【改訂版】真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛 三章:話の三 |
**
/霞
逃げだした二人の末路。
ウチかて女の子や、そーいう愛の逃避行的な読み物も読んだ事くらいある。
でも、どれもこれもが二人は愛を頼りに旅立ちました、ちゃんちゃん。
で、その後は?
ウチはその二人が、ちっちゃいけど幸せな家庭を持ったー、とか、なんだかんだで巧いコトいったー、とか。
そんな幸せな末路しか想像しとらんかった。
まさか、現実で自分が体験する羽目になるなんて思わんかったし。
ウチもそこそこの歳になったら、どっか嫁に出されてひょいっと子ども産んで普通に歳とるもんやとおもっとった。
……まぁ、それも一刀が現れるまでやけど。
結局一刀に甘えて、好き合って、んで、物語みたいに逃げ出して。
幸せな未来を夢想しとった。
二人で居れば何もかも何だかんだで上手く行くもんやとおもっとった。
んで、このザマや。
行くあても無ければ食べモンも水もない。
本当に着の身着のまま、愛さえあれば状態。
街々を渡り歩いて、なんとか手に入れたり盗ったりしたお金や食べ物で食いつないで……。
んで、何処ともしれん野原の真ん中で二人はいき倒れて。
物語なんてご都合主義や。
実際、愛じゃ腹も膨れんければ喉も潤せん。
まぁ、なんやほっこり幸せにはなれるけど。
……ああ、悔しいわぁ。
一刀をこないなトコで死なせてまうかもしれんなんて。
ウチに付き合って、ウチといてくれたばかりに何遍も危ない目に合わせて、んで結局野垂れ死にの危機。
なんやそのアホなお話は。
……まぁ、あんだけ酷いことになっても、
一刀はウチといてくれて、ウチも一刀と離れる気なんてぽっちも沸かんくて。
ってことは、一時的な舞い上がった想いやない、ってコトやろうで嬉しいけど。
……一刀、ほんまにゴメンな。
にしても、ウチらは吹雪ヤベェな野原に居った筈なのに。
なんでこないにほっかり暖かいんやろ?
まるで布団中に居るみたい。
……もしかして、ウチ、死んでまったんやろか?
そやと悲しいなぁ。もう一刀に会えんやん……。
あ、もしかして目ぇ開いたら一刀がおったりしんかな?
道連れ、って訳やないけど、どうせ二人とも死んでまうなら、死んでからも一緒に居りたいし。
「……っ」
ここがあの世なんやろか?
暖炉があって、馬がつないであって、刈り取った草が積んであって……。
エライ実用的なあの世で……。
「……あれ……?」
……これ、普通に天幕やないか?
普通のウチも使ったコトあるような、馬乗り向けの広い天幕やん。
「……ん? おおっ、起きた! おーい、斗詩ぃ!」
とし……知らん名前や、あと真名や。
ウチが真名しっとるんはそれこそ一刀くらいで……って!
「一刀!? 一刀はどこや!!」
「うぉっ!? いきなり叫ぶなよビックリするじゃんかー」
「んなことどうでもええねん! 一刀は! ウチのツレは!!」
「どうどう、落ち着けって」
「まさかアンタらなんかしたんとちゃうやろなっ!」
「大丈夫だって、今斗詩、っと。顔良が看てるから」
「無事なんやろな! 生きとるんやろな!?」
「全然問題ないからっ! 五体満足でぴんぴんしてっから!
