真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第28話 [雪華・愛紗拠点] |
真・恋姫無双 ifストーリー
蜀√ 桜咲く時季に 第28話 拠点二回目
【雪華の一日】
《雪華視点》
――ちゅんちゅん
「ん……もう朝ですか……ふぁ〜〜〜。……まだ眠いです」
眠い目をこすりながら寝床から起きあがる。
「今日も良いお天気ですね」
まだ陽は出ていませんでしたが空には雲一つ無く、夜明け前独特の色合いを見せていました。
「まずは着替えて朝の鍛錬をしないと」
私は反董卓連合軍以来日課にしていることがあります。それは朝の鍛錬です。
連合での戦いを見て、今のままでは足手まといになってしまうと思った私はこうして朝の鍛錬を一月前から始めました。
「今日もよろしくね龍爪」
ご主人様から頂いた槍を手に部屋から出る。
「すー……はぁ〜。ひんやりとしていて気持ちがいいです」
夜の間に冷えた空気を深呼吸して胸いっぱいに吸い込み吐き出す。それだけで気が引き締まった感じがする。
そして私は体を解す為に軽い運動をはじめる。
これは以前、ご主人様から教えていただいた柔術を鍛錬の前に必ず行っている。これを行うことにより鍛錬中の怪我を少なくする効果があるらしい。
確かご主人様は準備体操とか言っていました。最初のうちはどれほど効果があるのか分かりませんでしたが、寝起きの体を覚醒させるには丁度良い運動になり、その後の鍛錬でも程よく体も温まっていて効率良く鍛錬が行えました。
「よし。これくらいでいいかな。では、改めて鍛錬を始めましょう」
私は龍爪を手に取り構える。
「……っ!やぁっ!たぁっ!」
(ヒュンッ!ヒュンッ!ブゥンッ!)
数回の突きから薙ぎ払いへと繋げる。
「ふえっ!?」
だけど、薙ぎ払いの遠心力で体を持っていかれてしまい尻餅をついてしまった。
「いたた……やっぱり難しいです。星さんはなんであんなに自在に槍を扱えるんでしょうか」
星さんの槍捌きを思い浮かべて自分がまだまだ未熟だと言うことを認識してしまう。
「……うん。落ち込んでいる暇は無いよね。今は特訓あるのみです」
私は立ち上がり、庭に陽が差し込むまで鍛錬を続けました。
………………
…………
……
「ふぇぇ、お腹がペコペコです。早く朝餉を済ませてしまいましょう」
私は槍を自室に置いて軽く汗を布で拭い、急ぎ厨房へと向かいました。
「今日の朝餉のおかずはなんでしょうか。私の好物だと嬉しいな〜」
そんなことを思いながら厨房へと向かう。
「おはようございます」
「ん?やあ、雪華おはよう」
「ふえ!ご、ご主人様!?」
厨房に入り、元気良く返事をするとご主人様に挨拶を返されました。
ご主人様、今日はなんでこんなに早くに居るのでしょうか?いつもはこんなに早くないはずなんですが。
ふぇぇ。こんなことならもっとしっかりと汗を拭ってくれば良かったです。
「お、おはようございます。ご主人様」
「うん。おはよう今朝も鍛錬してたんだろ?しっかり食べないとな」
「そ、そうですね……?」
そこで私は疑問に思いました。
あれ?私が毎朝鍛錬していることは誰にも教えていないはずなんですが、なぜご主人様は知っているのでしょう?
「あ、あのご主人様」
「ん?」
「どうして私が朝、鍛錬していることをご存知なのですか?」
「ああ、それはね。政務の仕事が終わらなくて何度か明け方までやってた時があったんだ。その時、見かけたんだよ」
「そうでしたか……あれ?それじゃ昨日も?」
「ははは、うん。まあね。慣れてきたとは言ってもまだまだ皆みたいにスラスラと字が読めるわけじゃないからさ」
ご主人様は苦笑いを浮かべながら頭を掻いていました。
……そうだ。私でもご主人様のお役に立てることがありました!
「あのご主人様。私がお教えしましょうか?」
「え?」
「そ、その……字の読み方と書き方を……あっ!べ、別に大丈夫なら断って頂いてっ」
「助かるよ雪華!」
「ふえ!?あ、あのご主人様!?」
ご主人様は行き成り私の手を取り嬉しそうに何度も手を振ってきました。
「ああ、ごめんごめん。でも本当にいいのか?雪華だって忙しいだろ?」
「いえ。私はまだ皆さんより忙しくありませんし。それにご主人様のお力に慣れるなら」
「そっか、それじゃお願いしようかな」
「〜〜っ!はい!精一杯がんばります!」
よかった!これでご主人様のお役に立てる!
私はそれだけの事なのにとても嬉しくなりました。
「それじゃ、今日の夜からでいいかな?お互い昼間は仕事があるだろうし」
「そうですね。私もそれで構いません。お茶とお菓子を用意して待っています!」
「ははは。もしかしてお菓子とかが目的だったとか?」
「ふぇ!?そ、そんなことは無いです!本当ですよ!」
思わず顔を赤くして否定しました。
ふぇぇ、ち、ちょっとはありましたけど……だ、だってご主人様とお勉強だけじゃなんだか勿体無いですし……で、でもでも!やましいことなんてなんにも無いです!
「わかってるよ。それじゃよろしくな雪華」
「ふえ……は、はい」
ご主人様は私の頭をぽんぽんと優しく添えるように叩いてお盆に載せた食事を持って卓に向かいました。
「ふぇぇ。ご主人様に頭触って貰えた……えへへ」
たったそれだけの事だったのに私はとても幸せな気持ちになりました。
「今日はなんだか良い事がありそうな気がします」
「朱里先生。これは何処に仕舞えば良いですか?」
「あっ、それはですね。右上の棚にお願いします」
「わかりました」
朱里先生に言われ場所に本を棚に仕舞う。
「雪華さん、今日はなんだか嬉しそうですね。何かあったんですか?」
「ふえっ、そ、そう見えますか?」
「はい。いつも以上に活き活きして見えます」
「す、すみません。もしかしてご迷惑をおかけしましたか?」
「ふふふ。そんな事無いですよ。雪華さんが元気だと私たちも元気になった気がしますから。ね、雛里ちゃん」
「うん。雪華さんはみんなに元気をあげてるような気がします」
「ふぇぇ。そ、そんなこと言われたことなかったらちょっと恥ずかしいです」
私は先生たちにそう思われていたとは知らなかったのでちょっとこそばゆかった。
「そうだ。雪華さん、お使いを頼んでも構いませんか?」
「はい。大丈夫です」
「では、今竹簡に買ってきて欲しい物を書くのでちょっと待ってくださいね…………では、これをお願いします」
朱里先生は手早く竹簡に筆を走らせて、私に手渡してきました。
ご主人様から以前教えていただいた『めも』というものらしいです。覚えるのが多い時にこれはとても便利です。
ただ、紙が貴重な為、竹に書いていますが書くことが多すぎるとかさばってしまいちょっと大変です。
「えっと。筆を三本に墨を一つ、それと……本屋で本を受け取ってくればいいんですね」
「はい、本は既に代金を渡していますので受け取るだけで結構です。あ、それと本ですが決して中身を読んではいけませんよ!開いてもいけません!分かりましたか!」
「?はい。わかりました」
なぜかよく分かりませんでしたが強く念を押されました。
「では、行って来ます」
私は筆と墨の代金を貰い町へと向かいました。
………………
…………
……
「大分賑わって来ましたね」
町は、連合軍に参加していた時よりも賑わいを増していました。
(ドンッ!)
