「あわわわわわわ･･･あぐっ、舌噛んだでしゅ･･･」

起き上がった途端、顔を真っ赤にして、わたわた両腕を振り出して、こんな風に噛むんだぜ？　何この可愛い生き物。

「なんと愛らしい･･･っ！」

「なんだか風も目覚めそうなのです･･･これはもふもふせざるを得ませんっ！」

俺たちの意思疎通はばっちりだ！　風と星が左右から抱き締めて、俺は女の子の頭をひたすら撫で撫でする。

桃源郷の形の一つがここにある･･･っ！

「あうぅ･･･」

湯気を出してオーバーヒートを起こしてしまった女の子に沈静化の術式をかける。

が、しかし、声帯や口調だけは術の範囲から勿論外した。細かい調整が必要だったが、この程度の難易度、

俺たちの熱意を覚ますことは出来ぬっ！！！

･･･というか、なんか風が効果範囲の微調整補助とかをしてくれた。あれ、俺の魔力に普通に干渉できる風さん、すごくね？

「愛の力は偉大なのですよ〜」

そっか、愛ならしょうがないな。

「あわわ･･･取って食べたりしないのですか」

「「「愛らしい幼女は愛でるものですっ！」」」

親指を立てて、爽やか笑顔で言い切る俺たち三人組。立派な変態紳士淑女ともいうね。

「ところで君は水鏡女学院の生徒さんなのかな？」

「あわっ！」

あれ、また沸騰してしまった。術式失敗か？

「強制魅了笑顔という最上位術が発動してしまいましたね〜。お兄さんはどこまで罪作りなのですかっ！」

なぜにぶたれる俺。ぽかぽか叩かれるから痛くはない、というか、なんか風のこの仕草･･･いかん！　きゅんとするっ！

「可愛いよ風っ！！！！！」

思わず抱き締めて思い切りすりすりしてしまう。いかん、破壊力強すぎる！　もう魔法捨てていいよな！

「よし宿に戻ろう。俺は童貞を捨てるぞジョジョーっ！」

「主よ、落ち着けぃっ！」

自動発動障壁を無効化した星の手刀が俺の頭にクリーンヒットっ！

はっ、俺は一体何を･･･。

あれ、風もなぜか俺の腕の中で『ふふふ〜』ってトリップしてしまっているし、さっきのお嬢さんは顔が湯だったままで固まってる！？

「せ、星･･･俺は一体なにを･･･」

「悟りを間違った方向に開きかけていたのです。臣下の務めとして、お止め致しました」

「それはかたじけない。助かったでござる」

「気になさることはないでござるよ」

言葉遣いがお互いにおかしいのは気にしちゃいけない。

･･･ん〜、とりあえず、一旦あの木陰の下にでも移動するか〜。