それにむしろ、アンタの方が寝むってたの長い位だぜ」
一気に沸騰しかけて頭に昇ってた血がすぅ、と引いてった。
「ほっ……なら良かったわ」
「やっと落ち着いたのかよ……」
男っぽい口調のウチを診ててくれてたっぽい子にあきれた様子で呟かれた。
確かにちょっと取り乱し過ぎたかもやな……。
あ、ソレになんや命の恩人っぽいこの人にウチ失礼な態度取ってまったやん。
「あ、うん……。えっと、さっきはスマンかったな? その、ちょっと取り乱してアンタに失礼なことしてしまったさかいに」
「なはは、いいぜ気にすんなよ。ってかアンタのツレも一緒の反応したしな」
「〜〜っっ、……マジで?」
「うん、マジ」
一刀も同じ反応したんか……。
なんや恥ずいけど……めっちゃ嬉しいな。
「あっちゃあ、今更んなって恥ずくなってもうたわぁ」
でもなんかこそばゆくて、目の前の子には頬を掻いて笑ってごまかしてもうた。
……ううっ、めっちゃニヤニヤ見とるし。
と、そこへ。
『ちょ、高順さんっ、落ち着いてくださいってば!』
『霞が起きたんだろ! 落ち着いてなんて居られるかっ!』
『貴方もまだ起き上がって暴れちゃ駄目なんですよぉ〜っ』
ドッタンバッタンとエラい騒がしいのが天幕前までやってきた。
相手は言わずもがな。
……一刀、この子ニヤニヤがやばいで。
もうニヤニヤし過ぎが一回りして見とると腹立つくらい。
ヤバいわ、顔から火が出るとか穴があったら入りたいってマジで今のウチやわ。
「いや、むしろあたいら女なら穴があるから入れられたいじゃね」
「……とりあえずアンタ、それは女の子としてどうなんや? てか考え読むなや」
「別にどってことねーだろ、むしろあたいは入れたい方だしな、斗詩に」
……名前知る前に性癖知る関係ってどうなんよ?
ま、えっか。
と、そこへ勢いよく幕を上げ突っ込んでくる奴が一人。
もちろん一刀や。後ろにはあたふたしている少女もおる。多分さっき一刀を止めようとしとった子やないかなぁ?
勢いよく飛び込んできた一刀はきょろきょろ天幕ん中を見回した。んで、ウチが寝とる寝台とウチを見つけた途端……。
「霞無事か!? 怪我は無いか!? 体調は良いか!? 凍傷になってないか!? 誰かに孕まされてないかっ!?」
「ちょちょ、ちょっとおお落ち着けややや」
……今空間飛び越えんかったか?
シュンっ、て目の前に一刀が現れて、肩ガシッて持ってガクガク揺らしながら連弩の如く質問始めおった。
大体なんや孕まされとるって……。
「無事!?無事じゃないの!?」
「ぶ、無事やわっ! この通りピンピンしとるわっ! あと孕まされとらんわボケ!」
あんまりにもガクンガクンやるで思わず押さえつけて、止めてから一刀の質問に返した。
すると、怒涛の剣幕やったんがすーって引いて、へたんっ、って膝から崩れかけた。
「……っ、よ」
よ、ってなんや?
「よかった……ぁ……。霞が、無事……で……」
ぶわっ、て一刀の目縁から涙が出て、絞り出すみたいにウチに言葉掛けて、延ばした手で一撫でして。
「ふにゃっ!?
