無印・恋姫無双〜外史の突端〜 第十五話 |
北郷軍陣営(イージス艦)内の愛紗の部屋にて・・・。
愛紗「この服は懐かしいな・・・。あの頃に着ていた服だ。まだ持っていたのか、玲に着させたら似合うだろうか・・・。」
?「おぉ、あの時に着ていた服ではないか。まだ持っていたのか・・・。」
愛紗「あぁ・・・って?」
カバンの中から服を取り出して、整理をしていた愛紗の元に一人、入ってきた。
愛紗「星か?」
星「あぁ。」
椅子の傍まで歩みよる。
星「して・・・久しぶりだな、愛紗よ・・・。」
星が椅子に座る。愛紗も続いて座る。
愛紗「そうだな。そういえば『あの時』の戦い以来になるのか・・・元気だったか?」
愛紗が少し感傷に耽る。
星「まぁ元気に居させてもらっているよ・・・。あの後にな、以前同様な面々に加えて新しい者が増えていたのが驚きだな・・・。」
愛紗「そ、その割にはあまり驚いているようには見えんが?」
星「まぁ、もはや慣れてしまったかもしれんな。それはそうと、主の事だが・・・ここの鈴々や翠は覚えてはいるようだが、こう・・・体がその本人の事を覚えている感じだな。」
愛紗「そうか・・・。あいつらはそういう素質かもしれんな。」
星「まぁ『アレ』だからな。」
愛紗「ふっ、大きな声では・・・言えんがな。」
この二人には共通認識があるらしい・・・。
想像が出来ると言いながら相槌を打つ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翠「くちゅん!・・・はぁ。なんだろう。」
蒲公英「お姉さま、もしかして風邪?」
翠「いやぁ違うと思う・・・。というか、私は一度も風邪を引いたことが無い!!」
蒲公英「(あぁ、馬鹿だからね・・・。)」
翠「何か言ったか?」
蒲公英「い〜え、何にも言って無いよ。」
鈴々「はぁっくしゅん!!」
紫苑「あらあら、どうしたの?」
鈴々「くしゃみが出たのだ・・・。」
翠・鈴々「「((誰か噂でもしているのかな・・・。)」しているのだ・・・。)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
愛紗「ところで星、お前は・・・なんだか若くなっていないか?」
星の顔に手を伸ばす・・・。
星「お、おい。こら・・・別に何もさわらなくっても良いだろう?気が付いたら若返っていたのだから、仕方があるまい?」
愛紗「むぅ・・・。それで、他の者の様子は?」
星「いや、今度はお主の番だろう?お主も話せ、無いとは言わせないぞ?」
愛紗「私か?!そ、そうだな・・・。ご主人様と共にその世界に行ってからというもの、先ず驚いたのは夜になっても明るい所がある。例えば、自分の部屋を思い浮かべてくれ。普段だと蝋燭を付けるが、その動作が要らんのだ・・・。これには驚いた。」
星「蝋燭を必要としないだと?・・・では何という変わりの物を?」
愛紗「これだ。」
愛紗は銀で出来ていると思われるものを出した。
愛紗「これをこう捻ると・・・ほら。」
星「おぉっ!!これは凄いな!!!」
ペンライトを実際に光らせてみる。
愛紗「この仕組みは『電気』で意図的に光らすらしいのだ・・・。」
星「ほぉ・・・。」
かなり興味津々な様子でいじっていた。
愛紗「それでだ、私と・・・その、ご主人様との間には娘が居る、怜だ。」
星「なに、お主に子供?しかも娘とな・・・。曹操殿の横にも小さな女の子が居たな・・・、あれは?」
愛紗「・・・華琳殿とご主人様の娘だ。」
愛紗は溜め息を吐く。
星「なんとっ!ほうほう・・・それで愛紗は機嫌が悪いと。この私が居るのに、という感じだな。」
