サテライトウィッチーズ 最終話
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フリーデンに着艦しDXから降りたガロードを出迎えたのは、キッドら整備班の面々だった。

 

「ガロード! 生きてやがったかこのやろう!」

「たくぅ! 心配掛けさせやがって!」

「ははは……ただいま、皆!」

 

ガロードは手荒い祝福を受けながら、かつての居場所に帰ってきたことを心の中で噛み締めていた。

 

「が、ガロード君……」

「わん!」

 

するとガロードの背後から芳佳と兼定が声を掛けてくる。

 

「おっと、紹介が遅れて悪かったな、こいつはキッド、このフリーデンの整備を担当していて……」

「! おいおいガロード! ティファというものがありながらこんな可愛い子連れてんのか!? かぁ〜! この色男!」

 

キッドは芳佳の姿を見るや否や、肘でガロードの脇腹をつつく、いつものガロードならこれで反撃に転じるのだが、今回は少し違っており、少し思いつめた様子で俯いてしまう。

 

「ティファ……ティファは……」

「? どうした? ティファに何かあったのか?」

 

キッドら整備班達もガロードの深刻な様子に気づき顔を引き締める、するとそこにそれぞれのMSから降りてきたウィッツ、ロアビィ、パーラ、そしてカリスがやってきた。

 

「ガロード……どうやら君は僕たちと別れている間に色々あったようだね」

「ああ……」

「……とにかく私達とブリッジに行こう、そこの嬢ちゃん……えーっと」

「芳佳です、宮藤芳佳……この子は兼定です」

「ワンワン!」

「よっしゃ芳佳、あんたも一緒にブリッジに来てくれ、案内するからさ」

 

 

数分後、ガロード達はウィッツらに案内されてブリッジにやってくる、そこには……。

 

「ガロード……よく無事だったな」

「まったく、皆心配していたのよ」

 

フリーデンの艦長ジャミル、副長のサラ、オペレーターのトニヤ、操舵手のシンゴ、そして船医のテクス、そして先ほど出撃していなかったMS乗りのエニル……フリーデンの主要メンバー全員が欠けることなく揃っていた。

 

「ジャミル! それにみんな……また会えてうれしいよ! でもどうしてこの世界に?」

「月での戦いの後、お前を探してフリーデンで彷徨っていたら突然現れた黒い渦に巻き込まれてな……気が付いたらこの世界に来ていたのだ、壊れたはずのこのフリーデンTと一緒にな」

 

「大変だったのよ、現状を把握する前にあのネウロイとかいう怪物に襲われるわ、資材や食糧集めに苦労するわで……」

「そんな時アフリカでウィッチの加藤圭子っていう人に会って、その人に501の基地にいるガロードのことを教えて貰ったんだ」

「でももうすぐ501の基地に着くと思ったら、DXが軍隊に取り囲まれているのを見て……慌ててロアビィ達が助けに行ったのよ」

「そうだったのか……」

 

ジャミルとトニヤとシンゴとエニルの説明を受けてこれまでのことを頭の中で整理するガロード。そして今度はジャミルがガロードに質問する。

 

「ガロード……いったい何があったのだ? ティファは……」

「ティファは……」

 

 

 

ガロードはこれまでのことを順番に説明していった、成行きで芳佳達ストライクウィッチーズに協力した事、軍がDXを狙っている事、襲いかかってきた仮面のウィッチがティファだった事、ネウロイが人間の姿になってティファのことを教えてくれた事、芳佳と共に軍に敵として追われる身になってしまった事を……。

 

「ティファがウィッチに……!? しかもお前を攻撃しただと!?」

「呼びかけに反応したってことは、他人の空似じゃないのは確かだと思う……でも……」

 

するとフリーデンのメンバーの話を後ろで聞いていた芳佳が意見を言ってくる。

 

「ウィッチは魔力を持った子じゃないとなれないんです、ガロード君の話じゃティファちゃんって子は普通の女の子みたいですけど……」

「ニュータイプはフラッシュシステムを使えば特定の物を動かせる、しかし自分で空を飛ぶなんて聞いたことがないぞ……」

 

芳佳の話を聞いて、ジャミルは頬杖をついて悩み始める、するとガロードはあることを思い出した。

 

「そうだ……! あのネウロイが見せてくれた画像! ティファは体にネウロイのコアを取り込んでいた! まさかそれで……!?」

「魔女がいる世界だしね……そういう魔法もあるの?」

 

トニヤの質問に、芳佳は首を横に振る。

 

「私は知りません……もっと詳しい人なら知っているかも……」

「ふむ……とりあえず今後の行動方針が決まるまでこの場で待機しよう、何か決まり次第またここに集まってくれ」

 

一通り話を終え、ジャミルはガロードを休ませるため皆に一時解散を言い渡した……。

 

 

 

 

 

数分後、ガロードは芳佳を連れてフリーデンのレクリエーションルームにやってきた。

 

「お、ここも直っていたのか」

「ああ、誰がやってくれたかはわからないけど親切な人もいたもんだねえ」

 

カウンターにはロアビィがおり、ガロードと芳佳、そして兼定にそれぞれミルクを出した。

 

「すごい……戦艦の中にこんな場所が……」

 

芳佳はミルクをちびちび飲みながら物珍しそうにレクリエーションルームを見渡した。

 

「ロアビィが息抜きにってみんなの為に作ったんだよ、いいところだろ?」

「ガロード君はずっとこの艦で旅をしていたんだ……すごいなあ」

「ああ、俺にとって大切な場所だよ、ところで芳佳」

 

ガロードはあることが気になっており、芳佳に質問する。

 

「お前これからどうするんだ? 軍に逆らったらもう帰れないんじゃ……」

「そうだね……今帰ったらいろんな人に迷惑かけちゃう、もう私はどこにも帰れないんだ……」

 

するとガロードは励ますように芳佳の肩をポンと叩いた。

 

「なんなら俺がジャミルに頼んでフリーデンに乗せてもらうか? お前炊事選択得意だし歓迎してくれると思うぜ」

「え? でも迷惑じゃ……」

「そんなことないって! 遠慮することないさ!」

「う、うん……」

 

芳佳はそんなガロードの優しさに触れて、赤くなった顔を牛乳の入ったコップで隠した。

するとそんな芳佳を見たロアビィはガロードをからかい出した。

 

「おいおいガロード、そんなんじゃティファが嫉妬するぜ?」

「え? なんで?」

「なんでってお前……はあ、お前そういうところは天然なんだな」

「まったくよねえ」

 

するとそこにエニルが現れ、芳佳の隣の席にスッと座った。

 

(うわ、この人派手な格好……胸も大きい!?)

 

芳佳はエニルのヘソだしで谷間が見える露出度の高い派手な服装を見て思わず生唾を飲み込む。すると彼女は芳佳の耳に小声で耳打ちした。

 

(ねえあなた……もしかしてガロードに気がある?)

(うええええ!? いったい何を!?)

 

いきなり本心を見透かされ、芳佳は大いにうろたえる。

 

(……言っとくけどガロードは手強いわよ? はっきり言ってティファの代わりにあいつの隣に入り込むのは無理ね、経験者が語るんだから間違いないわ)

(え……?)