なに撫でてんねんっ、って……」
そのまま瞼がゆっくり落ちて、手と首が力抜けたみたいにカクンっ、てなって……。
ボスン、ってウチの肩辺りに倒れ込んできた。なぁ一刀、咄嗟に受け止めたけどな、それって……
「その動作死亡フラグやんけっ!!」
「すー……すー……」
……って、寝とるやん。
ウチの耳に、一刀ん静かな寝息が届いた。
「えっと、高順さん、貴女の所に行くって聞かなくて、ずっと寝てないんですよ」
「最初なんか大変だったんだぜ。あんたの傍に居るって、そりゃもうエラい暴れようで」
「あはは……なんやツレがスマンかったな」
やいのやいのと一刀のやらかしたことで弄られて、何となく気恥ずかしくなった。
でも、それよりも……。
「……ふふっ」
そないに心配してくれたんやな、って。
胸がきゅんってなって、心がぽかぽかしてきた。
……ありがとな、一刀。
膝立ちのまま穏やかな寝息を立てる一刀を、そのまま優しく慎重にウチの膝まで動かした。
……膝枕、いっぺんやってみたかったんや。
「えー、こほん。なんだ、その。目の前で桃色空間展開されると何となくこそばゆいんだけど」
「あはは……。えっと、お邪魔ですか?」
「ッッ、そそそんなことないでっ!!」
目の前で見とる二人組をすっかり忘れてまっとった。
慌てて取り繕ってみたけど、うわ、めっちゃジト目でみとる。
「斗詩ぃ、どうしようあたいら忘れられてたみたいだぜ」
「一人身には世知辛いねぇ文ちゃん」
「だなぁ、おお妬ましい妬ましい」
「アンタらうっさいわ!」
よよよとわざとらしく泣き崩れたり、これ見よがしに手を握り合って嫉妬の視線をぶつけたり。
……なんやこの二人も息ピッタリやなぁ。
「ん、ぅうん……」
と、ウチが大声を出したところで一刀が寝苦しそうな声を漏らした。
起こしたら悪いよなぁ……。
「しーっ、やでアンタら」
「別にあたいら大声出して無いぜ。むしろあんたが……って、そういやあんた名前は?」
言われて思い出した。ウチまだこの人達の名前すら知らんやん。
「あっ、そういや言ってなかったな。ウチは張遼、張文遠や。んでこっちに寝とるのは高順、高北郷な」
「あたいは文醜、字はまだ貰ってないぜ」
「私は顔良って言います。文ちゃんと一緒で字はまだ無いんです」
ふむふむ、文醜と顔良ね。よっしゃ、覚えたで。
「字がないってことはアンタらまだ十三か四なん?」
「ああ、あたいも斗詩も十四だ」
「そっか、ならウチらとも一緒やな。まぁウチも一刀も数え年でやけど」
「えっ、じゃあなんで字持ってんの?」
「……あー、まぁ、その辺は聞かんでくれるとありがたいんやけど」
普通字は十五で貰うもんやしな。
『男子は冠を着け、女子はかんざしを着け、十五歳で字を持った』
ってのが通例や。まぁウチの場合はさっさと嫁に出せるようにで、一刀の場合は貰た偽名をまんま使い続けとるだけやし。
言えん様な事情やないけど、あんま話したいもんでもないもんな。
「あー……まぁそりゃ文遠も訳ありだろうしな。うん、あたいらは聞かないぜ」
「えっ、なんでウチらが訳ありって」
「普通に考えて、着の身着のまま雪原をつっ切ろうとはしませんからね」
「そーそー、アンタら普段着に一枚羽織った程度の装備でこんなとこうろつくとか死にに来たようなもんだぜ」
「あはは……いわれりゃそうやなー」
確かに。外めっちゃ吹雪やん。
……逆になんで生きとるんやろ?
