白旗の正義
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ぼたり、と雫が降ってきて、真っ白なベッドで眠っていた日本はそっと目を開いた。

何度か目を開閉し、ぼやけた視界を鮮明にした日本は視線を巡らせて雫の正体を知ろうとした。

「日本、目ぇ覚めた……?」

日本の視線の先で首を傾げたイタリアを見て、日本は目を細めた。

(あぁ。またあなたは泣いているのですか)

ズキズキと痛む頭の片隅に、飛んでいた記憶が戻ってきた。

(そうでした。アメリカさんに、私は……)

「日本、ごめん。ごめんねぇ」

イタリアのその声は、床に崩れるように座り込んで、ベッドの上で組んだ腕に顔を埋めているせいで不明瞭だった。

「な、ぜ……」

声を出すと、喉が引きつったように痛む。

軽く咳払いをして、日本はもう一度言い直した。

「何故、謝るのですか?」

「だって俺、最後まで一緒に戦うって言ったのに。ドイツと日本と、約束したのに!」

喚いたイタリアの頭を撫でようと日本が伸ばした手は頭まで上がらず、代わりに手の上に添えられた。

「イタリア君は、逃げ出したんですか? それが最善の道だと信じ、その道を進んだだけではないのですか?」

「でも、俺は日本とドイツを見殺しにしたんだ! 日本とドイツは恨んでいいんだよ。俺のこと、恨んだっていいんだ……!」

「こんな爺に、残りの人生を人を恨んで過ごせと仰いますか」

驚いたようにイタリアが顔を上げた。

涙でグチャグチャになった顔に、日本はそれを拭ってやれない自分にもどかしさを感じつつ口を開いた。

「あなたはとても優しい。先の白旗は、自分の国民を、連合国側の国民を守るための、あなたの正義だったのでしょう?」

『敗戦国の称号だって、厭わない。これ以上誰かの大切な人を殺して、誰かに大切な人を殺されて。そんなこと、続ける意味なんてないんだ。いいから、白旗を上げて!』

「でも、でも……」

「イタリア君の優しさは、私もドイツさんもよく分かっていますよ」

だからどうか泣かないで。日本はそう続けて、包帯まみれの顔でそっと笑った。

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伊日
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ヘタリア 腐向け 伊日 フェリ菊 掌編 

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