 

エニルの意外な言葉に呆気にとられる芳佳。

 

(ま、大変だとは思うけど……後悔はしないようにね?)

(は、はい……)

 

するとテーブルの下にいた兼定と遊んでいたガロードは、芳佳とエニルが小声で話し合っていることに気付いた。

 

「? 二人で何の話してんの?」

「秘密、アンタには絶対話せない話よ」

「あははは……ごめんねガロード君」

 

 

 

次の日の朝、フリーデンの格納庫ではキッド達整備班の面々がDXの整備を行っていた。

 

「たくガロードの野郎、こんな滅茶苦茶な整備をしやがって……」

「しょうがないッスよ、この世界では物資を手に入れる手段が限られているんですから……むしろよくここまでやったと思いますよ?」

 

キッドの独り言に、部下の面々がフォローを入れる。

 

「まあこっちもカツカツなのは変わりないんだけどよー」

「おーいキッドー」

 

するとそこに整備の手伝いに来たパーラがやってきた。

 

「ようパーラ、どうしたんだい?」

「どうしたもこうしたもないだろ! 私のGファルコンの追加エネルギーパックは直ったのか!?」

 

すると部下の整備兵がキッドの代わりに応える。

 

「この前のネウロイとの戦いで破損した部分ッスか? すみません……他に優先して直さなきゃいけない部分があってまだなんスよ」

「マジかよ〜!? せっかくDXと合流できたからサテライトキャノンが撃てると思ったのに〜!」

「え? だってこの世界にマイクロウェーブ送信施設は……」

「お前知らないのか、DXとGファルコンが合体してエネルギーが十分溜まっているならすぐにサテライトキャノンが撃てるんだぞ。連射だってできるんだ」

「へー!? そうだったんですか!」

 

自分の知らないDXとGファルコンの機能を知って感心するキッドの部下。

 

「サテライトキャノンが撃てればネウロイなんて巣ごと吹き飛ばせるのにな〜、まあしょうがな……?」

 

ふと、パーラはMS発進口から見える青い空に、一機のプロペラ機が飛んでいるのを発見する。

 

「なんだあの飛行機……? こっちに飛んでくるぜ」

「え? うわホントだ、しかもエンジンから煙出てんじゃん」

「チーフ、あれこっちに来てません?」

 

 

 

その時、飛んでくるプロペラ機から少女の声が聞こえてきた。

 

「どどどどどどいてくれ〜!!! 墜落する〜!!!」

 

 

「わー、墜落するってよー」

「どいてくれって事はこっちに突っ込むってことですかねー」

「現実逃避してる場合か! 皆逃げろー!」

 

パーラの叫びで格納庫にいた整備班の面々は慌てて逃げ出す。

そしてプロペラ機はそのまま格納庫に突っ込み、胴体着陸して滑る様に格納庫の床を進んでいき、最後に機材の山に突っ込んで停止した。

 

「あ、危ねー! なんだアレ!?」

「くぉらー!! どこのエンデュミオンの鷹だテメーら!!!?」

 

格納庫を滅茶苦茶にされて怒り心頭のキッドはどかどかとプロペラ機に向かう。

 

「はにゃ〜……」

「あ、あのジジイ共……こんなポンコツ使わせやがって……!」

 

プロペラ機のコックピットには、ヒビが入ったゴーグルを付けたオレンジ髪のグラマラスな少女と、褐色のツインテールの少女がのびていた。

 

 

「な、なんだ今の音―!?」

「まさかネウロイですかー!!?」

 

するとそこに騒ぎを聞きつけたガロードと芳佳がキッド達の元にやってくる。

 

「ああ二人とも見てくれよ、格納庫にプロペラ機で突っ込んできたバカがいてよー」

「ああん? どこのバカだよそんなことするの……」

 

そう言ってガロードはプロペラ機に乗る二人を見る、そして再びキッドを見た。

 

「ゴメン、あのバカ俺の知り合いだわ」

「シャーリーさん!? ルッキーニちゃん!? 一体何しているの!?」

 

 

 

数分後、シャーリーとルッキーニはガロードらによってブリッジに連れてこられた。

 

「いやあすんません、リベリオンに帰る途中であのポンコツのエンジンが壊れてちゃって……」

「ここがガロードのいた戦艦なんだ! すっごーい!」

 

そう言ってルッキーニは初めて入るブリッジに興味深々だった。そんな彼女達にジャミルは紳士的な態度で応対した。

 

「君達……どうしてこの海域を飛行機で飛んでいたのだ?」

「なんか帰るって言ってたけど……」

「ああ、実は私達501は解散になったんだ」

「「えええ!!?」」

 

シャーリーの答えにガロードと芳佳は驚愕する。するとルッキーニが不満そうに話を続けた。

 

「あのマロニーってやな奴がね! “ウォーロックの量産は済んだからお前達は用済みだー!”って言って無理やり解散させたの!」

「まあ私達があの時命令に従わなかったのもあるんだけどな、そんで私達はそれぞれ本国勤務の為にバラバラになったってわけ」

 

すると話を聞いていた芳佳は涙をポタポタと流し、シャーリーとルッキーニに謝った。

 

「ごめんなさい二人とも……! 私が勝手な事をしたせいで……!」

「そ、そんな! お前だけのせいじゃないぞ!」

「芳佳! 元気だして!」

 

それを見たシャーリーとルッキーニは慌てて芳佳を励ます。

その時ふと、ガロードはシャーリーの話を聞いてある事に気付く。

 

「おいシャーリー、ウォーロックってあれか、昨日俺に襲いかかってきた奴か」

「あ、うん……それがどうした?」

 

すると芳佳もある事を思い出した。

 

「そうだ……! あのネウロイが見せてくれた映像にもウォーロックが映っていた! 軍の人とネウロイのコアと一緒に!」

「まさかアレ……ネウロイのコアで作られているのか?」

「その可能性は高いでしょう」

 

その時、ブリッジにカリスが入ってきた。

 

「カリス? どうかしたのか?」

「先程……501基地の方角にいくつもの無機質な敵意のようなものを感じました、ネウロイと同じものです」

「敵意? アンタ何を言って……」

「もしかしてこの人も魔法が使えるの!?」

 

カリスの言っている事が判らず首を傾げるシャーリーと、興味深そうにするルッキーニ。するとガロードがカリスの代わりに説明してあげた。

 

「カリスはニュータイプなんだよ、まあ……エイラとサーニャの能力を合わせたのが使えるのさ」

「へえ! すごいんだね! ところでニュータイプって何?」

 

カリスの力を知り興味深そうにするシャーリーとルッキーニ、しかし当のカリスは真剣な面持ちでジャミルに話しかけた。

 

「何か嫌な予感がします……あそこにはティファの思念も……」

 

 

 

 

 

その頃501基地では、マロニーがガリアに巣食うネウロイの巣を壊滅させるため、ウォーロック20機すべてを出撃させていた。

 

「ウォーロック3号機から22号機、すべて発進準備は整いました」

「よし! これよりウォーロックによるネウロイ殲滅作戦を開始する!」

 

司令部にいるマロニーの号令の元、ウォーロックは飛行形態に変形して高速で飛び立っていった。

 