「それに北郷も言い渋ってたしな」
「そうそう、何聞いても言わないの一点張りだったんですよ。あ、ダメもとで理由だけでも、って聞いたら教えてくれましたけど」
「にしし、アンタの為だ、って真剣な表情で言ってたぜ。ひゅーひゅーっ、愛されてるねぇ!」
「本当ですよ。私達にもそう言う良人見つかるかなぁ?」
「何いってんだよ斗詩ぃ、斗詩にはあたいが居るじゃんか」
「あはは……でも普通の恋愛にも憧れるでしょ」
「っ、そりゃ、まぁ……」
「でしょでしょ! という訳で文遠さん」
なんや姦しいおしゃべりが始まったなー、ってぼんやり見とったら、突然ウチに振られた。
「ひょえ? ウチ?」
「そーだそーだ! 北郷との馴れ初め、しっぽりぬっぷり教えてくれよ!」
「ぬぷておまっ、なに言うてんねんっ!」
「えっ、別にやましいコト言ってないぜ?」
「唯の擬音語ですね」
「それとも何々、ぬぷぬぷしちゃってんの!? やっちゃってんの!?」
「きゃーっ、文遠さん大胆っ」
「し、しとらんわっ! まだ一刀とそんな事しとらんわ馬鹿!」
「まだ? 今まだっていったぜ斗詩!」
「つまり将来的にはソッチも行っちゃうって事だね文ちゃん!」
「ばっ、馬鹿! そない大きな声で言うなや!」
きゃーきゃー騒ぐ二人。
もうウチ本当に穴があったら入りたいわ……。
顔から火が出るってマジ今のウチやで。
**
「んでんで、二人は何処までしちゃったんだ?」
二刻(約30分)経ってもまだ終わらんかった。
むしろどんどん拙い方へイッとる気がする……。
「……だから、その……ちゅーまでやって……」
「どんなちゅーでしたか? 唇同士で?」
「えっ、舌も絡めたけど……」
確か最初は唇同士だけやったけど、後からそうなったんやよな。
……どっちから絡めたんやったっけ?
なんて考えとると、文醜と顔良がエラい驚いた顔してウチを見てきた。
「ひょえぇぇぇっ! 北郷って大胆だなぁ……。初めての接吻で舌までとか……」
「……っ、なんていうか、文遠さんが途端に大人に見えてきたよ」
「えっ、えっ? 普通とちゃうの?」
「文遠知らねぇのかよっ! あのなぁ、接吻ってのはなぁ……」
「ねぇねぇ文ちゃん、アレ見せれば?」
「アレ? アレってなんなん?」
文醜がなんや説明始めてくれようとしたところへ、顔良がちょいちょいと口挟んできた。
うん、めっちゃ気になる、アレってなんやろ?
「まぁ見てのお楽しみだな。斗詩、あの一番濃いの使おうぜ」
「うんっ、まあ文遠さんならソレくらいでも充分だろうしね」
濃い、って、ナニが濃いんやろか?
……ごくり。
「……えっと、あ、あったこれこれ!」
何やら藁の山ん中を顔良が漁った。
ひょい、と顔を出し戻ってきた顔良の手には……本?
「なんやそれ?」
「にっしっし、まぁ見りゃわかるって」
「文遠さんもこっちに……って今動けませんね、隣いいですか?」
「んじゃあたいは反対に、は北郷が居るから後ろからー」
右を本を持った顔良に、後ろを文醜に……って。
「え、なんで押さえつけるんよ。別に逃げんで?」
「まぁまぁ、気にしない気にしない」
「……ま、えっか」
別になんや殺気とかあるわけやないし。
なんや邪な感じするけど、まぁ、文醜女の子やしな。
「ふふっ、じゃあこれを使って説明しますね」
「うん。何々、……」
顔良が取りだした本には……
“中級房中術 〜気になるあの子もコレでばっちり攻略! 編〜大丈夫。不阿見(ふぁみ)通の攻略本だよ。”
「えっ、なんぞこれ?」
桃色の表紙に、でかでかと可愛い書体で書かれた文字。
……なんや嫌な予感がするで。
「まぁまぁ、見てみれば分かるって」
「ふふっ、えっとですね、文遠さんがやったアレは……」
「なっ、なんじゃコレっ!?」
「あー騒がない騒がない。おっ、これじゃね斗詩?」
「んーっ、むーっ!!」
思わずおっきい声だしてまったウチの口を、後ろから文醜に塞がれた。
ビックリはしたけど、息は出来るからなんとかなるか……。
それにしても、なんじゃこの本!?
ものごっつぅ卑猥な絵ばっか描いてあるでっ!?
こけつまろびつまぐわいにゃんにゃんって……いや別に上手くはないな。
ちょっどんな姿勢やこれ関節砕けるで!?