「ふえっ!す、すみません!」
「いや。こっちもよそ見してたからすまなかったね嬢ちゃん」
その分、人も多くなり気を抜いているとさっきのように人にぶつかってしまうほどです。
「えっと……まずは筆と墨ですね」
私は一番近いお店に向かいました。
「すみませ〜ん。筆三本と墨一つ下さい」
「あいよ!いつもご贔屓にして貰ってすみませんねぇ」
「いえ。私たちも皆さんの暮らしを良くする為ですから」
店の店主と他愛ない話をする。こうすることでもっと町の人たちと仲良くなれるとご主人様に言われたので買い物に来たときはいつも実践しています。
その甲斐もあってか、お店の人は私の顔を覚えてくれていてよく話しかけられるようになりました。
「そう言えば。最近変わったことて無いですか?」
「変わったことですかい?」
「はい。何でも構いません」
「ん〜……ああ、そう言えば最近、華蝶なんたらが町を騒がせてるなんて聞いたな。俺はまだ見たこと無いがね……ほい。筆三本と墨一つだ」
そう言えば、愛紗さんがすごい剣幕で言ってましたね。確か華蝶仮面でしたか私もまだ見たこと無いですけど。
「ありがとうございます。お代はこれで足りますよね」
「はい、毎度。それとおまけしておきましたよ」
「ふええ!?こ、困ります!」
「いいからいいから。いつもご贔屓してくれてるお礼だとおもって」
「いえ。そう言うわけには参りません。下手をすると賄賂になっちゃいますから。ちゃんとその分もお代をお渡しします」
「う〜ん。俺はそんなつもり無かったんだけどな……」
店の店主は困った顔をして頭を掻いていました。
「よし!ならこれは献上品だ!それなら賄賂にはならないだろ?」
「ふぇえ!?な、なんでそうなるんですか!?」
そう言われると何も言い返せなくなっちゃいます。
「ほらほら、大人しく受け取ってくださいよ」
「ふぇ……わかりました。大切に使わせて貰います」
私は苦笑いを浮かべながらお礼を云いました。
「えっと次は本屋ですね」
店を出て次の目的の場所へと向かう。
「朱里先生はどんな本を注文したのかな。やっぱり軍略書とかなんだろうな〜」
そんな事を思っている時でした。
(スタッ!)
「ふえ!?」
目の前を白い何かが降りてきました。
「……」
「え、あっ」
(シュッ!)
その人は私を見て、何も言わずそのまま高く飛び上がって行ってしまいました。
「あれって星さん、だったよね?変な仮面をつけてたけど」
「おい、雪華!」
「ふえ?あっ、愛紗さん。今ここにっ」
「今ここに仮面をつけた不届き者は来なかったか!」
愛紗さんは走ってくるなり私の話を遮るように聞いてきました。
「えっ、あっちに行きましたけど……」
「そうか!礼を言うぞ雪華!行くぞっ!」
「おう!」
「ふえ?ふえ?な、何がどうなってるんですか?」
愛紗さんは星さんを追いかけていて、星さんは変な仮面をつけて愛紗さんに追いかけられて。よ、よくわかりません。
「ふぇぇ〜」
混乱してきた私は目が回りそうになってしまいました。
「あぁ〜。そ、そうでした。早く朱里先生に頼まれた本を受け取りに行かないと〜」
私はちょっとフラフラになった足取りで本屋へと向かいました。
「すみませ〜ん。朱里せっ……諸葛亮先生が頼んでいた本を受け取りに来ました」
「はいよ!ちょいと待ってくれ」
本屋に到着した私は店主さんに受け取りに来たことを告げました。
「ほい。お待たせ!『必勝!これであなたも相手を一殺!名軍師が選ぶ相手を落とす兵法百選』おまちどうさま」
「ありがとうございます。やっぱり兵法なんですね。やっぱり朱里先生は勉強熱心だな〜」
私は朱里先生を今まで以上に尊敬しました。
「あ、あのお嬢ちゃん。それはそう言う本じゃ……まあいいか」
「ふえ?何か言いましたか?」
「いや。何も言ってないよ。それより、それは頼んだ人以外に見せちゃダメだぜ。おっちゃんとの約束だ」
「?わかりました。朱里先生にもそう言われていましたし」
「そうかい。なら早く戻って渡してやるといい」
「はい。それでは失礼します」
私はぺこりと頭を下げて本屋を出ました。
「これで買い物は全部おったよね。あとは戻るだけ……あっ」
そうだ。今日の夜はご主人様とお勉強会でした。
『お茶とお菓子を用意して待っています!』
そうでした!お菓子を買って帰らないと!
「でもご主人様は何がお好きなのかな?」
そう考えてみると私は全然ご主人様の事知らないな……
あんなにいつも優しく私を見てくれるご主人様なのに、私はご主人様の好きな食べ物も好きな場所も何も知らない。
「桃香様たちは知ってるのかな。ご主人様の好きなもの」
なんだかずるいです……
桃香様たちが知ってるのに私が知らないなんて……っ!
「ふぇぇ。私は何を考えているのでしょうか。桃香様たちは私よりご主人様と長く一緒に居たのですから知ってて当然なのに……」
はふぅ〜。私どうしちゃったんだろ。ここ最近、ご主人様の事になるとちょっとムキになっちゃうところがあります。
気をつけないと……みんなに嫌われたくありません。特にご主人様には……
「へい。らっしゃい!」
「ふえ?あ、あれ?」
考え事をして歩いていたせいか、いつの間にかお店の前に立っていました。
「ん?嬢ちゃん、いつかの食い逃げした嬢ちゃんじゃないか?」
「ふえ?あっ。あの時のおじさん」
そこは私が空腹でつい盗み食いをしてしまった飲茶のお店でした。
「どうしたい。また、空腹で盗みにでも来たのか?」
おじさんは冗談っぽく笑顔で私に話しかけてきました。
「ふえ!?ち、違います!考え事をしてたら、いつの間にかここに来ちゃったんです!(くぅ〜)……ふぇぇ」
ふぇぇ〜。なんでこんな時にお腹がなるのですか。
「……はっはっはっ!お腹は正直だな。どうだい。喰っていくか?」
「ふぇ……それじゃ、一つください」
私は顔を赤くして一つ注文をした。
「あいよ!熱々ホカホカの出来立てだ!」
「ありがとうございます。っ!はふはふっ!はふいへふ!」
「はっはっは!だからそう言っただろ。まあ、落ち着いて食べな」
「ふぁい……ふーふー、はむ……美味しいです」
「あたぼうよ。俺様自慢の一品だからよ!」
「あっ!あの時は本当に済みませんでした!」
「ん?ああ。もう終わったことだ気にすんな。それよりまたこうして来てくれた事が俺は嬉しいぜ!それだけ美味かったって事だろ?」
おじさんはニカッと笑って胸を張っていました。
やっぱりここの人たちはとても優しい人たちばかりです。
あの時は私が食い逃げをしてしまい蹴られたりしましたが、あれは私がいけないことをしたせいで本当は優しいおじさんなんです。
そうだ。冷めちゃうけど、ここの肉まんを買って帰ろうかな。だって、ここはご主人様と初めて出合った場所だから。ご主人様が覚えて無くてもそれを一緒に食べれたら嬉しいし。
「あ、あの。肉まんを四つください」
「おお。いいぜ!今、熱々の」
「あ、いえ!直ぐに食べるわけではないので冷めてても」
「ん?いつ喰うんだ?」
「えっと。お夜食にと……ダメですか?」
「なら蒸す前のを包んでやるよ。嬢ちゃんの所にも蒸篭くらいあるだろ?蒸し方教えてやるから、その通りやりゃ店と同じ味がだせるはずだぜ」
「あ、ありがとうございます!な、なら六つお願いします!」
「おうおう!何個でもかまわねぇぜ!ちょいと待ってな」
店のおじさんの思わぬ好意により蒸す前の物を売ってもらえました。これでご主人様にも温かいお夜食が出せます。
「ほい!お待ちどう!袋の中に蒸し方を書いた紙を入れといたぞ」
「ありがとうございます。それじゃ今食べてる物と合わせて七個分の御代です」
「あいよ!毎度、また来てくれよ!次は御遣い様と来な!そん時はまた旨いもん食わせやるぞ嬢ちゃん!」
「はい。次はご主人様と来ますね」
私は手を振りお店のおじさんに別れを告げました。
「これで準備は万全です。あとは……ふえ?あれ、あれ?本が無い……」
手元を見ると筆と墨、そして今さっき買った肉まんしか持っていなかった。
「嬢ちゃん!本忘れてるぞ!」
さっき別れたはずの店のおじさんが大声で私を呼んでいました。
「ふぇぇぇえええっ!す、すみませ〜〜〜ん!」
私は慌てて本を受け取りに走りました。
………………
…………
……
「ご苦労様です雪華さん。疲れていませんか?」
「大丈夫です」
朱里先生に頼まれていた筆と墨、そして本を渡しました。
「……それで、中を見ていないですよね?」
「はい。本屋の人にも頼まれた人以外、見せたらダメだって言われてましたから」
「ふぅ。そうですか、ならよかったです」
「あっ、でも帰る途中で本を忘れてきちゃいましたけど」
「はわわっ!?そ、それは本当でしゅか!?」
「は、はい……あの、それがなにか?」
「っ!い、いえ。なんでもないですよ〜。ね!雛里ちゃん!」
「あわわっ!うんうん、なんでもないよ」
雛里先生は慌てた様子で同意していました。
「わ、わかりました」
「それで、どこのお店で忘れたんですか?」
「えっと、中央十字通りあたりの飲茶のお店です、けど……」
「そうですか……雛里ちゃん!」
「うん!ちょっと、お出かけしてきますね!」
雛里先生は一言告げると執務室から出て行きました。
「あの。なにか」
「なんでもないの!雪華さんは何も気にしなくていいんだよ!」
「わ、わかりました」
朱里先生の鬼気迫る声に私はそれしか言えませんでした。
「きょ、今日はこれでいいですから。上がってもらっていいですよ。私達の仕事もあと少しで終わりですから」
「わかりました。それではお先に失礼します」
私はお辞儀をして執務室から出ました。
………………
…………
……
――夜
「明かり、よし。机、よし。椅子、よし。本、よし!うん、これで完璧です」
あとはご主人様を待つばかりです。
(コンコンッ!)
