サテライトウィッチーズ 第九話
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 第九話「手を出すな!」

 

 

芳佳達との一件があった数日後、ガロードはバルクホルンとエーリカと共にロンドンにある病院に向かっていた。

 

「走れハルトマン! クリスの待つ病院へー!」

「はいはい……」

「落ち着けよバルクホルン、そんなに急がなくたって病院もクリスも逃げないぜ」

「う、うむ……」

 

興奮するバルクホルンを半ば呆れ気味に宥めるガロードとエーリカ。

 

「にしてもよかったな、クリスちゃんの意識戻ったんだって?」

「ああ、良かった……」

 

ガロード達が何故ロンドンの病院に向かっているのかというと、そこに収容されている意識不明のバルクホルンの妹クリスがつい先日目を覚ましたとの連絡が入ったので、そのお見舞いに向かっていたのだ。

 

「でもなんで俺も連れて来させたの?」

「いやー、実はトゥルーデがクリスにってお土産沢山買い込んじゃってさ〜、荷物持ちが欲しかったんだよー」

「あはは、成程ね……しっかしこいつ本当に姉バカだよな、クリスが目を覚ましたと聞いてストライカー履いて勝手に出撃しようとしていたし……」

 

ガロードの話を聞いてエーリカは思い出したように笑い始める。

 

「あれは大変だったね止めるのー」

「ああ、早く着かないかな……!」

 

和気藹々と会話するエーリカとガロードの脇で、バルクホルンは貧乏ゆすりをしながらソワソワしていた……。

 

 

数十分後、ロンドンの病院に着いたガロード達、そしてバルクホルンは勢いよくクリスのいる病室に掛け込んだ。

 

「クリス!」

「ちょ、ちょっと!? ここは病院ですよ!?」

すると病室でシーツを取り替えていたナースがバルクホルンを注意する。

「あ……す、すみません、急いでいたもので……」

「ふふふ……!」

 

厳しい視線を向けるナースに平謝りするバルクホルン、するとそれをベッドの上で見ていた少女……クリスティアーネ・バルクホルンはクスクスと笑いだした。

 

「クリス……!? クリス!」

 

目を覚ましている妹の姿を確認したバルクホルンは、その事実をしっかりと確認するかのように彼女の手をギュッと握った。その様子を、部屋にいたナースと後から病室に入ってきたエーリカとガロードはほほえましく見守っていた。

 

「あ、エーリカさんと……誰?」

 

クリスは初対面であるガロードの存在に気がつく。

 

「彼はガロード・ラン……私達の大切な仲間さ」

「あはは……なんかムズ痒いな」

 

そう言ってガロードは照れくさそうに頬をポリポリ掻く。

 

「お姉ちゃん、私がいない間大丈夫だった?」

「何を言う、大丈夫に決まっているだろう、私を誰だと……」

 

そう言ってクリスの質問に対しエヘンと胸を張るバルクホルン、しかしすぐ傍で椅子に腰かけたエーリカとガロードが肩をすくめる。

 

「ああもう全然ダメ、このあいだまでひどいもんだったよ、やけっぱちになって無茶な戦いばっかりして……」

「あの時は本当に肝が冷えたぜ、芳佳がいなきゃどうなっていたことか……」

「お、お前ら!? 無い無いそんな事はないぞ! 私はいつだって冷静だ!」

 

拳を振り上げて二人を黙らせようとするバルクホルン。そんな彼女を見てクリスはふふっと笑った。

 

「お姉ちゃん……なんだか楽しそう」

「そうだなー、ここにいるガロードと宮藤が来てから変わったよなトゥルーデ」

「宮藤……?」

 

クリスは初めて聞く名前に頭を傾げ、エーリカはそんな彼女に補足を加える。

 