 

 

 

 

「始まったか……」

 

その様子を、美緒はペリーヌと共に扶桑に帰る赤城の上で見ていた。

 

「あれだけの戦力をマロニー中将が所有していたなんて……」

「確かにあんな物があったら私達ウィッチは用済みだな……アレにはアガリなんてものはないだろうし……」

 

 

 

 

 

一方501基地付近にある廃墟では、ミーナ、バルクホルン、エーリカがウォーロック小隊の様子を観察していた。

 

「始まったようね」

「うひゃー! ウォーロックがあんなに! 私達だけじゃ勝てないだろうねー!」

「あれだけあればガリアを奪回することはたやすいだろうな」

「もう……私達は用済みなのかしらね……」

 

 

 

 

 

その頃ロンドンに向かう貨物列車に乗ったエイラとサーニャは、眠い目をこすりながら別れた仲間達に想いを馳せていた。

 

「宮藤さんとガロード君……今頃どうしているんだろう?」

「だな、部隊も解散して宮藤の罪はあやふやになったけど、ガロードの方は相変わらずお尋ね者だしなぁ、まあ去って行く私達には関係ないんだろうけど……」

 

 

 

 

 

そしてリーネは、ビショップ家からの迎えの車に乗って501の基地から離れていった。

 

(芳佳ちゃん……ガロード君……もう一度会いたかった……)

 

リーネは大切な人を想い、瞳に涙をにじませていた。

 

「お嬢様? いかがいたしました?」

 

そんなリーネの様子を見て、運転手の男は気遣いの言葉を掛ける。

 

「大丈夫です……早く行きましょう」

 

リーネはすぐに涙をぬぐい、再び窓の外を見る。

 

 

 

 

 

―――助けて……!―――

 

 

 

 

 

「!!?」

 

その時、リーネの脳裏に女の子の声が聞こえてきた。

 

「どうしました?」

「今、女の子声が……!」

「私には聞こえませんでしたが……」

 

どうやら少女の声はリーネにしか聞こえていないようだ。否……。

 

 

 

 

 

―――助けて……!―――

 

 

 

 

 

「! エイラ……!」

「サーニャにも聞こえたのか!?」

 

 

 

 

 

―――助けて……!―――

 

 

 

 

 

「あん? トゥルーデなんか言った?」

「ミーナじゃないのか?」

「これは……! 私達の頭の中に……!」

 

 

 

 

 

―――皆を……助けて!―――

 

 

 

 

 

「この感じ……! あの時の!?」

「少佐にも聞こえていますの!? これは一体誰の……!」

 

 

 

 

 

一方フリーデンにいる芳佳、シャーリー、ルッキーニ、そしてカリスとジャミルにもその声が聞こえていた。

 

「うえ!? 何今の!?」

「ルッキーニ? お前にも聞こえたのか?」

「なんだろう、この感じ……」

 

芳佳達ウィッチが動揺する一方、ジャミルやカリスはその声の主が誰かすぐに判り、ガロードに伝える。

 

「ガロード! 今ティファの助けを求める声が……! ネウロイ達と同じ方角です!」

「ティファが!? 501基地に現れるのか……!」

「こうしてはいられない、我々は501基地に向かいティファを助け出す!」

 

ジャミルの指示にブリッジクルー達は一斉にコクリと頷く。

 

「ちょ、ちょっとまってガロード君!」

 

すると芳佳がガロードの目の前に立って主張する。

 

「ガロード君はお尋ね者になっているんだよ! それなのに基地に戻るなんて……!」

「それでも俺は行くぜ! そこにはティファが待っているんだからな!」

 

ガロードはまっすぐな瞳で迷うことなく言い切った。するとその様子を見ていたシャーリーがガロードの肩をポンと叩いた。

 

「しょうがねえ……この艦に墜落したのも何かの縁だ、私達も協力するよ」

「さっきの声……すごく苦しそうだった、私も手伝う!」

「お前ら……!」

 

自分達の立場が危うくなることもいとわず協力を申し出てくれるシャーリー達の懐の広さにガロードは感激する。そして最後に芳佳もガロードに言い放った。

 

「わ、私も手伝う! あのウォーロックって兵器の事、確かめたいんだ!」

「よっしゃ! それじゃ俺達で基地に殴り込みだ!」

「「「おー!!」」」

 

ガロードの号令で高く拳を上げる芳佳、シャーリー、ルッキーニ、それをジャミルは暖かい目で見守っていた。

 

(ガロード……どうやらこの世界でもいい仲間に恵まれたようだな)

 

 

 

 

 

その頃ネウロイの巣ではウォーロック小隊によるネウロイの巣の殲滅作戦が展開されていた。

まず10機のウォーロックは一列に並び、腕から出したビームで巣から出てきたネウロイの大群を一斉に落としていく、そして取り逃がした個体は残りのウォーロックが追跡しながら落としていった。

 

「中々の成果ですね、ウォーロックは」

「ははははは! 我々はネウロイの力を超えたのだ!」

 

その様子をマロニーと部下達は管制室で誇らしげに見守っていた。

モニターにはネウロイを示す赤い光が次々と消えていく、そして……。

 

「ネウロイの殲滅! 完了しました!」

 

オペレーターが報告を終えると、管制室の兵達が歓声とため息のような声を上げた。

 

 

しかし次の瞬間、うまく行っていた状況に急な変化が起こった。

 

「!? これは……!?」

「どうした?」

「ウォーロックがこちらからの制御を遮断しました!」

 

 

 

 

 

一方赤城に乗っていた美緒とペリーヌもウォーロックらの異変に気付いた。

 

「むっ、一機がこちらに近づいて来る」

「作戦は終わったのでしょうか?」

 

すると近付いてきたウォーロックは突如、美緒達が乗る赤城にビームで攻撃してきた。

 

「きゃあ!」

「ウォーロックが赤城を……!?」

 

辺りに警報が鳴り響き、船員達が慌てて対処を始める、そうこうしているうちに他のウォーロック達も赤城や他の扶桑の戦艦を攻撃し始めた。

 

「何が起こっているんだ……!?」

 

 

 

一方司令部のマロニー達もウォーロックの突然の暴走に驚愕していた。

 

「ウォーロック13番機が赤城を攻撃し始めました! 他の機も続々と……!」

「ダメです! こちらからの制御を受け付けません!」

「な、なんだと!?」

 

兵士達の報告に顔色を変えるマロニー、彼の脳裏にはある男の顔が浮かんでいた。

 

(もしやオルバ・フロスト……! 我々を謀ったのか!?)