「ふえっ!(ビクッ!)」
私が確認をし終わったと同時に部屋の扉が叩かれ驚いてしまいました。
『ごめん。俺だけど遅くなったかな?』
「い、いえ!大丈夫です。今開けますね」
扉の向こうで待ちに待っていたご主人様が来てくれた!
「ど、どうぞ」
「お邪魔します。……へぇ〜」
ご主人様は部屋に入ると辺りを見回して頷いていました。
「ふぇ……あ、あまりじろじろ見ないでください。恥ずかしいです」
「ああ。ごめん、雪華の部屋に初めて入るからさ」
「ふえ?……〜〜〜〜っ!!」
そ、そうでした。ご主人様を、と言いますか自分の部屋に殿方を入れるのはご主人様が初めてです!
ふぇぇ〜。そ、そう思ったらなんだか緊張してきました。
「それじゃ、始めようか雪華」
「……」
「雪華?」
「ふぇえ!?あ、はい!始めましょう。で、ではこちらにお座りください」
私は慌ててご主人様を席へ案内した。
………………
…………
……
「雪華、これなんだけど」
「ふえ。どこですか?……あ、これはですね」
あれから半刻が経ちました、ご主人様と私は兵法の本を読んでいました。
「ん〜〜っ!やっぱ一人より二人の方がはかどるな。やっぱり読める人が居ると違うよ」
「あ、ありがとうございます。私も兵法をご主人様に教えて貰って助かっています」
ご主人様は字を教えて貰う変わりにと兵法について教えてくれていました。
「まあでも、直ぐに抜かされちゃうだろうけどね。雪華は覚えるのが早いから」
「ふぇ……そんなことないです」
ご主人様に褒められてちょっと恥ずかしくなり俯く。
「あっ!そ、そろそろ。お夜食にしませんか?」
「そうだな。小腹も空いてきたし」
「それではお持ちしますね。少し待っていてください」
「ん?お菓子じゃないのか?」
「あ、いえ。蒸さないといけないので。始める前にある程度準備はしてきたので直ぐ出来ると思います」
「了解。それじゃ本を読みながら楽しみに待ってるよ」
「はい」
ご主人様、分かってくれるかな?
私は淡い期待を胸に急ぎ厨房へ向かった。
………………
…………
……
「お待たせしました」
私は厨房で蒸してきた肉まんを蒸篭ごと持ってきました。
「お帰り。いい匂いだね」
ご主人様は本を閉じて机の上を片付けてくれました。
「ありがとうございます。熱いので気をつけてください」
蒸篭の蓋を取ると部屋に湯気が広がり、匂いも一段と増して強くなった。
「美味しそうだな。それじゃ頂きます!はむっ!はふはふ……」
「ど、どうでしょうか?」
緊張の面持ちで私はご主人様が喋るのを待つ。
「うん。美味しいよ」
「ふぇぇ。よかったです」
私は一気に気が抜けて椅子に座りました。
「ははっ。大げさだな。俺は美食家じゃないからそこまで気張らなくてもいいのに」
「そんなことありません。やっぱり緊張します」
「ははっ。それにしても、食べたことのある味だな……ああ!中央通りの十字路あたりにある飲茶の店かな」
「ふえ!わ、わかるんですか!?」
「ああ。あそこは餡が特徴的だからね。それに雪華と初めて会った場所でもあるだろ?」
「お、覚えていてくれたんですか?」
「当たり前だろ。雪華と初めて出会った大切な思い出の場所だからね」
「ふぇぇ……」
嬉しいです。ご主人様が私と初めて出会った場所を覚えていてくれて……
「それにしてもあれから半月も経つのか〜。月日が経つのは早……ど、どうしたんだ雪華」
「ふぇ?な、なんでもありません。ただ嬉しくて」
ご主人様は私が泣いているのを見て驚いていました。
「嬉しい?」
「はい。ご主人様が私と出会った時の事を覚えていてくれたことがすごく、すごく嬉しくて」
今までにこんなに嬉しかったことはありません。それも涙を流すくらいに。
「そっか。雪華もあの時は苦労してたもんな。それに当時はよく愛紗と目が合うと俺の後ろに隠れてさ」
「ふぇぇ。そ、それは忘れてください」
そ、そんなことまで覚えて無くてもいいのに。
「ご主人様、意地悪です。もう肉まんは没収です」
私は口を尖らせて肉まんの入った蒸篭を取り上げた。
「わわっ!嘘嘘っ!もう言わないから!」
「……本当ですか?」
ご主人様は手を合わせて頭を下げてきました。
「ああ。約束する」
「……それじゃ、許してあげます」
別に怒っていたわけじゃないんです。ただ、恥ずかしかったからそれをご主人様に知られない為にわざと怒った振りをしただけです。
「ありがとう雪華。ほら、雪華も食べなよ。雪華が買ってきたんだからさ」
「はい。それじゃ私も頂きますね……あつっ!」
肉まんを噛んだとたん、中の肉汁が出てきて舌を火傷してしまった。
「だ、大丈夫か雪華!」
「は、はひ。((ひょっとひひゃほやけほひはみはいへふへほ|はい、ちょっと舌を火傷したみたいですけど))」
「……ぷっ」
「ふへ?」
「ははっ!」
「((な、なんへわわうんへふか|な、何で笑うんですか))っ!」
うぅ。酷いです。笑うなんて……
「ご、ごめん。だ、だって雪華が可愛かったからさ」
「ふへ?ふへええええ!?((か、かはひひ|か、可愛い))!?」
「ああ。その舌をちょろっと出してるところが凄く可愛くてさ。微笑ましくなっちゃって。ほら、水飲みなよ」
「は、はひ……」
ふぇぇ〜。も、もうご主人様ったら何言い出すんですか……その、可愛いだなんて…
その後、蒸した肉まんを全て食べ終え勉強を再開しましたがご主人様の言葉が耳に残り、本の内容が全然頭に入ってきませんでした。
………………
…………
……
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。助かったよ」
これで終わりだと思うと少し寂しい気持ちになっちゃいます。
……そうだ。ご主人様にお願いしてまた一緒に勉強して貰えれば……
「あの、また一緒に勉強をしてくれますか?」
「え?いいの?俺としてはありがたいんだけど」
「はい!私もご主人様と一緒だと嬉しいです」
「うん。わかったよ。それじゃ、また今度一緒にやろうね」
「はい♪」
よかった。これでまたご主人様と勉強が出来ます。
その約束が出来ただけで私は凄く嬉しくなりました。
「それじゃお休み雪華……ちゅ」
「ふえ?」
ご主人様の顔が近づいてきて私のおでこに軽く口づけをしてきました。
「お休みの挨拶だよ。それじゃ」