愛紗「な、何を言っておるのだ?!私は一度も不満を持った事は無い、ぞ。それに、一刀様はどの世界に行っても変わらない気がするが・・・。」
―――――――――――――――――――――――――――――
一刀の部屋にて・・・。
凪と霞を呼んで軽くお茶を楽しんでいた。
一刀「はあっくしょん!!」
凪「如何されましたか、隊長?!」
一刀「ううん、何でもないよ。ありがとう、凪。」
凪「っ・・・はい。」
霞「全く、凪はかずっちに一直線やな〜。」
―――――――――――――――――――――――――――――
星「ま、まあ、そうだな・・・主のはいろんな意味で絶倫だからなぁ。それで、愛紗。あの『主』の武力についてだが・・・。」
星は含みのある言い方で言い始める。
愛紗「あぁ、私も驚いたよ。御主人様のおじい様が剣術の達人でな、五年間・・・いやそれ以上か修行していたよ。剣術の他にも『拳』を使った戦法を取るようなのだ・・・。」
星「(完璧に流されたぞ・・・。)」
星「『拳』技か・・・見てみたいな。」
愛紗「今日は非番だから、のんびりすると言っておられたな・・・。どうなんだろうか・・・。」
星「我々が言えば試合をやってくれるのではないか?」
う〜んと唸り、愛紗が答える。
愛紗「そうかもな・・・、行くしか無いようだ。」
星「あ、あぁ・・・。」
愛紗は立ち上がると身軽に自分のテントから出て行くのを追うように星が続く・・・。
愛紗達がやって来たのは、総司令部・・・本陣にあたる場所だ。
愛紗「たしかここにいると言っていた・・・が・・・。」
愛紗の目に入って来たのは霞に抱きつく一刀。入って来たのに気付く一刀。愛紗は真っ白に固まっていた。
一刀「いぃ?!」
霞「おろ?愛紗やんか〜、どないしたん?」
軽く出来上がった状態の霞。
愛紗「し、ししし霞!?ご、ご主人様に、なななななななにしている!!」
霞「いやぁ、一刀を誘惑しようと思うてな。耳の掃除でもと思うてやっとったんや。」
猫口になりながら言う。
愛紗「う、嘘だ!そ、その体制はいろんなことをするに違いない格好しているでは無いか!!」
霞「いろんな、ってどんなことや?」
霞がにやりとした口をしながら聞く。
愛紗「そそそ、それは・・・言える訳無いだろう!!」
やいのやいのと騒ぎ出す。その隅で・・・。
一刀「・・・あれ?星じゃないか。どうしたんだ?」
星「主、お願いしたいことがありましたので来たのですよ。」
一刀「お願い?」
星「ぜひ私と『お突きあい』を「星!今のは字がおかしいだろう!!」おっと、聞こえていたか・・・。まぁ、その時はその時でお願いするとして・・・。」
一刀「(す、するんだ・・・。)で、何をしたいんだ?」
一刀は苦笑しながら本題に移る。
星「・・・お手合わせ願えませぬか?」
一刀「・・・あぁ〜、やっぱり皆、気なるよね〜・・・。分かったよ星、いや趙子龍!全力をもってお相手いたそう!!」
らしくない口調で答えた。
しかし、よくこの場所を考えてみよう。ここは今、本陣にいる・・・。海岸に停泊している状態で戦闘が可能な場所とするには浜辺に移動しなきゃいかんという訳だが・・・。ん〜・・・どうしようかな・・・。
華琳「ここを空けても良いか迷っていたんだったら行ってきなさいよ、ここ(船)は守っててあげるから・・・。」
突然、華琳の声が聞こえた方を見る。そうしたら入口に立っていた・・・。
一刀「でも良いのか?華琳、お前も・・・?」
一刀の口を人指し指で押さえる。
華琳「その代わり、麟にこの『ハンディカメラ』を持たせたから。ばっちり後で」
一刀「鑑賞する事が出来る・・・。だろ?」
ちょっと顔を赤くして華琳が言う。
華琳「わ、分かっているんだったらサッサと行きなさい!」
一刀「分かった。・・・そうだ華琳。」
