サテライトウィッチーズ 第十話 |
第十話「信じてくれ!」
人型ネウロイと仮面のウィッチ……ティファとの戦いから戻ってきたガロードは、すぐさま自分の部屋に閉じこもってしまった。
「ガロード、一体どうしたんだろう……?」
「あのウィッチ、知り合いだったのかな……?」
ガロードの部屋の前ではシャーリーとルッキーニ、そしてエイラとサーニャが彼の様子を見に集まっていた。
「ガロード君、あの子の事ティファって呼んでいた」
「何が何だか私にはサッパリだ、でも……大切な子なんだなぁとは思う」
「だよなあ……はあ……」
そう言ってルッキーニを除く三人は深くため息をついた。
一方ガロードは部屋の隅であれこれと思考を巡らせていた。
(どうして!? どうしてティファがウィッチに!? なんで俺や芳佳を攻撃したんだ……! 訳が判らねえよ……!)
ガロードは頭をぐしゃぐしゃと掻きながらベッドの上でのた打ち回っていた。そこに……。
「くぅーん……」
兼定が不安そうな顔でガロードの元に近寄ってきた。
「兼定……?」
ガロードはベッドにとび乗ってきた兼定を撫でる、すると不思議と心に落ち着きを取り戻してきた。
「……そうだな、ここでジタバタ悩んでもしょうがないか、まずはどうしてこうなったのか調べないと……」
そう言ってガロードはこれまでの事を頭の中で整理し始めた。
(これまでティファは三回、俺達の前に現れた、一回目はサーニャとエイラ、芳佳と一緒の時、二回目は皆といた時、三回目は……芳佳と一緒の時か、三回とも俺と芳佳がいた時に来たのか……俺とあいつに何かあるのか?)
そしてガロードは次に先程遭遇した人型ネウロイの事を思い出す。
(あのネウロイ、芳佳に何か伝えようとしていたのかな? ちょっと相談してみるか……)
ガロードは意を決っして兼定と一緒に芳佳に会いに部屋を出る、するとそこでシャーリー達と遭遇する。
「あ! ガロード出てきた!」
「悪い、でも俺はもう大丈夫だから、ところで芳佳は?」
「あいつは今謹慎中だよ」
「ええ!? なんで!?」
エイラの思いがけない答えに、ガロードは思わず彼女に詰め寄る、すると代わりにサーニャが答えた。
「宮藤さん……指示なしで勝手にネウロイと戦ったから軍紀違反で……」
「そうだったのか、まったく軍っていうのは融通が利かないんだよなあ」
するとシャーリーとエイラは同意するようにうんうんと頷いた。
「よし、それじゃ俺……芳佳と話があるから行くな、心配してくれてありがとさん」
ガロードは四人にお礼を言うとそのまま去っていった。
その時、サーニャがハッとある事を思い出した。
「あ、ティファって誰なのか聞くの忘れてた……」
「まあそのうちわかるだろ」
数分後、ガロードは芳佳のいる独房の前にやってきた。しかし……。
「あれ? 誰もいない……」
独房はもぬけの殻になっていた。
「ここじゃないのか? まさか……」
「わん!」
すると兼定は「ついてこい!」と言いたげに吠えて格納庫の方に向かっていった。
「あ! 待てよ兼定!」
ガロードは走っていく兼定を追いかけていく。
そして数分後、ガロードと兼定は格納庫に辿り着く、するとそこには……。
「あ……ガロード君?」
「どうしてここに……?」
ストライカーユニットを履いた芳佳と、それを見送ろうとするリーネがいた。
「お前……謹慎してなきゃいけないんじゃなかったのかよ?」
「そ、それは……」
ガロードの質問に対し答えようとするリーネ、そんな彼女を芳佳は手で制する。
「……私、あのネウロイにもう一度会って確かめたいの、あのネウロイ……私に何か伝えようとしていたから……」
