の世界へ。ここは正史と外史の境目、そして君は僕に選ばれた最初で最後の人間さ」

 急に目の前に現れたのは10歳ぐらいの少年。ただ、内に見える気の量と質は今まで見たどの人間よりずば抜けている。こんな神々しい気の色は今まで見たことが無かった。少年の存在感に圧倒されている俺を余所に、少年は面白そうに俺を見つめていた。

 

「心配しないで。君に危害を加えるつもりはないから。ただ君に聞いてほしかったんだ、僕の一世一代の我儘を」

(話しぶりからしてもっと重大な事かと思ったんだが、まさか自称神の我儘の為だけにこんな手の込んだ事をするとはな)

 

「君の物差しで僕を量らないでくれないか?君の価値観と僕の価値観は同等じゃないんだから」

 少年は大地の思考を読んだかの様な口ぶりだった。

(なるほど、俺の思考は筒抜けってわけか。しっかし、人の価値観を押し付けられるのは一番嫌いだってのに、俺がそれを押し付けちまった)

 

「分かってくれればいいさ。君のそういうところが気に入ったんだ、僕は」

 頬笑み、大地を見つめる少年。

(何故だろう、こいつとは初めて会った気がしない)

 大地がそんなことを考えていると、少年の顔が剣呑なものになりよく分からない事を口にした。

 

「さて、僕の願いは一つだけ。北郷一刀という人間を壊してほしい。まぁ壊すのが無理なら、すこしだけ狂わせてくれるだけでもいい」

(壊す?人格を破壊しろってことか?なんで俺にそんなことを頼む?他にもっと向いてる奴がいるだろうに)

 そんなことを考えていると少年は困ったように笑っていた。

 

「いや、君にやってほしいんだ。でも、これは強制じゃない。君がやりたくないというのなら、それもまた一つの外史の在り方として受け入れよう。僕は君に選んでほしいのさ、外史の行く末を。そのために君にふさわしい武器を送ろうと思う」

 そう言って少年が手をかざした先から、一本の大剣が出てくる。その剣を見た瞬間俺は雷に打たれたような衝撃で身動きが取れなかった。

 

「そうだよ、これはあの漫画に出てくる聖剣・テンコマンドメンツさ。君の為に用意したんだ。原作の4つの能力と君専用のオリジナル能力があるから使ってくれると嬉しいな」

(なんてことだ。そんな剣が必要な場所に行けってことは俺は何かしらの荒事に巻き込まれる可能性大じゃねぇか!?)

 少年は大地の顔を見てにこやかに微笑んだ。

 

「うん。まぁ、僕からのアドバイスは一つだけ。真名には気をつけて」

(真名?)

 それだけ言うと、少年が何事もなかったかのように消えると同時に周りの景色も暗転し、大地は気を失った。

 

回想アウト

 

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(あいつの望みは北郷一刀って奴を苦しめて欲しいってことなんだろうが、生憎、俺はその手の拷問とか嫌いなのよね。俺の命をねらってるとか、そいつが外道だとかなら俺としてはひとつの手段として考えなくはないんだけど)

 

 そんなことを考えつつも大地は現在の状況を把握するため辺りを調べていた。遠くに建造物の様なものが見えてはいるが明りがとても弱々しい。電気などは通っていないようだ。

 

(まずここが日本の可能性は限りなく低いな、日本にこんなだだっ広い荒野はないし。しかしなんで俺は神父さんみたいな服着てんだ?)

 

 考えたところで答えてくれる人などいるわけがない。ちなみに大地は祖父と父に修行という名のストレス発散で3ヶ月間山に放置されたこと事もあるため夜目が利く。この状況で頼りになるのは自分の目と星の位置だけということだ。

 

「今日はここで野宿かな」

 大地の傍にはアイゼンメテオールが突き刺さっていた。

 

 一応何があるか分からないから、持っておくにこしたことは無い。そう思い、剣に触れた瞬間頭の中にこれについての情報が流れ込んできた。どうやらレイヴが無くても形態の変化はするようで、5種類の性質をもっているようだ。

 