華琳「な、なによ?」
一刀「ありがとうな。(ニコ)」
華琳「っ〜〜〜〜〜、早くいきなさ〜〜〜い!!!/////////////////////////」
顔を真っ赤にさせて怒る華琳。その言葉はちっとも怖くないのだが・・・。
一刀「じゃあ、麟。行こうか・・・。」
麟「うん!!」
一刀は麟と一緒に浜辺に出てきた。星は先に下船していたらしく、準備運動を行っていたがほかに試合が見たいや面白そうやら酒飲みが集合していた。
一刀「よしっ!やりますかね・・・。」
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すこし離れた場所で。
雪蓮「ねぇ、どっちが勝つか賭けてみない?」
この時は蓮華・思春・華琳・春蘭・秋蘭は居残り組だ。
愛紗「『賭け』ですか?はたしてどちらに軍配が上がるのやら・・・。霞はどちらが勝つと思う?」
霞「これは分からんな。趙雲は槍の使い手や、やけどかずっちのは・・・何ていうんかな。」
周りを見渡し始める。そして・・・凪のところで止まる。
霞「そう、凪の戦い方に似てるんや。あとは腰にスラっと長いモノをつけてるやろ?あれは『刀』なんやけど、使うとるとこ見た事あらへんのや。」
凪「えぇ?そうなんですか??」
霞「せや。」
凪「何で隊長は使わないのでしょうか・・・。」
霞「多分やけど、意図的に使わないようにしているのかもしれへんな。」
愛紗「(その推測は正しいかもしれない・・・。一刀様は『あの刀を抜く可能性の有る人物は3人ぐらいかな・・・。』)」
愛紗はその3人の予測を付け始めた。
雪蓮「・・・かたな?ねぇ、『かたな』ってなに?」
雪蓮が興味を持ち始める・・・。
愛紗「雪蓮殿がお持ちになっている剣よりも細身で長身。それでいてかつ切れ味が抜群な剣・・・ではなかった、刀と謂われている。」
雪蓮「ふ〜ん。ちょっと試してみたいわね・・・。一刀と・・・。」
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星「では、始めようか・・・。」
一刀「そうしよう。」
星と一刀の二人が相対する形になる。
愛紗「わたしが試合開始の合図をしよう・・・、よぉ〜い・・・はじめ!!」
愛紗が開始の合図で一刀は後方に飛び退くと星はその間隔を一気に縮め、鋭く突きを繰り出す。
星「はぃはぃはい!!」
一刀「っと、よ!はっ!!」
一刀は星から間を置く。
一刀「ふぅ、三回繰り出すなんてさすが星だな。」
星「こんなものではありませんぞ!せぃせぃせい!!」
一気に間を詰められて更に鋭い突きを繰り出す。
一刀「お〜お〜、怖。」
星は攻勢に出てはいるが一刀は回避行動ばっかり。
星「・・・主よ、本気でやってくだされ。これではキリが無いですぞ。」
星がいらだたしげに言う。
一刀「さすがに分かったか・・・仕方がない。じゃあ、見せてあげるよ・・・。」
一刀の目付きが変わり何か構えた、と同時に浜辺全体の空気が一変した。
星「っ!!!!?」
星は警戒する体制をとる。
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霞「なっなんやこの闘氣は・・・?!」
凪「私の全力の闘氣より遥かに高い・・・凄い、強いですよ・・・。なんでしょうか、ワクワクしてきましたよ。こんな身近に全力で戦っても良い方がいるとは・・・。ワクワクしてきました・・・。」
麟「っ?!?!?!?!?!」
北郷軍の面々が驚く中、愛紗親子は涼しい顔をして立っていた。
愛紗「こんな『氣』、感じたことが無い・・・。今までで一番強いのでは無いのか?なぁ、玲。」
