真・恋姫?無双 守る者 四話
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諸葛謹と出会ってから二週間が経った。

あれから俺は大陸に未来について語り合っていた。

民が平和に暮らせれば良いと言う目的は同じだがその手段が違った。

この日も俺が敵国の王を説得して降らせて来て帰って来たところだった。

 

「一刀!お前は何を考えてるんだ!敵国の王は打ち取るのが当然だろうが!」

 

「何度も言ってるけど敵は降らせるからこっちに力を全部かしてくれるんだ!」

 

「貸してくれるんじゃなくて敵はこっちに力を貸すのが当然なんだよ!」

 

この時代では諸葛謹の言っていることが常識だ。

でも、力になってくれるなら殺さなくても良いじゃないかと俺は思ってしまうんだ。

 

「そんな甘いやり方じゃいつか駄目になるんぞ一刀!」

 

そんな言葉を聞きながら俺は部屋に戻った。

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一刀の部屋

 

「はぁ……朱鋼(諸葛謹の真名)もいい加減分かってくれないのかな……」

 

酒を飲みながらそう呟く。

真名を預かっていても分かり合えていない。

確かにこの時代ではあいつの言っていることが正しい。

でも、俺はそんな考え方を変えたい。

 

「でも、それが上手くいかないんだよなぁ……」

 

所詮俺はだたの人間だ。

そんな俺が騒いだところで何にもならないだろう。

 

「はぁ……今日はもう寝るか」

 

そう呟いて寝台に横になる。

 

「いたっ!」

 

「え?」

 

寝台から声が聞こえる?

まさか敵か!?

俺としたことが気を抜いていたか……!

俺は壁にかけてある模造刀を手に取る。

素手よりはましだろう。

そんなことを思っていると敵らしき影がゆっくりと起き上がる。

ピンク色の髪、褐色の肌、そして……女か。

ん?何か見覚えが……って!

 

「雪蓮!?」

 

「やっほ〜」

 

寝台に潜り込んでいたのは雪蓮だった。

俺は模造刀を壁に戻して雪蓮に近づく。

 

「何やってるの?ってか酒くさ!酒飲んだ?」

 

「うん、一刀の部屋にあるあれをね〜」

 

雪蓮はそう言って俺がさっきまで飲んでいた酒を指差した。

マジか……俺は酒が減ってるのにも気付かずに飲んでたのか?

 

「それで〜?どうしたの〜?お姉さんに言っちゃいなさい!」

 

雪蓮はそう言いながら俺に抱き付いてくる。

酒の匂いが……

 

「酔っ払いに話すことは無い。俺の寝台使っても良いからゆっくり寝てなさい」

 

俺はそう言って雪蓮を寝台に横たえる。

すると

 

「朱鋼のこと?」

 

「!」

 

そう言った雪蓮の顔は酔っ払いの顔ではなかった。

 

「聞いてるわよ、良く彼と言い争ってるって」

 

「……あいつは甘いって言ってるけど俺は自分の考えが間違ってるって思いたくないんだ」

 

「ええ」

 

「でも、この時代ではやっぱり朱鋼の言ってることが正しいんだろうな」

 

「朱鋼の考えはこの時代らしい考え方よ」

 

雪蓮はそう言いながらゆっくりと立ち上がる。

そして俺がさっきまで飲んでいた酒を飲み俺の方を向きこう言った。

 

「でも、私は一刀の考え方も好きよ。

一刀らしくて」

 

雪蓮はそう言って俺の後にまわり俺を抱きしめる。

 

「でも、俺の考え方はこの時代にはいつまで経っても受け入れられないだろう」

 

雪蓮は溜め息をついてこう訪ねてきた。

 

「ねぇ、何で一刀は蜀と呉をを回ることになったと思う?」

 

「そんなの俺の知識を……」

 

「表向きはそうよ、でも本当の狙いは違うの」

 

「え?」

 

雪蓮は『何だと思う?』と言って俺に考えることを催促する。

だが、俺には分からない。

 

「教えてくれ」

 

「それはね……あなたが皇帝になる為の準備よ」

 

「え?」

 

今、雪蓮は何て言った?

俺が……皇帝?

 

「あなたは天の御遣い、呉や蜀にはあなたを恨んでいる人間が居る。

でも、民を味方に付ければその人間達を少しは黙らせることが出来る。

それが朱里、雛里、穏、亞莎、桂花、凛、風の考え。

だから、あなたは蜀と呉をまわることになったの」

 

「そうだったのか……」

 

「だからあなたの考え方はいつかこの大陸に受け入れられるようになるわ。

あなたが皇帝になればね……」

 

俺はそんなに思われてたんだな……

 

「ホント……俺は幸せ者だな」

 

俺は本当に嬉しかった。

皆が俺のことを思っていてくれて……

 

「幸せ者でしょ?だから、一刀は頑張ってね。

それとこの話は秘密よ」

 

「ああ、分かってるよ」

 

でも、この時、俺は知らなかった。

この話が聞かれていたと言うことを……

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玉座の間

 

「……と言うことで本日の朝議を終了する」

 

軍議が終了し各々が解散の用意をする。

 

「北郷!軍議が終わったぞ!鍛練だ!」

 

やっぱり来ると思ったぜ……

 

「分かった分かったじゃぁ、中庭に『大変です!』どうした!」

 

一人の兵士が玉座の間に入って来た。

息を切らしている。余程のことがあったんだろう。

 

「盗賊がこの城に向かってきています!」

 

「数は?」

 

「五千ですが……」

 

数は大したことじゃないが兵士は言い淀んだ。

何があったんだ?

 

「その賊の中に……諸葛の旗が……」

 

「「「はぁっ!?」」」

 

この時から既に歯車は狂い始めていた。

説明
四話目投稿です
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コメント
k.m様ご指摘ありがとうございますすぐに修正します。(DOWANNGO)
「ねぇ、何で一刀は蜀と呉をを回ることになったともう?」→「ねぇ、何で一刀は蜀と呉をを回ることになったと思う?」なのでは?(k.m)
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