「いいのかよ? 下手したら銃殺刑モノだぜ?」
「……」
ガロードの質問に、芳佳は決意に満ちた表情で無言で頷いた。
「そっか……んじゃさ、俺にいい考えがあるんだ」
「「いい考え?」」
ガロードは悪い事を考えているような笑顔で芳佳とリーネに自分のある考えを話した……。
数分後、501の基地全体に緊急事態を告げる警報が鳴り響いた。
「DXが……ガロード君が脱走した!?」
「は、はい……芳佳ちゃんと兼定を人質に“身の危険を感じてきたから脱走するぜ!”って言って……ネウロイの巣に向かっているみたいです」
ブリーフィングルームでリーネの報告を聞いていたミーナ達は度肝を抜いていた。
「はっはっは! ガロードめ……大それたことをする!」
「笑いごとじゃないぞ少佐! 急いで追撃隊の編成を……」
いつものように豪快に笑う美緒を諌めるバルクホルン、その時指令室にある電話が鳴り響き、ミーナが受話器をとった。
「はいこちら501……閣下? はい……ですが……いえ、了解しました」
ミーナは通話を終えて受話器を置くと、隊員達に指令を出した。
「先程司令部からDXを捕獲せよと指令があったわ、中のパイロットと人質の生死は問わないそうよ」
「な、なんですって!?」
「穏やかじゃないね……!」
司令部の対応の速さと指令の内容に驚くペリーヌとエーリカ、他の隊員達も同じような反応をしていた。
「対応が早すぎるな、まるで内部にこちらの情報を流している者がいるみたいだな」
「今はそんな事を考えている暇はないわ、上層部も援軍を出してくれるみたい……とにかく出撃するわよ!」
一方その頃海上では、DXが人型ネウロイが現れた空域に向かっていた。
「ガロード君ごめんね……私のわがままに付き合わせちゃって」
「いいんだよ、そろそろ基地から出ていかなきゃなーとは思っていたし、あのネウロイも気になるし、あのままお前を出撃させていたら後々大変だったろう?」
“芳佳はガロードの人質になっている”というのはガロードが芳佳に罪を被せない為にリーネに言わせた嘘だった、もしあのまま芳佳だけを行かせたら軍の法律で重い罪に被せられてしまう……なら基地を去るつもりの自分がすべての罪を被ろうと考えていたのだ。
「ワン!」
「兼定も付いて来ちゃったね……」
「こいついつの間に潜り込んでいるんだもんな〜!」
そしてDXでしばらく飛んだ後、芳佳はある疑問をガロードにぶつける。
「ねえガロード君、あの仮面のウィッチ……ティファっていったい誰なの?」
「ティファか……あの子は俺の大切な子さ」
きっぱりと言い放つガロード、そんな彼を見て芳佳は質問を続ける。
「大切って……どのくらい?」
「どのくらい……そうだなあ、ずっと一緒にいるって約束したぐらいかな、俺はティファの為ならなんだってできるぜ!」
「そう……なんだ……」
芳佳は胸がちくちく痛むのを感じながら、ガロードの話に耳を傾け続けた。一方のガロードは嬉しそうにティファの話を続けていたが、急に暗い顔をする。
「それなのにどうしてティファは俺や皆を……ティファは確かに色んな奴に狙われるような特別な力を持っているけど、あんな風に武器を持って戦う子じゃないんだ! 一体誰がティファをあんな風に!」
自然とレバーを握るガロードの手に力が入る。
「……行こう、あのネウロイはガロード君にも何か伝えようとしていた……!」
「ああ、確かめに行くぞ……!」
「わん!」
それから数分後、DXは人型ネウロイが出現した空域に辿り着いた。
「ここか……」
「あ! 見てガロード君!」