「入ったばかりの新人さ、そう言えばガロードが来たのも同じ時期だったな」

「そんなこともあったなあ……もう大分昔の事に感じるぜ」

「宮藤さんかー、私友達になれるかな?」

「きっとなれるさ、お前達少し似ているし……でもお前の方が何倍も美人だがな!」

 

 

 

そんな感じで和気藹々と過ごすうちに、あっという間に帰る時間がやってきて、ガロード達は外に止めてあった車の元に戻ってきた。

 

「いやー楽しかったな、俺質問攻めに遭っちゃったよ」

「まあ昔っから私達の周りって同年代の男の知り合い少なかったからねー、珍しかったんでしょ」

「ん……?」

 

するとそこに、伸ばした白い眉毛で目が隠れていて、口元も白いひげで隠れている生まれたてのヤギみたいな老人が近づいてきた。

 

「そ、そ、そこのお若い方〜」

「お、おいおい大丈夫かじいさん?」

 

あまりにもおぼつかない老人の足取りに、ガロードは思わず手を貸そうとする。

 

「おっとっと!」

 

すると案の定老人は前のめりに転びそうになる……のだが、何故か老人はガロードを避けるように後ろにいたエーリカのうっすい胸に飛び込んだ。

 

「だ、大丈夫おじいさん?」

「ああ……優しいのうお嬢さん(チッ、目測を誤ったか、どうせなら後ろの子のデカイ胸に飛びこみたかったのに)」

「じいさんなんか言ったか?」

 

ガロードはその老人の怪しい一言といやらしい眼つきを見逃さなかった。すると老人はすぐさま弱々しい雰囲気に戻った。

 

「何もいっとらんよ〜? それより貴女方、この手紙が風でこの車から飛んでいくのを見て回収したんじゃが……」

「手紙?」

 

バルクホルンは老人から差し出された手紙を受け取る。

 

「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ……ミーナ宛の手紙だ」

「どうして私達の車に……とりあえずありがとうおじいさん」

 

エーリカ達はそう言って老人にお礼を言い車に向かって行く。

 

 

「ガロード・ラン」

 

その時、老人は後ろを歩いていたガロードを呼びとめた。

 

「……!? アンタどうして俺の名前を!?」

「まあそう警戒なさるな、ワシはお前さんの味方じゃ」

 

老人は伸ばした眉毛の隙間から覗かせるエメラルドグリーンの瞳で、ガロードの瞳をじっと見つめる。

 

「ガロード……お前さんはそのうち、信じられないほど過酷な真実に遭遇するじゃろう、だが負けてはならんぞ、お前さんにはこの世界とお前さんの世界でできた仲間がいるんじゃからな」

「……? それってどういう……?」

 

その時、老人のすぐ傍を美人が通り過ぎた。

 

「お! そ、そこのお嬢さん! ワシと一緒にお茶でもどう〜!?」

「え!? きゃー何このジジイ!?」

 

老人はそのまま驚いて逃げる美人を追いかけていった、先ほどのよぼよぼな足取りとはうって変わってとても軽快なステップで。

 

「な、なんだったんだあのじいさん……?」

「おーいガロード! 置いてくぞー!」

「お、おうー!」

 

ガロードは謎の老人に首を傾げながらも、エーリカに呼ばれて車の元に走っていった……。

 

 

一時間後、基地に戻ってきたガロード達は先程受け取った手紙を執務室にいたミーナと美緒に見せた。

 

「悪いが先に中身を見させてもらったぞ」

「なんて書いてあったんだ?」

「『深入りは禁物、これ以上知りすぎるな』……だってさ、二人とも何したの?」

「悪いが我々は何もしていない、しいていえばネウロイの事を調べていただけだ」

 

ガロードの質問に、美緒は淡々と答える。

 

「では何故こんなものが……?」

「もしかしてさー、そのネウロイ関係でなんか調べられたら不味い事でもあるんじゃない? その手紙の送り主?」

「おお! ガロードあったまいいー!」

「いやー、それほどでも! んで……差出人に心当たりは?」

 