 

そして様子を見ていた副官が彼に進言する。

 

「閣下、ウォーロック全機停止の指示を! このままでは扶桑海軍が……!」

「ならん! 我々がどれほどの苦労を掛けてあれの量産にこぎつけたと……!」

「味方を攻撃しているのです! ご決断を!」

「くっ……!」

 

マロニーは万感の思いで兵士達に指示を出す。

 

「ウォーロック強制停止システムを発動させろ! 急げ!」

「はっ!」

 

マロニーの指示を受け緊急停止のレバーを引く兵士達、しかしネウロイは一瞬止まったかと思うと再び動き出し、そのまま司令部に向かってビームを一斉発射した。

 

「うおおおおお!!?」

「だ、ダメです! 停止しません!」

 

ネウロイのビームは司令部の横をギリギリ掠め、そのまま基地を大きく抉った。

 

 

 

「基地が……!」

 

その様子を離れた廃屋から見ていたミーナ達も、事態が深刻な状況に陥っている事を察する。

 

「……行きましょう、このままにしてはおけないわ!」

 

そう言ってミーナ達は基地へ急行することにした。

 

 

 

「右舷後部デッキ被弾!」

「第二、第三高角砲大破!」

 

赤城は暴走したウォーロックの猛攻によりもはや航行不能に近い状況に陥っていた、それを察知した艦長はすぐに他の乗員達に指示を出す。

 

「総員退艦準備! 我々は赤城を放棄し……」

 

その時、ブリッジにいた兵士がレーダーを見て叫んだ。

 

「敵機がこちらに向かってきます!」

「!!」

 

艦長らブリッジクルーの目には、赤城の対空砲火を掻い潜ったウォーロックがビームを放とうとしている姿が映っていた。

 

「う、うわああああ!!」

「くっ……!」

 

それを見てブリッジから逃げ出そうとするもの、椅子から転ぶ者、その場でうずくまる者がいる中、艦長だけは覚悟を決めたようにウォーロックを見据えていた。

 

「ここまでか……!」

 

そしてウォーロックの腕に赤いエネルギーが収束していく、赤城のブリッジクルーの命を奪うために……。

 

 

 

『させるかーーーー!!!!』

 

その時、ウォーロックの横っぱらにエメラルドグリーンの光を放つ剣が刺さった。

 

「あれは……!?」

 

赤城のクルーは一斉に剣が飛んできた方角を見る、そこには……ガロードの駆るDXが向かって来ていた。

 

『炎のMS乗り……ガロード・ラン参上!』

『赤城のみなさん! 早く逃げてください!』

「……!? 今の声は宮藤さん!?」

 

DXはそのままウォーロックに刺さった剣……ビームソードを引き抜くと、ウォーロックを蹴り飛ばして海中に沈めさせた。

 

『まず一機!』

 

DXはそのまま飛びあがり、赤城を攻撃していた二機のウォーロックを追いかけていった。

 

「あれはDX……!?」

「艦長! この艦に通信が入っています! フリーデンという艦から……!」

「フリーデン?」

 

すると水平線の彼方から、数機のMSを引き連れたフリーデンが向かってきた。

 

「『我々が時間を稼いでいる間、貴艦は早急に撤退すべし』……だそうです」

「な、何にせよ有難い!」

 

艦長は突然現れたフリーデンに感謝しつつ、船員達に迅速な退艦を指示した……。

 

 

 

「あの艦の周りにいるのは、ガロードの……!」

 

赤城の艦板にいた美緒とペリーヌも、こちらに接近してくるフリーデンを視認する、するとフリーデンを守る様に飛んでいた青いMS……エアマスターバーストが美緒達の元に近づいてきた。

 

「あー! 少佐とペリーヌだ!」

「二人ともこんな所で何してんだー?」

 

そこから出てきたのはなんと、シャーリーとルッキーニだった。

 

「しゃ、シャーリーさん!? ルッキーニさん!?」

「お前達!? そんな所で何を……!?」

 

 

 

その頃、ストライカーが収納されている格納庫の前では、戻ってきたエイラとサーニャが立ち往生していた。

 

「あーあ、こりゃ入れそうにないな〜」

「うん……」

 

彼女達の目の前には鉄骨で入り口が塞がれており、格納庫の中に入ることが出来なかった。

 

「あ! 二人も来ていたんだ!」

 

するとそこに、ミーナらカールスラント三人組みがやってくる。

 

「お、もしかしてお前らもあの声を聞いたのか?」

「あの声……? ああアレね、確かにそれもあるけど、その前に司令部に行っていたんだ」

 

 

 

同時刻、司令部にはバルクホルンによってぼこぼこにされた兵士数人と、エーリカによってコードで縛りあげられたマロニーらの姿があった。

 

「お、おのれ〜! 小娘共めえ〜!!」

 

 

 

「あの人、事実を捻じ曲げて官邸に嘘の報告書を出したり、私達ウィッチを陥れる為に色々とやっていたみたい」

「そしてウィッチを超える力を手に入れるため、ネウロイのテクノロジーを利用した……戦後、自分達がこの世界の主導権を握る為にな、まったく呆れて物も言えん」

 

ミーナとバルクホルンはため息混じりにエイラとサーニャにマロニーらの陰謀を説明する。

 

「ま、何にせよ今は暴走したっぽいあいつらをどうにかしないと……」

「この鉄骨、どうにかならないかな……?」

 

そう言ってエイラ達は高くそびえる鉄骨を見上げた……。

 

 

「お〜い! 皆〜!」

 

するとそこに、エアマスターに乗ったシャーリー、ペリーヌ、ルッキーニ、美緒がやってきた。

 

「美緒!? よく無事で……!」

「ああ、ガロードの仲間が助けてくれたんだ」

「ていうか……なんでお前達までいるんだよ」

「ま、成り行きって奴だ、ありがとうなウィッツー!」

 

そう言ってシャーリーはエアマスターに乗るウィッツに手を振る、するとそこに……。

 

「皆〜!」

 

実家へ帰る道をUターンして戻ってきたリーネがやってきた。

 

「おお〜! リーネも来た!」

「これで宮藤さん以外は集合ね」

「この鉄骨を避けさえすれば、あいつらと戦う事が出来るのに……」

 

するとエアマスターに乗るウィッツが美緒達に声を掛けてくる。

 

『おいどうした!? この鉄骨をよければいいのか?』

 

そう言ってウィッツはエアマスターで鉄骨を引っこ抜いて人どころかトラックが通れそうな程の隙間を作る。

 

「おおお〜! エアマスターかっちょいい〜!」

「よし! これなら!」

 

 

 

その頃ガロードはフリーデンの援護を受けながらDXで数機のウォーロック相手に奮戦していた。

 

「ガロード君! 後ろから来ているよ!」

「く……!」

 

DXの後ろからぴたりとくっついて離れない可変したウォーロック、するとどこからか数発のビーム弾が飛んできて、ウォーロックは破壊され海に落ちていった。

 

『ガロード! 大丈夫か!』

「ああ! サンキュージャミル!」

 

DXの窮地を救ったのはガンダムXディバイダー……パイロットはフリーデンの艦長であるジャミルだった。

 

『ここは我々に任せてお前はティファを!』

「わかった!」

 

ガロードはそう言ってジャミル達にウォーロックの相手を任せて、自分はDXを少し高殿高い場所に移動させた。

 

「芳佳、ここなのか?」

「うん、私達を呼ぶ声がここから……」

 

 

 

その時、DXの頭上から数発のビームが降り注ぎ、ガロード達はそれを辛うじて回避する。

 

「くっ……アレは!?」

 

ガロード達の視線の先には、仮面を付けたウィッチ……ティファが高速で接近してきた。

 