そう言うとご主人様は私の部屋から出て行かれました。
「……」
私は何が起きたのか分からずしばらく立ち尽くしていました。
「……ふ、ふえぇぇぇぇええええっ!?」
しばらく経ち、ご主人様が何をしたかを理解すして私は思わず叫んでしまいました。
《End...》
【初逢引っ!?】
《愛紗視点》
「〜〜♪」
私は鼻歌を歌いながらご主人様から頂いた得物を手入れをしていた。
「ふふっ。今日は久々にご主人様と手合わせが出来る」
反董卓連合軍から早一月、ようやく政務も落ち着いてきた。
お互い、中々時間が合わなかったがそれも昨日までの話し、今日は思う存分ご主人様と手合わせを楽しむとしよう。
「ご主人様から頂いたこの天龍偃月刀でどこまでご主人様と打ち合えるか……ふふっ、考えただけで笑みがこぼれて来てしまうな」
「何をニヤニヤしているのだ愛紗よ。傍から見ていると気持ちが悪いぞ」
「なっ!せ、星っ!」
突然の声に顔を上げるとそこには星が立って居た。
「何をしに来た星。見ての通り私は得物の手入れで忙しいのだ」
「ニヤニヤと笑いながら手入れをしていて忙しそうには見えなかったがな」
「わ、笑ってなど居ない!」
「いや。笑っていたぞ。それはもう恋する乙女のようにな」
「なっ!」
そ、そんはずはない!笑ってなど……
「そ、そんなことより!星は何しに来たのだ。今は確か鈴々と兵の調練のはずだろ」
「うむ。言伝を頼まれたのでな、今は鈴々に調練を見てもらっているところだ」
「言伝?誰からだ」
「愛しの主からだ」
「い、愛しの!?」
まさかご主人様からの言伝だとは思わず思わず驚いてしまった。
「ふっ。主は少し遅れるそうだ。なんでも急な仕事が出て来てしまったらしい」
私の驚きに星は満足したのか話を続けてきた。
「そ、そうか……態々すまない」
「なに。愛紗の慌てる顔を見れだだけでも来たかいがあったというものだ」
「……」
「はっはっは。そう睨むな。主は昼前には終わるだろうと言っていたぞ」
星はそれだけ言うとこの場から居なくなった。
「まったく……星のやつめ、これではからかいに来たのか報告に来たのかわからんではないか」
しかし、昼間で暇になってしまったな……
「……ん?あそこに居るのは、雪華ではないか?おい!雪華」
「ふえ?」
暇が出来てしまいさあどうしようかと考えていると、廊下を歩く雪華を見つけた。
声をかけると雪華は辺りをキョロキョロと見回していた。
「こっちだ」
「……っ!愛紗さん!おはようございます」
雪華は私に気が付くとパタパタと近寄ってきて挨拶をしてきた。
「ああ。ところで雪華は何をしていたのだ?」
「特にする事が無かったので書庫に行って兵法の勉強をしようかと」
「そうか。それは呼び止めてしまってすまなかったな」
「いえ、そんな……愛紗さんは今日はお休みなんですよね。ここで何をしていたんですか?」
「ん?ああ。今日はご主人様も休みだと聞いていたのでな。一緒に手合わせをしようと誘ってはいたのだが、急な仕事が入ってしまったらしくてな。時間が空いてしまい何をしようか考えていたところだ」
「そうだったんですか……あ、あの。私でよければお相手いたしますが」
「雪華がか?しかし、書庫に行って兵法の勉強をするのではなかったのか?」
雪華の申し出はありがたかったが、態々私のために付き合う必要は無いと私は断ろうとしていた。
「いえ。兵法を勉強するのも私がまだまだ未熟だからです。それに武術ももっともっと強くなりたいんですご主人様の為に。ですから私からも是非お手合わせをお願いします」
雪華の目は真剣そのものだった。こんな目をされては断る事は出来ないな。
「わかった。だが、私は厳しいぞ。それについてこれるか?」
「は、はい!がんばります!」
雪華は花が咲いたような笑顔でお礼を言ってきた。
「そ、それじゃ準備してきますね!」
「ああ。だがそんなに急がなくても大丈夫だぞ」
「ふぇぇええっ!とっと……え、えへへ」
雪華は言っている傍から転びそうになっていた。
「そう急がなくてもいいぞ。時間はまだあるからな」
「ふぇ。は、はい。そうですね」
雪華は今度は少し早歩きで準備しに向かった。
………………
…………
……
「お待たせしました」
雪華は準備を整えて戻ってきた。
「来たか。私はもう準備が出来てるぞ」
「私も大丈夫です。よろしくおねがいします」
雪華はお辞儀をすると槍を構えた。
「うむ。では行くぞ雪華」
私も得物を構え雪華に対峙する。もちろん調練用の模造刀だ。だが当たればそれなりに痛い。
ふむ。大分隙も無くなって来ているな。これなら戦場に出ても遅れをとらんだろう。あとは……
「どうした?来ないならこちらから行くぞっ!」
私は雪華に見える程度の速さで偃月刀を振り上げた。
(ガキンッ!)
「きゃっ!」
「どうした。たった一撃だぞ」
雪華は私の一撃で吹き飛ばされてしまった。
「だ、大丈夫です。もう一度お願いします」
雪華は起き上がり直ぐに槍を構えた。
「よし。次は連続で行くぞ。ちゃんといなしてみせろよ」
「は、はい!」
雪華は怖気づくことなく力強く返事をした。
………………
…………
……
雪華と手合わせを続けて数刻がたった。
「よし。今日はここまでにしよう」
「ま、まだ私は平気です」
「そんなに膝を震えさせていては説得力に欠けるぞ」
雪華は肩で息をし、膝も震えていてこれ以上続けられる状態ではなかった。
「ふぇぇ」
「休むことも鍛錬の内だぞ」
「は、はい。それじゃ休ませてもらいますね」
「ああ。しっかり体を解しておけよ」
「はい。今日はお手合わせありがとうございました」
雪華はお礼を言うとフラフラと歩き出し戻っていった。
「ふぅ。腕は上げたと言ってもまだ私の相手をするには早かったか」
だが将来も楽しみではある。
「あの歳であそこまで使えるのだ、将来は有望だろう。きっとご主人様と桃香様の力となってくれる」
私は雪華の成長に大きな期待を寄せていた。
「さて、そろそろご主人様も来る頃だろう」
陽も高くなりそろそろ昼時。ご主人様も政務を終えて来て下さる頃だろう。
「……あ、汗臭くは無いだろうか?」
雪華との手合わせで少し汗を掻いてしまったか。
「流石に汗を掻いたままご主人様に会うのは失礼だな。ここは着替えたほうがいいだろう」
べ、別にご主人様に嫌われるとかそう言うわけではないぞ。断じて!
