To enjoy it some time |
んーと大きく背伸びをしてから、部屋の中を見回すと誰もいなかった。
「聖B一本釣?」
一本釣の机の上には、しっかりと片づけられた書類が山になっている。やることはすでに終わっているので、外出しても何の問題もない。
全て目を通し終えた書類を整理して、聖Y牛若は外に出た。今日は晴天に恵まれている、彼がいる場所も想像がつく。
「聖Y牛若ー!」
大きく手を振るのは、視察を終えて戻ってきた聖Vヤマトだった。隣には聖O男ジャックもいる。
「お帰りなさい、聖Vヤマト、聖O男ジャック……その魚はなんです?」
よく見れば、二人の足下には木箱が二つ置かれていて、その中には魚が大量に入っていた。
「聖B一本釣に頼まれて持ってきたんだよ。おいらたち疲れてるってるのに」
「それでまだ持ちきれない魚があって、聖Y牛若にはこれを台所に運んでほしいんだ」
「二人とも帰ってきたばかりですし、私が聖B一本釣の所に行きますよ。昼ご飯も聖Gフッドが用意してありますから、食べながら」
昼ご飯と聞いて、男ジャックの腹の音が牛若の声を遮る。豪快なその音に、二人は大笑いしてしまう。
「そんなに腹が減ってたのか、男ジャック」
「仕方ないだろ、もうすぐ三時だぞ」
「それなら尚更のこと、私が行きましょう。場所を教えて下さい」
潮の香りはいい。心を安らかにしてくれる。
最もそれは人によっては、潮の香りが嫌いという場合もある。
夢幻ゾーンで海を相手に魚を釣っていた一本釣にとって、海辺で釣りをするのは至福の時間だった。
愛用の聖フックを使って魚を釣る。これ以上魚を釣ると、また怒られかねないので竿を上げないといけない。
「うーん、もう少し釣りたいなぁ」
「……それでも釣りすぎですよ」
「っわあああっ!」
背後から突然声をかけられて、飛び上がる一本釣。後ろには呆れ顔で立っている牛若がいた。
「お、脅かすなよ」
「脅かしてませんよ。気づかなかっただけでしょう」
網に入った魚の数を確認する牛若。これ以上増えたら、お裾分けしても余ってしまいそうだ。
「もうおしまいにしましょう」
「だよなー」
つい三日前も釣りすぎて、仲間たちに散々怒られたばかりだった。
「今度大物一匹狙いでいこうかな」
「ああ、それなら食べきれそうですね」
竿を片づけ始める一本釣に一安心して、牛若は運送用の箱に魚を詰めていく。
「急いで戻りましょうか、夕飯に……」
「どうした?」
「綺麗ですね」
太陽の光に照らされた海の水面は、きらきらと光っている。その光景に牛若は目を細めた。
「だろ、明け方とかも綺麗だぜ」
「明け方ですか」
「そう、海から太陽が登ってくる光景もいいんだよ。昔は良く見たな」
「さすが釣り好きの海好きですね」
「もう少し落ち着いたら、朝釣りに行きたいけど……まだ難しいだろうな」
まだまだやるべきことは多い。
「気分転換に朝釣りでもいいのではないでしょうか。その代わり相当仕事を片づけないと難しそうですが」
「俺にできるかな」
「私も興味が出てきたので、見てみたいですね海から登る太陽を」
「てことは、俺の仕事を……」
「私は私の仕事がありますよ。そうですね、私が早く終わったら手伝います」
「本当か!?」
目を見開く一本釣に、牛若は無言で頷いた。
「よーし、それを楽しみにして仕事がんばるぞ」
「普段もそのぐらいやってください……」
まあ嬉しそうなので、それ以上突っ込んで言っても仕方がない。
――それも嬉しいことの一つか。
使命がある、するべきことがあったとしても。
日々の中で、何か気分転換を目標にしても良いのではないかと感じてしまう牛若だった。
説明 | ||
セントフラダイスで仕事していたのだが、気づいたら一本釣の姿がなくて……。牛若と一本釣の何気ない日常一こま。【設定】セントフラダイスで過ごしている虹帝たちで、虹層球特攻前。突発的になんか書きたかっただけなので、細かい設定おかしい突っ込みはなしでお願いしますorz 旧ビ見まくってしまったぞ……。To enjoy it some time=いつかそれを楽しむために | ||
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ビックリマン 虹神帝 聖Y牛若 聖B一本釣 | ||
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