すると芳佳はモニターに映る人型ネウロイの姿を発見する。
『……』
人型ネウロイはDXの目の前でホバリングすると、ふっと背中を向けて移動を始める。
「ついてこい……って言っているのかな?」
「とりあえず行こうぜ」
ガロードは迷うことなくDXでネウロイの後を付いて行った。
その前方には巨大な渦のような黒い雲がそびえていた。
「あれは……!?」
「ネウロイの巣だよ!」
そしてDXはネウロイに案内されながら巣の中に真下から入って行った……。
「うわあ……まるで雲の廊下だぁ」
巣の中を進みながら芳佳は場違いな事を言っていた。そしてDXは巣の中心に到達し、そのまま光に包まれた。
「っ!? ここは……」
ガロード達が辺りを見回すと、DXの目の前にネウロイが透明な十二面体をバックに立っている事に気付く。
「これは……?」
「教えてくれ! お前は一体俺達に何を伝えようとしているんだ!?」
するとDXの目の前にいくつものスクリーンが展開され、そのすべてに青い地球が映し出されていた。
「地球……?」
するとスクリーンの一つの画面が、空から突然現れ街を火の海にするネウロイと、それを迎撃している美緒を映し出していた。
「坂本さん!?」
思わず芳佳が声を掛ける、すると画面は今度は墜落したネウロイのコアを、それを取り囲む研究者らしき者達の様子を映し出した。
「ネウロイの……破片?」
次に画面は研究室らしき場所を映し出す、そこにはぼんやりと人型の機械が置かれているのがわかる。
「ネウロイの破片とロボット……どういう関係なんだろう?」
「なあネウロイ! お前はティファがあんな風になった原因を知っているのか!?」
ガロードの問いに応えるように、今度は隣にあったスクリーンがある様子を映し出す。
「なんだこれ……? 島?」
スクリーンには禍々しい触手を大地に植えつけていた浮遊島らしき巨大な物体が、空に出現した黒い渦に飲み込まれる様子が映し出されていた。
「な、なんかすげえ状況だな……」
「下に人がいるけど……大丈夫なのかな?」
そして浮遊島は黒い渦に完全に飲み込まれる、するとそこから20個の光が空へ飛び散って行った。
「……? 何か飛び散ったね」
「石……か?」
モニターは次に、ガロードが戦っていた月面での地球軍と革命軍の様子を映し出していた。
「これは……!」
「あそこで戦っているの……DXだよね!?」
芳佳はヴァウサーゴとアシュタロンとサテライトキャノンを撃ちあっている様子を見て目を見開く。
「どうしてお前達があの戦いを……!?」
スクリーンは次に戦闘が終わりMSや戦艦の残骸が浮かぶ宇宙を映し出す、するとそこに一隻の白い戦艦が現れた。
「フリーデン……!」
「え? ガロード君あの戦艦と知り合いなの?」
「知り合いも何もあそこにティファが乗って……!?」
その時、フリーデンは突然出現した黒い渦に飲み込まれ、その場から姿を消した。
「フリーデンが……消えた!?」
次にスクリーンは巨大な試験管のようなものに入れられたティファと、先ほど浮遊島から飛び散った宝石を持ったガロードと同い年ぐらいの少年が映し出されていた。
「ティファ……!? おいお前ティファに何するんだ!? やめろ!」
「が、ガロード君、多分聞こえてないよ……」
少年は妖しく微笑むと、手に持った宝石をティファの体の中に入れてしまった。
「あいつが……! あいつがティファをウィッチに!!」
「あれ……?」
激怒するガロードの隣で芳佳は、ティファの後ろにいくつものネウロイのコアが試験管の中に収められていた。
(あんなに沢山のコアが……あの人が捕まえたのかな?)
