寂しがり屋の女の子のために…… 拾肆話
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俺達は偵察を終えて凪達と会った村に帰って来ていた。

俺が帰って来た時には既に秋蘭と春蘭と夜月が帰って来ていた。

 

「敵の本拠地はここから半日くらい行ったところにあった。

敵は補給を始めていてすぐに叩く必要があると思う」

 

敵が補給を始めていたのを見た時は本当に焦った。

帰って来る時は討伐の際に支障が無いギリギリの速さで帰って来た程だ。

 

「まだ季衣が帰ってきていないけど仕方ないわね……

現地で合流しましょう。美蓮、伝令を出して」

 

「はいです」

 

美蓮はそう返事をして兵士を呼び季衣に伝える内容を話す。

俺はそれを見ながら少し立つ。

すると華琳に呼び止められた。

 

「劉郷、どこに行くの?」

 

「ちょっとだけ用事が出来た。

すぐに帰って来るから待っててくれ」

 

「早くしなさい、あまり時間が無いわ」

 

「了解」

 

俺はそう返事をしてゆっくりと歩き出した。

そして、少し歩き村の中のある建物の裏まで来る。

 

「あれ?誰かに見られてたと思ったんだけどな……」

 

さっきから誰かに見られていた様な感じがしていた。

でもそれは勘違いだったらしい。

 

「劉郷!早くしなさい!」

 

「やれやれ……早く華琳の所に戻るか……」

 

そう呟いて俺は華琳の所に向かって歩いて行った。

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第三者視点

 

 

ある建物の裏

 

 

「ふぅ……危なかったわね〜」

 

そう呟きながら建物の屋上から飛び降りてきたのは強靭な肉体を持ち女性物の下着を身に着けたへんた……

では無くきんにくだるm……でも無く……もう変態で良いや、が立っていた。

 

「何か失礼な説明をされた様な気がするけどまぁ良いわ〜

それより……あれはご主人様よね〜?

『あの時』のご主人様は完全に『死んだ』筈なのにどうして『あの時』のご主人様の

魂を持つご主人様が外史に居るのかしら〜?

それに……」

 

そう言いながら変態は華琳達を見る。

しばらく観察していたが変態はきもちw……微笑みこう呟いた。

 

「これも外史の一つと言う訳ね〜。

外史は可能性の世界だから良いわ〜

でももしまたあんな終わり方になったら……

今回ばかりは私も『あのお方』に対して反乱を起こすわ」

 

変態は真面目な顔になってそう呟き闇の中に消えた。

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一刀side

 

 

今俺達は季衣と合流した後賊の砦から少し離れた所から様子を見ている。

今回は数の差は大したことが無く今すぐに攻めても良いのだが官軍が傍に居てその件に対しての軍議が

行われていた。

 

「さて、どうするかしらね……美蓮、桂花、何か策は?」

 

「あります」

「ありますです」

 

二人共策があるらしい。

流石有名な軍師だ。

 

「では、まず桂花から聞きましょう」

 

「はい、賊の城を落として曹の旗を立てましょう。

そうすれば華琳様が敵の城を落したと嫌でも世間に伝わります」

 

「成程……美蓮は」

 

「私も同じ考えだったのです。

それと追加で曹の旗の傍に劉郷さんの旗を立てたら良いんじゃないかと思ったりするのです」

 

美蓮が俺を見ながらそう言った。

見ていると言うのは俺の俺自身と言うよりも俺の服を見ている様な感じだった。

俺の服はいつも通りの盗賊の血に濡れた紅い服だけど……!成程そう言う訳ね。

 

「剣神の名を利用するって訳か?」

 

「流石劉郷さん、軍師が要らなくなる様な発言感謝するのです」

 

ひきつった笑みを浮かべながらそう言う美蓮。

俺はそこまで頭良く無いんだけどなぁ……

 

「師匠、どう言うことですか?」

 

やっぱり春蘭は理解出来なかったか……

しょうがないよね、春蘭だもの。

 

「良いか春蘭、自分で言うのは何だけど俺は世の中では剣神と言われてるんだ。

そんな俺が使用している旗を別の諸侯が持ってたらどう思う?」

 

「それは……………………………その諸侯とは戦いたく無いと思います」

 

随分と間が長かったけど気にしないでおこう。

 

「そう、だからそう思わせる為に旗を立てるんだよ。

思惑はそれだけじゃないけどね」

 

多分美蓮はこう世間に知らしめたいんだろう『剣神は曹の旗の傍にある』と。

最近鍛練している兵士に聞いたのだが『あなたの傍で働いてみたかったんです』なんて嬉しいことを言ってくれた。

その兵士曰くそんな奴が多いらしい。

大体の兵は俺がどこに居るのか分からなくてしょうがなく前々から決めていた諸侯に志願したらしいのだが

そんな中こんなメッセージが世間に発信されれば曹操軍の兵は一気に増えるだろう。

まぁ、全て俺の推測だが大方間違えてはいないだろう。

しかし、俺は随分と有名になったもんだよなぁ……

彼の『夏候惇』や『夏候淵』に武を教えてるんだから。

ここまで育ててくれた翁にはホントに感謝だ。

 

「では、桂花の考え出した策を採用しましょう。

一番高い所に旗を立てられた隊には褒美を出します。

ただし軍旗を持って帰った隊は厳罰よ。

それと敵の兵糧は一つ残らず焼き尽くすこと。

良いわね」

 

「「「はっ!」」」

 

その返事と共に部隊の展開が始まった。

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展開完了後

 

「緊張するな〜……」

 

全部隊の展開が完全に終わった後俺は全部隊の前に居た。

華琳に号令を任命されたのだ。

華琳曰く『剣神の号令を聞きたいからよ』なんて意味の分からない理由だった。

華琳の部下である俺に命令に逆らう権利なんか無く……こうしていると言う訳だ。

 

「さてと……ずっとこうしててもしょうがないか……」

 

俺は一度目を瞑り深呼吸をして気を落ち着かせる。

少しして俺は目を開けこう号令した。

 

「敵は民を襲い民から物を奪う獣だ!

我等が敗れれば民は更に苦しむことになる!

だが、我等が勝てば民の苦しみは減るだろう!

情けはかけるな!獣と無能共に我等の名を知らしめるのだ!

総員、奮闘せよ!突撃ぃぃぃぃぃっ!」

 

その号令と共に兵士達が敵の砦に向かって突撃を始めた。

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「はぁっ!」

 

「ぐあぁっ!」

 

突撃から敵の砦は相当簡単に落ちた。

俺は今敵の掃討作戦をしている。

 

「隊長!周囲の掃討終わりました」

 

凪はそう言いながら歩いてくる。

 

「ああ、お疲れ〜」

 

俺はそう言って凪を労う。

何と言うか『北郷一刀』だった頃の常識が薄れていってるような気がする……

 

「周りを確認してきます」

 

「ああ、気をつけろよ〜」

 

俺はそう言って手を振って凪を見送った。

完全に凪の姿が見えなくなったところで後を向き

 

「さっきから不愉快なんだよ。さっさと姿を見せろよ」

 

先程から俺に視線を送っている奴にそう言った。

俺はゆっくりと不殺を抜いて構える。

 

「十数える内に出て来い。

そうすれば手荒な真似はしない」

 

俺はそう言って数え始めるそして三まで数えたあたりで……

 

「ご主人様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

自分の中の防衛本能が働き気を失った。

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「んん……」

 

何かに揺れられている様な感じがして目が覚めた。

 

「「「師匠(兄ちゃん)(劉郷)(劉郷さん)(隊長)!」」」

 

目を覚ますと周りには皆が居た。

皆馬に乗っている。

どうやら帰る途中らしい。

 

「お前の叫び声が聞こえて駆けつけたらお前が気絶していたから驚いたぞ。

お前程の男が気絶するとは何があったのだ?」

 

俺の前に乗っている夜月にそう尋ねられて俺は何があったのかを思い出そうとするが……

 

「覚えている筈なんだが何故か頭が思い出すことを拒絶して思い出せないんだ」

 

気絶する前の俺に一体何があったのだろう?

 

「何だそれは?

まぁ、良い。城が落ちてからのことを説明しよう」

 

「頼む」

 

あれから城に残っていた兵糧を焼き尽くし各隊全てが旗を挿したそうだ。

結果一番高い所に挿したのは季衣だそうだ。

何でも正殿の屋根に突き刺したらしい。

どうやって挿したかと言うと『僕木登り得意なんですよ』と答えたらしい。(子供ってすごい)

そして華琳が褒美を出そうとしたらしいが今のところ何も思いつかないから保留になったらしい。

 

「ん?」

 

何か違和感を感じて胸ポケットに手を入れてみる。

そこには手紙があった。

 

「………ふんっ」

 

俺はその手紙を胸ポケットに入れた。

あの手紙の字の筆圧の所為で何があったかを思い出してしまった。

 

「春蘭、秋蘭、季衣、夜月、帰ったら凪達の歓迎会を開くぞ〜」

 

「「「え!?」」」

 

「良いんですか!?」

「良いの〜!?」

「良いんかいな!?」

 

「別に良いさ。華琳も一緒に行くだろ?」

 

「ええ、そうね。私も行くわ」

 

「それなら兄ちゃん!早く帰ろうよ!」

 

「分かった分かった、さて、行く店を考えるかな」

 

行く店を考えている中俺の頭の中にはあの手紙のことが頭から離れなかった。

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手紙の内容

 

『こんにちわ〜劉郷さん、いえ、劉弁さんと言った方が良いかしら?

 

それとも『北郷一刀』さんと言った方が良いのかしら〜?

 

一応これからは劉郷さんと書くわねん♪

 

私はこの世界があなたと知っている歴史と少し違うと言うことを知っている者の一人よん♪

 

ここでは多くを書けないから洛陽で会いましょう?

 

反董卓連合の時の洛陽でね♪

 

大陸一の美女貂蝉より』

説明
壱拾肆話投稿です。
前回は短くてすいませんでした。
では、始まり〜
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コメント
…ふむ、とうとう化物が現れたか…。その口ぶりからすると、一刀が魏√EDで弾かれた後は、そのまま死亡したかのようだが…。しかし、化物と言えど、一刀の末路は納得しかねたみたいだな。その化物の言う『あのお方』、誰なのか想像は付くが…。(クラスター・ジャドウ)
拒絶反応ww(アロンアルファ)
来ましたよ、貂蝉が! まあこれを思い出したくなくて記憶をなくしたんだから、拒絶反応が起きるのは当たり前か。WWW(きたさん)
さすが貂蝉。劉郷ですら、一目見ただけで気絶したかw(量産型第一次強化式骸骨)
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