「な、何を言っているのだ私は……早く体の汗を拭きに戻ろう」
私は急ぎ体を清めるために厨房で湯を貰い、自室へと戻っていった。
《一刀視点》
「ふぅ、やれやれ。思ったより時間が掛かっちゃったな」
今日一日休みだったんだけど急な仕事が入って午前中一杯掛かってしまった。
「愛紗。怒ってなければいいけど……」
星には一応愛紗に伝えといてくれとは言ったけど流石にこんなに時間が掛かるとは思わなかったからな。
「まずは町に行ってご機嫌を取った方がいいかな?いや、それとも当初の予定通り手合わせをした方が……う〜む」
「ふえ?ご主人様、こんなところで立ち止まってどうかしましたか?」
「え?ああ、雪華」
どうやら深く考えているうちに立ち止まっていたみたいだった。丁度そこへ雪華が通りかかったのか。
「ちょっと考え事をね。雪華は鍛錬でもしてたのか?凄く疲れてるみたいだけど」
「あ、はい。さっきまで愛紗さんに手合わせをしていただきました」
なるほど。通りで擦り傷が多いわけだ。
「なるほどね。雪華ちょっとおいで」
「?はい。なんでしょうか」
俺は雪華を手招きしてそばに越させた。
「ちょっとじっとしてて」
「ふえ?」
俺は雪華の頬に手を添えて氣を送り込んだ。
「ふぅ。うん、これでよし。女の子だから傷が残ると大変だからね」
雪華の擦り傷は綺麗に無くなった。
「ふぇ……ありがとうございますご主人様」
「どういたしまして。それで、どこで愛紗と手合わせしてたのかな?」
「中庭でしていました」
「そっか。ありがとう」
「いえ。私こそ傷を治していただいてありがとうございます」
俺は雪華にお礼を行って中庭に行って見ることにした。
………………
…………
……
「さて、中庭に来て見たはいいが……いないな」
雪華はここで手合わせをしていたって言ってたんだけどな。
「う〜ん……あ、もしかして一旦自分の部屋に戻ったのかな?」
手合わせをしたってことは汗を掻いた筈だし、きっと着替えてるのかもしれない。
「よし。愛紗の部屋に行って見るか」
遅れたことを謝らないといけないし、兎に角愛紗の部屋に行こう。
俺は愛紗の部屋に向かった。
(コンコン)
「愛紗。居るか?」
『っ!ご主人様!?』
よかった部屋に居たか。
「入るよ」
『ちょ!、ま、まっ』
愛紗が何かを言おうとしていたが俺はそのまま愛紗の部屋に入った。
(ガチャ)
「ごめんな。愛紗、遅れ、て……」
「……」
「あ、えっと……」
「〜〜〜〜っ!」
愛紗の顔が見る見るうちに赤くなる。
しかし、俺は愛紗の姿に動くことが出来なかった。
白く艶やかな肌、風に揺られる黒髪、存在を誇示するかのように形の良い胸、そして女性特有の甘い良い匂いが部屋中に漂う。それらが俺の思考を停止させていた。
「で、出て行ってください!」
「っ!ご、ごめん!」
(バンッ!)
愛紗の悲鳴にも似た声に我に返り、俺は慌てて部屋を出て扉を閉めた。
「はぁ、はぁ……」
まずかったな……まさか丁度着替えてる最中とは思わなかった。さっき自分で着替えているか持って言っておいて何してるんだよ俺は。
「それにしても……」
綺麗だったな愛紗の体……っ!
「な、何を考えてるんだ俺は!」
首を振り自分の中にある邪な考えを振り払う。
「兎に角、出てきたらちゃんと謝らないと」
《愛紗視点》
「で、出て行ってください!」
「っ!ご、ごめん!」
(バンッ!)
ご主人様は私の声に慌てて部屋の外へと出て行った。
「み、見られてしまった……」
あ〜〜!こ、こんな体を見られてしまうとは!ご主人様になんとお詫びをすれば!
「と、兎に角早く着替えねば。ご主人様をお待たせするわけには行かない!」
私は急ぎ着替えを済まし髪を整える。
「……よし」
鏡を見て自分の姿に不備が無いことを確認する。
「すー、はぁー……よし、いくぞ」
(ガチャ)
深呼吸をして扉を開ける。
「お待たせしましたご主人様」
「あ、ああ」
扉を開け廊下に出ると顔を赤くしたご主人様が待っておられた。
「……」
「……」
き、気まずい……
私とご主人様はお互い向かい合ったまま一言も発せず立ち尽くしていた。
「「あ、あのっ!」」
「ご、ご主人様からどうぞっ!」「あ、愛紗から!」
言葉を発しようとすれば同時に発し、そしてお互い譲り合う。
「……」
「……」
そしてまた沈黙。
な、何とかしなければ……
このままではらちが明かないと思った私は気を落ち着かせる為に息をついた。
「ふぅ……申し訳ありませんでした。お見苦しいところをお見せして」
「い、いや!どちらかと言えば俺がちゃんと確認しなかったのがいけないんだし、愛紗が謝ることじゃ」
「いえ。私のような女らしくない体を見てさぞがっかりされたことでしょう」
「そんなことない!愛紗はとても綺麗な体をしているよ!」
「え……」
ご主人様は私の言葉を即座に否定してきた。
「あ、いや。ごめん、行き成り大きな声を出して。でも、俺は愛紗の事を女らしくないとは思ってないよ。だって、その……見惚れるくらい綺麗だったからな」
「〜〜〜っ!?」
う、あ……あぁぁああ!?
ご主人様の言葉に体中が沸騰するかのように熱くなった。
「そ、その……あ、ありがとうございます」
その一言を言うことで精一杯だった。
「……えっと、も、もうお昼だし。手合わせはお昼の後にしようか」
「そ、そそそうですね!わ、私もそれが良いと思います!」
ご主人様の提案に即座に乗る。この状況を続けていれば自分がおかしくなりそうだったからだ。
「それじゃ、行こうか」
「は、はい……」
私とご主人様は食事を取る為に町へ向かった。
『……』
その時、私たちはこちら見つめる視線に気がつかずに居た。
………………
…………
……
「愛紗は何か食べたいものはあるか?」
「いえ。ご主人様にお任せします」
「了解。それじゃ……」
ご主人様は私の横で歩きながら何を食べようか考え始めた。
ふぅ。町に出て少しは落ち着いてはきたが……ま、まともにご主人様の顔が見れん。
さっきの出来事もあり、ご主人様の顔を見ることが出来ないでいた。
「よし。あそこに行こう。行くよ愛紗」
「え?……っ!?」
ご主人様は何を食べるのか決めたようで私の手を取り歩き出した。
「え、あ、あのご主人様?」
「ん?どうかした?」
「なぜて、手を?」
「はぐれない様にだけど、嫌だった?」
「いいえとんでもない!」
「そっか」
ご主人様はそれだけを言い微笑んだ後、また歩き出した。
むぅ……意識しているのは私だけなのか?ご主人様は先ほどの事を忘れたかのように至って普通に接して来ている。
私が意識し過ぎなだけなのだろうか?
幼少のころから武人として育てられた私はこんな時、どう接して良いのかわからなかった。
「さあ着いたぞ。今日はここにしよう」
ご主人様に連れられて来た店は他の店よりも繁盛しているようだった。
「混んでいますがよろしいのですか?」
「うん。愛紗にここの料理の感想を聞きたいからさ」
「感想?」
ここの店の料理は他と何か違うのだろうか?
「こんにちは!」
「あっ!御遣い様、今日も来てくださったんですね!」
ご主人様は店に入ると客から注文を取っていた女性が嬉しそうに駆け寄っていった。
なんなのだあの娘は!ご主人様に少し馴れ馴れしく無いか!?
私はご主人様とやり取りをしている女性を見て少し不機嫌になった。
「ああ。いつもの場所空いてる?」
「はい!空いてます!どうぞお入りください」
「ああ、それじゃ行こうか愛紗」
「……はい」
「?愛紗?」
ご主人様は急に不機嫌になった私を見て首を傾げていた。
「ご注文はいつものでいいですか?」
「ああ。二つで」
席に着きご主人様は何度も来ているのか店の娘は「いつもの」で通じているらしい。
「は〜い!それでは恋人さんとごゆっくり♪」
「なっ!?」
娘はとんでもない事を言い残して注文を伝えに行ってしまった。
「ははは。参ったな」
「そそそうですよね!わ、わわわ私がご主人様のここここ恋人だなんて!」
何を動揺しているのだ私は!落ち着け!落ち着くんだ!ここは戦場だと思え!……気を引き締めろ!
「はは、でも。こうやって二人で出かけてるとデートみたいだよな」
「でえと?とは何ですかご主人様」
「ああ。えっとこっちの言葉だと逢引っていうんだよ」
「え?……」
「愛紗?」
「……っ!あ、逢引ぃぃいいい!?」
(ガタンッ!)