怜「そうですね、私と訓練する時もこんな『氣』を出していませんから・・・。でも、未だあれが全開ではなさそうだよ、お母さん。」
至って冷静な分析を行っている愛紗親子。
霞「ほんまなんか?愛紗。」
愛紗「あぁ、ここまで行っていらしたとは・・・正直驚いたよ。」
一刀の前にいる星は周りに居るよりも数倍の『氣』を浴びている事になる。
愛紗「これはあっさり決着がつきそうだな。星には悪い気もするが・・・。」
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一刀「おまたせ。じゃあ・・・星。『死合い』を始めようか・・・。」
星「な、何か字が違うような気がしますぞ・・・?」
一刀「気のせいだ、行くぞ!!」
拳(手のひら)を前方に突き出した。
一刀「はぁあっ!!」
星「ぐぅっ!」
一刀が辺りの砂を舞い上がらせながら衝撃波を出した。受け身を取り、すぐに体制を整えた。
星「(砂が舞った所為で視界が皆無だ、どうする。主がここまで強くなって居られるとは正直、引くな。・・・どのようにして砂を舞い上がらせたのだ?・・・主に出来たというのなら私も出来るのではないのか?ならば、やってみるしかない・・・!!)」
星は自分の得物に集中し始める。
星「(凪によると手のひらに集中するんだったな。・・・はあぁぁぁぁあああっっ!!!)」
星の両手から薄い青色の光が宿り、武器にその光が宿り始める・・・。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
凪「・・・ん?」
霞「どうしたん、凪。」
凪「星様の闘氣が上がっています・・・、凄い。」
凪は砂埃の中で微かに見える『光』の方向を見ていた・・・。
霞「なんやて?お・・・ほんまやなぁ。」
砂埃の方を見る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一刀「砂、凄いな・・・やりすぎたか。」
星「(まだ気付いていない!・・・仕掛ける絶好の好機[チャンス]だ!!)」
砂埃が徐々に収まり始めた。
星「(あそこにぼんやりと・・・気配を感じる。あの方向に突き出せばっ・・・!)」
星の現在、出せる精一杯の高速移動で攻勢に出る。
星「でぇいやぁぁぁああああ!!!!!」
槍で一振りした、ここに来て外れるはずが無いという自信があったから・・・。
しかし・・・・。
ヒュ・・・・・・ッ。
星はそこに感じていたのは確かに北郷一刀のものだった、しかし・・・。
一刀「残念でした・・・。」
星「なんと!」
すでに一刀が拳に気合を込っている・・・。
星「なっ・・・。(不味い!)」
咄嗟に防御本能が働いた、いや働く直前に一刀が動く。
一刀「おそいぞ。」
星はもう死を覚悟した・・・せざるを得なかった。そう、瞬間的に目の前に拳が突如現れた・・・。この事実は変えられない・・・。
一刀「・・・・・・ふぅいぃ〜〜。星、大丈夫か?」
一刀は通常の状態に戻った。
星「あ、ある・・・じ?」
一刀「あぁ、俺だよ。」
星「まさか、あれがほん・・・き?なのですか?」
一刀「あれが半分かな、本気でやったら分からないよ。」
へなへなと星がへたり込む・・・。
星「あんなにお強いとは思いませんでしたぞ・・・。」
一刀「おれも、星が闘氣が操れるとは思わなかったよ。それに、自分の得物に闘氣を込めるのもなかなか出来たものじゃ無いんだ。」
星「私は・・・強いのでしょうか。」
一刀「あぁ、強いとも!ここで分かった事は良い好機だと思うぜ?」
星「なぜ、ですか?」
一刀「まだ修行の余地があるってことだよ。いつも同じ事をやっていたら進歩しなくなるからね、何か新しい事を見つけるのもまた素晴らしいと、俺は思うんだ・・・。」
