寂しがり屋の女の子のために…… 拾伍話
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俺達は玉座の間に集合していた。

先程まで賊討伐の為に出かけていた春蘭と季衣が帰って来たからその報告を聞いていたのだ。

何でも黄巾党の連中が追いかけている途中に消えて運の悪いことに追いかけた先が袁術の領土で

『あの』孫策と会ってしまったが孫策は見逃してくれたらしい。

その報告を聞いて華琳は溜め息を一つ。

 

「……それで、孫策に借りを作ったまま帰って来たと言うことなの?」

 

つっこむとこが違う様な気がするけど気にするべきなのはそこじゃない。

気にするべきなのは……

 

「それってまさか、策……じゃないよな?」

 

先日の兵糧の焼き討ち以来、黄巾党の活動は目に見えて小さくなったがそれは一時のことだった。

連中の勢力はほぼ以前のものと同じになっていた。

 

「これから苦戦することになるわね。

以後、奴等の相手は気を引き締めるように!」

 

「「「はっ!」」」

 

「……それから春蘭、その孫策と言う人物どんな人物だった?

江東の虎の娘なのでしょう?」

 

もう慣れたけどやっぱり女か。

あの手紙の内容といい……

やっぱりこの世界には何かがあるんだな。

 

「風格といい、雰囲気といい、気配といい……

袁術の食客と名乗っておりましたがとてもその様には見えませんでした」

 

「春蘭よ、それはどれも同じだぞ」

 

「う、うるさい!」

 

春蘭に期待したら酷だろう夜月……

 

「武人の夏候惇としてはどう見たの?」

 

華琳がそう聞くと春蘭は真面目な顔になった。

 

「……檻に閉じ込められた獣の様な眼をしておりました。

袁術とやらの人となりは知りませんがあれは食客で収まる人間ではないでしょう」

 

そう言えば袁術は演義では、雷薄・陳蘭らに略奪を受けついに糧食尽き、最後は蜜水を持ってくるよう料理人に命じたところ「ただ血水があるだけです。蜜水などどこで得られましょう」と言われ、絶望して血を吐いて死んだ様な奴だよな?この世界ではどうなるんだろう?

やっぱり血を吐くのか?

……想像しちまった。

 

「ならその情報に免じて今回は許してあげるわ。

孫策への借りはいつか返す機会もあるでしょう。

他に報告は?」

 

「ありません、春蘭の件で最後です」

 

「黄巾党は予測以上の成長を続けているわ。

官軍はあてにならないけど……私達の民を連中の好きにさせることは許さない。

民達の血も米も、一粒たりとも渡さないこと!

以上よ!」

 

華琳の一言でこの日の軍議は終了になった。

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軍議が終わった後俺達は情報収集の為に森に来ていた。

 

「凪、昨日南から帰って来たんだろう?大丈夫か?」

 

「大丈夫です、鍛えてますから」

 

こう言う真面目な子ばっかりが仕事を良くして倒れるから世の中って奴は不平等だ。

 

「季衣にも働き過ぎだって言われたんだろ?」

 

「自分……こう言うことしかできませんから」

 

俺はそう言った凪の頭を叩きながら言った。

 

「こう言うこと、何て言うなよ。

凪達が情報収集をしてるから華琳も正確な判断が出来るんだからさ」

 

「……はい」

 

この真面目さを父上や沙和や真桜も見習ってほしいもんだ。

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

その場に流れる沈黙。

俺はまさかと思い恐る恐る凪に尋ねた。

 

「まさか、俺うるさい?」

 

「いえ、別に気にしていませんが、どうしたんですか?」

 

「いや、俺ばっかりが喋ってるからうるさいかなと思ってさ」

 

自分ではそんなお喋りな方だとは思ってないけどもしかしたら迷惑をかけたかもしれない。

 

「沙和や真桜達の方が喋りますよ。

自分は喋るのはあまり得意ではないので……

聞くのは平気なのですが」

 

「あいつ等と同じだけ喋るのは無理だな」

 

「ふふ……っ」

 

「あ、笑った?」

 

俺がそう尋ねると凪は首を傾げた。

 

「いや、今笑ったなと思ってさ」

 

「……っ!」

 

凪はちょっと驚いた様に顔を赤くして……拳を構えた。

そして凪が拳を振りかぶったところで俺は身を屈めた。

 

「でええぃっ!」

 

凪の放った気弾は俺の頭の上を通り過ぎて立木を端から倒し隠れていた敵の姿を現した。

 

「全く、先に言ってくれよ。お前等!戦闘態勢を取れ!」

 

俺はそう言いながら襲い掛って来た敵数人を不殺で気絶させる。

すると凪は俺の近くに居た敵を殴り飛ばした。

 

「ふぅ……お前等!周囲を警戒しろ!何人かは連中を縛るのを手伝ってくれ!」

 

「はっ!」

 

「しっかしこいつ等こんな少数で何しに来たんだ?

