【腐ヘタリア】反対言葉(鯨組) |
反対言葉。
これもちゃんとした言葉だよね?
素直じゃない僕はこんなことでしか素直になれないんだ。
……今日は何も無い日。
ただ普通に本を見て、コーヒーを飲んで。強いて言うなら今日は休日かな。
ノーレと一緒に。
何故かノーレは僕が休日だと、自分も同じ日を休みにする。
そこまで何がしたいのか…まあわかってるけど。
「アイスー。お兄ちゃんがいんのに読書はないべー」
ほら、またこれ。
そして僕の頬をこれでもか、と言うほどつつく。
「久しぶりの休日なんだよ?ゆっくりぐらいさせてよ」
このところ会議が多くて、やっと落ち着いて休みが取れたと言ってもいいのに。
「それはこっちもだべ。せっかくアイスと同じ日に取れたんに…」
そう言いながら今だに僕の頬つつくの止めてくれない?本当意味わかんない。
…っと言おうと思ったが、やめた。
むやみに反抗したら相手の思うツボだ。だから何も無いような反応をする。
それが解ってかノーレはいつもの口癖みたいなものを言ってきた。
「お兄ちゃん」
「嫌だ」
「なして」
なしてって…そんなのいつもいってるじゃん。
「子供じゃないから・恥ずかしいから。この二つじゃ理由にならない?」
本当は僕にしか知らないもう一つの理由があるのだが。
「ああ。全然理由にならないべ。だからお兄ちゃんって言え」
「だーかーらー」
なんでこうもノーレは頑固なんだろうか。
こんなのただのだだをこねる子供だよね。お兄ちゃんって言えって言うけど兄貴らしさが足りないと思う。
ってかこんなに理不尽なお兄ちゃんっています?
しかもなんでノーレだけが得する(?)ことをしなければならないのか。こちらにも利得があってもいいだろうに。
なんとなくつぶやいた言葉がそのまま声に出たことに気づいた時には…遅かった。
「なにかしてくれるなら言ってもいいかも」
「本当け!約束できんなら良いべ。お兄ちゃんがなんでも一つ叶えてやる」
「えっ?あ、今のはただの独り言で…」
やばい。まに受けてる、どうしよう…。
「アイスなんでもいいんだべ。なっなっ」
うう、ノーレの目が凄くキラキラしてる…。
本当に…一言言うだけでなんでも聞いてくれるのだろうか?
ものは試しっとは言うが。
「本当になんでも?」
「ああ。俺が出来る範囲でな。」
どうやら本気らしい。特にしてもらいたいことはない…と言えば嘘になるが。
でもそれを言っていいのか、駄目なのか自分でわよくわからなかった。
まあ周囲に言えばおかしいとか、気持ち悪い、などと言うだろう。
でもこの気持ちが本物ならこそ試す価値がある、と思う。
ただ…素直だったらだ。
僕は自分でも嫌なくらい素直になれない。なんでっていわれても…。
多分自分に自信が無いからだと思う。それとも勇気がない…のほうが合ってるのかな?この気持ち一つまともに伝えられない。
だってその後の返事が怖いから。傷つくくらいなら言おうと思わなければいいのに。
でもこのまま無かったことになんて出来ない。このチャンスを逃したらこんなことはもうやって来ない気がした。
だから言う。でもどうやって?