星「ふっ、主に助言頂けるとは有り難い。確かにおっしゃる通りですな・・・。明日から頼みますぞ、北郷一刀殿。」
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星は疲れた様子で船に帰って行った。
雪蓮「ねぇ一刀・・・。ちょっと相手になってよ・・・。」
雪蓮がぼそっと喋る。
一刀「ん?・・・うわ。ちょっとまっt」
明らかの戦闘モードに入った雪蓮を止められるのは北郷しか居ないとこの場にいた全員が思った。
雪蓮「さっさとやりましょー!あはははははーーー!!!」
一刀「洒落になってないからー!!!!」
このときにも一刀の本気モードに突入している。もちろん、逃げることに・・・。
一刀「待って、雪蓮!落ち着け!!」
雪蓮「いやよ。私、今興奮してるから。」
一刀「一撃で終わらすしか無い訳か・・・。」
そういって腰に身に付けている刀を見遣る。鍔の下に丸くて小さな緑に透き通った石が付いているのだが、その石が光る。
一刀「この刀を抜いて良い相手は『あいつ等』だけ、ここでは抜けない・・・。素手で受け止めるには『この方法』しか無い。」
雪蓮「何ぶつぶつ言ってるの?来ないんだったら仕掛けるわよっ!!」
一刀「雪蓮!」
雪蓮は爆発的な速さで間合いを詰め、縦一閃に切り込んできた。
一刀は刀を出さずに腕で防御に出た・・・。
ガキィィィン・・・!
雪蓮「なっなにやって・・・?!」
全員「「なっ!?!?!?!?!?」」
なんと雪蓮が全力で振り下ろした剣が一刀の腕一本で防がれているのだ。
一刀「・・・なんで切れないの?とそう思ったか?それは間違いだよ、剣を放してごらん。」
雪蓮が剣を手放すとそこには一筋の赤い線が入っていた。
雪蓮「あっ・・・。あの、その・・・。」
雪蓮は初めて大切な人物に怪我を負わせたことに頭の中が真っ白になった。
一刀「おれは気にしていないから、ほんとに大丈夫だよ。・・・やっぱ強いな、雪蓮。」
一刀は雪蓮の状態が優れない事を察知し、優しく抱きしめ頭を撫でる。
雪蓮「御免なさい、する気は無かったの。本当よ?」
一刀「分かってるって。誰もこんな防御をした輩はどの陣営にも居ないよ・・・今のところは、ね。」
雪蓮「そう・・・。・・・ねぇ、その怪我。治療させて?・・・ダメかしら・・・。」
女の子の上目遣い・・・弱いんだよなぁ〜。雪蓮は本当に弱点掴むの早いよなぁ・・・。一刀はそう思いながら答える。
一刀「・・・分かった。じゃぁお願いしようかな。」
愛紗「・・・ご主人様、いつまでそうしているお積もりでしょうか?(笑顔)」
一刀「あ、あのぉ愛紗さん?目が・・・目が笑って無いぞ?」
愛紗「いえ、私はごく当たり前に女性に色目を使っているのが何かこう・・・心苦しいというか何というか・・・。」
霞「・・・嫉妬?」
雪蓮「そうよね・・・。」
愛紗「ち、違う!断じて違うからな!」
愛紗が顔を真っ赤にさせて全力で否定するがこの二人には全力で肯定の意に捉えられている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
怜「お母さんももっと素直になれば良いのに・・・。」
すこし離れたところで愛紗の娘、玲と華琳の娘の麟が話をしていた。
麟「すなお?」
麟は首をかしげる。
怜「う〜・・・んと、正直になれば良いってことだよ。」
麟「私の母さんもそういうところ、あるよ?」
怜「えっそうなの?」
麟「うん。いつもお父さんが話している時、いつも私と話している口調が違ったの。」
怜「へぇ〜、でもそういう人たちって何ていうんだろうね。」