「来た! ティファちゃん!」

「ティファ! 俺だ! 返事をしてくれ!」

『……!』

 

ティファはガロードの声を聞いて一瞬動きを止めるが、すぐにDXの攻撃を再開する。

 

「うわあああ!?」

「お願いティファちゃん! 私達の声を聞いて!」

 

ティファは芳佳の言葉を聞くことなく、DXに向かってビームを放った、その時……。

 

『させませんわー!!』

 

DXの目の前に突然ペリーヌが現れ、魔力シールドでビームを防いだ。

 

「ペリーヌさん!?」

「お前! どうしてここに……!?」

『わたくしだけではありませんわ!』

 

するとDXの後ろから、ストライカーユニットを履いた美緒達がやってきた。

 

「ガロード!」

「ガロード君!」

『皆……! どうしてここに!?』

 

ガロードの質問にエイラが答える。

 

「マロニーの悪だくみが全部あからさまになったんだよ、お前の撃墜命令も取り下げられた!」

『そ、そうか……!』

『よかったねガロード君!』

 

ふと、芳佳がDXに乗っていると気付いたバルクホルンは、持っていた芳佳のストライカーを彼女の前に差し出した。

 

「宮藤! お前のストライカーもここにある! 一緒に飛ぶぞ!」

『は……はい!』

 

 

芳佳はDXから出ると、バルクホルンからストライカーを受け取って履き、エーリカからは武器を預かった。

そしてウィッチ達はティファの方を見る、その中で美緒は魔眼でティファの様子を確認した。

 

「やはりな……あの少女の中に僅かながらネウロイの反応がする」

「まさか……!? ネウロイのコアが人間の中に!?」

 

ミーナは信じられないといった様子で戦況分析の為動きを止めているティファを見る。

 

「あのネウロイが見せてくれた映像は本当だったんだ……」

『そんな……一体どうすれば!』

『あきらめてはダメです、ガロード』

 

するとそこにカリスの駆るベルティゴが現れ、通信を入れてくる。

 

『ティファは僕達に助けを求めていました……まだ完全には乗っ取られていない筈です。君が僕を助けてくれた時みたいに彼女に語り続ければあるいは……』

「なるほど……聞いていたな皆」

 

カリスの説明を横から聞いていた美緒は、芳佳達ウィッチーズの方を向く。

 

「カリス君……だっけ? つまり私達があの子に呼びかけ続ければいいのね?」

『ええそうです、ティファの声を聞くことが出来たあなた達ならきっと……』

「なあんだ! それぐらいお安い御用だよ!」

「弟のガールフレンドを守るのも姉の役目だ!」

『皆……』

 

協力を申し出るミーナ達にガロードは感謝の感情を抱いていた、するとそれに気付いた芳佳とリーネとペリーヌは彼に優しく語りかけた。

 

「ガロード君……私達ガロード君にいっぱい助けてもらったんだよ?」

「だから今度は私達が助ける番!」

「わたくし達にお任せください!」

 

そしてウィッチ達は横一列に並んでティファの方を見て、真ん中にいた美緒が号令をかける。

 

「皆行くぞ……作戦開始!」

 

それと同時に一斉に飛びだすウィッチ達、対してティファは彼女達に対してビームを放っていく。

 

「ティファちゃん! 私達の声を聞いて!」

「こんな事すんなよ! ガロードが困ってるだろー!」

 

ウィッチ達は反撃することなく、魔力シールドや回避でビーム攻撃を凌ぎながらティファに根気よく語りかける。

 

「目え覚ませ! 私達はお前と戦いたくない!」

「そうだよ! 私達は敵じゃないよ!」

 

 

するとティファはサーニャやエイラ、シャーリーやルッキーニの声を聞き、攻撃の手を緩め頭を抱えて苦しみ出した。

 

「うう……ううう!」

 

 

『……! 通じてます! 皆さんの声がティファに通じています!』

『皆! 頼む……!』

 

 

芳佳達ウィッチは引き続きティファに語りかけ続ける。

 

「しっかりしろ! ネウロイなんかに負けるんじゃない!」

「ガロードを悲しませるなよ……! 早く戻ってこい!」

「私達に手を伸ばして! 大丈夫だから!」

 

 

「う……うわああああー!!!」

 

するとティファはビームライフルを滅茶苦茶の方向に撃ち始める。

 

『ティファもネウロイに抵抗している……! もう少しですみなさん!』

 

 

皆は降り注ぐビームの雨を防ぎながら、ティファに声を掛け続ける。

「お願い! 元に戻って!」

「貴女の帰りを待っている方がいますのよ!」

 

 

「ううう……!」

「ん……!?」

 

その時、美緒はティファの胸が赤く光っていることに気づき、魔眼でその正体を確認する。

 

「見つけた……コアだ!」

 

それはティファの体の中に入っているネウロイのコアだった。皆の呼びかけにより奥底にあったものが体の外に出てきていたのだ。

 

「宮藤! あの子を抑えてくれ! 私がコアを破壊する!」

「はい!」

 

美緒は一番大きな魔力シールドを張ることができる芳佳にティファに突っ込むよう指示をする。

 

「こな……いで……!」

 

ティファは近づいてくる芳佳にビームを放っていくが、芳佳はそれをシールドで防ぎながら接近する、そして……。

 

「捕まえた!」

「くっ!?」

 

芳佳はついにティファを後ろから羽交い絞めにすることに成功する。

 

「坂本さぁん!」

「はあああああ!!」

 

芳佳の声に呼応するように美緒は刀を持ってティファに高速で接近していく、対してティファは美緒を落とそうとビームライフルの銃口を彼女に向けた。

 

「!! やめろティファあああああ!!!」

 

その様子を見ていたガロードは美緒がシールドが張れなくなってきているのを思い出し、力の限りティファに向かって叫んだ。

 

「!! ガロー……ド……」

 

するとティファはガロードの声に反応して体をビクンと震わせる、そのスキを美緒は見逃さなかった。

 

「はあああああああ!!!」

 

美緒はティファの胸に剣先を浅く当てるように突き立てた。するとティファの胸からパリンとガラス片が飛び散った。

 

「おっとっと!?」

 

芳佳と美緒は急に力が抜けたティファの体を支える、そしてそこにDXがやってきた。

 

『もっさん! ティファは!?』

「大丈夫、気絶しているだけだ……一旦降りるぞ」

『ならばフリーデンに行きましょう、テクスさんも待機している筈です。

 

 

 

数分後、フリーデンのMSデッキにウィッチ達やカリスと共に降りてきたガロードは、DXから降りて芳佳に治療させながら意識を失っているティファに必死に声を掛けた。

 

「ティファ! お願いだ……目を覚ましてくれ!」

 

周りの皆もその様子を固唾を飲んで見守っている、すると……ティファは目をうっすらと開けて意識を取り戻した。

 

「……ガロード……」

「ティファ! 俺がわかるか!?」

「ええ……ごめんなさい、私あなたを……きゃ!?」

 

するとガロードは目にうっすらと涙を浮かべながら、ティファを力いっぱい抱きしめた。

 

「よかった……! もう会えないかと思った……! もう離さないからな!!」

「が、ガロード……苦しい……」

 