そしてスクリーンが消え、再びネウロイがDXの前に立った。
「何にせよありがとう、おかげで色んな事が判った」
ガロードは自分達をここまで導いてくれたネウロイにお礼を言う。
『……!』
するとネウロイは何かを察知してその場から消え去ってしまった。
「! どこへいくの!?」
「外で何かあったのか……!?」
数分後、DXが外に出るとそこには美緒達ウィッチ、海上には赤城を始めとした扶桑海軍がネウロイの巣を取り囲んでいた。
「坂本さん!? 皆!?」
『ガロード、聞こえるか?』
DXのコックピットに美緒から通信が入る。
「もっさん、これは一体どういうこった?」
『上層部がお前“達”を敵性勢力として排除いろと命令してきた、ただし……DXだけはなるべく無傷で回収しろとな』
「……色々と無茶苦茶だな、もっさんどころか扶桑海軍まで引っ張り出すなんて」
「坂本さん聞いてください! あのネウロイは……!」
その時、ガロードと美緒達の通信に割って入ってくる者が現れた。
『坂本少佐、裏切り者に何を躊躇っている、早く攻撃を始めるんだ』
『マロニー中将!? しかし……!』
(マロニー……あいつか)
ガロードはこの包囲網がマロニーの指示だという事が判り歯ぎしりする。
『やつらは我々を裏切り、誰も入る事が出来なかったネウロイの巣に丁重に案内されながら入ったのだ……いわば人類の敵になったのだ、躊躇わずに攻撃するんだ!』
「そんな! 私達そんなつもりじゃ……!」
「よせ芳佳、何を言っても無駄だ」
弁明しようとする芳佳をガロードは手で制する。彼は無茶苦茶な理由で自分達を攻撃しようとするマロニーに何を言っても無駄だと思ったのだ。
「で、でもガロード! このままじゃ私達……!」
「とりあえずここから逃げるぞ、まあ俺に任せておけ」
そう言ってガロードは芳佳にウィンクすると、美緒達に向かって大声で叫んだ。
『おいお前ら! そんな事言っていいのか〜? このDXにはお前らを一気に吹き飛ばすほどのおっそろしい兵器が搭載されているんだ!』
『何!? 聞いてないぞそんなの!?』
初めて聞くDXの秘密に美緒を始めとしたウィッチの殆どの面々は動揺する。しかしその中でミーナは冷静に判断を下していた。
『落ち着いて皆、ガロード君のはったりって可能性だってあるのよ?』
しかしそれもガロードの計算のうちだった。
『どうかな? そんな事言うと本当に撃っちゃうよ!』
そういってガロードはDXの背中の翼を可変させ、二本のキャノンの銃口をウィッチ達や扶桑海軍に向ける。
『変形した……!? まさか本当に!?』
「判ったら俺達をこのまま逃がしてくれ、一緒に戦った仲間を撃ちたくないからな」
すると芳佳がガロードに小声で話しかける。
(ガロード君!? まさか本当に……!?)
(安心しろ、脅しだ脅し、第一サテライトキャノンは……)
だがその時、マロニーの口から予想外の言葉が放たれた。
『その兵器は……マイクロウェーブを受けないと撃てないのではないのかね?』
「!!!!?」
「マイクロウェーブ?」
ガロードはこの世界では自分しか知らない筈の事実をマロニーが知っている事に驚愕する。
「な、なんでアンタがその事を……!?」
『ふん! 見くびってもらっては困る……今から我々の力を見せよう!』
するとウィッチ達の遥か後方から三つの戦闘機らしきものが高速で接近してくる。
「うわ! なんだ!?」
「今のは……!?」
美緒達は自分達の横を通り過ぎて行った戦闘機に驚愕する。そして三つの戦闘機はそれぞれ人型に変形し、両腕を胸で合わせて赤いビームを一斉に発射した。
「うわあ!」
「きゃ!」
赤いビームのうち一つは隣にいた人型ネウロイを消滅させ、もう二つはDXの足と腕に直撃した。
「あのネウロイが!」
「な、なんだあのスピード……!?」
『はっはっは! 見たか我々のウォーロックの力は!? 大人しくDXを引き渡せば命は取らないでやるぞ……!』