ガロードはエーリカに褒められて照れ笑いを浮かべた後、すぐに表情を引き締めてミーナと美緒に質問する。

 

「心当たりがありすぎるぐらいだ、が……こんな品の無い真似をする奴の見当はつく、あの男はこの戦いの核心に触れる何かをすでに握っている、私達はそれに触れたんだ」

「あの男……?」

 

その場にいた人間すべてが美緒の方を向く。

 

「トレヴァー・マロニー……空軍大将さ」

「ああ、あの人か」

 

ガロードはこの世界に来たばかりの頃、その男にDXの事をしつこく聞かれた事を思い出した。

 

「とにかく……この件は私達に任せて、他の隊員達にもあまり軽々しく喋らないように」

 

 

 

数分後、執務室を出てバルクホルンらと別れたガロードは、今後の自分の身の振り方について考え始めた。

 

(さて、向こうもそろそろ本腰を入れてDXを手に入れてこようとするだろうな……そろそろこの基地ともオサバラするかなあ)

 

ガロードは思考を巡らせながら、格納庫に歩みを進める。

 

(問題はDXをどうするかだ、いまだに元の世界に帰る方法が見つからないし、このままここに置いといてもあのマロニーって人は戦争に利用するだろうし……ここの月には“アレ”がないとはいえ、万が一使われたりしたら大変な事になるだろうしな……)

 

ガロードはいまだにミーナ達の上司である軍上層部の事を信用していなかった、彼は私利私欲のために戦争を起こした自分の世界の大人達とこの世界のマロニー達を重ね合わせていた。

 

(でも逃げたあとどうする? 寝床は無いし補給も出来ないし……いっその事DXをバラして売っちゃうか?)

 

 

そうこう考えているうちに、ガロードは格納庫にやってきた、するとそこで……ストライカーユニットを履いて出撃しようとしている芳佳とペリーヌを発見する。

 

「ん? おーいお前らどうしたんだ? 今日ってストライカーの訓練が無い日じゃ……」

「あ、ガロード君……」

 

芳佳はガロードの姿を確認するやいなや、少し気恥ずかしそうに目を反らした。

 

「……? どうしたんだ芳佳? お前ここのところ変だぞ?」

「う、うん……なんでもない」

「宮藤さん、早く参りましょう」

 

するとペリーヌが二人の会話に割って入り、芳佳に出撃するよう促す。

 

「お、おいペリーヌ、どうなってんだよコレ?」

 

ガロードは状況を飲み込めず、とりあえずペリーヌを呼びとめた。

 

「実はワタクシ達……これから決闘を行いますの」

「決闘!?」

 

ペリーヌの想定外の返答に度肝を抜くガロード。

 

「ここ最近宮藤さんは生意気ですわ、坂本少佐と仲がよく、私を差し置いて左捻り込みをマスターして、最近はガロードさんに色目……コホン、そんなわけで先輩であるワタクシが一度喝を入れてあげようかと……」

 

最後の言葉を言いかける前に飲み込み、軽く咳払いをするペリーヌ、そして彼女はある事を思いついた。

 

「そうですわガロードさん! アナタ決闘の立会人になっていただけます?」

「俺が……? べつにいいけど、暇だし……」

「決まりですわ、ではワタクシは先に参ります」

 

そう言ってペリーヌはストライカーを履いてそのまま空に飛び立って云った。

 

「さて……じゃあ俺もDX乗りますか」

「う、うん!」

 

 

 

それから数十分後、ガロードはDXに乗って、芳佳はストライカーユニットを履いてペリーヌのいる空域にやってきた。

 

「10秒以上後ろを取ったほうが勝ち、それならよいでしょう宮藤さん?」

「……」

 

芳佳はいまだに釈然としないといった感じで持っている銃器の安全装置の有無を確認した。

 