ティファは顔を赤らめながらも、生きて最愛の人と再会できた喜びを、その人のぬくもりを感じながら噛みしめていた。

 

 

その様子を、ウィッチ達は様々なリアクションで見守っていた。

 

「も、もしかしてお二人は……やはりそういうご関係で……?」

「そ、そんなあ、ガロード君に彼女がいたなんて……家族か何かだと信じていたのに……」

 

 

「ちぇー、なんかいいシーンなのに胸がムカムカするー」

「あー? シャーリー嫉妬してるのー?」

「うるせーやい!」

 

 

(ま、まあそうよね……ガロード君かっこいいし、彼女がいても不思議じゃないわよね……)

「なるほど、弟の彼女ならば私の義妹ということになるな」

「ダメだこのトゥルーデ……早くなんとかしないと」

 

 

(そっか、あれがガロード君の彼女……それじゃ私とエイラは二号さんに甘んじるしかないわね)

「わーん! なんかサーニャが私を巻き込んでアブノーマルな事考えてる〜!?」

 

 

(よかったな、ガロード……ん?)

 

その時、美緒はまだティファの中に魔力のようなものがあることに気づき、魔眼で確認する。

 

(なんだこれは……ネウロイのコアじゃない?)

 

ティファの体の中には、ネウロイのコアとは別の、ローマ数字の“[”という文字が刻まれた石が存在していた。

 

そして芳佳はガロードとティファが無事再会できたことを喜びながらも、少し悲しそうな顔で二人の様子を一番近くで見守っていた。

 

(……そっか、あの子はガロード君の一番の子なんだ……)

 

そう思った瞬間、芳佳は胸はキュンと締め付けられるのを感じ、それを紛らわすように服をぎゅっと掴む。

 

「芳佳さん……」

 

するとその時、ティファは芳佳とウィッチ達に語りかける。

 

「ありがとう、私の声を聞いてくれて……おかげで私はガロードとまた会うことができました」

「そんな、私たちは……ガロード君の仲間として当然のことをしたまでだよ!」

 

芳佳の答えに、ほかのウィッチ達もうんうんと頷いた。

 

「それでも俺からも言わせてくれ、ありがとうみんな……!」

 

そう言ってガロードは芳佳達に精一杯の感謝の言葉を贈った、するとそこにカリスが話しかけてくる。

 

『ガロード、なにやらウォーロックの様子がおかしいです!』

「何!?」

 

 

 

20機いた暴走したウォーロックの数はフリーデン隊の活躍により一桁台まで減っていた、しかしそのうちの一機が沈んでいく無人の赤城に取りついた。

 

「あれは……!?」

 

脱出した赤城の船員たちはその光景を目の当たりにして驚愕する。

そして沈んでいくはずの赤城は再び海面に上昇し、そのまま空へ浮かび上がった。

 

 

 

「ウォーロックが……赤城に取りついた!?」

 

DXにティファと共に乗り込んだガロードは、赤城の様子を見て驚愕する。

 

「ガロード……あの艦から無機質な敵意を感じます、この世界を丸々と消し飛ばしてしまうような……」

『つまり……とっとと倒したほうがいいってわけね』

 

フリーデンの上で戦っていたロアビィのレオパルドデストロイから通信が入る。それと同時にほかのウォーロックと戦っていたエアマスター、Gファルコン、ジェニス、そしてGXディバイダーもDXの元に集結した。

 

『このままアレが暴れだしたら多大な被害が……なんとしてでも止めるぞ』

『ああ、これ以上ネウロイに好き勝手させたくねえからな』

『えーっと、坂本さんだっけ? あんたネウロイの弱点がわかるんだろ? どこにあるか教えてくれよ』

『わかった』

 

パーラに言われ美緒は魔眼で赤城に取りついたウォーロックのコアの位置を探る。

 

『艦の中心部……そこにコアがあるようだ』

『中に入って直接攻撃するか、外から無理矢理破壊するか……』

 

そう言ってミーナが作戦を考えていたとき、サーニャが広域探査の魔法を発動させてあることに気づいた。

 

『待って! ネウロイの巣から……!』

 

サーニャの指差す方向には、巣の中から次々と湧き出てくるネウロイの姿があった。

 

『げげげげ!? またうじゃうじゃ出てきたぞ!?』

『まるでゴキブリだな……やつらも黒いし』

『ちょ!? やめてよウィッツ! 想像しちゃったじゃない!』

『おいおいどーすんだキャプテン? あんな数俺らだけじゃ対処しきれないぜ?』

 

フリーデン組らは最悪の事態にジャミルからの指示を仰ぐ。

 

『仕方ない……被害は出ると思うがあの大軍を突破してあの指揮官機を破壊するしか道はない』

『異議なし……ですね』

 

ジャミルの作戦にミーナは同意する。

 

 

 

『ちょぉぉぉっと待った!!!』

 

その時、DXのコックピットに何者かが通信を割り込ませてきた。

 

「だ、誰だ!?」

 

ガロードはモニターに映る通信の送り主の顔を見る、そこには……。

 

「あ、あの時のじいさん!?」

『ほっほっほ、元気にしとったかガロード・ラン!』

 

数日前、バルクホルンらと共にクリスの見舞いに行った際に出会った怪しさ満開のスケベ老人が映っていた。

 

「ガロード? この人は……」

「いや、俺もよく判んないんだよ、会ったこともないのに俺の名前知っているし……」

『ほっほっほ! お前さんが知らなくてもワシは知っておるぞ、生まれる前からな! それよりもお前さん困っておるらしいの!』

「う、うん、まあ……」

 

ガロードは老人とどう接したらいいか解らず、歯切れの悪い返事をする。

 

『ふむ、どうやら創造主が作っておいたものが無駄にならなくて済みそうじゃ、ガロード……お前さんに力をやろう』

「力……?」

「!!」

 

その時、ティファは何かに気付いたのか急に空を見上げた。

 

『どうしたティファ……む!? これは!?』

『この感じ……!』

 

ジャミルとカリスも空の様子に気付いたようだ。そしてティファはある事をガロードに指示する。

 

「ガロード……サテライトキャノンの準備を!」

「え? サテライトキャノンって……ここにはマイクロウェーブ送電施設も無いし、第一今は昼間……」

 

するとティファはガロードの手をギュッと握り、彼の瞳をじっと見つめる。

 

「ガロード、私を……あのおじいさんを信じて」

「……そうだな、ティファの言う事に間違いはないよな!」

 

そしてガロードはフリーデンの面々、そして芳佳達ストライクウィッチーズにある指示を出す。

 

『皆聞いてくれ! 今からサテライトキャノンのチャージを始める……それまで皆はなるべくネウロイを一か所に集めてくれ!』

『サテライトキャノン!!? お前それ……!』

『この前もその名前を言っていたわね、一体何なのそれ?』

「へへへ……そのうち判るよ、それより時間が無い! 早く始めるぞ!」

『判った……やるぞミーナ』

『ま、信じるしかないわね……』

 

 

ミーナは隊長としてガロードを信じる覚悟を決め、隊員達に号令を下す。

 