なんて、とてもおおっぴらに言えない様な●●●(ピー)で禁則事項です☆な内容ばっかが何十枚も続いとる。
ソレにウチがいちいち反応するのを、文醜と顔良はなんやえらいニヤニヤみとった。
と、不意に顔良が捲る手を止めた。
「あ、あったあった。じゃあ読みますね。
“舌を使った接吻は、性的な性質を有し、一方の者の舌が他方の舌に触れ、通常、口の中に入る接吻である。
舌を使った接吻は、唇、舌、口などの接触に敏感で性感を高める部位を刺激する。
この行為は快感を与え、非常に愛撫で、性感を催す。
挨拶や友情の短い接吻のような他の型の接吻とは異なり、舌を使った接吻は、長く、激しく、情熱的であることが多い。
コレのさらに上位互換種として、互いに舌を絡め合う、唾液を交換し合う等があるが、これらは基本的に前戯の一環として行うことが多い。
いわば性行為の一種である” ですって、文遠さん」
えっと、つまり……。
あのちゅーは、普通のちゅーとは段階が違う高度なソレで。
えっと、えろいことする時とかにするちゅーと一緒で……。
「ウチ、一刀とどエラいえっちいことしてまったってこと?」
「だな。普通はこう、もっと唇同士をかるくちゅっ、ってやるんだぜ?」
「ちょっと、ううん。かなり高度な行為ですよ、これって」
……。
ちらっ、と寝とる一刀の顔を見た。
……かっこええなぁ……。やなくて!
えっと、つまりあんときのアレはどスケベでえっちぃ行為やって、それをウチは目の前の一刀としてまって……。
「……ふしゅー」
頭がかぁっ、と熱うなって、もうなんも考えれん……。
「あっ、倒れた」
「うわぁ、本当に頭から湯気出てるね、文ちゃん」
「やってる事凄いのに初心なんだな、文遠って」
**
……むむう、なんや嫌な予感がするでっ!
「はっ!?」
「あっ、起きた」
「……ちっ」
「いやなんで舌打ちされんならんねんっ! ……って、文醜、その手にもっとる荒縄なんに使うつもりやコラ」
「いやぁ、別にぃ?」
さっきのアレに縛り方も載っとったよな。まさか……。
あ、嫌な予感はソレやったんか。
「じとー……ま、ええけど。未遂やし。あ、ウチどれくらい気絶しとったん?」
「一刻(約15分)も経ってないぜ? 何せ縄取ってきても縛れなかったくらいだし」
「やっぱり縛ろうとしとったんかいっ」
「だってぇ、斗詩は菱縄縛りの練習させてくれないし」
「いやだからってウチで試さんといてよ」
油断も隙もあらへんなぁ……。
「まぁまぁ、そんなことより文遠さん」
「ん?」
「もっと“凄いコト”知りたくないですか?」
……ごくり。
**
/一刀
「……んぅ?」
目覚め一番の思考は、きゃいきゃい騒がしいなぁ。
相当前だけど、高校行ってた頃もこんな感じだった気がする。
女子校だったし、休み時間は姦しいって言葉文字通りだった。
霞と文醜と顔良が何か話してるのか?
って、霞は無事かっ……あ、霞無事だったから気抜けたのか俺。
どれくらい時間経ったか分からないけど、とりあえず一端起きるかな。
何か枕が柔らかくて暖かいモノだし、これはもしかすると男子諸君の夢のイベントが発生してるかもしれないし。
……うん、ふにふにで柔らかくて、霞の香りがする。
コレはどう考えても膝枕じゃん! 目を開けばそこには霞が居た、なんてもう……。
さて……起きるかな。
そして、目を開いた俺の視線の先にあったモノは……。
“番外特集編〜気になるあの子を再開発! 編〜彼の菊門から百合棒まで〜大丈夫。不阿見(ふぁみ)通の攻略本だよ。”
「!?」
えっ、えっ? ……えっ?