マロニーはガロードを脅迫しながらウォーロック三機にDXを包囲させる。
「が、ガロード君……!」
「大丈夫だ芳佳、俺を信じてくれ……! ここで死ぬつもりも死なせるつもりはない!」
ガロードは覚悟を決めてバスターライフルのビームをウォーロックの一つに向けて発射する、しかし狙われたウォーロックは凄まじい機動力で回避し、他の二機と共にDXに反撃し始めた。
「うわっとと!!? 掴まれ芳佳!」
「うん!」
ガロードはウォーロック三機の攻撃を逃げるように回避し、そのままそこから逃げようとする……しかしウォーロックは猛スピードでDXの背後をぴたりとくっついて離れなかった。
「くそ!」
逃げながらバスターライフルで反撃するも回避されてしまい、ガロードの心の中に自然と焦りが見えてきた。
「ガロード君……!」
「このままじゃヤバい……! まだティファも取り戻していないのに……!」
一方DXとウォーロックとの戦いを見守っていた美緒達は、自分達はどうすればいいか迷いに迷っていた。
『どうしたミーナ中佐? 早く君達も加勢に向かいたまえ!』
「で、ですが中将……!」
『元はと言えば君があの裏切り者を野放しにしていたからこんな事になったのだぞ? 尻拭いは君達でしたまえ』
「くっ……!」
マロニーの言うことは軍人としては正しいのだろう、しかしミーナはその命令に素直に従うことが出来なかった。
「ミーナ! 我々は……!」
「ガロード君と宮藤さんと戦うなんて、そんな……!」
「あれ?」
その時、エーリカはDXの後ろから何かが接近してくる事に気付く。
「ん? どうしたハルトマン?」
「向こうから何か近付いてくるよ! 青いのと赤いのと白いの!」
「まさかまたウォーロック? それともネウロイ?」
「いや……あれは!?」
するとDXのコックピットに新たな通信が入る。
『ガロード! 高度を下げてください!』
「!!」
ガロードはその声に反射的に反応してDXの高度を下げた。
するとウォーロック三機に向かってビームやミサイル、銃弾の雨が降り注いだ。
「今の攻撃は!?」
「まさか……!」
ガロードは攻撃が来た方角を見る、そこには彼がよく知っている三機のMSの姿があった。
「エアマスター! レオパルド! ベルティゴ!」
『おらおら! スピードならエアマスターも負けてねえぜ!』
可変型MSであるガンダムエアマスターバーストのパイロット、ウィッツ・スーは可変して攻撃から逃げようとしたウォーロックを猛スピードで追撃し、ノーズビームキャノンでエンジン部分を破壊し墜落させる。
『いけ! ビット!』
カリス・ノーティラスが駆るニュータイプ専用MS……ベルティゴは、残り二機に対してビットを放出し、四方からビームを浴びせそのうち一機を撃墜する。
「な、何あれ……!」
「DXと色が違うけど……顔は似てるね!」
「感心している場合か! アレは一体……」
ミーナや美緒は突然現れた三機の巨人に動揺し、逆にルッキーニは興奮気味に喜んでいた。するとミーナの元に再びマロニーから通信が入る。
『な、何をしている! 君達もウォーロックと共に戦うんだ!』
「で、ですが……」
DXと同等、もしくはそれ以上の戦闘力を持っているかもしれない巨人と戦うのはあまりにも分が悪く、ミーナは先程以上に戦う事を躊躇っていた。
そしてそうこうしているうちに、海上にいた扶桑海軍がDXらに向かって砲撃を始めた。
「ふ、扶桑海軍まで攻撃してきた!?」
芳佳はDXの中でかつて味方だった者達からの攻撃が激しくなっていく事に動揺する。するとGファルコンと合体しているレオパルドデストロイから通信が入ってきた。
『おいおいガロード、ティファというものがありながら彼女連れか?』
「ロアビィ……ティファが……」
『おっと、詳しい話は後にして、そろそろフリーデンに逃げるぞ』