晩飯でも取りに来たか?」

 

こいつ等脂肪ばっかだから縛り難い……

 

「だとしたら近くに本隊がある可能性がありますね。

……おや?」

 

「どうした?」

 

「隊長、何か手紙が……」

 

凪はそう言いながら俺に手紙を渡してくる。

その中には地図と汚い文字で何か書いてあった。

これは……

 

「集合の連絡書だ!」

 

「これで敵の主要地点の一つが分かりましたね」

 

「ああ」

 

だが、今までこんなしっかりした方法で連絡している様子は無かった。

今までは口頭での連絡で中には連絡事項を間違えて覚えていた奴も居た。

本当に俺達の様に作戦行動を取るようになっているんだろう。

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翌日玉座の間

 

翌日の軍議は勿論凪が見つけた連絡文書が最重要課題として取り上げられた。

 

「大手柄ね、凪」

 

「……はっ」

 

凪は緊張した面持ちで応えたが少し嬉しそうだ。

 

「先程偵察に出した部隊が戻ってきました。

連中の輸送経路と照らし合わせて検証をしてみましたが

敵の本隊で間違い無いようです」

 

「では、そこに張三姉妹も居るのか?」

 

「うむ……何と言うか……三人の歌を全員が囲んで異様な雰囲気を漂わせていたらしい」

 

「何かの儀式でもしているのか?」

 

まるでライブだな……

まぁ、この時代には無いけど。

 

「まぁ、何をしていたのかは連中に聞くことにしよう」

 

「ええ、そうすることにしましょう。

動きの激しい動きだからこれは千載一遇の機会だと思いなさい。

皆、決戦よ!」

 

「「「はっ!」」」

 

俺達はそう返事をして黄巾党との決戦の為に舞台の展開を始めた。

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後書きラジオコーナー

 

D「DOWANNGOと!」

 

一「一刀の!」

 

D 一「後書きラジオコーナー!」

 

D 一「「いえ〜い!」」

 

D「はい!始まりました!後書きラジオ!司会は私DOWANNGOと一刀でお送りします。

今回はスペシャルゲストとして魏の三羽鳥のお三方をお迎えしております!」

 

真(真桜)「どうも〜!」

 

沙(沙和)「どうもなの〜!」

 

凪「どうも……」

 

D「さて、紹介も終わったので最初の質問です。

あ〜これはクラスター・シャドウ様が参話で疑問に思っていたことです。

『炒飯が問題なく作れる所からして、修行内容の中には自炊能力も含まれていたのかな?』

だそうだよ?一刀」

 

一「うん、旅の最中に不便にならないようにね。

他には笛や歌を習ったね。まぁ、その二つは翁がやってたのを

聞いて感動して自分から習ったんだけどね」

 

真「ってことは隊長歌も出来るし笛も出来るってことかいな!?

半端無いのぉ……」

 

沙「すごいの……」

 

凪「……聞きたいです」

 

一「今度ね、次は?」

 

D「これは俺にだよ同じくクラスター・シャドウ様からで同じく参話で疑問に思ってたことだよ。

『刀ってのは斬り裂く武器で、粉砕には向かないんだが…この異様な威力と強度、用意したのは化物(貂蝉)だろうか?』だって。これは実はNOなんですよね〜。

相当意外な人物ですよ、これ以上は言えませんが」

 

一「誰が用意したとしてもこの刀には救われてるからな。

用意した人には礼を言いたいぜ。次は?」

 

D「三人に質問だよ。『三人はどうやって仲良くなったんですか?』だって」

 

凪「それは私が答えましょう。

私達三人は同じ村で育ちました。

私は武芸を磨き誰かを守りたいと

真桜は自分のからくりの技術を使い誰かの役に立ちたいと

そして沙和はオシャレを磨いて誰かを笑顔にしたいと思いながら

自分の能力を磨いていました。

そんなある日盗人が村人の物を盗みました。

私と沙和と真桜は偶々その場に居合わせその盗人を捕らえました。

私はその時二人の目に私と同じ炎を見たのです。

私は二人と話すことにしました。

二人と私の意見は合ってその場で真名を交換するに至りました」

 

D「三人共素晴らしい志を持ってたんだね。

三人共すごいや。では、ここら辺でお終いにしましょう。

では……」

 

D 一 沙 真 凪「「「「「また次回で!」」」」」

説明
こんにちわ〜
拾伍話目投稿です。
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コメント
Roco様ご指摘ありがとうございます。すぐに修正します。(DOWANNGO)
華琳が春蘭に雪蓮のことを聞く台詞の所ですが。雪蓮は『江東の虎』の娘ですね。 小覇王は雪蓮本人なので。(Roco)
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