オカシイな。眼精疲労かな、焦点があって無いのかな……。
うん、そうだ、俺疲れてるんだよ。まだここは夢の延長線上なんだ。
……よし、次こそは現実へ。
“番外特集編〜気になるあの子を再開発! 編〜彼の菊門から百合棒まで〜大丈夫。不阿見(ふぁみ)通の攻略本だよ。”
「いや訳分かんねぇからっ!!」
「ひゃあっ!? か、一刀っ!? こ、これは違うんやで!?」
ばっ、と霞の膝から体を起こし辺りを見回す。
霞と文醜と顔良の三人しかいないのか。んで、全員手には艶本と。
よし、ツッコミが大渋滞起こしてるぞ。
まずは整理だ。この何処から拾えばいいかさっぱりな現状を打破するために。
「まず一つ目だ! ボーナスイベントかと思ったらこれかよ! あんまりじゃねえか!
次になんで姦しガールズトークからこんな中学生男子真っ青なエロ本回し読みになったんだよ!
んで内容とタイトルがあんまりだよ! なんだよ菊門って! 俺の尻穴開発しないでくれよ!!
百合棒も意味分かんねぇから! ふたなりなの!? ふたなりっちゃってんのこの世界は!?
それにファ●通かよ! 何も大丈夫じゃないよ! むしろ不可能なコト出来るとか断言してそうで怖いよ!!
あと純情な筈の霞が読んでるのがなんで一番レベル高いんだよ!
文醜と顔良はなんでそんな普通な亀甲縛り入門って普通じゃねえしおいコラ文醜ツッコんでる最中に顔良縛りだすんじゃねぇ!」
えっと、今俺何段突っ込みしたんだ?
3段でも凄いのに俺、もしかして世が世ならエンターテイナーなれるんじゃ……ってそんな事考えてる場合じゃねぇ!
「ぜー……はー……ぜー……はー」
「えっと、一刀……お疲れ様?」
「誰の所為だ……」
可愛らしく小首を傾げても駄目……やっぱ許す。可愛いから。
しかし何故疑問形? ああ、霞が手に持った“番外特集編〜気になるあの子を再開発! 編〜衆道菊門から百合棒まで〜大丈夫。不阿見(ふぁみ)通の攻略本だよ。”
で俺を扇いでくれてる……、って!
「霞はこんな有害図書読んじゃ駄目っ! あと俺の尻穴も駄目っ!」
「えー……」
ばしっ、と取りあげると不満そうな表情になった。
……霞が穢されちゃってる。
「質問があったらちゃんと医者か俺かに聞くこと! こんな有害図書を情報源にしちゃ駄目っ!」
「……へーい」
これはもう相当間違ったエロ知識教えられたな。
うん、許せん。
「おいコラ」
「はひっ」「あ、あわわ……」
俺が元凶にゆっくり振り向くと、連中そそくさと逃げだそうとしてやがった。
「……霞に、何教えてんだ?」
「えっと……その、接吻のコトが話題になって、なぁ、斗詩?」
「ええっ、私!? ああいや、そ、そうなんですよっ! 大体北郷さんがあんな大胆なコトするから……」
「あァん?」
「……いえ、なんでもありません」
どうやら俺が原因らしい。
まぁ、あの時は色々頭が一杯だったのもあるけど。
ん? なんだ艶本開きっぱなしじゃん。こんな頭の悪いモノ……ん?