麟「玲ちゃんでも分かんなかったら分かんないよ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
場所は変わって、孫呉の本拠地に移ろう。
小蓮に呼ばれた冥琳と祭は政務室に入った。
小蓮「冥琳、間諜からの報告書が上がっているんだけど・・・。」
冥琳「お読みになられましたか?」
小蓮「それが・・・・・・ま〜ったく読めないのよ〜!!だから、冥琳。読んで!!お願い!!」
二人は溜め息を吐いた。
内容はこうだ。
『報告します。依頼されていた白装束の件ですが、蜀にもたびたび目撃されている模様。蜀軍は様子を窺っているようでした。なお、呉の領土内で発見された一件以来発生していない模様。五胡の様子も―――――――。』
途中で途切れている。冥琳は疑問に思い、裏を確認するが無いためにもっと疑問に思う。
冥琳「途切れていますね、一体何が・・・。」
祭「・・・本当じゃの。」
すこし考えた後、冥琳が問いかける。
冥琳「小蓮様、この巻物を届けたものの人数は?」
小蓮「え、一人・・・だけど・・・あれ。いつも三人だよね?」
そう。冥琳は報告する時などは必ず三個一で働くようにという方針で、ずっと先代の頃からやってきた事である。それをここに来てやらないはずが無いではありませんか。
冥琳「御明察です。ということは何か不足の事態で二人が居なくなったか、もしくは・・・。」
小蓮「もしくは・・・何?何なの??」
冥琳「・・・もしくはここの『五胡の様子』のところが書かれていないというのも疑問点に挙げられます。」
祭「間諜をしている奴らの仕事は明命から聞いたことがあるぞ。『見たこと・聞いたこと・感じたこと』この三つを駆使して報告書を仕上げている、と・・・。」
冥琳「思春が聞いたら怒りそうだな。」
小蓮「・・・・・・ねぇ冥琳、ここ。なんか削った跡があるみたいなんだけど・・・、違うかな。」
小蓮は冥琳にその箇所を指差す。
冥琳「・・・削った跡ですね。」
祭「そうじゃの。」
祭と冥琳が認めたのは『何者か』が何らかの原因で証拠隠滅を図ったということ。
冥琳「『五胡』の連中か、万が一の確率で『蜀陣営』で何かが起こっているのか・・・この二つが考えられた答えです。」
祭「『蜀』は無いと思うのじゃがな。」
冥琳「何故です?」
祭「あの頭の中がお花畑の君主にそんな命令が出てくるはずがないし、出たとしても周りの連中が止めるじゃろう。」
小蓮「確かにそうかもね〜。」
続いての場所は蜀陣営に移動だ。
朱里「はわわ〜。」
雛里「あわわ〜。」
桃香「ごめ〜ん!待った?」
あわてて執務室に入ると、そこには見た事のないおじさんが翠と言い合っていた。
翠「だぁ〜か〜ら〜、いねぇ〜って言ってんだろうが!!」
おじさん「おや、劉備殿とお見受けいたしますが・・・お間違い無いですか?」
翠「人の話を聞けよ、おっさん!」
桔梗「落ち着かんか!(ボコッ!!)」
翠「ごふっ・・・。」
桔梗「では、桃香様。」
翠をひょいと持ち上げて桔梗は部屋から出ていく・・・。
桃香「は、はい。そうですけど・・・。」
おじさん「私は孫呉軍直属部・陸戦部・部隊長『伊藤和匡(いとうかずまさ)』というものです。」
桃香「は?」
和匡「あ、えーっと・・・一個中隊の指揮官です。上官から蜀の王にこの書類を見せろとの命令を受けて参った次第です。」
和匡はそういうと書類を手渡した。
桃香「・・・・・・。朱里ちゃん、雛里ちゃん、こちらに・・・。」
朱里「はい、何でしょうか。」
雛里「はい。」
二人がこの書簡を読み始めた・・・。
桃香「この情報は確かですか?」
桃香は和匡の目を見て話をする。
情報の内容はこうだ・・・。
『孫呉は軍備を拡大し、戦を仕掛ける可能性が出てきた。この封筒のなかの写真を見てください。これで分からなかった場合、和匡に聞いてください。』