「うん、掛かってる……」

『大丈夫か二人とも? 怪我だけはすんなよ』

 

ガロードの問いに二人はコクリと頷くと、一斉に飛び出して決闘をスタートさせる。

 

 

「取りますわよ……!」

「……!」

 

まずはペリーヌが低高度から上昇して芳佳の背後を取ろうとする、しかし芳佳もペリーヌの存在に気が付き振り切ろうとする。

 

「あん! まったくもう……ちょこまかちょこまかと!」

 

 

 

その二人の戦いを見ていたガロードは素直に感心していた。

 

(すげえなあ芳佳、新人だってのにニュータイプみたいな動きしやがる……元から才能があるのかもなあ)

 

 

その時、辺りにネウロイ襲撃を告げるサイレンが鳴り響いた。

 

「警報……!? ネウロイか!?」

 

ガロードと芳佳、ペリーヌは一斉に基地の方角を見た……。

 

 

 

数分後、三人は先行してネウロイが出現した空域に向かっていた。

 

『もっさんとミーナさんには連絡入れといた! すぐに向かうってよ!』

「わかりましたわ!」

 

ふと、ガロードは先日の美緒との会話を思い出す。

 

(そう言えばもっさん、この前魔力が無くなりかけているって言ってたけど大丈夫なのか。……? それっぽい現象ちょくちょく見てるし……)

 

その時、突如芳佳がガロード達の前にでた。

 

「……!? 宮藤さん! 一体何を!?」

「このまま待ってても逃げられちゃう……! 先に行って足止めしてきます!」

「ちょ! 自分勝手に行動するのもいいかげんに……!」

 

芳佳は止めようとするペリーヌを振り切ってネウロイの出現地点に向かって行った。

 

『しょうがねえ……! 俺が芳佳のフォローに向かうからペリーヌはここでミーナさん達と合流してくれ!』

「が、ガロードさんまで!? まったくもう!」

 

そのまま置いて行かれたペリーヌは、勝手に行動する二人に憤慨した……。

 

 

 

 

 

数分後、芳佳と後から追いかけてきたガロードは全長1mほどのネウロイを発見する。

 

『あれか……? 随分と小さいな』

「これなら私一人で倒せるかも……よし!」

 

そう言って芳佳は銃の標準をネウロイに定め、そのまま引き金を引く……が、弾が発射されることはなかった。

 

『芳佳! 安全装置!』

「あ!」

 

芳佳はガロードに言われて慌てて安全装置を外そうとするが、少しもたついてしまう、するとそれを見ていたネウロイがグニャリと変形を始めた。

 

『ん? なんだあいつ……』

 

そしてネウロイはそのまま芳佳の隣に向かって行き、そのまま黒い人間の姿に変形した。

 

『……!? ネウロイが人に!?』

「え? きゃ!?」

 

芳佳は隣で自分と並ぶように飛んでいるネウロイに気付き驚愕する。

 

「ね、ネウロイがどうして人の姿に……?」

『まさかこの前のサーニャの歌みたいに人間の真似をしているのか……?』

 

すると人型ネウロイはダンスを踊る様に芳佳の周りをぐるぐると飛びまわった。

 

(まるで人間みたいだ……)

 

ガロードは人型ネウロイから敵意が感じられず、攻撃しようという思考に辿り着かなかった。

そして人型ネウロイは両手を広げ、芳佳に近づこうとする。

 

「え!? ちょ! ちょっとまって〜!」

 

芳佳は思わず両手を前に突き出す、すると人型ネウロイは芳佳から1,2mほどの距離を保って停止した。

 

「あ、あれ……?」

 

芳佳はネウロイの行動に拍子抜けしながらも、意を決してネウロイに語りかけた。

 

「は……初めまして、あなたは誰なの……ってネウロイっていうのは判っているんだけど……」

 

するとガロードも芳佳の真似をして人型ネウロイに話しかける。

 