『これより私達はサテライトキャノンの発射を援護します、DXに敵を近づけさせないように!』

『『『『『『『『『『了解!!』』』』』』』』』』

 

 

一方フリーデンの面々は501の気合に刺激されていた。

 

『あいつら気合入ってんな!』

『こりゃこっちも負けてられないんじゃない?』

『MS乗りの戦い方……見せてあげようじゃない』

『ジャミルキャプテン、ご指示を』

『わかった……これより我々は501と共同戦線を張る』

 

 

『ガロード!』

 

その時、Gファルコンに乗るパーラがDXに通信を入れてきた。

 

「どうしたパーラ?」

『この際次いでだ、DXとGファルコンをドッキングさせよう! Gファルコンの武装ならあいつらが襲ってきても大丈夫だ!』

「わかった……!」

 

 

 

そして一同は赤城とネウロイの大軍に向かって行く。その先頭に立つのは……芳佳だった。

 

「私もやるんだ……! 皆でできる事、一つずつ叶えるために!」

芳佳はこの世界を守る為に飛ぶ、大切な仲間と、想いを寄せる人の大切な人と共に……。

 

 

 

 

 

最終話「DREAMS 〜みんなでできること〜」

 

 

 

向かってくる芳佳達とMS隊に向かってネウロイ達は一斉にビームを放つ、対して芳佳達は散開して回避した。

 

 

 

『野郎! うじゃうじゃと鬱陶しいんだよ! 落ちやがれ!』

 

MA形態に変形させたエアマスターを駆りながらネウロイを次々と落としていくウィッツ。

 

「お!? 面白そうあれ!」

 

それを見ていたルッキーニは何を考えたのか、可変したエアマスターの先端にぴったりと張り付いた。

 

『おま!? 一体何してやがる!?』

「いーからいーから! このまま突っ込んで!」

 

そう言ってルッキーニはエアマスターの先端に多重シールドを張る、それはまるで剣先のように尖っていた。

 

『よ、よおーっし! 行くぜ!』

 

ウィッツは覚悟を決めて最大加速でネウロイの大軍に突っ込んでいく、そしてルッキーニの光熱魔法で次々とネウロイは撃破されていった。

 

「ほにゃ〜! やった〜!」

『てめえ……なんて無茶しやがる……』

 

ウィッツはルッキーニの無邪気さと無謀さに呆れていた、そしてそれを見ていたシャーリーは目を輝かせてウィッツに話しかけた。

 

「すげー! 次私がやりたい!」

『アホか! 何度もできるかあんなもん!』

 

 

 

一方フリーデンでは、迫ってくるネウロイの大軍を対空砲火やロアビィのレオパルドデストロイとエニルのジェニスカスタムで次々と落としていった。

 

「こ、この野郎! フリーデンは落とさせやしないぞ!」

「右舷弾幕薄いわ! 誰か援護を!」

『私が行く!』

 

そう言ってエニルはジェニスを右舷に移動させる。

 

「気を付けて、キャプテン達やウィッチの子達に当てないようにね」

 

これだけの大混戦の中、艦長代理でフリーデンの指揮を執っているサラは冷静だった。その時……。

 

『面舵だ!』

「!!?」

 

突然入ってきた声に思わず操舵手のシンゴは反応し面舵を取る、すると先程までフリーデンがいた場所にネウロイのビームが直撃した。

 

「あ、危な〜! 今の声がなきゃやられていたわね!」

『ぼーっとしてんな! 前進しろ前進!』

「お、おう!」

 

シンゴは通信に従いフリーデンを前進させる、するとダメージを負ったウォーロックが先程までフリーデンがいた場所に墜落した。

 

「あれは……!」

 

その時通信士のトニヤは艦外にタロットカードを持ったウィッチ……エイラがいる事に気付いた。

 

 

「へへへ……私の占いはよく当たるんだ」

 

エイラは未来予知の魔法を使ってフリーデンを攻撃や事故から守っていた、その時……。

 

「ん……不味いな」

 

タロットカードがフリーデンに回避不能の未来を表示する。

 

「前と後ろから! 同時に来るぞ!」

 

するとフリーデンの前方と後方から高速移動型のネウロイが同時に襲ってくる。フリーデンでは回避できない速度だ。

 

『おっと! ここは俺様にお任せぇ!』

 

するとエイラの通信を聞いていたロアビィが前から来るネウロイをミサイルで撃墜した、一方後ろから来るネウロイは……。

 

「やらせない……!」

 

いつの間にかフリーデンの上に来ていたサーニャがフリーガーハマーの弾で撃墜した。

 

『ひゅ〜! やるねお嬢さん!』

「そっちも……」

「私達って組むともしかしたら無敵なんじゃね?」

 

 

 

その頃ミーナ達カールスラント三人組は大量のネウロイに取り囲まれていた。

 

「く……やはり数が多い!」

「勲章はこんなにいらないよ〜!」

「まだなのガロード君……!」

 

残りの弾も少なくなり焦り出すミーナ達、その時彼女達の元にGXディバイダーが援護に駆けつける。

 

『今助ける! そこを動くな!』

 

そう言ってジャミルはGXディバイダーにハモニカ砲を構えさせ、数発のビームを一斉に放って大半のネウロイを撃墜した。

 

「すっげー! さすがDXと色が似てるだけの事はあるね!」

「いや、色は関係ないと思うが……」

「ありがとうございます、ええっと……」

『ジャミル……ジャミル・ニートだ、共に戦おうミーナ中佐』

 

ジャミルは簡単な自己紹介を済ませ、そのままミーナ達と共にネウロイの大軍に向かっていった……。

 

 

 

一方、コンビを組んで戦っていたリーネとペリーヌは、大型のネウロイが救命ボートに乗る赤城の乗員達の方に向かっている事に気付く。

 

「あ! ペリーヌさんあそこ!」

「いけない! あのままでは……!」

 

その時、大型ネウロイの体に数発のビームが直撃し、本体に大きなヒビを入れる。

 

「今のは!?」

「あの巨人からですわ!」

 

ペリーヌの視線の先には、カリスの乗るベルティゴの姿があった。

 

『今です! あのネウロイを!』

「はい!」

 

カリスの言葉で反射的にライフルを構えるリーネ、そして数発の銃弾を直撃させコアを露出させる。

 

「トドメですわ! トネール!!!」

 

ペリーヌはコアに向かって固有魔法の電撃を全身に纏いながら突っ込んでいく、そして見事にコアを破壊した。

 

「やったあペリーヌさん!!」

「ふん! これぐらいワタクシにかかれば……そこのアナタ、援護感謝いたしますわ」

 

貴族の娘らしく威厳を見せながらも、援護してくれたカリスに礼を言う事を忘れないペリーヌ。それに対しカリスは苦笑しながら答えた。

 

『いえいえ、共に戦う仲間として当然のことをしただけです……では僕はあの人達を避難させます』

 

そう言ってカリスは赤城の船員達の元に向かっていった。

 

「そういえばガロード君、まだ準備できないのかな?」

「もう、何をしていますの……!」

 

 

 

 

 

そんな時、ウィッチとフリーデンの戦いぶりを見ていた赤城の若い船員がぽつりと呟いた。

 

