真・恋姫無双〜反逆の北郷〜 |
選らばれた彼らが彼女を渡らせるために生贄になった
五人の英雄
目的は違えど利害は一致していたからだ
そして彼女はその世界の住人となり
死神の死神として動く
涼州の荒野に、ぽつんとたたずむ小さい村があった。その村の周囲は低い城壁に囲まれ、土くれを積み上げたような住居が、ぼつぼつと立ち並んでいた。
満月がこの上なく輝く夜。
橙色の明かりが、それらの住居の吹き抜け窓に灯っていた。その一つの食堂屋で、女の旅人がひとり、食事をしていた。
「ねえ、おねえさんは、どこから来たの?」
少女は大きい瞳をくりくりさせて、その見慣れない旅人に話しかけた。
「……遠い所」
「遠いところ! ねえ、それって、どこ? おっきな街? おっきな島?」
旅人は、星空を見た。
「こことは違う世界。……妾は時と世界を超えて流れ星と一緒に堕ちてきた」
「嘘つきっ!」
少女はぷっくりと頬をふくらませた。
「人が星に乗るわけないもん」
「嘘ではない。でも、信じるか信じないかは貴方次第」
旅人は、少女に顔を近づけて、にっこりと笑った。
「だって、妾以外にも、流れ星に乗って、やってきた人はいるんだから」
少女は寒気がした。それは、旅人の瞳があまりにも美しく、また恐怖に駆られていたから。
「その人は、乱世を治めると偽って沢山の女性を殺す死神の使者。選ばれた女性は必ず死ぬ運命」
ガタガタと少女の肩が震える。
「あ………あああ……」
「死神の名前は『北郷』と名乗る者」
旅人は少女の耳元へ近づく。
「ねえ……貴方の名前は?」
まだ少し幼い少女は、声が斬られそうな小さい声で名前を言った。
「キョ……キョキョ――イ……」
「そう……妾は『北郷』。そして貴方を探していました姜維」
「!?」
少女の意識はそこで途切れた。
「妾は『北郷』を殺すための別の世界から来た。北郷狩りの北郷……」
北郷は、星空を見上げた。
完
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最終話 『新たなる北郷』 |
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