桃香「この『写真』というのは・・・これですか?」
ハガキサイズのものを見せる。
和匡「それですよ。ここに船が写っているのが分かりますが、これが戦艦・・・戦の艦(ふね)と書きます。この艦が第三勢力となり、その乗組員が戦闘員でもあります・・・。情報部によるとここの勢力は敗残兵で出来ているとか・・・。」
朱里「敗残兵・・・ということは、『魏』の人達でしょうか・・・。」
桃香「えぇ?!」
雛里「それもそれが魏の『将』の地位だとするとかなり面倒な事に・・・。」
桃香「え?!」
雛里「・・・あ、あくまでも予測でしゅ。」
桃香はただただ驚いているだけでいた・・・。すると一人政務室に入って来た・・・、黒髪が実に映えるが胸は発展途上の女の子が・・・。
愛紗「間諜を放って、確実性を掴むのも一手かと・・・。」
桃香「そ、そうだよね!・・・あの、指揮官さん。貴方の言ったことは信じるかはこの間諜の報告次第にさせていただきます。」
和匡「どうぞ・・・。」
和匡率いる部隊は駐屯地に戻って行った・・・。
再び戻って北郷軍を追っかけてみよう・・・。
あの模擬戦の翌日の早朝、星に充てられた部屋に愛紗は居た・・・。
愛紗「もう帰るのか、星。」
星「あぁ。・・・蜀にも守らなくてはならない人達が大勢いるんでな・・・。」
愛紗「かず、ご主人様には・・・言わなくていいのか?」
星「あぁ。主に会ってしまうと帰る踏ん切りがつかないのでな。よろしく言っておいてくれ・・・。」
淡々と荷支度を済ませて愛紗の方を向く。
愛紗「わかった。上陸艇はもう準備出来ているらしいから、外まで送るよ・・・。」
星「ありがとう・・・。」
上陸艇までの僅かな距離ではあるが、船の中は迷路のようになっているため誰もが迷った・・・。
星「それじゃあ、また会おうな。愛紗・・・。」
愛紗「あぁ、必ずだぞ・・・。あ、そうだ。なんか持っていけ・・・ほら。」
星「??・・・これは?」
星はそれをみて不思議そうに見る・・・。手渡したものは薄い長方形で色は黄色をしているものである・・・。
愛紗「食料だ。開け方は・・・。」
説明をしてから渡した。
星「じゃあ、さらばだ!」
愛紗「あぁ、達者でな・・・。」
上陸艇が海に着水し、浜辺に向かって進みだしたので海岸を見たときに誰かが何かしていた・・・。
星「(ん・・・?あれは・・・。)」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
雪蓮「あら、愛紗じゃない・・・。一刀は?」
愛紗「雪蓮殿か、まだ寝ておられるよ・・・。」
まだ夜が明けて間もない頃なので当然だと愛紗が答える。
雪蓮「でも、部屋に居なかったのよねぇ〜・・・。」
そういわれ、愛紗は目を閉じて何かを探り始めた・・・そして。
愛紗「本当だ・・・、この艦に居ない・・・。外!?」
愛紗と雪蓮は船首まで走って行った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
星が海岸に到着すると見覚えのある制服が刀を持って自主鍛錬をしていた。
星「朝の鍛錬ですか、主よ。」
一刀「あ、星だったんだ。どうしたの?」
星「今日、蜀に帰らないとそろそろ不味いのでな・・・。して、何の訓練を?」
一刀「素振りとか走りこみ・・・基礎鍛錬かな。あとはこの『刀』で鍛錬していたって訳・・・。」
星「ほぅ・・・。」
一刀「(何か・・・森から来てる?)星。」
一刀が近付き、星を抱き寄せる。
星「何ですかなって・・・あるじっ//////!?」
星は動揺を隠せなくなり、声を上げる。
