【FNO】ある美しき世界で
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光が、優しく天から注ぐ。いくつもの葉に遮られ、温かな光を一杯浴びた葉は堪え切れず光を零す。

小鳥が鳴き、滴が落ち、葉がざわめき、虫が音を奏でる・・・ここは楽園と言えるべきだろう。

 

サラサラと流れる川は静かに音を立て、向かうべき場所まで駆ける。

例え分かれるべき場所があれど、いつかは再び同じ道へと駆けるこの川は知っているのだろうか。

ぼんやりとその場を立っていた彼はそう問うた。

 

彼が身に纏う白銀の金属は、葉から漏れた光を全て受け止め輝き出す。

一般的な兵士が身につける鎧とは違い、彼が身に着けているのは王族からの譲り受けか。

それほど作りは美しく、また彼から漂う雰囲気もまた違うものを感じる。

聖なる力を受け継いだ騎士・・・人々は彼をパラディンと称賛した。

 

その時、小鳥の歌に合わせるようにまた異なる音が生まれた。

「ポロン・・・」とハープのような、一本の弦がこの場所一面に響き渡る。

最初の音に続くよう、流れる川のように音色を次々に生み出し、生き物たちの心を静めた。

 

騎士である彼は、この音の主を知っている。

何度も聞いたメロディであり、またその音で何度救われたのか、両手でも数えきれないだろう。

彼は無言のまま目を閉じ耳を澄ませた。視界は暗くとも、脳裏に焼きついたありのままの光景が浮かぶ。

 

 

 

決して踏み入れることなど出来ないだろう、過去は既に過ぎ去ったのだ。

決して作り上げることなど出来ないだろう、背負う十字は重すぎた。

決して見つけ出すことが出来ないだろう、未来は白く塗り潰されていた。

 

理想の大地は、一体何処にあるのだろうか。

 

 

 

「・・・・・・。」

 

ある1冊の書籍に描かれた美しき光景は、どのようなものだったのだろうか。

血に濡れたこの光景は、いつになれば変えることが出来るのか。

騎士の問いに彼は答えた。

 

「血塗れた世界を平和にするのが、私たちの役割でしょう。」

 

 

 

音を奏でる彼は無邪気に歌い、そして騎士である彼は華麗に舞った。

美しき世界を見る為に・・・。

説明
聖騎士と吟遊詩人のお話。
某クエストをベースに書き殴ってみただけです。
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