((鋼鉄|こうてつ))の剣ーアイゼンメテオール

((爆発|ばくはつ))の剣ーエクスプロージョン

((封印|ふういん))の剣ールーンセイヴ

((真空|しんくう))の剣ーメル・フォース

((雷撃|らいげき))の剣ーストライクブリッツ

 

 最後のストライクブリッツについてはよくわからないが、多分俺用の形態とかいうやつなんだろう。日本刀のような外見、刀身は大体80cm位で美しい藤色をしている。ただ、この刀は所有者の気を取り込み電気のようなものを発生させることができるらしく、俺の気が刀に吸われていくのが分かった。あまり長時間は使用できそうにないが、使い道は多そうだ。

 

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 時は戻り、流星が落ちる少し前、南陽の城壁で夜空の星を肴に酒を飲む二つの人影があった。

 

「ねぇ、七乃。いつまであの方を騙し続けるつもり?」

 そう言って隣で酒を飲む七乃と呼ばれた女性にジト目を向ける女性は姓を紀、名を霊、字を((翼安|よくあん))。真名を((八恵|やえ))という。袁術に仕えている古参の将の一人だ。

 

「何のことかわかりませんねぇ?私がいつお嬢様を騙したんですか?」

 白々しく白を切るその女性は姓を張、名を勲、字を((守公|しゅこう))。真名を七乃という。袁術の側近にして袁術軍の大将軍の肩書きを持つ将である。

 

 二人がこのようなことを話すのはこれが初めてではない。今までにも何度か同じような内容の話をすることはあった。

 現南陽郡太守の袁術はまだ政治や軍事を任せるには心許ない。さらに袁術が幼いのをいいことに袁術の近くに居る文官武官は己の私腹を肥やすことしか考えておらず、主を隠れ蓑にして甘い汁を吸っていた。

 

「あなたのことです。何か案でもあるのでしょう?」

「どうしてそう思うんですか?」

「美美様の側近として、周りの人間を手玉に取ったあなたがこのまま終わるとは思えません」

 美美というのは袁術の母袁逢の真名である。元々この二人は袁逢子飼いの将だったのだ。紀霊は武術を、張勲は情報の重要性をそれぞれ叩き込まれた。特に張勲は天性の才能を開花させ、情報戦において右に出る者はいないと袁逢に言わしめたほどだ。

 だが張勲は、袁逢が亡くなり袁術がその跡を継ぐと教育係兼守人兼召使兼武将というよく分からない立ち位置に就き、とことん袁術を甘やかしてきた。

 

「……何かきっかけでもあればいいんですけどねぇ」

 自分の杯を見つめどこか遠い目をする七乃。そんな姿を見たからだろうか?八恵は、最近民の間に広がりはじめていたある噂を持ち出した。

 

「七乃、ちょっとした賭けをしてみませんか?」

「八恵ちゃんとじゃ勝負になりませんよ?」

「別にいいんです、気持ちの問題ですから。最近庶人の間で天の御使いがやってくるという噂を耳にしまして、思いついたんですよ」

「天の御使いを賭けごとに利用するなんて罰でも当たるんじゃないですかぁ?」

「私は御使い殿が我らの元に来ると思うのです」

「ちょっとぉ〜無視ですか?無視なんですかぁ?」

「いいきっかけになると思いますよ」

「あんびりーばぼー」

「たまに思うんですけど、いったい何処の国の言葉ですか!?」

「もう八恵ちゃん知らないんですか、この大陸には漢7不思議っていうのがあってですね……」

 七乃が漢に伝わる7不思議について八恵に説明し始めたその時、急に東の空から((眩|まばゆ))い光を放つ流れ星が、城壁から12里ほどの荒野に落ちた。

 

「な、ななな、七乃、七乃!あ、あれってもしかして!?」

「ふむふむ、面白くなりそうですねぇ」

「ちょ、ちょっと!何呑気に構えてるんですか!?」

「誰かいませんかぁ〜?」

 七乃は八恵を無視し、下で見張りをしていた兵を呼ぶ。

「何でしょうか?」

「今落ちてきた流星の調査に行きたいので騎兵を30人ほど叩き起こしてきてもらえますか?」

「はっ」

 その兵はすぐに宿直の兵が寝泊まりする宿舎へと走っていく。

「八恵ちゃん、何やってんですか?とっとと自分の武器持ってきてくださいよ。時は金なりってどっかの偉い人も言うんですから」

「……は?何の話?」

「もう、置いてっちゃいますよぉ〜」

「ちょっ、待ってください!」

 