私が逢引と言う言葉を理解するのに少しの間があった。
私は思わず席から立ち上がり叫んでしまった。
「あああ、あい、あい逢引ですと!?い、いいいい今私達のしている行為は逢引なのですか!?」
「あ、うん。まあ傍から見たらそう見えるんじゃないかな。店員の娘も恋人だって言ってたし。それとも俺とじゃ嫌だったかな?」
(ダンッ!)
「とんでもありません!ご主人様だから、いいえ!ご主人様だから良いのです!」
私は机を叩き身を乗り出してご主人様に詰め寄った。
「そ、そう。なら良かった」
「……っ!す、すみません」
私は目の前にご主人様の顔があることに気が付き顔を赤らめながら俯いて席に着いた。
「御遣い様。麻婆豆腐丼二つ、おまたせしました!お熱い二人のように熱いうちに食べてくださいね♪」
「なっ!」
店の女店員はまたもへんな事を言って注文したものを机に置くと居なくなった。
「ご主人様!先ほどからなんなのですかあの娘は!」
「ん?ここのおやっさんの娘だよ」
「いや。そう言う事を聞いているわけではなくてですね……」
「それより早く食べよう。こう言うのは出来立てが美味しいからね!」
「……はぁ。それはいいですがどのようにして食べるのですか?先ほど丼と言っていましたがご飯と麻婆豆腐しかありませんよ?」
「ん?こうやって食べるんだよ」
そう言うとご主人様はご飯の上に豪快に麻婆豆腐を掛けた。
「なっ!そのようにしてはここの店に失礼では!」
「いや。これが正しい食べ方なんだよ。とにかく愛紗も食べてみなって美味いからさ」
「は、はぁ……」
しかし、このような食べ物今までに食べた事が無いぞ。いくらご主人様の進めでも……
そう思いながらもご飯の上に麻婆豆腐を掛け蓮華で掬い口に運ぶ。
「はむ……もぐもぐ……っ!こ、これは!?」
なんだこの美味さは!麻婆の餡が米一粒一粒を包み込みそして麻の辛味が米の甘さで程よい辛さになり今までに食べたことの無い美味さだ。
「こ、こんな美味しい食べ物がこの世にあったとは……」
「感想は?」
「はい。とても味わい深く美味しいです」
「よかった。実はこれ、俺が考えた料理なんだ」
「ご主人様が?」
「ああ。色々あってね。この店の目玉商品を作ることになってさ。出来たのがこの麻婆豆腐丼ってわけさ」
なるほど、味わった事が無いはずだ。これは天の世界の食べ物だったのだから。天の国とは一体、どのような食文化があるのだろうと私は少し興味を持った。
「ご主人様。これは私でも作れるものなのでしょうか?」
「ああ。簡単だよ。ご飯にただの麻婆豆腐をかけるだけだからね。まあ、少し餡のとろみを加減しないといけないかもしれないけどね」
なるほど。決め手はこの餡のとろみか……今度挑戦してみよう。
「ん〜!美味しかったな愛紗」
「はい。また食べに来たいほどの美味しさでした」
店を出てお腹を落ち着かせるために少し町を歩くことにした。
「それじゃ、また今度一緒に来ようか」
「はい。その時は是非っ!」
またご主人様と出かけられる、そう思っただけで私は嬉しさがこみ上げてきた。
「それにしても町もだいぶ人が多くなってきたな」
「はい。これもご主人様が打ち出してくれた政策のおかげです」
「いや。愛紗たちが頑張ってくれたおかげだよ」
「いいえ。私達が頑張ってこれたのもご主人様のおかげです。朱里ですら考え付かなかったものをご主人様はこうして実現してくださったのですから」
ご主人様はいつもご自身を過小評価している。だから私だけでも、いや、これは皆が思っていることだろう。ご主人様は凄いのだと。
「それじゃ、そう言うことにしておこうかな。ありがとう愛紗」
「い、いえ。礼を言われることでは」
ご主人様の笑顔に顔が熱くなる。
「あらあら。お熱いお二人さん。占いなんか如何でしょうか?」
そんな時だった。私たちに声をかけてくる声があった。
「ん?この声は……」
聞き覚えのある声に周りを見回す。
「……っ!あなたは!」
声の主を見つけて私は声を上げた。
「お久しぶりですね。関羽さん」
そこに居たのは以前に出会った時と変わらぬ笑顔で座っている管輅殿だった。
「愛紗?この人は?」
「ご主人様、この方は」
「わたくしは管輅と申します。ここでは始めまして、ですね。天の御遣い北郷一刀さん」
「どうして俺の名前を?」
「ふふふっ。わたくしは占い師ですから」
管輅殿は笑みを絶やさずに答える。
「ここで出会ったのも何かのご縁。如何ですか?お占いいたしますよ」
「そうだな。占って貰おうかな。愛紗はどうする?」
「いえ。私は……」
「恋占いも致していますよ?」
「っ!で、では占って貰おうかな」
断ろうとしたが管輅殿の思わぬ言葉に占って見ることにした。べ、別にご主人様との仲が気になるわけではないぞ。ほ、本当だぞ!
「ふふっ。では、どちからから占いましょうか?」
「愛紗から見て貰えば?」
「そうですか?では」
「では、まずは関羽さんから占いましょう。何を占って欲しいのですか?」
「そ、その、だな……」
「あらあら。北郷さん。少し離れていてくださいますか?」
管輅殿は私が何を言いたいのか分かったのかご主人様に少し離れていてくれとお願いをしていた。
「?別にいいですけど。なんでですか?」
「ふふふっ。女性には秘密が一杯なのですよ」
「〜〜〜っ!」
「?わかりました」
ご主人様は首を傾げ理解していないようだったが私は顔が熱くなるくらい赤くなっていた。
「ふふっ。私が言った通りになったようですね関羽さん」
「う、うむ」
管輅殿にはご主人様と出会う以前に出会っていた。そして占いで天の御遣いが現れると言われた。そして、私と桃香様はその御遣いに恋をするとも。
その時はありえないと思っていたが蓋を開けて見ればこの通り、私も桃香様もご主人様に恋をしてしまっていた。
「それでは劉備さんも?」
「ああ。桃香様も私と同じようにご主人様に恋をしている」
「そうですか」
管輅殿はどこか嬉しそうに微笑んでいた。
「さて、では何を占って差し上げましょうか?やはりここは北郷さんとのお子についてですか?」
「こ、子供!?いやいやいや!そんなことはありえぬ!」
「あらあら。子供はお嫌いですか?」
「いや、嫌いではないが。それにご主人様との子供ならなおさら……って!違う!私が占って欲しいのは今後の事だ!」
「今後、北郷さんに恋をする者が現れるかですか?」
「そ、それも気になるが。この大陸の事だ!どうなのだ」
「それは残念ですね。では、占って見ましょう」
なぜか残念そうにする管輅殿は水晶に手を添えて占い始めた。
「……この先、大きな戦いが起こります。反董卓連合軍以上の戦いが」
「……」
私はその占いをじっと聞いていた。
「この戦いは避けることが出来ないでしょう。そして、この戦いが終わりと始まりの時になることでしょう」
「終わりと始まりの時?どういうことだ」
「それはまだ言えません。ですが、一つ言えるとすれば喜ぶ者も居れば、悲しむ者も居るということです」
「悲しむ者も居る?それは負けた者たちということか?」
「すみません、それも言えないのです」
「わかった。だが喜ぶ者も居るということだな。それだけ聞ければ十分だ」
私はその言葉が聴けただけで十分だった。
「それで……北郷さんとはどこまでいったのですか?」
「ぶっ!?な、何を言い出すのだ行き成り!」
「あら。教えていただけないのですか?」
「誰が教えるか!」
「そうですか……では、占いで」
「わー!や、やめろ!」
管輅殿は水晶に手を添えて占いだそうとしたので慌てて止めた。
「残念ですわ」
全然残念そうに見えないその態度に私はからかわれているので気がついた。
「管輅殿よ。わたしをからかったな」
「ふふっ、どうでしょうね。さて、では次に北郷さんを占って見ましょう。お呼びしてくださいますか?」
「あ、ああ。わかった。ご主人様っ!」
私はご主人様を呼んだ。
ご主人様はこちら来ると管輅殿の前に座った。
「では、始めさせていただきます。何を占いますか?」
「そうだな〜。やっぱり今後の事かな」
「わかりました……」
管輅殿は頷くと先ほどと同様に占い始めた。
「……多くの仲間が見えます。北郷さんに賛同して集まった仲間が、あなたを慕い力になりたいと」
「そうですか。ならそれはいいことなんですよね」
「そうですね。場合によってはですけれど」
「場合?」
その時、管輅殿は私の方を見て微笑んだ。ま、まさか……今後、仲間になる者たちは全員がご主人様の事を!?