「なぁ、荒縄ってある?」
「えっと、そこにあるぜ……?」
「ん、よし。じゃあお仕置きするかな」
『えっ?』
顔良と文醜の声がハモった。
きょとん、と顔を見合わせてる。
「こんな本があるってことは、縛られたいんだろ?」
「えっ、別にあたいは……むしろ斗詩が」
「ええっ!? わ、私は縛られたくなんてないよぅ……むしろいっつもやってくる文ちゃんこそが……」
「ちょ!? 酷いぞ斗詩ぃ!」
「文ちゃんに言われたくないよ!」
ギャーギャーと喧嘩が始まった。
……こいつら状況分かってねえな。
「……ふぅ。霞、俺は霞がどんな性癖あっても付き合うからな」
「あ、いやさっきのは唯勧められただけでな? べ、別にウチ緊縛とか百合棒とか興味無いでっ?」
目が泳いでるよー、と思いはしたけど言わなかった。
緊縛したいのか……。益々文醜と顔良は許せんな、霞に変な属性つけやがって……。
「とりあえず緊縛なら俺、結構詳しいから、うん。心配しなくても受け止めるから」
「一刀…… って、なんや今の変やない?」
「気にしたら負けだよ、うん。とりあえず丁度いい練習台も居る事だし、お仕置きしなきゃだし、ちょっと見ててね」
と、そこで文醜と顔良に向き直る。
ひぃっ、と短く悲鳴を上げて二人は縮こまってしまった。
「とりあえず笹舟と蟹縛りかな?」
「……一刀、アンタ何者や」
まぁあんまり恥ずかしい縛り方して恨まれるのも困るし、適度に苦痛で適度に恥ずかしいこの辺りで妥協ってことで。
「ちょまっ、いぎゃーっ!」
「ごっ、ごめんなさいぃー!」
「許しません」
「一刀、もうその辺で」
「許しません」
「……文醜、顔良、無力なウチを許して?」
「う、恨むからな文遠っ!」
「ぁうう……」
あとがき
こんばんわ、甘露です。
予告通り土曜日にうpです。0:04なら問題ないよね。
今回は息抜きです。作者的にも、読者様的にも。
FAQ
・ロリっ子どこいった?
→おまわりさんこいつです。風ちゃん登場はもう少し後です。
・おうどんラーメン中華そばそば
→ま た そ れ か
その他真面目に答えて下さった方々。
ありがとうございます、やっぱ違和感ある人はあるんですね。
え、袁紹がコメントに? ごめんなさいくるくるロールな人はちょっと…
同人恋姫祭りの日程が発表になりましたんで告知です。
拝啓
秋の終わりも近づき、本格的に冬を迎えようとしている今日この頃皆さま如何お過ごしですか。
こんにちは、TINAMI恋姫推進委員会副委員長の黒山羊です。
多忙な我が委員会の甘露委員長に代わりまして報告させて頂きます。
待ちに待った『第3回同人恋姫祭り』を開催します。
『同人恋姫祭り』とはテーマを決めてそれに即した内容の恋姫†無双に関する作品を皆様に出展して盛り上がろうという同人イベントです。
投稿方法は問いません。 参加資格は特にありませんが、参加条件は有ります。
1つ目。
『同人恋姫祭り』の作品の投稿期間ですが、12月19日から12月25日までの1週間の間に投稿してください。冬コミで忙しい方が居ると思いますが、テーマがアレなので、こうなりました。 祭りということなので、パッと始まってパッと終わりたいという理由からです。
2つ目。 自分の作品を投稿する際に『作品説明』の欄で、自分の書いて(描いて)いる作品の紹介や自分のオススメの作品を2つ以上紹介、PRして下さい。新米作家、ベテラン作家は問いません。 ってか、そんな規定を置いたら、パニックになる人が居るようなので、無しとします。
3つ目。 『第3回同人恋姫祭り』のテーマは『クリスマス』です。各々思うように恋姫†無双を表現して下さい。 クリスマス?何それ?美味しいのとか、リア充爆死して爆発しろでもとかでも構いませんww その代りに、初見の方も多数いらっしゃいますので、キャラクターの縛りを着けます。 出演キャラクターは原作とアニメに出てきたキャラクターに限定します。その方が読みやすいと思いますので、宜しくお願いします。
4つ目。 タグに『ckf003』と入れて下さい。 前回の時に間違えている方がいらっしゃったので、こういう単純な形となりました。
以上の規定を守らなくても特に罰則は有りませんが…ってか、作家にそんな罰則なんて出すことができませんが、楽しくこの『第3回同人恋姫祭り』を盛り上げるためには皆様の協力が必要です。ご協力お願いします。
では、皆様のご参加お待ちしております。 そして、これをきっかけにもっとTINAMIの恋姫が好きになってもらえたら嬉しいです。
敬具
と、副委員長の黒山羊様より。
委員長な自分、何もしてません(ぇ
皆さんどしどしご参加ください。
原作にさえそって、クリスマスのクの字にボール1/3でも掠ってれば問題ないんで(ぇ
お気軽にどうぞ。
もうなんかごめんなさい生まれてきてごめんなさい酸素消費してごめんなさい
アンケ
風と思春&明命、どっちが先に登場して欲しいですか?
