狂言恋華 |
韓国は、横目で机の隣の辺に座る日本を見た。
「なにか」
目敏く反応した日本は、毅然とした態度を崩さないままに韓国を見返した。
「なんでもないんだぜ」
韓国の返しに、日本は「おや、失礼」と微笑んだ。
「無言でこちらをご覧になるものですから、またなにか悪だくみでもしていらっしゃるのかと」
「悪だくみ、か」
クツリ、と韓国は笑った。
視線を通わせた日本も、同じ顔で笑っている。
「俺だっていろいろ考えてるんだぜ?」
例えば、と前置いて、韓国は日本の唇を塞いだ。
「おまえのこと、とか?」
日本は嘲笑を崩さないままに「おや、こんな爺のことですか?」と返し、自然な動作で距離を作った。
日本、と韓国が呼びかける。
はい? と日本もそれに応える。
「おまえのこと“好き”だぜ?」
「はいはい。私も“好き”ですよ」
冷たい嘲笑を交わして、二人の唇が再び重なった。
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