一刀「・・・しっ!・・・急に抱きついて済まない。ちょっと聞きたい事があるんだ・・・。小声で話すけど森の方に何か『いる』か・・・?」
星はそれを聞くと首に腕を巻きつけてきた・・・。
星「・・・いますな、デカイ箱が3個。長い柱がついて、その周りに兵士が・・・多数いますぞ。」
耳元で囁いてくる・・・、ここまでやらなくても良かったという後悔(一割)と星の身体から感じられる色香に反応(九割)しまくりであったが・・・。
一刀「(へらへらしていられない・・・!)デカイ箱に長い柱か、・・・不味い!!」
一刀はその森から僅かな輝きを察知し、星を抱きかかえて全力で上空にジャンプをした。
星「あ、主?!//////」
一刀「あれはこっちでは『戦車』っていうんだ!あれから発射される砲弾に気をつけろ、近辺にいたら死が待ってるからな!」
一刀はジャンプした所で止まっていた・・・。そして船の後方の甲板に星を降ろす。
一刀「星は船内に入って、収まるまで出るんじゃないぞ!!」
星「あ、主は・・・?」
一刀「全力で倒すのみだ・・・。」
またあの浜辺に飛んで行く。
星「無茶です!戻ってくだされ!!あるじぃーーーーっ!!!!」
星が叫ぶと同時に耳を劈くような轟音が重なり、届かなかった・・・。
三国「15話まで来ました。」
愛紗「なんか、デタラメな強さになっているではないか・・・。」
雪蓮「全力の一振りを腕で受け止めるって普通の人間では無いわよ?」
一刀「誰かさんが最強の戦士に仕上げたんだからしょうがないじゃんか。なぁ、さんご・・・く?」
愛紗「また逃げたのか?」
雪蓮「よく逃げるの?」
愛紗「毎回って程にな・・・。」
華琳「趙雲はあんなに強くなっているのにほかの陣営の、しかも蜀の一番槍に入れ込んだのだから出来ない筈は無いわよねぇ、一刀?」
一刀「(こ、怖ぇよ〜。)・・・努力します。」
凪「一刀様、今度全力で相手して頂きたいのですが、宜しいですか?」
一刀「あ、え、あぁ。もちろん!!」
雪蓮「また戦って欲しいわね・・・。」
愛紗「(またご主人様ときたら〜・・・私というのが居ながら、他の女性とが宜しいのですか?)」
一刀「愛紗、愛紗もどうだ、一緒にやるか?」
愛紗「だ、誰とやるのですか?!・・・こんな昼日中から何をしようというのです????////////////////」
雪蓮「貴女と、凪、私に一刀の四人?」
一刀「さらっと洒落にならない事言わないでよ!!・・・というか、そっちの意味じゃないよ!!鍛錬だよ、た・ん・れ・ん!!」
愛紗「あ、そ、そうでしたか・・・。飛んだ勘違いをしてしまいました・・・。」
雪蓮「えぇ〜やんないの〜?つまーんなーい!!」
冥琳「・・・おい、雪蓮。」
雪蓮「きゃあ!・・・急に出ないでよ、ビックリしたじゃない!!」
冥琳「ほう、今の私の顔はそのような顔をしているのか・・・。ところで、北郷軍の党首は確か『北郷一刀』と言ったな。」
一刀「え、あ、はい。俺だけど・・・。何か用・・・って周瑜が何で生きてんの?」
冥琳「生きている?・・・あぁ、私があの城に身を投じてからの記憶が全く無くなって、気付いたらここに居たのだよ。」
一刀「へぇ〜。まぁとりあえず生きてて良かったよ・・・。」
冥琳「変な奴だな・・・。」
三国「楽屋オチになりそうなので、ここで切りまーす。次回も宜しくお願いします!!・・・それではっ!」
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爆発してしまいそうなので書いてきました・・・ 十五話は息抜きにかいていたので、すごい事になってしまいました。 |
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