『お、俺ガロード! お前ら一体何者なんだ!? 俺達の敵なのか!?』

 

するとネウロイはDXに近づいて行き、DXの顔のエメラルドグリーンの瞳をじっと見つめる。

 

『……?』

 

ガロードは思わずDXの手でネウロイを包もうとする、するとネウロイはまるで蝶のようにDXの手からすり抜けていった。

 

『あ、あれ?』

「あはははは、嫌われちゃったね……あれ?」

 

芳佳はガロードとネウロイのやり取りを見て笑っている自分自身に驚く、そして意を決して、先ほどガロードがした質問を自分でしてみる。

 

「ねえ……あなた達は本当に私達の敵なの?」

 

するとネウロイは自分の胸を開き、その中にあった自分のコアを見せる。

 

「これは……」

 

芳佳は思わず手を伸ばす、まるで触れる事により何かが判るのか知っているように……。

 

 

その時、突如上空からビームの雨が降り注ぎ、芳佳とガロード……そしてネウロイを襲った。

 

「!! 何!?」

『あいつは……!?』

 

ガロードはビームが放たれた方角を見る、するとそこには先日からガロード達にちょっかいを掛けてくる仮面のウィッチがいた。

 

「またあのウィッチ!?」

『くそ! 何なんだよお前!? 一体何が目的で……!』

 

すると一緒に襲われた人型ネウロイはコアをしまうと、両手から仮面のウィッチに向かってビームを放った。

 

「……!」

 

仮面のウィッチはそれをかろうじて回避する、すると人型ネウロイはそのまま仮面のウィッチに向かって飛んで行った。

 

「あ、あなた……!」

 

仮面のウィッチと人型ネウロイは芳佳達より少し高い高度で激しい空中戦を繰り広げる、それを芳佳とガロードはただただ呆然と見つめていた。

 

『あのネウロイ……俺達を助けてくれるのか?』

「どうして……!?」

 

「くっ……!」

 

仮面のウィッチは人型ネウロイに追いかけられながら、不利な状況を打開するため一気に後ろを向いてビームライフルを構える、しかしネウロイはその振り向いた瞬間を狙ってビームを放った。

 

「っ……!」

 

仮面のウィッチは顔面に向かって発射されるビームを身を捻って回避しようとする……が、コンマ1秒ほど反応が遅れてしまい、顔につけていた仮面を落とされてしまった。

 

「当たった!?」

『あれは……!』

 

その様子を見ていた芳佳とガロードは、仮面のウィッチの素顔を見ようと彼女に注目する。

 

 

仮面が取れたウィッチはリボンで一本にまとめた長い髪をなびかせながら、その素顔を芳佳とガロード達の前に晒した。

 

『っっっっっ!!!?』

 

ガロードは謎のウィッチの素顔を見た途端、全身を何かハンマーのようなもので打ち付けられたような衝撃に襲われた。

 

 

 

 

 

―――お前さんはそのうち、信じられないほど過酷な真実に遭遇するじゃろう―――

 

 

 

 

 

先程出会った老人の言葉がガロードの脳裏によぎる、彼の言った“過酷な真実”が、今彼の目の前に存在していた。

 

『あ……あ……』

「ガロード君、私はどっちに加勢したらいいんだろう……ガロード君?」

 

芳佳はその時になって初めてガロードの様子に気付く。

 

「ど、どうしたのガロード君?」

『あ……な、なんで……』

 

するとネウロイは最後のトドメにと、両手のビームを仮面のウィッチに向けて放った。

 

『っっ!!! やめろおおおおおお!!!!!』

 

するとガロードは尋常じゃない程の反応速度でネウロイと謎のウィッチの間に割って入り、DXを盾にビームから謎のウィッチを守った。

 

「ガロード君!? 何を……!」

『手を……出すな……!』

「え?」

 

ガロードは震える声で、ネウロイと芳佳に向かって叫んだ。

 