1.風
2.思春&明命
3.その他
増やすなよ! 絶対に増やすなよ! いいか、絶対だぞ! 絶対に選択肢増やすなよ!
説明 | ||
今北産業 ・久々のまったり ・ツッコミ ・緊縛プレイ ・ギャグ回です。3回目の恋姫祭りに向けて練習中です ・エロ本の性知識は当てにならんぜよ? ・もうちょっとギャグの才能が欲しいです、安西先生。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
6823 | 6059 | 59 |
コメント | ||
3 及川(ミクボン) ここはあえて普通に答える。 1で(samidare) 「増やすな!」って言われたら増やしたくなるじゃないですか〜www華琳でww(萌香) 忠犬・・・ほしいなぁw(凰嘩) すいません、増やします。11の月で(歴々) すいません、増やします。11の月で(歴々) 恋がいいな〜恋でしょ〜恋しかいないよね〜(佐木瑞希) 気になるどっちが、笹船でどっちが蟹縛りなのか、凄い気になる!アンケートは風ちゃん希望です!(ぁぁぁ) 1ですかね。やはり風さん加入で・・・・・でも99の于吉も捨てがたい・・・。(mokiti1976-2010) 普通に1で!風ちゃんを早く助けてあげて!!(シグシグ) 31の及川で。 (azu) 1!!かまーーーーーーーーん!!www(狭乃 狼) Sieg Heil HINA………2でお願いします。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊) 3でお願いします。ロリじゃないので。(陸奥守) ファミ通の攻略本だよwwwww思春単p(スッ)・・・・2のセットをお願いします・・・・。(kabuto) いい突っ込みやなぁ・・・。5番の漢女’sでwwww(通り(ry の七篠権兵衛) 1、ロリこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい(駆逐艦) やるなと言われるとやりたくなるのが人間です(キリッ ということで5番の紫苑さんと桔梗さんと焔耶さんでっ!!(とんぷー) 30番の盧植先生で(danjain) ちょっ!ソレダチョウ倶楽部の前振りwwwということで4のバスガイドさんでwww(又は2番の思春&明命で)(さとッチ) 3の宝ャで(akieco) 27の水鏡先生で。(cuphole) 増やすなと言われたら増やしたくなるのが人って物でしょう!…まあ増やしませんがw アンケは1でお願いしますね(quarter) 一刀さん、ツッコミお疲れ様です! アンケは2でお願いします。(summon) 4の雛里ン!( ゚∀゚)o彡°雛里ン!( ゚∀゚)o彡°雛里ン!・・・すいません調子乗りました。MO・TI・RO・N!!!!11111111111111111111111!!!!!!!( ゚∀゚)o彡°風!(幼き天使の親衛隊joker) 増やしてやる~~(^o^)凪と華琳と星がいいな~(まーくん) そして、文醜と顔良は目覚めるのだった。アンケは1で(量産型第一次強化式骸骨) それ前フリじゃないっすか・・・・・・だからこそ増やしてやんない!2で。(アルヤ) |
||
タグ | ||
猪々子 斗詩 霞 恋姫†無双 | ||
甘露さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |