早苗の炬燵 |
早苗の炬燵
この山に来て最初の冬がやって来ました。
ついこの間まで紅葉によって一面赤色だったのと大きく変わり一面が銀色に覆われている。
「…………」
綺麗だなと素直に思う。
「さて……境内のお掃除でもしましょう!」
雪にあしあとを残しながら井戸へと進む。
さて今日も一日を始めましょう!
◇
「お使いですか?」
それは昼になる調度一時くらい前の言われた。
「ええ。そろそろ冬の寒さも強くなってきたから暖があったほうがいいと思ってね」
神奈子様は髪の毛をいじりながらそう答える。
「ですが神奈子様、暖と言ってもどのような物がいいのでしょうか?」
「そうだねー……やっぱ電気こたつとかあるといいねー。河童たちのおかげで電気もなんともあるからね」
そう、ついこの間の出来事なのだが。河童たちとの交流ということで神奈子様達と飲みにいった際にあちらの電力作成法の構図を説明しただけだったのにたった一夜で作ってしまったという。核融合炉を利用してるが一晩でできたというのには怖いものがありますが……。
「こたつと言われましても……幻想郷にそのようなものがあるのでしょうか?」
幻想郷には幻想となってしまった物が集まるはずだ。こたつはあちらでは未だ全然あるものだ。
そんな物が迷い込んでるのだろうか?
「なんでも迷いの森にあちらから流れてきた物を売る半妖がいるらしい。そこに行けばもしかしたらあるかもしれない」
「そうなんですか? ……わかりました! この東風谷早苗全身全霊をかけてこたつを探してきます!」
「いや……そこまではしなくていいか――って行ってしまったか」
部屋に戻りマフラーと手袋を取り出す。あちらからは少しばかり持ってきていたものだ。
「それじゃぁ神奈子様のためにも頑張りましょう!」
部屋を飛び出し私は迷いの森に向かって飛び出した
「ここはどこですか〜」
意気込んで迷いの森に来たのはいいが迷ってしまった。
流石は迷いの森……迷いとつくだけはありますね。ってそんなことを考えてる場合ではなく!
「そうだ! こういう時には一度原点に戻ればいいのです」
そうですよ。こういう時には一度0からスタートしてしまえばいいのです。
しかし後ろを振り向くとそのきた道すらわからない状況。
「……」
べっ……別に涙ぐんでなんていませんからね。これはきっと目から奇跡がこぼれただけですから。
「あら。こんな所で人と出くわすとは思わなかったわ」
私が佇んでいると後ろから声がした。振り向くとそこにはスカーフを首に巻いた金色の髪の綺麗な女性が立っていた。
「この森に迷わされたの? 里の人間とかなら自分からこの森には入ろうともしないものだけど」
「えっと。この森に珍しい物を売っている場所があってきたんです」
彼女はそれをいうとああ……という感じの顔をしてからこちらに振り向く。
「あそこね。更に物好きねあそこはほぼガラクタしかおいてなかったと思うけど」
ガラクタ……こちらの人々にしては確かにガラクタなのかもしれない。
「いいわ着いて来てそこまでは案内してあげる」
そういうと彼女は歩き出す。
「えっ? あっ……はいっ」
私は彼女の後ろに付き添い歩き出した。
「…………」
「…………」
会話が無い……この空気なんか嫌な感じがします。
「あのっ」
「ん?」
ついにこの空気に耐えられなくなって声をかけてしまった。
「そういえば名前聞いていませんでした。私、東風谷早苗っていいます最近あちらの山に住み始めたんです」
「あの山? ああ、最近山に神社ができたって言うけどそこの」
「はいっ」
少し声が裏返ってしまった。
「ふぅん……ああ。私はアリスっていうのよろしくね」
アリスさんか……。
「アリスさんはこの森に住んでるんですか? さっき聞いた時すぐに答えてくれましたし」
「そうね。この森に住み始めてからはずいぶんと立つわね」
なるほど。つまりはエキスパートなんですね。
「着いたわ」
そんな挨拶程度の会話をしている間にどうやら目的地に着いたようだ。
「あれ? 以外に近かったんですね」
「ええ。この森は同じ用に見せかけるだけであって以外に森自体は狭いの。だからちゃんと周りを見て場所を理解すれば大体の位置はわかるわ」
へぇ……幻想郷……これは奥がが深いです。
「それじゃぁね。 帰るときはここから飛べばいいわよここは森も開けてるからたぶん方角を間違えることもないから」
「あっ。はい! いろいろありがとうございましたアリスさん」
彼女は少し微笑みを浮かべ手を振ると先ほどでた場所の横を進んでいった。
「さて……」
私は目の前にある扉を開けた。
「ごめんくださーい」
中を開けると古い物の匂いがした。まるで蔵でも開けたときに香ってくる匂いに近かった。部屋の中には外とは別の暖かさもあり、マフラーと手袋をつけていると少し暑苦しさも出てきた。
「ん? 珍しいな今日はホントの客が来たのか」
部屋の奥から声が聞こえた。少しすると中から長身の男性が出てきた。
「おや。初めての方だねいらっしゃい」
「はい。東風谷早苗っていいます。よろしくおねがいします」
「礼儀正しい方だね。僕はこの香霖堂の店主をしてる森近霖之助だ」
霖之助さんですか。こちらに来てから参拝者以外の男性に話したのはこれが初めてでした。
「えっと……霖之助さんでいいんですか? こちらにはあちらから流れてきたものを扱っていると聞いて来たのですけど」
「ああ、それなら結構あるが……正直使い物にならないものも多いがね」
たしかに店の中に乱雑に置かれたものには使えないものも多そうだった。
液晶の壊れたダイヤル式のテレビ。
いつの時代の物なのだろうか? 多分、元はティーセットだったのだろうが、バラバラに壊れているので使い道などほぼ無い。
中には私でも見たことのあるゲーム機などもあった。これは……ゲームウォ……なんだったっけ?
「確かにあちらの物が多いですねこのテレビなんかはもうあちらでは見られませんからね」
「その商品のことを知っているのかい!?」
霖之助さんは机から体を乗り出す。
「はっ……はい。それは知ってますけど」
あちらでは日常的に使っていたものもあるのだから知らないわけではないが……とりあえず霖之助さんの目が怖かったです。
「そうか……君はあちらから来た人間なんだね。最近、あちらから来た神様が山に神社を立てたとは聞いていたが」
その後、霖之助さんはいろいろな商品を取り出してはこれはどう使う物なんだい? と言った感じで質問攻めを小一時間されてしまった。使い方がわからなくて気になっていたんだよというのを聞いていくうちに、この人変人なのではっとちょっと思ってしまったのはないしょです。
「あら早苗じゃない」
少しすると店に誰かが入って来たようだ。
「あっ。霊夢さん」
後ろを向くと赤い巫女服に両側に毛玉の付いたマフラーをして立っていた。
「変な所であうわね。あっ霖之助さんまぁお茶もらえるかしら?」
「いきなり入ってきてまたそれか」
どうやら霊夢さんはこの店の常連? らしい。
「てか霖之助さん。早苗はなにか探しに来たんじゃないのかしらそんな質問攻めしてていいの?」
霊夢さんがそういうとしまったという顔する霖之助さん。なんとか霊夢さんのお陰で話が進んでくれた。
「すまない。つい調子にのってしまった。それでお探しの商品ってのは?」
「えっとこたつを探しているんです」
「こたつ? こたつって炭さえあれば出来るじゃない」
霊夢さんがぽかんとした顔でそういう。確かに普通に炭を使ってしまえば掘りごたつができるのだろうが。
「えっと今回探してるのは霊夢さんのいうのではなくて電気こたつというものなのです。神奈子様が欲しいということなので探しに来たんですよ」
「電気こたつ? 電気ってあの空に落ちる雷のこと?」
「いえ。河童の人たちに言って電力を作れるものを作ってもらったんですよ。それで暖房として電気こたつがほしいと」
「ふぅん……ちなみに電気だとなにか違うの?」
「よく聞いてくれました霊夢さん! いいですか電気こたつだとまず温度調整が手元で出来るんですよ! それに堀ごたつだと炭を使うと一酸化中毒になってしまったりするのですがそれがまずありません。電気なので少し電気を使いすぎてしまうということもありますが――」
「ああ――わかったもういいわちょっと頭が痛くなってきたから」
はっ。つい語ってしまった。いけませんねこれでは知識をひけらかすみたいな。
「すみません。つい話しすぎてしまって」
「いいわよ」
「もう終わりかい? 僕はもう少し聞いておきたかったんだが」
霖之助さんは少しがっかりしていました。ああやっぱ変わった方なんだなと思ってしまいます。
「で……でんきこたつ? だったかな多分あるかもしれない結構大きい物だから倉庫に入れてしまったかもしれないが」
そう言って霖之助さんは奥に入っていく。中からはガタガタン! とすごい音を立てている。
「あったあった。多分これかい?」
霖之助さんの手には少し小さめの四方120cmくらいの電気こたつをだしてきた。こたつ板も一緒に出てきたのにはすこし驚きと有り難さがありました。
「それですそれ! あっ……でもこのままじゃ使えませんね」
確かに電気こたつではあるが大事な物が無い……そうコードが無いのだ。それに出てきたこの電気こたつが使えるかどうかは微妙である。
「コードか……それならなんとかなるかもしれない」
「えっ」
「少しコネがあってね。少し待ってくれればそれまでに用意するよ」
そんなに早く? 少し不思議ではあったが私はそれを承諾する。
「なら早苗こっちよ中でお茶でも飲みながら待ちましょう」
霊夢さんはそう言うと奥まで案内してくれる。というより……なぜ霊夢さんはこの店の中を把握してるのだろう。
中で香りのいいお茶をすする。とてもいい葉っぱを使っているのだろうか? いつもとは違う味ですごく美味しかった。
「おまたせとりあえず注文の品が来たよ」
時間としてほんの30分ほどで商品が届いたというのだ。いったいどんなコネを使ったのだろう?
「本当ですか! ありがとうございます」
「いや、別にそんな大したものでは無いよただ頼んだだけだからね僕は」
それにしてもすごい。以外にこの方ただの変な人では無いのかもしれない。
私は霖之助さんにお金を渡すと両手に何とかこたつを抱える。
「あ……ありがとぅご……ございました」
「大丈夫かい? 結構重いものだしこたつ板もあるが」
正直に言うと重い……と言うよりは持ちにくいです。電気こたつだけなら運べるのだがこたつ板もあるというだけあってやはり持ちにくい。それに手には手袋がつけているから滑りそうである。
「こ……これも神奈子様のた……ためですから」
少し強気になってしまう。だってこれは神奈子様から私に言われたお使いなのだから。
とふいに重さが少しなくなる。右手で持っていたはずのこたつ板が消えたのだ。
「仕方ないわねほら行くわよ」
横を見ると霊夢さんがこたつ板を両手に持ちながらそういう。
「少しでんきこたつってのもきになりまるからね」
まだ知り合ったばかりだけど……以外に霊夢さんってやさしいのかも。
「それに神様に恩義をつければあとあと賽銭が増えたりもするかもしれないからね一応分社なんだし」
前言撤回です!
「それじゃ行きましょうか」
「あっ。はい!」
私は霖之助さんに一礼してから私は霊夢さんを追って飛び出した。
◇
「なぜ博麗の巫女がいるの?」
帰って来ると神奈子様が霊夢さんを見ながらいう。
「あんたのところの巫女が困ってたから助けてあげたのよ」
霊夢さんは境内にこたつ板を置くとふんぞり返りながら言う。
「そのようだねー。まぁ一応礼は言っとくよありが――」
「礼はいいわ。それより私の神社に賽銭が来るようにしてくれると嬉しいのだけれど」
それは……少し無茶のある要求のような。
「ふむ……まぁそれなりに頑張りましょうかね。それぐらい」
あっ。今、神奈子様絶対嘘いった。
「えっと……とりあえずこたつを準備しますね」
私はそう言うと部屋に戻りこたつ布団の代わりになるものを探しに行く。