 

 

 

 

『ティファに……ティファに手を出すなあああああああああ!!!!!!』

 

謎のウィッチは正真正銘、彼が守ると約束したティファ・アディール本人だった。

 

 

 

 

 

「ティファ……?」

 

芳佳はガロードの行動と言っている事が判らず混乱していた。そして当のガロードはストライカーユニットを履いたティファの方を見る。

 

『ティファ! 俺だ! ガロード……ガロード・ランだ! 判るだろおい!』

「ガロ……ド……」

 

ガロードの言葉を聞き、ティファはピタッと動きを止める。

 

『そうだティファ! なんでこんな事になったのかさっぱりだけど、俺達が戦うことは……!』

 

―――キィィィィン!

 

「う、うわあああああ!!!」

 

するとティファは突然胸を押さえて苦しみ出しそのままビームライフルの銃口をDXに向けて引き金を引いた。

 

『ティ、ティファあああああ!!!?』

 

ビームの直撃を受けながらもティファに迫るガロード。

 

「う、うううう……!」

 

するとティファは苦しみながらもガロードから距離を取る。

 

『なんで逃げるんだティファ!? ティファあああああ!!!』

「ちょ! ガロード君落ち着いて!」

 

芳佳はガロードの取り乱しように少し戸惑いながらも彼を宥めようとする。

 

 

「宮藤! ガロード!」

 

するとそこに美緒、ペリーヌ、リーネ、バルクホルン、エーリカ、シャーリー、ルッキーニがやってきた。

 

「さ、坂本さん……!」

「あ! あの時のウィッチ! あんな顔していたんだ!」

「ちょうどいい……ふん捕まえて正体を暴いてやる!」

 

そう言ってルッキーニとシャーリーがティファの元に向かおうとするが……。

 

『待ってくれえええええ!!!』

 

彼女達の目の前にDXが立ちふさがる。

 

「どわ!? なんだよガロード!?」

『お願いだからティファを傷つけないでくれー!!』

「ティファ? ガロードあの子と知り合いなの?」

 

「……戦況は不利……一時帰還します……」

 

するとティファは現れた美緒達を見てその場を高速で去っていった。

 

「あ! アイツ逃げ『ま、待ってくれティファァァー!!!』

 

エーリカの言葉を遮ってティファを追おうとするガロード、しかしティファは雲の中に入って姿をくらましてしまった。

 

『そ、そんな……ティファ! ティファァァァァ!』

「さっきからティファティファうるさいぞ! なんだというのだ一体!?」

 

ガロードのあまりの取り乱しように呆れるバルクホルン。

 

 

 

「……」

 

するとネウロイもそのまま芳佳達の元から去って行く。

 

「あ! 待って!」

 

芳佳はネウロイを追おうとするが、追いつけず見失ってしまった。

 

『ティファ……どうして……』

 

仮面のウィッチの正体がティファだったという事実に打ちのめされるガロード、そんな彼を心配そうに見つめるウィッチ達。

 

「……とにかく基地に帰還するぞ、話は帰ってから聞こう」

「は、はい……」

『ティファ……』

 

そして芳佳とガロードは美緒の言葉に素直に従い、基地に帰還していった……。

 

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〜あとがき〜

某所でティファや種キャラが魔導士になるSSがあって、じゃあウィッチになるSSもありかなと思って書いた物です。

 

でもここでも叩かれそうだなあ……。

説明
第九話です。

某所でこれ投稿した時はめちゃくちゃ叩かれました……。
オリジナル要素が滅茶苦茶濃い話になってます。
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コメント
>>COMBAT02さん:いやあ、そう言っていただけると嬉しいです。 >> FDPさん 計画通り……!(嘘)(okura)
僕は好きですよwwこういった展開www続きが気になりますwwww(COMBAT02)
展開が・・・・! 展開があああ!!!      読めねええええ!!!!!!(FDP)
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