素直にならずにしかもそれの意味はノーレに解るように。
「まあ今すぐって訳じゃねえ。思いついたら言えばいいべ。そろそろ昼飯にでもすっか」
そのままノーレは台所に向かって行ってしまった。
一旦、この思考を止める。でないとなんだか頭痛がしそうだ。
読み止めた本を栞に閉じる。そしてその本を本棚に戻しかけた時、隣にあった本が僕の頭に目掛けて落ちてきた。
「いったーいっ!…」
落ちた本は大して厚くないのが救いだった。
「…今日はついてないのかな」
小さなため息をつきながらその落ちた本を拾おうとした時。
ふと、その本を見ると何か気になる文字が目についた。
………これだ。
僕はなにかをひらめいた。
×××
「あー美味しかった」
「当たり前だべ。俺さ作ったもんはなんでもうめえに決まっとる」
ノーレって雑に作業してると思えば以外に器用。だからノーレが作った料理は全て好きだ。
例え食べられない物でも、頑張って食べようとすると褒めてくれるので余り好き嫌いがない。
まああれもこれも、ノーレのおかげと言う事になる。
「んで、お願い決まったのけ?」
「うん」
「なんだべ」
「ただ…僕の言った事を聞いて。お願い」
その時のノーレの顔ときたら。もっと違うお願いだと思ってたのか、久しぶりにノーレお驚いた顔をお目にかかれた。
「?…そんなことでいいのけ?」
「駄目?」
「いや、駄目ってことさねえけんど…」
ノーレは何故いつでも言えるような事ををなんで、このなんでも聞いてくれるようなお願いにしたのか、よくわならないみたい。
まあわからないよね、僕の気持ちなんか…。
「僕、前からノーレの事が………」
「?」
「嫌い」
「なっ……?!」
そして僕はノーレを抱きしめた。
届かないぶんはおもいっきり背伸びして。
「アイス?言ってる事とやってる事さ、違うべ」
「嫌い、嫌いなの」
言いながらさらに力を込める。
そう、嫌い嫌い…。それを全て反対の意味でとらえて……。
すると僕の背中にノーレの手が回ってきた。
まるで赤子でもあやすようによしよし、と背中を撫でてくる。
「そうけ。アイスは俺の事、嫌いけ」
「………」
嫌いとは言ったものの本当に嫌いな訳ではないのでうん、とはいいずらい。
だからと言って僕は反対言葉を言っている訳なのでううん、も違う。
それでいつ僕は反対言葉を使っていることを、どのタイミングで伝えればいいいかわかないでいた。
もしかしたらずっと違う意味でとらえてしまうかもしれない。
いまさら言うのも恥ずかしいけど、言うなら今しかない。
「あ、あのねノーレ、本当は僕反対言葉言ってたの!お願いした時から全部!
だからさっき言った嫌いは好きで、好きは嫌いで……だ、だから僕はノーレが好きってこと!!」
言えた!っと思ったらもうすぐそこにノーレの顔が近づいて、
チュッ
「アイスは本当素直じゃねーべな。好きなら普通に好きって言えばいいのに」
僕は反論する気もおきなかった。
「あ。あれだべ、いやよいやよも好きのうち、か。それなら俺だってアイスの事さ、好きだべ」
背中を撫でてた手が今度は頭に変わる。
…いつもノーレから好きとか、可愛いとか、抱きしめたり、キスだってしたことはある。
(一方的にノーレからだ)
でもさっきのは何かが違う気がした。少なくとも誰でも簡単にするようなものではなく、感情がこもっていたと思う。
だけどそれはきっと……
「それは僕がノーレの弟、兄弟だからでしょ?…僕は違う。ノーレを一人の人として見てる。たった一人の」
血の繋がった兄弟。一番身近だけど、恋は一番遠い。
だからこそ辛かった。この気持ちが。
するとノーレは何かを決意したように僕を見た。
「…俺もやっと本当の気持ちを言える日がきた」
「本当の気持ち…?」
「ああ。俺もアイスをたった一人の人としてみとるってこと。いつか言おうと思ってた…でもアイスから先に言われるとわなあ。じゃあ、これだけは俺に言わせろ」
そう言うと僕の肩をノーレがつかんだ。
「愛しとる。兄弟としてでなく、アイスを」
すると肩をつかんでた手がノーレの口元に移った。
うわ、ノーレが照れてる…。
「それは反対言葉?」
「んじゃ、試してみっか?」
えっ…?っと思ったらもうノーレは僕の上に乗っていた。
「ったく、いつも思うけんどおめえは少し素直になれ。と言ってもそこもめんげえけんど」
「えっと、ノーレ?」
こ、心の準備が…!
僕の心でも読んだのか、ニヨっと笑うノーレ。
「俺を騙した罰さ受けてもらうべ。それと約束は?」
げっまだ覚えてる。僕だって忘れてたと言うのに。
まあぐだぐだなりながらも僕の気持ちを伝えられた。本当の願いを。
でもこんなことめったにしてやんないんだからね。
「…お兄ちゃん」
「声が小せえけんど、まいいべ。こっからがお楽しみだ」
「…大っきらい」
「反対言葉け?」
「馬鹿」
反対言葉。
ノーレは僕の事が、僕はノーレの事が大っきらい
終
説明 | ||
素直じゃないアイス君も素直なアイス君も可愛い。 照れるノル君も攻めるノル君も可愛い。 だから鯨組は最高。 |
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