「さて。それではスイッチオーン!」
準備が完了すると電気をつけた。コンセントは神奈子様の要望で河童の方々に頼んでいたのでそこに差し込み電気をつける。
「…………ちっとも暖かくならないのだけど」
霊夢さんはこたつに足を通しながら身震いをする。
「電気はきているので、電気こたつは最初あたたまるまで少し時間がかかるので」
「以外にめんどくさいのね」
ふふふ……そう言っていられるのも今のウチですよ。
こたつは数分経つと中もあっためられて十分な暖かさをもってきた。
「あら……以外にいいわねこれ」
霊夢さんは少しずつ暖まってくるこたつに感動? し始める。
「掘りごたつと違ってやけどもシないのね。火を触っても熱くないし」
「そうですよー。これが電気こたつの至高なんです」
私たちはそう言いながらこたつで暖を取る。
「ふぅん……そうだ、ちょっと出てくるわね」
霊夢さんはこたつから立ち上がるとマフラーを身につける。
「なぜか……恋しくなるわねそのこたつが」
どうやら完全にこたつの魔物にとりつかれたみたいです。
「まぁほんの数十分くらいだし、それぐらい我慢するわ」
霊夢さんは境内を出るとそのまま飛んでいった。
「なんなんでしょう?」
霊夢さんちゃっかり帰ってくる気まんまんですね。
30分くらいでしょうか。それくらいしてから霊夢さんは帰って来ました。
「うぃーす。面白いものがあるって聞いてきいて来たんだぜ」
なぜか嫌そうな顔をした霊夢さんの横には魔理沙さんとさきほどお会いしたアリスさんがいました。
「ただお酒とりにいっただけだったんだけど魔理沙にばったり出くわしちゃってね」
それで魔理沙さんが横にいるのですか。
「おっ? これがでんきこたつってやつか以外に普通のと変わらないんだな」
魔理沙さんはあっという間にこたつに潜り込むとその暖かさに歓喜していた。
「おおっ。これは確かに暖かいぜ」
「行儀が悪いわよ魔理沙」
アリスさんが全くもうと言いながら魔理沙さんに言う。魔理沙さんはすまんすまんといった感じで聞く気すらない。
「そうだ。アリスさん先刻はありがとうございました」
「ん? ああいいのよ別に」
「よかったらアリスさんもどうですか?」
「ええそうさせてもらうわね」
アリスさんはスカーフを取りながら魔理沙さんに横にずれてといってその横に座った。
「結構いいものねこういうのも」
そう言いながらアリスさんはこたつに浸る。
「あら……幻想郷には似合わない物があるわね」
「!!」
これは幻想郷に来てから一番驚いたかもしれない。突然空間が裂けてそこから一人の女声が現れた。
霊夢さんはげっ! と声を上げる。
「紫……あんたどうせ最初から見てたんでしょう全部終わってきてから出てきたし」
「さぁ? どうでしょう私はたまたまこの神社に来ただけよ?」
どうやら結構有名な方らしいです。
「そういえば合うのは初めてね。八雲紫よ、よろしくね」
「えっあっはい! 東風谷早苗です」
わたしはこたつから飛び出て正座をすると紫さんに返事を返した。
「これはこれは。かの有名な隙間妖怪様ではないか」
紫さんが現れた後に神奈子様が境内に入ってくる。
「あら? そういえば八坂の神にご挨拶がおくれましたわね」
「いやそれくらいは全然いいわよ」
神奈子様と紫さんとの間には少しピリピリした空気が流れているようでした。なんででしょう……。
「とりあえず八坂の神にご相談があるのだけど」
「ん? 私にか」
神奈子様と紫さんは少し離れたところに行くと何かを話し始めた。何でしょう? 何かの相談なんでしょうか。
「よし。わかった許可するよ」
「それじゃあ私は今から人を呼びに行ってくるわ」
神奈子様が返事をするとその場から紫さんは消えた。
「早苗! 今から飯の支度だ! あとそこの座ってるのにも手伝ってもらうぞ」
神奈子様が大きく声を張り上げて言う。
「えっと? 神奈子様……まだ夕飯の時間には早いとは思うのですけど」
「いや……今日のは夕飯と言うよりはつまみという感じだな」
つまみ? それに大量に?