い、いや。いくらなんでもそれは考えすぎだろう。考えすぎ、だよな?
「ありがとうございました。管輅さん」
「いいえ。それとわたくしの事は永久と及び下さい。北郷さん」
「なっ!」
な、何を言い出すのだ管輅殿は!今日、会ったばかりのご主人様にその場で真名を預けるだと!?
「いいんですか?」
「はい。わたくし、北郷さんが気に入りました。今後もお会いしたいです。個人的に♪」
こ、個人的にだと!?だめだ!管輅殿は危険すぎる!は、早くご主人様を遠ざけねば!
「それじゃ、俺の事は好きに呼んで構わないですよ」
「ご、ご主人様!?」
「そうですか?では……一刀さん。とお呼びしますね。これからよろしくお願いします一刀さん」
「こちらこそ。よろしく永久さん」
「ふふふっ。呼び捨てで構いませんよ」
「それじゃ永久。これからよろしく」
「はい♪」
なーーーーっ!!
私は見てしまった管輅殿の頬が微かに赤くなるのを。
ま、まさか管輅殿もご主人様の事を!?
「……ふふっ。関羽さんもわたくしのことは真名で呼んでくださいね」
「っ!あ、ああ。なら私も愛紗と呼んでくれ」
「はい」
頷く管輅いや、永久殿。と、兎に角、早くここから離れねば!
「ご主人様、そろそろ行きましょう。ここにずっと居ては商売の邪魔になります」
「そうだね。それじゃ永久。また今度」
「はい。ああ、そうでした。一つ、一刀さんに伝え忘れたことが、少々お耳をよろしいですか?」
「いいですよ。なんですか?」
永久殿とご主人様は私に聞こえないように耳打ちをしていた。何を伝えているのだ?
「……良いですか?くれぐれもお気をつけくださいね」
「ああ。わかった。ありがとう永久」
「?」
話し終わったのかご主人様は永久殿にお礼を言っていた。だが、ご主人様の顔は先ほどと違いとても真剣な顔つきだった。
「何を言われたのですか?」
「いや。なんでもないよ」
ご主人様は真剣な顔からいつもの笑顔に戻っていた。
「それじゃ、次はどこ行こうか?」
「え?あっ」
「それじゃ永久。また」
「はい」
ご主人様は永久殿に別れを告げると私の手を取り歩き出した。
「ご主人様、どこへ?」
「愛紗の行きたい場所ならどこでも」
「そ、そう言われましても……で、ではご主人様の行きたい所が私の行きたい所、というのはどうでしょうか」
「別に構わないけど。いいの?」
「はい」
「それじゃちょっと歩くけどいいかな?」
「私はどこへなりとも着いて行きます」
ご主人様は私の返事を聞いて微笑むと歩き出した。
段々と人通りが少なくなり、町の城門まで来てしまった。
「ご主人様。まさか外に出られるのですか?」
「ああ」
「いけません!外は危険すぎます」
「大丈夫だよ。だって愛紗が居てくれるんだから。そうだろ?」
「うっ……それはそうですが……万が一ということがあります」
「大丈夫大丈夫」
ご主人様はそのまま私を連れて門を出てしまった。
はぁ、こうなればしっかりと私が護衛しなければ。
しばらく森を歩いていると水の流れる音が聞こえてきた。
「着いたよ。ここに案内したかったんだ」
そこは川の流れる畔だった。人の手が入っておらず、とても神秘的だった。
「素敵な場所ですね」
「愛紗ならそういってくれると思ったよ」
ご主人様はほっと胸をなでおろしその場に座り込んだ。
「愛紗も座りなよ」
「では、お言葉に甘えて……」
少し勇気を出し、ご主人様の隣に寄り添うように座る。
「静かだね」
「はい……こうしていると忙しい日々を忘れてしまいそうです」
目を閉じて森の音を聞く。川の流れる音、風が吹き木々が揺れる音。段々と自分がこの自然に溶け込んでいくようなそんな錯覚に陥る。
「愛紗」
不意にご主人様の声が私を呼んだ。
目を開けるとご主人様が私を見つめていた。
「愛紗」
「ご主人様……」
ご主人様は私の肩に手を当てて近づいてきた。
私もご主人様が何をしたいのか理解して目を瞑る。その時だった……
(ガサッ!)
「っ!だ、誰だ!」
茂みの不自然な揺れに我に返り声を上げた。
間諜か?私としたことが……
私はご主人様を護るようにして位置を変えた、が……
『と、桃香様。押さないでください』
『私じゃないよ!』
「……」
茂みから聞こえてきたのは聞き覚えのある声だった。
『こ、これ以上は持ちませぬぞ』
『はわわっ!』
『あわわっ!』
『ふえっ!』
(ずてーーん!)
「いたた……もう、誰が押したの?」
「と、桃香様が見えないといって押してくるからですよ」
「ええ!?わ、私のせいなの!?」
「お、重いです〜」
転びながら言い合いをしている桃香様たち。
「……桃香様」
「あっ……」
私の震える声に桃香様は「しまった!」という顔をして固まっていた。
「ここで、何をしておいでなのですか?」
私は笑顔で桃香様にお聞きした。
「えっと……」
「何を!しておいでなのですか?」
もう一度、言葉を強めて桃香様にお聞きする。
「あ、あのね。天気がいいから皆でお散歩に行こうかって事になって」
「ほう……天気が良いからみなで散歩、ですか」
「う、うん……ね!朱里ちゃん!」
「はわわっ!?」
桃香様は助けを求めるように朱里に同意を求めていた。
「そう言えば。桃香様は今日は政務のはずでしたよね」
「え゛っ!あ、あはは、そ、そうだったかな〜」
「そうです」
「あ……う……」
きっぱりと言うと桃香様は後ずさりを始めた。
「ご、ごめんなさ〜〜〜〜いっ!」
「許しません!桃香様っ!お前たちもだぞ鈴々、星、朱里、雛里、雪華!」
「おっと。これ早く退散したほうがよさそうだ」
「にゃ〜。逃げるが勝ちなのだ!」
「はわわっ!ま、待ってください鈴々ちゃん!」
「あわわっ!ま、まってよ朱里ちゃ〜ん!」
「ふえっ!?ま、待ってください皆さん!」
桃香様が逃げていったのを皮切りにみな逃げ出す。
「逃がさんぞっ!待てーーーっ!」
せっかくご主人様から『きす』をいただけるところだったのに!