 二人はそのまま厩へと向かい自分の馬に乗り、城門に集まっていた兵を率いて流星が落ちた方へと馬を走らせたのだった。

 

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 寝床の準備が整えた大地はそのままどさりと倒れ込んだ。今日は予想外のことが立て続けに起きたせいか、精神的にはそうとう参っていたようだ。

 

 横になって少し経つと、何やら地面が騒がしい。地震とは違い、何かがこちらに向かって来る様なそういう類の音だ。

 

「複数、かなり早いな。しかも俺の方に近付いて来てる」

 大地は地面に耳を当てるのをやめ、近くに置いてあったアイゼンメテオールを引き寄せ、形態をメルフォースに変えた。もし話ができるようなら殺傷力のある形態よりも、動きを一瞬でも封じる方がいいと考えたのだ。

 

 音がすぐそこまで来て止まる。俺はこの音に聞きおぼえがあった。高校時代友人が入っていた部活に遊びに行ってたときに何度か耳にしている。

 

(馬か、懐かしいな)

 

 すると馬上から声をかけられた。

「すみませんが、こちらに来ていただけますか?」

 丁寧な口調ではあったが、有無を言わせぬ迫力がある。だが、少なくとも問答無用で首と胴がさよならという事態にはならずに済みそうなので、素直に指示に従う。馬上の数人が松明を持っており、相手の姿形がぼんやりとではあるが分かる。

 

「僕に何か御用でしょうか?」

 俺は出来るだけ慎重に言葉を紡ぐ。下手に怒りを買うわけにはいかなかったし、相手がお偉いさんだったら面倒くさいしな。

 

「先ほどこの辺りに流星が落ちたようなのですが、見ていませんか?」

 馬上のロングヘアーの女性は流星を探しに来たらしい。こんな夜遅くに物好きなことだな。

 

「いえ、見ておりません」

「おかしいですねぇ、あんなに眩しい流星をこんな暗い夜に見落とす筈はないんですけどぉ」

「七乃、もしかして……」

 もう一人のショートカットの女性は俺の返答を疑問に思ったようだ。何やらロングヘアーの女性とコソコソ話している。

 話がまとまったのか二人して俺の方を見つめてくる。やめてくれよ、照れるから。

 

「すみませんが、一緒に来ていただけますか?」

「えっと、見ず知らずの人について行くほど馬鹿ではないんですが……」

「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は紀霊、字を翼安と申します」

「私は張勲、字を守公です。よろしくお願いしますね、子猫さん」

「僕は霧里といいます。それと張勲さん、僕が子猫ならあなたは狐だと思うんですけど」

「狐、ですか。面白い人ですね、霧里さんは」

 

(喰えねぇ女だな)

(あなたの化けの皮、私が剥がしてあげます)

 

「ははは……」

「うふふ……」

 二人は互いに怪しげな笑みを浮かべていた。

 

「なんでだろう、頭が痛い……」

 一人、頭痛に悩まされる八恵。

 

 

 

これが後に袁家の『三強』として知られる、大地と二人との出会いである

 

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あとがき

 

はい、三人が出会いました。

一気に美羽の所まで行こうかとも思ったんですけど、内容がごっちゃになって分かりずらくなるかと思い、出会いだけにしました。

 

ちょっと会話シーンが多いですが、地の文が多すぎて説明口調になるのを防ぎたかったという事もありまして。風景描写が少ない、感情が分かりづらいなど不満があれば、コメントしてもらえれば善処します。

 

次の話は美羽との出会いと管理者側の状況についてです。

 

でわでわしつれいします

 

説明
本編投稿です。
まだ不安定な文体かもしれませんが、温かい目で見ていただければと思います。
それではどうぞ
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コメント
シルファリオンとブルークリムゾンはなしか。まぁシルファリオンの方は結構速さチートですしねwルーンセイヴって何に使うんだ?魔法の代わりに病気を封印or直す的な感じか?(メルクリウス)
ふと思ったけど七のが日本人の転生者だったら面白いですよね。(陸奥守)
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