「これから宴をするぞ! ここにいるのにも準備を手伝ってもらう」
◇
七時を超えた頃には境内の中はいろんな方で賑わっていた。
人間・妖怪・妖精とあらゆる人々が集まっていた。
電気こたつはあらゆる人々が物珍しく皆が酔った勢いで入ったり出たりを繰り返していた。
そしていつの間にか境内にはガスストーブが置かれ部屋に置かれていた。あれは紫さんが持ってきたらしく紫さんは「今日作った借りくらいは今日帰して貰っただけから」と言っていましたが……。
「ふぅ……」
あまり飲めないののですが今日はなぜか楽しくて結構な量を飲んでしまいました。
「あら〜早苗あんたどこいくの〜」
立ち上がると霊夢さんが呼び止める。
「ちょっと酔いが回ってしまったので外の空気にあたってきます」
私は境内の扉を開けて外に出る。境内の中からはまだ宴会の笑い声などがこだましてくる。
外の空気はやはり寒さも感じるがお酒の回った体にはちょうどいいくらいでした。朝から降り出していた雪は朝方よりも深くつもり雪ははらりはらりと落ちる程度になっていた。
「おや? 早苗どうしたんだい」
「あっ。諏訪子様」
後ろにいつの間にか諏訪子様が来ていた。諏訪子様は私の後ろに座る。
「今日の神社は賑やかだねぇ〜」
諏訪子様は笑いながらそう答える。
「そうですね。いつもと違って」
そう、いつもならこの時間は神奈子様と諏訪子様、そして私の三人だけでご飯を食べてそのまま就寝という形なのですが。
「早苗は今日みたいな日はどう? 楽しい?」
諏訪子様はこちらに首をかしげながら聞いてくる。
「そうでうね……楽しいですそれに……それに――」
私の意識はそこから途切れてしまった。
◇
「寝ちゃったか」
早苗は私の方に倒れこむとそのまま寝息を立ててしまった。
「楽しかったから疲れたのかな?」
今日は一日神奈子に頼まれて出かけたり宴会したりと大変だったからねぇ〜。
「おや寝てしまったのか」
私が早苗を膝に寝かそうとしていると横から神奈子が顔をだした。
「今日は神奈子がいろいろこき使ったからねー」
「そうね。少し働かせすぎてしまったかな」
「そうだよー……でも神奈子としてはいい結果になったんじゃないの?」
「さて。なんの話かな?」
「とぼけてもだめだよ。あんたがわざわざ暖を取りたいからこたつを探してこいなんていうわけないじゃない」
そう神奈子がそんなためにわざわざ早苗を行かせるわけがない。
「私の推測じゃ……早苗のことが心配になったんだろう」
「…………」
神奈子は無言で前を見る。
「最近こちらに来てから早苗は本当に働いてくれたよ……神社のために一日もかかさずにね」
「そうだね早苗はよくやってくれてるよ」
「だからこそ心配になったんだね? 早苗は自分の気持を素直に言わないからね」
この子はほんと自分の気持ちを隠しちゃうからなー。
「だから早苗にお使いにいかせて誰かしらとの出会いが作れればとそう思って行かせたんだよね」
「ほお、それで?」
あっ、神奈子ったらまだ認めないんだ。この意地っ張りが。
「そして最後がこの宴だよ。最初は博麗の巫女と魔法使い達だけだったけどさ隙間妖怪と共同して宴を披露する。これで早苗にいろんなのと会ってもらってで仕事以外にも心ゆとりを持ってもらいたかったんだろう」
「…………はぁ。諏訪子にはバレバレだな」
やっと折れたよこの軍神。
「そりゃね。長い付き合いだからわかるよあんたが早苗をどれくらい愛しててどれくらい大事かってのもね」
あの時から何百という時を神奈子と過ごしてればそれぐらいわかって当然といってもいいくらだ。
「私がいいだした事だこの幻想郷にこようといったのは。早苗もすぐに答えをだしてくれた。だからこそこちらではあちらよりも幸せになって欲しいんだ」
「……あんたが一番心配性だね」
「なっ」
「だって気にし過ぎなんだよ。早苗はもう一人っきりじゃないじゃん」
私は後ろをみる。そこにはにぎやかな明かりと騒ぎごえがこだまする。
「これだけいれば大丈夫でしょう」
神奈子に向かって私は満面の笑みする。そうすると神奈子もふっ……っと言った感じで笑う。
「そうね……もう大丈夫ね」
「それじゃあそろそろ中に入ろうか。このままじゃ早苗風邪引いちゃうよ」
私が言うと神奈子は私の膝から早苗をおもむろに持ち上げる。
「全くまだまだ世話のかかる子だよ」
私と神奈子は早苗を連れて中に戻る。
今後長い付きあうであろう者たちにのいる場所に。
早苗の炬燵
From rino miyakawa
説明 | ||
今回は東風谷早苗を舞台とシたものです。 ちょっと出演キャラを多めに書きたいなと思ったので多くしてあります。 これまたぱっと出たのを書き上げたものなので出来は……072w |
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