私はご主人様を置いて逃げる桃香様たちを追いかけた。
《End...》
葉月「こんにちは。遅れてしまいましたが拠点二回目をお送りしました!」
雪華「ふぇ〜。な、なんだか恥ずかしいです」
葉月「雪華のヤキモチを焼いたところ可愛かったですよ」
雪華「ふえ!?そ、それは言わないでください〜」
葉月「はははっ!愛いやつめ〜」
愛紗「……」
雪華「ふえっ!」
葉月「えっと……なぜ私に堰月刀を向けているのでしょうか?」
愛紗「自分の胸に手を当ててよく考えて見ろ」
葉月「……わかりません!」
愛紗「てやぁぁああああっ!」
葉月「ぐはっ!」
愛紗「なぜここで永久殿が出てくるのだ!なぜ最後はあんな落ちなのだ!なぜ、なぜ、なぜだ〜〜〜っ!!」
葉月「ちょ!堰月刀を振り回しながら質問してこないでください!」
愛紗「はぁ、はぁ……説明して貰おうか!」
葉月「まあ、理由は色々とありますが……」
愛紗「なんだ」
葉月「まずは肉だるまが出てきてなぜ永久が出てこないのだと自分で思って!」
愛紗「自分でなのか!人からではなく自分で!」
葉月「はい。それと最後の落ちですが……そう簡単にキスしたら面白くないかなと!」
愛紗「でやぁぁああああっ!」
葉月「ぎゃーーーーっ!!」
雪華「あ、愛紗さん、落ち着いてください!」
愛紗「はぁ、はぁ……そうだな。葉月の愚考は今に始まったわけではないからな」
葉月「ぐ、愚考って……今回の愛紗にはたまたまテーマと付けてみただけで」
愛紗「ふむ。では聞いてやろう」
葉月「聞いといてばっさりとか止めて下さいよ?今回の愛紗のテーマは……『焦らし』です!焦らすことによって愛紗の可愛らしさをもっと引き出そうという崇高なテーマなんです!」
愛紗「……」
葉月「何ですかその目は!ものすごく疑ってますね!」
愛紗「当たり前だ。お前のやること全て疑わしい!」
葉月「ひどっ!それひどい!」
雪華「ふぇ〜。そ、そうだ!ところで今回の拠点で前作のオリジナルが二人出てきましたが。残りの一人は出るんですか?」
葉月「ああ。一姫ですよね。まあ、妹を出すと話が終わらなそうなんでだしませんよ」
愛紗「そうか。それは安心した」
葉月「まあ、需要はあるんですけどね」
愛紗「まあいい。出ないのならそれで。それよりもオマケはどうしたのだ?今回書く予定ではなかったのか?」
葉月「それがですね。雪華と愛紗の話が思った以上に長くなりかけなかったんですよ。おかげで二週間も投稿が伸びちゃったので。とりあえずもう一回拠点をやってオマケを囲うかなと考えています」
愛紗「そうか。本編が遅れてしまうが仕方ないな」
葉月「まあ、オマケは本編とまったく関係ありませんからね。前作のアフターだったり、短編物だったりと」
雪華「優未さんや管輅さんも前作のオリジナルなんですよね」
葉月「ですです。でも管輅は実際オリジナルでも名前だけは出てきてるんですよね。桃香が『管輅ちゃん』と呼んでいましたし、でも『ちゃん』付けだったので年齢的には幼かったのかなと。その点、私の作品の永久はお姉さん系になってますけど」
愛紗「今回出てきた永久殿は前作と関係があるのか?」
葉月「それはひ」
永久「秘密ですわ」
雪華「ふえ!?ど、何処から出てきたんですか!?」
永久「ふふふっ。それもひ・み・つです」
葉月「相変わらず神出鬼没ですね。まるでお化けのようですね」
愛紗「お、おば、お化けなんか居るわけがないであろうが!」
葉月「そこに食いつきますか……まあ、そろそろお時間なんで今日はこのへんで」
永久「次回も読んでくださいね」
雪華「よろしくお願いします」
愛紗「次回も待っているぞ」
葉月「あっ!愛紗の後ろに黒い人影が!」
愛紗「っ!きゃーーーーーーっ!!」
永久「あらあら。少し、脅かしすぎでは?」
葉月「あそこまで驚かれるとは……まあ、また次回です!」
説明 | ||
遅れてしまい申し訳ありません。 拠点投票、1・2位の話しになります。 今回の主役は雪華と愛紗です。 それではご覧ください。 |
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コメント | ||
rin様>誘惑に打ち勝つんだ!でも、また読んで欲しいです!だから、誘惑に打ち勝ちつつ読んでください!(無茶振り(葉月) あぁぁぁ、気になるから読まないようにしてたのに誘惑に負けた。続き〜。(rin) ven様>ん?急に誰かに呼ばれって、のわっ!何で行き成り愛紗に斬られかかってるんだ!?「貴様が、貴様がいけないのだーーーっ!」(葉月) おやおや、またまた愛紗さん邪魔れされまs「せぇぇぇぇぇぇい!!」何度もやられんわ!!口寄せの術!!(葉月召喚)(ven) summon様>きっと恋の名軍師がどこかに居るんですよ。多分……(葉月) 徐越文義様>「雪華ちゃんをもふもふするなら私を倒してからじゃないと駄目だよ!」っと優未が申しておりますので、優未を倒して雪華を存分にもふもふしてください。「ふえ!?わ、私は景品じゃないですよ」(葉月) joker様>炒飯を作る腕も上がっているのできっと大丈夫でしょう。……変なものを入れなければですが。(葉月) 萌香様>愛紗なんて怖くない!……嘘です。すごく怖いです。だから堰月刀を向けないでください。(葉月) berufegoal様>まだ足りないと申されるか!まあ、今回は焦らしていたのでしょうがないですよ。次回は……それは秘密です!(葉月) やべぇよ、雪華かわいすぎだよ…そして、ぶれない軍師ーズってか、名軍師ってあなたたちのことじゃないの!?www(summon) さらっと愛紗必殺料理のフラグが!(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル 一刀(-∧-;) ナムー(幼き天使の親衛隊joker) 雪華かわいい〜wwでも、愛紗を焦らしすぎると危ないですよ〜?(うわぁ〜、愛紗さんが葉月さんの後ろにいるけどどうしたらいいんだろ〜・・・^^;)(萌香) オレンジぺぺ様>己を確かに保ちましょう!(笑 まあ、わからないでもないですが!これから協力なライバルが目白押しですからね〜。愛紗の気苦労も耐えないでしょうね。(葉月) zero様>ありゃ〜。愛紗の被害者が出てしまいましたか。困ったものですね〜「お前のせいだろうがっ!」(スパコーーーンっ!!)ぎゃーーーっ!!(葉月) 雪華かわいいな〜wwwこりゃ次回の投票は雪華が1位で決定だn(ヒュッ!!スコーン!!!(zero) オレンジぺぺ様>「ふぇ、なんだか怖いです」こ、ここに変態がいますぞーーーっ!雪華を守らねば!(葉月) アロンアルファ様>よくないです!よくないけど。もっともう少し焦らします!「私は我慢強くないぞ!分かっているな?」は、はい……あと、数話分くらいは「てやっ!」ぎゃーーーっ!(葉月) 西湘カモメ様>はっはっは!そう簡単に自重なんてしませんよ!だって、自重したら愛紗の可愛い姿がかけないじゃないですか!「ていっ!」ぐはっ!(葉月) 転生はりまえ$様>そして私は犠牲者に!まあ、自業自得なんですけどね。(葉月) mokiti1976-2010様>まあ、愛紗のことだからそんなこと出来ないでしょうけどね。永久がレギュラーになるかはまだ秘密ですよ〜。(葉月) 殴って退場様>あはは。確かにそんな光景が浮かびますね。(葉月) quarter様>これからもニヤニヤしてもらえる作品をがんばります!(葉月) アルヤ様>時間が掛かりましたが2828してもらえてよかった!(葉月) 焦らして焦らして、これ以上無いくらい焦らしてからイチャイチャさせるんですね。でもあんまり焦らすと愛紗さんが偃月刀持って押しかけますよ?(あ!いつもかwwww(アロンアルファ) 雪華ははわあわ軍師ーズと同じ小動物系キャラで微笑ましいね、愛紗の恋敵第1位になりそうな雰囲気だし。そして愛紗には恋敵が益々増えてきて心休まる暇が無くなるかも?でだ、その鬱憤晴らしに葉月サンの生傷が絶えなくなると。少しは自重したら?葉月サン?(西湘カモメ) ただでは終わらない終わらせないそれが・・・・恋姫!!(黄昏☆ハリマエ) 愛紗さん、愛紗さん。次は皆が見ている前であろうと構わずにブチュッ〜ってしちゃったらいいじゃん。ところで永久さんはレギュラーになるのですか?(mokiti1976-2010) 街中で刀を振り回して追いかけている光景が目に浮かぶ・・(殴って退場) ニヤニヤ(quarter) 2828(アルヤ) |
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