そう言ってレオパルドに乗るロアビィ・ロイは扶桑艦隊やウィッチ達の手前に向かってミサイルやビーム、ガトリングの弾をありったけ撃ち込み、巨大な水しぶきを上げさせる。
『よし! 逃げるぞガロード!』
「皆……!」
「リーネちゃん、坂本さん、皆……」
ガロードと芳佳は美緒達ウィッチを一瞥した後、ウィッツ達と共にその場から去っていった……。
「ふにゃー!!? ちべたー!!?」
「目くらましか!?」
「海軍の人達も船の制御が出来ないみたいですわね……!」
リーネらウィッチ達は波に揺られて舵が効かなくなっている扶桑海軍の艦隊を見ながら、高速で去っていくDXらを見送った。
数分後、ガロードは久しぶりに再会したウィッツ達に色々と通信で質問していた。
「ウィッツ、ロアビィ、パーラ、カリス……お前達もこの世界に来ていたんだな」
『俺らだけじゃねえよ、フリーデンの皆全員がここに来ている、ティファを除いてな……』
『僕達は数週間前、この世界のアフリカ大陸にいつの間にか来ていたんです、そして現地のウィッチの部隊にガロードと501の事を聞いてここに来たんです』
『驚いたぜ〜! DXの反応を見つけたと思ったらお前ら軍に取り囲まれているんだもん!』
「そうだったのか……ありがとう皆」
久しぶりに仲間達と話し、ガロードの顔は自然と綻んでいた。するとそんな彼に芳佳は話しかける。
「ガロード君、この人達は一体……?」
「こいつら? こいつらは……」
するとDXらの行く手に、白くて巨大な戦艦……フリーデンが見えてきた。
「お前らと同じで、俺の大切な仲間さ」
その頃501基地の司令室では、マロニーが先程の戦闘結果に不満を漏らしていた。
「なんということだ……! ウォーロックが三機もやられてしまうとは……!」
すると隣にいたマロニーの副官が彼を宥める。
「技術部はまだウォーロックは調整不足と言っていました。やはり早すぎたのでは……?」
「判っている、そもそもあの扶桑の小娘がネウロイと接触などしなければ、我々はこんなに早く動かなかったのだ、だがしかし……慌てることはない」
その時、彼の背後から一つの影が現れた。
「マロニー中将、ウォーロック小隊の戦闘配備、終了しました」
「うむ、中々の手際だ」
マロニーはそう言って外の滑走路を見る、そこにはざっと20機程のウォーロックが隊列を組んで並んでいた。
「いえいえ、僕達は“彼”からコアを預かってきただけですよ」
「いやいや、君達のおかげでウォーロックの量産が可能になったのだ……」
マロニーはそう言ってその謎の青年の方を向く。
「感謝しているぞ……オルバ・フロスト」
次回予告
共に戦ってきた仲間との離別、そしてかつての仲間達との再会を経て、ガロードはマロニー達の陰謀を阻止するため、そしてこの世界を守る為に再び戦場に赴く。
「この世界をお前達の好きにはさせない!」
自分が想いを寄せている人の、一番大切な人を救う為、芳佳は仲間達と共に叫ぶ。
「私達の声を聞いて! ティファちゃん!」
二人は戦う、自分達にできる事を一つずつ叶えながら、離さず、あきらめずに、信じ続けながら。
そして二人は仲間達と共に未来を作りだす、それが新たなる苦難の始まりだとしても。
最終話「DREAMS 〜みんなでできる事〜」
さあ飛ぼう! 光の翼を広げて!
次回で第一部最終回になります。
説明 | ||
第十話です、全員集合回。 | ||
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コメント | ||
>>FDPさん:ありがとうございます! いまちょこちょこ書いている最中です。(okura) 第二部もがんばって下さい!!!(FDP) |
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