二次元少女もビックリ
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ある日パソコンの中から美少女が出てきた。

 

ははぁラノベなんかでよくある展開だな。すると俺は主人公か。展開からすると悪役っぽいライバルや現実世界の女の子が俺を取り合うどたばたラブコメディに発展するな。夢が広がる。

 

頭の中で、発生するであろう数多なイベントやフラグに心を躍らせつつも、ここはまず主人公としての正しいリアクションを取るべくここ数日食事と独り言以外で開くことのなかった口を、他人への意思伝達という極めて動物的かつ文化的方法で使用する事にした。

 

「ぐ、ぐふふ。わ、わ、わぁ、モニタの中からふ、ふひ、女の子が出てきゅ…きたぞぉ!でゅふふ…」

 

多少噛んでしまったが王道といえるセリフだと思う。こういういかにもなシチュエーションはあえて脳内でシミュレートせずにいたがなんとかなるものだ。目の前にいきなり女の子が現れても慌てず冷静に状況を把握し、かつもっとも適切であろう言葉をチョイスする頭の切れは我ながら感服する。やはり俺は本気をだせばやれるのだ。長く続いた素人童貞の汚名もこれで返上できそうである。そろそろ名誉挽回といこうか。

 

「気持ち悪い…」

 

突如として目の前の少女が声を発した。その言葉を理解する頃には、彼女はもうそこにはいなかった。

 

なんだ。やっぱりか。まぁ最初からわかっていたけどね。

 

俺は全てを忘れ先日買ったばかりのゲームを立ち上げた。開始数秒でさっき出てきた少女にそっくりのキャラクターが登場したので検索を掛けてみたら、攻略対象外であった。なんだそういうことか。俺は一人納得してゲームを進める。世の中ってのはそんなもんだ。

 

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