大嫌いな人 |
「何故ですか?」
日本は首を傾げて韓国を見た。
「あなたは私が嫌いなのでしょう? それならば、近寄らなければいいだけのこと。なのに、何故」
いつも私に構うのか、と続けて、日本は韓国を見据えた。
「簡単なことなんだぜ」
韓国は日本の頬に手を添えて、ニヤリと口角を上げて見せた。
「遊んで遊んで、ぐちゃぐちゃにして、それから捨てるくらいには価値があるから、なんだぜ」
日本はなんの反応も返さなかった。
もう、いちいち傷つくような可愛げも持ち合わせていない。
「そうですか、では」
代わりに日本は、ニコリと微笑んだ。
あの大日本帝国時代を彷彿とさせるような笑みに、韓国は我知らず息を呑んだ。
「早く飽きて離れて頂けるよう、私も頑張りませんと」
韓国は時間が止まったように錯覚した。
永くて短い間、お互いの黒檀の瞳がまっすぐに絡み合う。
永遠にも思えるその時間は、韓国が無言で踵を返すことで終わった。
「あら。もうお帰りですか?」
なにも言わない韓国の背中に、日本は口角を上げて、柔らかな声音で紡いだ。
「一昨日、いらっしゃいませ」
韓国の背中を、ゾクリとなにかが駆け抜けた。
もう、どちらも声を出すことはしなかった。
ただ、二人の間を冬の冷たい風が落ち葉を纏わせて飛んでいった音が、妙に大きく聞こえた。
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韓と日 | ||
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