「すごい……あの巨人たち、まるで悪魔のような強さだ……!」

 

自分達が苦渋を舐めさせ続けられているネウロイを互角以上の戦いで圧倒するMS達が、若い船員には畏怖の意味も込めてそう見えていた。するとそれを聞いていた赤城の艦長は半ば自嘲気味に笑った。

 

「ふふふ……“魔女”と“悪魔”が一緒に戦っているのか、聞こえは恐ろしいがそれはネウロイにとってはだな」

「まったくです」

 

艦長の皮肉に隣にいた副長が微笑で答えた……。

 

 

戦闘が始まって数分後、フリーデンのカタパルトデッキからGファルコンとドッキングしたDXが出てきた。

 

「ガロード……来ます!」

 

ティファはそう言って空を見上げた。

 

 

その遥か視線の先の衛星軌道上、そこに一基の人工衛星が浮いており、その中心から一筋の光が放たれた。

 

 

「!! 来た! マイクロウェーブ!」

 

ガロードはその光をDXの胸で受け止め、展開していた翼を輝かせながら驚いていた、すると再びあの老人から通信が入る。

 

『ワシの創造主が作ったマイクロウェーブ送電衛星「BATEN」の模造品じゃ、月のものより出力は落ちるが、その代わり夜とかそういうの関係なくサテライトキャノンがぶっ放せるんじゃ!』

「へえー! 便利なモン作ったな、その……あんたの創造主? 一体何者なの?」

『ほっほっほ、いずれ判るわい、それよりもホレ、仲間が待ちくたびれておるぞ』

「おっとそうだった……皆! サテライトキャノンの射程範囲から離れてくれ!」

 

ガロードの号令に従い、501の面々やフリーデンの面々は戦場から離脱していく、その時……。

 

『ガロード! 一匹こっちに来るぞ!』

「!」

 

ネウロイの一匹がGファルコンと合体したDXに向かってビームを放つ、すると……。

 

『やらせない!!!』

 

芳佳が魔力シールドを張ってDXを守った。

 

『ガロードの邪魔はさせん!』

 

そして美緒がビームを放ったネウロイを一閃して撃墜する。

 

『ガロード君今だよ!』

『どんとキツイのをお見舞いしてやれ!』

「ありがとう芳佳、もっさん、みんな!」

 

芳佳や美緒達が射程範囲内から撤退したのを確認するガロード。

 

「よし! エネルギー充填100%……!」

 

そして操縦桿を握りしめながらツインサテライトキャノンの標準をネウロイや赤城に定める。

 

「お前達にこの世界を好きにさせない……!」

 

この世界で出会った仲間達を守るためガロードは引き金を引いた。

 

 

「ツインサテライトキャノン!! いっけぇーーーーー!!!」

 

 

次の瞬間、DXの肩の二本のキャノンから膨大なエネルギーが解放され、ネウロイの大軍と赤城を丸ごと飲み込み、そのまま後ろにあったネウロイの巣を貫いた。

 

「ひゃああああ!?」

「な、な、な……!? なんだアレは!?」

 

ツインサテライトキャノンを初めてみた芳佳達は予想を遥かに上回るその威力に驚愕する。

 

「DXにあんな恐ろしい機能が積まれていたなんて……!」

「心底……味方でよかったと思うな」

 

 

 

DXはすべてのエネルギーを解放し終え、そのままフリーデンの上に着艦する。

ネウロイと赤城はツインサテライトキャノンで完全消滅し、辺りに一瞬の静寂が訪れる、そして……。

 

「わ、私達勝ったの……?」

「勝ったんだよ芳佳ちゃん! 私達勝ったんだ!」

 

次の瞬間、辺りに赤城や基地に残っていた兵士、そしてウィッチ達とフリーデンのクルーの歓声が響き渡った。

 

『終わりましたねガロード……』

 

するとそこにカリスを始めとした仲間のMSらが集まってくる。

 

「ああ、これでネウロイは……」

「! 見てガロード! 巣が……!」

 

その時ティファはツインサテライトキャノンに巻き込まれたネウロイの巣が少しずつ消えていく事に気付いた。

 

『ネウロイの巣が消えたってことは……! ガリアが解放されたってことじゃねえの!?』

「そうか! これでこのあたりに平和が戻るのか……!」

 

 

 

それから数分後、半壊した501基地に寄港したフリーデンのクルー達は、赤城ら扶桑艦隊のクルー達、基地に残っていた軍人たち、そしてウィッチ達の熱烈な歓迎を受けていた。

 

「ガロードさん!!」

「うぉ!? ペリーヌ!?」

 

ペリーヌはDXから降りてきたガロードを見るや否や、感無量といった様子で彼に抱きついた。

 

「ありがとうございます! ガロードさんのおかげでワタクシの故郷が……ガリアが解放されました!」

「わ、わかったから落ち着け! ティファが見ている……!」

 

ガロードはこの光景がティファに浮気だと思われないか懸念していた、そこに……。

 

「あ! ペリーヌずりい! 私も!」

「んじゃ私もシャーリーと!」

「弟をねぎらうのは姉の役目だー!!」

「面白そうなんで私も!」

「エイラ、あなたは右から、私は左から攻めるわ」

「はーい……」

(うふふ……後ろから抱きつけば私の柔らかいのがガロード君の背中に……そうすれば……!)

 

他のウィッチ達も様々な思惑でガロードに抱きついた。

 

「ちょちょちょちょ!? お前ら何!?」

 

その様子を見ていた芳佳は戸惑いながらも……。

「わ、私も……!」

ガロードに抱きつこうとペリーヌ達の間に入っていった。

 

 

一方その様子を見ていたティファは呆気にとられていた。

 

「これは……」

 

するとその様子を見ていたパーラがティファを後押しする。

 

「おいおいティファ、ぼーっとしてていいのか? ガロードがあの子達に取られるぜ」

「え……!?」

 

ティファはしばらく考えた後、はっと顔を上げ……。

 

「それは……ダメ!」

 

芳佳達と一緒にガロードに抱きついた。

 

「おまっ! ちょっ! 重い……わあああああ!!」

 

ガロードはティファや芳佳達の体重を支えきれず、彼女達と一緒にそのまま将棋倒しのように倒れた。

 

 

「なにやってんだか……」

「すみません、うちの子達が……」

「はっはっは! 命短しなんとやらだ!」

 

ミーナがウィッチ達の醜態についてサラに謝罪している横で、美緒は相変わらず豪快に笑い飛ばしていた……。

 

 

 

 

 

その日、ガリアはネウロイの手から解放され、世界中にそのニュースが知れ渡った。

そして新聞にはDXの写真と共にある大きな見出しが書かれていた。

 

 

“異世界から来た白い機械人形、世界を救う”と……。

-2ページ-

 

今回は最終話ですのでいつもより長めにお送りいたしました。

次回はエピローグとなります。

説明
最終話です、SW一期の終盤が舞台になっております。
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コメント
>>FDPさん:ありがとうございます! なるべく早く書きあげられるよう頑張ります!(okura)
ティファ参加? な状況ですが、第一部終了おめでとうございました! そして、第二部もがんばって下さい!! これからも応援してます!!!(FDP)
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